M&Aアドバイザリー(FA)とは? ~その業務内容と仲介会社との違い~ | 資金調達BANK https://shikin-bank.com 資金繰り・銀行融資・資金調達方法を金融のプロが完全解説 Thu, 01 Dec 2022 10:04:55 +0000 ja hourly 1 M&Aアドバイザリー(FA)とは? ~その業務内容と仲介会社との違い~ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/maadvisory/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/maadvisory/#respond Sun, 07 Aug 2022 22:51:03 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5668 会社は普段から、弁護士、会計士、税理士など、多くの専門家の支援(アドバイス)を受けつつ、事業を行っています。   M&Aを行う場合、M&Aの特有の専門家としてM&Aアドバイザーがいます。...

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会社は普段から、弁護士、会計士、税理士など、多くの専門家の支援(アドバイス)を受けつつ、事業を行っています。

M&Aを行う場合、M&Aの特有の専門家としてM&Aアドバイザーがいます。

M&Aアドバイザーは、フィナンシャルアドバイザー(FA)と呼ばれることもあります。

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FAが実際にどのような業務を行うのか、また同じくM&Aの専門家である仲介会社とはどのように異なるのかを見ていきましょう。

FAの役割

FAの役割
FAは、M&Aの片方の当事者から依頼を受け、M&Aにかかる支援することで依頼主の利益を最大化する存在です。

依頼を受けた当事者が売り手なのか、買い手なのかによって業務内容に違いがあります。

売り手から依頼を受けたFAをセルサイドFA、買い手から依頼を受けたFAをバイサイドFAと呼ぶことがあります。

売り手側FAの業務内容

売り手側当事者から依頼を受けたFAの業務内容は以下の通りです。

  • 依頼主の調査
  • 売却提案書の作成
  • 買主候補のリストアップまたは入札の実施
  • 買主の調査
  • 交渉

依頼主の調査

売り手側FAは、まず自分が依頼を受けた会社及びM&Aの対象となる事業について詳細な調査を行います。

これには、売却対象となる会社(事業)の内容、過去の財務諸表とその分析のほか、その事業のマーケット、マーケットにおける当該会社の地位や競合他社の状況等が含まれます。

同時に、売り手の今後の事業計画や、希望する売却条件を確認します。

fp
売り手側FAが依頼を受けた会社について調査する目的は3つあります。
相手方(買い手)を探すため

M&Aにおいて最初の困難はM&Aの相手方を見つけることです。

売り手側FAは、M&Aの相手方(つまり買い手候補)を探すところから売り手側を支援します。

staff
売り手側FAは、売り手側企業を調査することにより、どのような相手方が存在しうるのか、どのような相手であれば最もよい条件のM&Aができるのか、を検討します。
提案書を作成するため
買い手候補にM&Aを検討してもらう際、検討のための資料を売り手が買い手に渡す必要があります。

この資料は提案書と呼ばれます。この提案書の作成はほとんどの場合、売り手側のFAが行います。

staff
売り手側FAは、売り手企業を調査することにより、提案書を作成するための情報を収集します。
買い手のDDに備えるため
M&Aの交渉が進むと、買い手は売り手の精査を行います(これをDDと言います)。

DDは提案書等の資料の精査と、追加質問、経営者へのインタビュー(マネジメントインタビュー)により行われます。

売り手側FAはこのDDへの売り手側の対応の支援を行います。

staff
売り手側FAが対象の事業について調査することで、買い手のDDで聞かれることに回答するための準備となります。

提案書の作成

売り手側FAは依頼主の調査に続いて、提案書を作成します。

M&Aの提案書は大きく二つに分かれ、一つは買い手にM&Aを検討してもらうために、そのM&Aが買い手にとっていかに望ましいのかを説明する資料です。そしてもう一つはIMです。

IMとはinfomation memorundumの略で、M&Aの売り手となる企業について説明した資料です。

teacher
M&Aにおける売り手企業の情報開示は以下のように行われます。

まず、買い手は最初にノンネームシートと呼ばれる会社名を記載していない売り手の概略についての資料を受領します。この資料に基づいてM&Aを検討するか否かを判断します。

M&Aの検討を続けることになれば、秘密保持契約書を締結します。

秘密保持契約書を締結するとより詳細な情報が開示されます。その際、売り手から買い手に対して交付されるのがIMです。

staff
買い手はこのIMを元にM&Aを行うか否か、またいくらでM&Aを行うかを検討することになります。

買主候補のリストアップまたは入札の実施

売却提案書の作成と並行して、買い手候補のリストアップを行います。

相手方となりうる会社を業種などから検索したうえで(この段階で候補に挙がった企業の一覧をロングリストと呼びます)、ノンネームシートを用いて買い手候補の関心を探ります。

強い関心を示した企業(このような企業の一覧をショートリストと呼びます)との間でより深い交渉を行うことになります。
teacher
買い手候補のリストアップを行うのではなく、M&Aの相手方を入札で探すケースもあります。

事前にある程度の情報を広く開示したうえで、買主からM&Aの条件についての提案を募ります(これを一次入札といいます)。

売り手は買い手候補から受領した条件の中から数社を選び、秘密保持契約を締結したうえでIMを開示します。買い手はIMを元に条件の再提示を行います(これを二次入札といいます)。

このようにして絞られた買い手候補との間でより深い条件交渉を行うことになります。

入札によるM&Aは投資ファンドの保有する株式の売却の際に用いられてきました。ファンドの保有株式の売却は金額が大きな争点となる(逆にその他の条件、例えば従業員の雇用継続等はあまり争点にならない)ため、入札になじみやすかったためです。

しかし、近年では、事業会社のM&Aで用いられるケースが増えてきています。これは、売却価格の妥当性を売り手が自社の株主に説明しやすいためです。

買い手候補の調査

ショートリストに記載された企業、あるいは入札で希望する条件の提案を受けた企業については、本当にその相手とM&Aの交渉を行ってよいのか、調査する必要があります。

teacher
M&Aの買い手候補を調べる目的は多様です。

例えば、

  • M&Aで合意された内容をM&Aの後に履行してくれるのか

は調査しておくべき事項です。

対価を買い手が本当に売り手に支払うことができなければM&Aの合意に意味がなくなります。あるいは従業員の雇用の継続を約束したのに全く守られない等、M&Aの目的を達成できないことも起こりえます。

また、

  • 買い手候補に、本当にM&Aを実行する意図があるのか

も調査しておくべき事項です。

M&Aを検討するためには詳細な情報開示が必要となりますが、結果としてM&Aが不成立に終わることもあります。M&Aが成立しなければ、情報を取られただけに終わってしまう可能性があるからです。

そのため、売り手、その中でも特に競合とのM&Aを協議する際には、情報を取得されるだけで終わることなくM&Aを実施する意思が買い手候補にあるのか、も重要なポイントになります。

staff
買い手候補の調査は、売り手が自ら調査するケースもありますが、深い知見を持つFAが請け負うケースもあります。

交渉の支援

具体的に買い手候補との交渉に至れば、FAの業務は交渉の支援になります。

交渉の準備として、自社の譲れない条件、逆に譲歩可能なポイントを整理しておきます。

また実際に交渉が始まれば、相手の主張の弱いところを指摘し、交渉を有利に導くよう、売り手側企業に助言を行います。

teacher
実際の交渉をFAが実施するケースもあります。

これはFAの交渉力が高い場合のほか、売り手・買い手の当事者同士が直接話をするよりも第三者が間に立って話し合うことで感情的にならずに交渉を進められる場合があるからです。

交渉まとまった場合には、FAはM&Aの対価が妥当だと判断する根拠を示します。売り手はFAの意見を参考に、M&Aの対価の妥当性を自社の株主に説明する必要があるためです。

staff
FAはM&Aにおける交渉を準備から手伝い、交渉が妥結した後の対価の妥当性についての意見まで売り手を支援することになります。

買い手側FAの業務内容

買い手側FAの業務内容は以下の通りです。

  • 依頼主の調査
  • 買収案件の精査
  • 交渉
teacher
売り手側FAと比べて業務が少ないように見えるかもしれません。

売り手側は相手を探すことからはじめるケースが大半です。

これに対して、買い手側は相手からの提案を受けて検討をはじめるケースがほとんどです。

買い手側FAは相手を探すことは通常は行いません。

staff
このことが売り手側FAよりも買い手側FAの方が業務が少なく見える理由です。

依頼主の調査

売り手側FAと同様、買い手側FAも、まずは依頼主を精査することから始めます。

買い手側FAは買い手をよく知っていることも多く、その場合にはこのプロセスは省略されます。

staff
買い手側FAが依頼主を調査するのは、提案されているM&Aが依頼主にとって利益になるものかを判断するためです。

買収案件の精査

買い手側FAは提案されているM&A案件についての精査を行います。相手方から開示された提案書、あるいはIMを元に、売り手の評価を行い、M&Aの条件を検討します。

売り手側FAが行わない、買い手側FAの最大の業務はこのM&A案件の精査です。

売り手側FAはM&Aを行うことを前提にM&Aの相手方を探します。しかし、買い手側FAは、そもそもM&Aを依頼主が行うべきか、の検討を行います。

買い手側FAがM&Aを行うべき、行わないべきとアドバイスする際には、その根拠を示すことになります。

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特にM&Aを実施するようアドバイスする場合には、条件面、その中でもM&Aの対価についてのFAの意見が重要です。この意見を買い手は、自社の株主にM&Aの妥当性を説明するために利用するためです。

交渉の支援

M&Aの交渉の支援については売り手側FAと業務の内容自体は変わりません。

つまり買い手側が有利な条件となるよう、買い手側を支援することになります。実際の交渉を買い手に代わって行うことがある点も売り手側FAと同様です。

FAと仲介会社との違い

FAと仲介会社との違い

FAと同じく、M&Aの専門業者として仲介、あるいは仲介会社と呼ばれる業者がいます。

FAと仲介、その違いは何でしょうか。

一言でいえば、誰から依頼を受けているのか、です。

FAは売り手、買い手のいずれかから依頼を受けています。

これに対して仲介会社は売り手、買い手双方から依頼を受ています。

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この両者の違いを理解することでFAの業務をより深く理解することができます。

仲介会社の役割

仲介会社は売り手、買い手の双方から選定され、双方の当事者にアドバイスを行い、M&Aを成立させます。

いずれか片方の利益ではなく双方に利益が生じるように、取引を仲立ちし、結果として取引(M&A)が成立するよう、双方を支援することが仲介会社の業務となります。

また仲介会社はM&Aの相手方を探すところから、成立に至るまで(場合によってはM&Aが成立した後の統合業務(PMI)まで)、M&Aの全てに渡って売り手、買い手双方を支援します。

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仲介会社はM&A全般を売り手と買い手双方を支援しながら一人で取り仕切る役割です。

仲介会社との具体的な違い

仲介会社とFAの違いについてより具体的に見ていきましょう。

目的

仲介会社の目的はM&Aを成立させることです。

FAの目的は自分の依頼主であるM&Aの売り手、または買い手の利益を最大化することです。

言い換えると仲介会社は売り手、買い手どちらから依頼を受けていても、依頼主の利益だけを考えているわけではありません。

一方でFAはM&Aを成立させることを目的としておらず、場合によっては(とくに買い手側FAは)M&Aを行わないことを依頼主にアドバイスすることもあります。これは依頼主だけの利益を考慮して行動しているからです。

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仲介会社とFAは目的が異なる存在です。

報酬

仲介会社はM&Aの売り手、買い手の双方から報酬を受領します。これを両手取引と言います(売主、買主のどちらかだけから報酬を受領する場合は片手取引と言います)。

双方から依頼を受けているので、双方から報酬を受け取ることになります。

これに対してFAは依頼主からのみ報酬を受け取り、M&Aの相手方から報酬を受け取ることはありません

相手方からは依頼を受けていないので報酬を受け取ることはありません。

FAは、そのM&A取引において相手方から報酬を受け取らないことに加え、相手方との間で他に取引をしているのかを依頼主に開示することが一般的です。

これは、FAがM&Aの相手方ではなく、依頼主だけの利益を考えて行動していることに疑いをもたれることを避けるためです。

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報酬の受け取り方についても、FAと仲介会社はやや異なります。

仲介会社の報酬は成功報酬が大きな比重を占めます。これはM&Aを成立させることが仲介会社に期待されており、その期待を全うすることに(つまりM&Aを成立させることに)仲介会社が一生懸命取り組むことを目的としています。

FAの報酬も売り手側FAの報酬は成功報酬が大きいことは変わりません。一方、買い手側FAはM&Aの成立を目的としていないため、成功報酬よりも、業務量に応じて報酬が支払われます。

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目的が異なるため、FAと仲介会社は報酬を誰から受け取るのか、どのような形態で報酬を受け取るのかが違っています。

専門性

仲介会社の専門性の最も高い部分はM&Aの相手方を探してくる部分です。

M&Aの成立する可能性のある当事者を探してくることであって、M&Aの当事者についてそれ以上に深い知識を要求されません。

これに対して

FAは自社に依頼してきたM&Aの当事者について深い理解が必要になります。

なぜなら、M&Aを本当に成立させるべきなのか、M&Aの値段が妥当なのか、当事者に代わって判断するだけの知識が必要とされるからです。

staff

FAと仲介会社は専門性が異なります。そのため、FAとして優秀な会社が仲介会社として優秀とは限りませんし、逆に仲介会社として優秀な会社がFAとして優秀とは限りません。

多くの仲介会社はFA業務を行っていませんし、FAが仲介業務を行っていることはあまり見かけません。

顧客

仲介会社は主に中小企業のM&Aを取り扱っています

中小企業の場合には相手方を探してくることが一番難しく、そのための専門性が最も高いのが仲介であるためです。

FAは主に大企業のM&Aに関与しています。

大企業のM&Aに当たっては売り手、買い手ともに後日、自社の株主に対してなぜその取引を行ったのかの説明を行う必要があり、その際、専門家であるFAに相談した結果であることを伝える必要があるためです。

staff

FAと仲介会社は顧客基盤が異なります。この顧客は、M&Aを行う当事者だけではなく、その支配者(大株主)の属性も関係します。

会社の規模は中小企業であっても、大企業傘下の子会社やファンドの投資先などはFAを利用することがほとんどです。

まとめ

M&AアドバイザリーであるFAは、依頼を受けた顧客のために、最善のM&Aを模索して、依頼主にアドバイスを行います。

売り手から依頼を受けた場合、買い手から依頼を受けた場合で具体的な業務内容は異なるものの、売り手、買い手の依頼を受けた方のために業務を行う点では違いがありません。

M&Aの専門家としてはFAのほかに仲介会社がいます。

仲介会社は売り手、買い手の双方のために業務を行い、M&Aを成立させることを目的としています。

FAと仲介会社はそれぞれに強みがあります。

FAに依頼すればよりM&Aの条件面で仲介会社に依頼するよりも有利な条件となる可能性があります。一方でM&Aが成立しない確率も高まります。

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どちらがよいのかは自社がどのようなM&Aを行いたいのかを踏まえて検討する必要があります。
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M&A成功事例6選。大企業・中小企業・業界別 https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/successcase/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/successcase/#respond Sun, 17 Jul 2022 22:41:43 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5753 M&Aとは事業の合併(Merger)、および買収(Aquisition)を意味しています。 M&A とは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称であるが、我が国では、広...

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M&Aとは事業の合併(Merger)、および買収(Aquisition)を意味しています。

M&A とは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称であるが、我が国では、広く、会社法の定める組織再編(合併や会社分割)に加え、株式譲渡や事業譲渡を含む、各種手法による事業の引継ぎ(譲り渡し・譲り受け)をいう。

出典:中小M&Aガイドライン中小企業庁

合併は、二つ(以上)の会社を合わせて一つの会社とすることです。

合併により、合併前にそれぞれの会社が行っていた事業が合併後の会社に引き継がれることになります。

買収は、対象となる事業の支配を売り手が買い手に引き渡すことです。

つまり対象となる事業を支配する人が交代することになります。

合併と買収をM&Aという言葉でくくる意味は、どちらも事業の支配が変わるためです。
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M&Aの成功とはどのようなものか、実際にM&Aが成功した事例にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

M&Aの目的と成功

M&Aの目的と成功
M&Aが成功したか失敗したかは、どのような目的でM&Aが行われたかによって変わります。

目的が達成されれば成功と言えますが、目的が達成されなければ失敗と言えます(目的とはM&Aを行う目的だけではなく、広い意味での会社の目的を含みます)。

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M&Aは最低でも二人の当事者により行われます。

一人は、M&Aによりその事業を引き渡す人、つまり事業の支配権を失う人、これを売り手と言います。

そしてもう一人は、M&Aにより事業を取得する人、つまり事業の支配権を手に入れる人、これを売り手と言います。

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売り手と買い手ではM&Aにおける目的が異なります。そのため、何が成功なのかも異なることになります。

買い手の成功

M&Aにおける買い手は

M&Aにより取得した事業から経済的な利益を得ること

を目的としています。

逆にM&Aにより取得した事業から経済的な損失が発生すると、そのM&Aは失敗です。

この経済的な利益が得られるのは次の二つの場合です。

  1. 事業の成長
  2. 利益の出る転売

事業の成長

M&Aにより取得した事業が、取得した時点から成長し、より高収益の事業となることで買い手は利益を得ます。

取得した事業自体が成長しなかったとしても、買い手がもともと持っている事業と合わさることで相乗効果を挙げることもあります。

staff
事業が成長すれば買い手にとってそのM&Aは成功と言えます。

利益の出る転売

取得した事業が成長した場合、買い手はその成長を自分の成果として取り込むことで利益を得ることができます。

しかし、取得した時点からあまり成長せず、反対に事業が縮小した場合であっても、買い手が経済的な利益を手にすることもあります

取得した価格(つまりM&Aの対価)がその事業の価値と比較して低いような場合です。

事業の価値は通常、その事業から将来もたらされる利益によって測られます。

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このような割安で取得した事業は、正しい事業価値で再度M&Aを行い売り手となる(つまり事業を転売する)ことで収益を確保することができます。

売り手の成功

M&Aにおける売り手は、買い手と同様

M&Aにより経済的な利益を得ること

を目的としていることもあります。

しかし、経済的な利益以外の目的でM&Aを行うケースもあります。

売り手の求める経済的な利益

M&Aの売り手は、M&Aにより事業を手放す代償に対価を取得することができます。

中小企業の場合には、経営者の保有する株式を現金化するほぼ唯一の方法がM&Aになります。

また、売却する事業の価値に比べて、M&Aの対価が高い場合にも、売り手にとってそのM&Aは成功です。

より長期的にはM&Aの対価を別のM&Aの買収に利用したり、残った事業に投資するなどして有効に活用できればM&Aは売り手にとって成功だったことになります。

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このように売り手がM&Aの目的とする経済的な利益にはさまざまなものがあります。

売り手の経済的な利益以外の目的

M&Aの売り手の中には事業の存続、あるいは成長のためにM&Aを選択するケースもあります。

事業の存続を目的にするのは、会社が事業をたたんでしまうと会社の従業員のほか、取引先等に多大な影響を与えます。これを避けるために事業を誰かに存続させてもらうため、M&Aを選択するケースです。

また、ベンチャー企業の場合には大企業の傘下に入ることにより、大企業のリソース(販売力や開発力など)を活用し、自社の成長を早めることを目指すケースもあります。

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この場合にはM&Aが成立することが、M&Aの成功になります。

双方の成功

このように買い手と売り手は同じM&Aに合意しても目的が異なるケースがあります。

特に買い手と売り手がともに経済的な利益を求める場合には、双方の目的が相反することもあります。買い手としてはなるべく安く買いたいですし、売り手としてはなるべく高く売りたいからです。

しかし、一方で、買い手と売り手の利益が一致するケースもあります。

売り手が敵対的買収を仕掛けられている際にホワイトナイトとして買い手が介入するケース等はその一例です。

合併の場合にも合併する双方が同じ事業拡大などの目的をもって行われるケースがあります。

staff
売り手と買い手は常に利益が相反するというわけでもないのです。

M&Aにおける成功事例(大企業編)

M&Aにおける成功事例(大企業編)
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まずは、大企業のM&Aの成功事例について見ていきましょう。

成功事例1 ソフトバンクによるVodefone買収(買い手)

やや古い事例ながら、今でもしばしば取り上げられるのがソフトバンクによるVerfoneの日本事業の買収です。

その理由は、M&Aが実行された当時のインパクトが大きかったことに加え、ソフトバンクの携帯事業が今なお成長し続けていることにあります。

M&Aの概要

現在、携帯電話事業を行っているソフトバンクは、この事業を2006年にM&Aにより取得しました。

買収の相手方は、当時世界の大手として日本でも携帯電話事業を行っていたイギリスのVodefoneです。

取引金額は1兆7千億円と当時としては非常に巨額の取引でした。

M&Aの成功ポイント

ソフトバンクの携帯事業は2023年3月現在6兆8千億円ほどの時価総額があります。

買収金額と比較して3倍超に増えたことになります。

携帯電話事業は事業が成長し、それ自体の価値を大きく増やしただけではありません。

ソフトバンクの知名度を広めることにも貢献しています。

携帯電話事業からの収益や現金収入が、ソフトバンクグループのその後のM&Aによる事拡大に多いに役立っています

staff
M&Aにより取得した携帯電話事業が成長したことがM&Aの成功のポイントです。

成功事例2 日立造船の造船事業(売り手)

日立造船の造船事業のM&Aによる売却は、売り手の成功事例として有名です。

その理由は、売却の対象になったのが、社名にもなっている同社の本業、造船事業だったからです。

M&Aの概要

日立造船はその社名の通り、もともとは造船事業を行っていました。

しかし、造船事業の将来性に期待が持てないことから造船事業をM&Aにより売却しました。

その売却資金を使って、新規事業への投資やM&Aによる別の事業を取得しました。それらの事業が成長したことにより、現在では環境関連の工場設備やプラントの製造を行っている企業に変貌しています。

M&Aの成功ポイント

日立造船は造船事業からの撤退、売却と同時に、売却資金を使って事業の多角化を目指した複数の新規事業の立ち上げを行っています

結果的にはこれらの新規事業もM&Aにより売却し、その売却の対価を、現在の本業である工場設備、プラント製造に集中して投資してきました

日立造船は現在でも時価総額が1兆円を超える日本を代表する企業です。また現在でも業務拡大を目指して海外企業のM&Aを進めています。

staff
国内では斜陽であった造船事業を早期に売却したこと、売却の対価を自社の成長に有効活用したことが日立造船のM&Aの成功のポイントです。

成功事例3 スシロー投資ファンドによる転売

回転すしのスシローはM&Aを経て、大きく成長した企業です。

事業の成長が売り手、買い手の双方を成功に導いた事例と言えます。

M&Aの概要

スシローはかつて上場していました。

2009年、スシローは投資ファンド(ユニゾンキャピタル)が買収し、非上場化します。

そしてユニゾンキャピタルはスシローの企業価値を高めたうえで2012年にイギリスの投資ファンド、ペルミラ・アドバイザーズにM&Aで売却されます。

その後、2017年にペルミラはスシローを上場させ、自らの株式は市場への売り出しと、資本提携した明神ホールディングスに売却しています。

スシローは2度にわたって投資ファンドに買収され、3度のM&Aを経た会社です。

M&Aの成功ポイント

スシローのM&Aにより、最初の買い手であるユニゾンキャピタルは約580億円の利益を上げたと言われています

その間、回転寿司の日本一はカッパ寿司からスシローに入れ替わっています。つまりユニゾンはスシローを成長させたわけです。

これを購入したペルミラはスシローをさらに成長させ、400億円以上の利益をあげ、約1200億円で売却しています。

スシローは買い手の投資ファンドが転売により巨額の利益を手にしています。その源泉は、スシロー自体の事業の成長にあります。

staff

スシロー自体の事業が成長したことがスシローのM&Aが成功したポイントです。

M&Aにおける成功事例(中小企業編)

M&Aにおける成功事例(中小企業編)
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次に中小企業のM&Aの成功事例を見ていきましょう。

中小企業のM&Aの成功事例は、大企業が絡むものも多いのが特徴です。

成功事例4 日本電産による中小企業の買収

M&Aによる事業拡大で有名な日本の企業として真っ先に名前が挙がるのが日本電産です。

日本電産のM&Aはソフトバンクとは異なり、それぞれの案件がそれほど巨額の買収というわけではありません。しかし、それぞれのM&Aを成功させてきたところに日本電産の強みがあります。

案件の概要

日本電産のホームページでは、会社のこれまでのM&Aがまとめられています。

案件の概要

出典:日本電産

国内・海外の案件がありますが、いずれもそれほど大きくない会社を買収している点に特徴があります。

また1984年と日本企業としては比較的早い時期からM&Aを行っており、2023年時点ですでに66件の買収を行っています。

M&A成功のポイント

日本電産のM&Aはそのほとんどが成功しています

成功の要因については様々な分析がなされています。

日本電産自身の説明によれば、次の3点が成功の要因です。

・適切な価格での買収
・相乗効果が見込める買収先の発掘
・買収後の事業を成長させるための日本電産による事業支援

成功の中身は、買収した会社が成長して、過去最高益を更新していることと、買収した会社が日本電産グループの既存事業との間で相乗効果を発揮していることにあります。

staff
日本電産のM&Aの成功は、買収された中小企業が成長したことによる成功と言えるのです。

成功事例5 山田社長によるウノウの売却

メルカリと言えば、日本で知らない人が珍しいほど有名なフリマアプリを運営する会社です。

このメルカリを創業した社長が山田進太郎氏です。山田氏がメルカリを立ち上げる前に創業し、M&Aにより売却した会社がウノウです。

M&Aの概要

ウノウは2001年に山田社長が創業したインターネットサービスを提供する会社です。

当初、映画情報を集めたサイト(映画生活)や、写真を共有するサービス(フォト蔵)などを運営していました。2009年にはソーシャルゲームに参入しています。

この会社を当時、ソーシャルゲームの大手であったアメリカのZynga(ジンガ)社が2010年に買収しました。

買収金額は公表されていませんが、数十億円であったと言われています。また、同様にこの当時の山田社長の持ち株比率が公開されているわけではありませんが、少なくとも億円単位の売却益を手にしています

M&Aの成功ポイント

ウノウ社はジンガの日本法人となりますが、2013年に閉鎖されています。一定程度利益のでるゲームを開発運営していたものの、ジンガの世界戦略の中では規模が小さかったことが理由と言われています。

このM&Aで成功したのは、ウノウでもジンガでもなく、山田社長個人です。

staff
山田社長は後に、M&Aにより取得した資金を元手にメルカリを立ち上げ、さらなる成功を掴んでいるためです。

成功事例6 ソラコムのKDDIへの売却

ソラコムを中小企業と呼ぶのは違和感がありますが、会社設立後3年、サービス開始から2年のベンチャー企業のM&Aとして当時話題となった有名な事例です。

案件の概要

ソラコムはIoT向けのSIMとネットワークの基盤を提供している会社です。

IoTとは様々なものにセンサーを取り付け、そこから情報を得よう(そしてその情報を活用しよう)という取り組みです。

ソラコムは一言でいえば、センサーからデータを読み取るためのネットワークを提供している会社です。

この会社をKDDIが2017年に200億円を投じて買収しました。

M&A成功のポイント

M&Aがおこなわれた当時のソラコムの契約数は約8万回線、これに対して、2021年には200万回線の契約を獲得するに至っています。これはソラコムのプロダクトが優秀であることはもちろんのこと、KDDIの信用が契約を後押ししたことも間違いありません。

2023年時点ではソラコムの決算が開示されているわけではなく、KDDIの決算に重大な影響を与えるほどの収益を獲得するに至ってはいない模様ですが、将来的にはIPOを目指す選択肢もあり、その場合にはKDDIに多大な売却益が期待できるものと予想されます

staff
ソラコムは大企業(KDDI)との協業により事業を成長した点がM&A成功のポイントです。
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M&Aの手数料相場。手数料の計算方法・仲介会社の報酬の妥当性 https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/feestandard/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/feestandard/#respond Sun, 26 Jun 2022 22:56:24 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5634 M&Aは大金が絡むという意味でも、その後の会社の事業展開が大きく変わるという意味でも、会社にとって一大イベントです。 そのため、M&Aは会社だけで進めるのではなく、専門家が関与するケースが大半です。 M&...

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M&Aは大金が絡むという意味でも、その後の会社の事業展開が大きく変わるという意味でも、会社にとって一大イベントです。

そのため、M&Aは会社だけで進めるのではなく、専門家が関与するケースが大半です。

M&Aに関与する専門家には弁護士や税理士などもいます。彼らは会社の他の業務と同様、M&Aについてもそれぞれの(弁護士は法律の、税理士は税務の)専門知識を活かして助言を行います。

弁護士や税理士に加えて、M&Aでは、M&A特有の専門家として、仲介会社やFA(フィナンシャル・アドバイザー)が関与することになります。

弁護士や税理士から助言を受ける必要があるのと同じように、仲介会社やFAから、M&Aに関する専門知識を活かした支援を受ける必要があるからです。

そして、弁護士や税理士の業務に対価として報酬が発生するのと同じように仲介会社やFAの業務には対価として報酬を支払う必要があります

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仲介会社やアドバイザーに支払う報酬(手数料)はどのような業務に対して発生するのでしょうか。またその算定方法、手数料相場はどのようになっているのでしょうか。

M&Aと仲介会社、FA

M&Aと仲介会社、FA
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まずはM&Aとは何か、仲介会社とFAは何が違うのか、を確認しておきましょう。

M&Aとは何か

M&Aとは端的に言えば事業の売買です。

売買の対象となる事業は会社の一部であることもあれば、会社の全事業である場合もあります。会社の全事業をM&Aの対象とする場合は会社自体の売買になります。

M&Aは売買なので「売り手」と「買い手」が存在します。

売り手と買い手はお互いにM&Aという取引を行うという点では利害が一致します。しかし、M&Aの条件、中でもM&Aの対価については利害が相反する関係です。

買い手が売り手の全株式を取得する取引を考えてみましょう。

売り手としては1円でも高く売却する(株式の対価としての現金が1円でも多くなる)ことが売り手企業(あるいはその株主)にとっての利益になります。

一方で、買い手としては逆に1円でも安く購入する(株式の対価としての現金が1円でも少なくなる)ことが買い手企業にとっての利益となります。

もちろんM&Aは対価だけで良しあしを考えられないケースもあります。

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しかし通常は、買い手の得は売り手の損、売り手の損は買い手の得になります。つまり利害が相反するのです。

仲介会社とFAの違い

仲介会社とFAは同じくM&Aの専門家ですが、その業務内容は異なり、手数料の内容も異なります。

その違いが生じるのは、仲介会社、FAがそれぞれ、誰から依頼されて仕事をしているのか、が異なるからです。

仲介会社は売り手及び買い手の双方から依頼を受けます。

そして自分が依頼を受けている売り手と買い手を引き合わせ、両社の間でM&Aを成立させるために働きます。

利害の相反する売り手と買い手の真ん中でどちらに肩入れするでもなく、中立的な立場でM&Aの成立を目指すのが仲介会社です。

これに対して、FAは売り手または買い手のいずれか一方から依頼を受けます。一度、売り手または買い手から依頼を受けると、相手方の依頼は受けません。

FAは売り手または買い手である依頼主が検討しているM&Aが、より依頼主にとって望ましいものとなるように働くのがFAです。

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このように仲介会社とFAは誰から依頼を受けて働いているのかが異なります。

仲介会社、FAの職務と手数料

仲介会社、FAの職務と手数料

仲介会社とFAの顧客

仲介会社とFAの職務と手数料を具体的に見ていく前に、仲介会社の顧客と、FAの顧客がどんな属性なのかを説明します。

仲介会社を利用するのはほとんどが中小企業です。

これは中小企業のM&Aにおいては相手方を探すことが最も難しく、M&Aの相手方を見つけてくるためには、M&Aを行う意思のある売り手と買い手双方を知っていることが必要なためです。

FAを利用するのはほとんどが大企業です。

これは大企業のM&Aにおいては相手方を探すことはそれほど難しくなく、M&Aの相手方を見つけてくることよりも、より依頼主のことを知っていることが必要なためです。

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仲介会社とFAは顧客層が異なります。顧客が異なることは、職務の内容が繋がります。また、ダイレクトに報酬の考え方にも違いが現れます。

仲介会社の職務と手数料

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仲介会社が行う職務と発生する手数料をM&Aの流れに沿って見ていきましょう。
ただし、仲介会社が受取る手数料はそれぞれの仲介会社によって異なります。

どの仲介会社でも以下の手数料の全てを請求するわけではない点に注意してください。

M&Aの検討段階

仲介会社が最初に顧客に提供するサービスは、顧客からM&Aをするかどうかの相談を受けることです。

相談に当たって発生する手数料が相談料です。

相談料は、仲介会社がM&Aを行うかどうかの相談に乗り、足元のM&Aマーケットの状況などに関する情報提供を行う、その業務に対する対価です。

仲介会社は売り手、買い手が、相談料を支払ってまで相談相手を求めていることから、本気でM&Aをしようとしていることを確認できます。

売り手と買い手は相談料を支払うことで、仲介会社が責任をもって相談に乗ってくれることを期待できます。

M&Aのスタート段階

M&Aをやる、この仲介会社と進めていく、と決めた段階で仲介会社と契約することになります。

この仲介会社との契約に伴って発生する手数料が着手金です。

仲介会社は、自分が仲介として選任されたのち、M&Aの相手方(売り手からの依頼では買い手、買い手からの依頼であれば売り手)を探すことになります。

買い手を探すためには、売り手の望むM&Aの条件を確認し、買い手候補に打診する資料の作成が必要となります。売り手を探すためには、買い手の望むM&Aの条件を確認し、売り手候補に打診する資料の作成が必要となります。

着手金は仲介会社が当事者の条件を確認し、相手方候補に打診するための資料を作成する対価です。

仲介会社は着手金を受け取ることで、M&Aの仲介会社として自社が選ばれたことを確認できます。言い換えると着手金は相手方を見つけてきた後、他の仲介会社に乗り換えられるのを防ぐ役目を果たします。

結果として、安心してM&Aの成立に向けて努力することができることになります。

売り手と買い手は着手金を支払うことにより仲介会社が相手方を探すために尽力してくれることを期待できます。

M&Aの成立まで(途中段階)

M&Aの相手方探しを始めると、M&Aの相手候補が見つかるまで仲介会社が探し続けることになります。

仲介会社との契約が成立し、M&Aが成立するまでの期間に発生する手数料が期中手数料です。

期中手数料は月額で発生する場合には月額報酬と呼ばれ、一定条件が成就した場合に発生する場合には中間報酬と呼ばれます。とくに区別せず「期中手数料」と呼ぶ仲介会社もあります。

仲介会社は自社メディアなどへ売り手の情報を開示するほか、可能性のある買い手に個別に打診することにより、買い手候補を探します。

期中手数料は、M&Aが成立するまでの間に仲介会社が行う様々な職務に対する対価です。

仲介会社がM&Aが成立するまでに行う職務には以下が含まれます。

  • 相手方を探すこと
  • 希望する条件で相手方が見つからなかった場合に、条件の見直しについて話し合うこと
  • 相手方候補が見つかった場合に、情報の開示のために秘密保持契約を締結するサポートなどを行うこと

売り手、買い手ともに期中手数料を支払うにより仲介会社が継続して相手候補を探してくれることを期待できます。

一方で仲介会社は当事者がM&Aを行う気を失っていないことを確認できます。特に、中間報酬は一定の成果を出した際に、そこまでの費用を一度清算する意味を持っています。

M&Aの成立した後

相手方候補が見つかり、秘密保持契約を締結すると、具体的な条件についての交渉が行われます。

M&Aが単なる金銭の受け渡しだけで終わることは珍しく、対価(金銭以外に株式などを含めるのか)、事業(役員、従業員の雇用をどのような条件で継続するのか)等を話し合うことになります。

仲介会社は交渉について売り手、買い手の双方と話をしながら折り合える条件を探すことになります。

M&Aの条件について話がまとまり、契約が成立した後、金銭(あるいは合併などの場合には株式)の受け渡しが終われると仲介会社の仕事も終わります。

依頼されていたM&Aが成立した段階で発生する手数料が「成功報酬」です。
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仲介会社の受け取る報酬の中で一番多額になるのがこの成功報酬です。

成功報酬は具体的な職務の対価ではなく、仲介会社がM&Aの成立に向けて努力するために設定されています。

仲介会社は相談料、着手金、期中手数料を受領することで、自社の経費を賄いますが、利益が生じるのはM&Aが成立し、成功報酬を受け取った時点になります。

このような報酬が設定されることで、仲介会社がM&Aを成立に導くよう最後まで努力することを期待できます。

FAの手数料

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次にFAが行う職務と発生する手数料をM&Aの流れに沿って見ていきましょう。

FAが受取る手数料は、仲介会社の場合と同じく、それぞれのFAによって異なります。

M&Aが成立するまでのFAの職務

FAの行うべき職務

FAが行うべき職務は、誰のために働いているのか、を除き、仲介会社と大きく変わりません

仲介会社が売り手と買い手、双方に対して行っている業務の片方を行います。

つまり自分が売り手のFAであれば仲介会社が売り手に対して行っている業務だけを、自分が買い手のFAであれば仲介会社が買い手に対して行っている業務だけを行います。

売り手のFAであれば、売り手のために相談にのります。

買い手を探すための資料を作成し、買い手を探します。買い手候補が見つかれば条件交渉のアドバイスを行います。

買い手のFAであれば買い手のために相談にのります。

売り手を探し、売り手候補が見つかれば条件交渉のアドバイスを行います。

FAが実際に行う職務

仲介会社はM&Aの相談、相手方探し、交渉のサポートの全てを行います

仲介会社が関与する中企業M&Aでは売り手と買い手の双方から依頼を受けた仲介会社が関与するため他に(職務を分担する)専門家がいないためです。またM&Aの当事者である売り手、買い手ともにM&Aに対してほとんど知見がなく、またM&Aに専属できる人材を自社で持っていないからです。

これに対して、FAの場合には、その一部だけを請け負うことも少なくありません

FAは売り手または買い手にFAがつけば、相手方にもFAがつくケースが大半です。

つまり関与する専門家が2名いるので、相手方FAが十分に仕事をしてくれると自らやるべきことが少ないケースがあります。

またFAはほんとどが大企業のM&Aが利用されます。大企業は、経験があるなど、それなりにM&Aに詳しい人材、M&Aに専属できる人材を有していることもあります。

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このような事情からFAは仲介会社と異なり、M&Aで必要とされる職務の一部だけを任されるケースがあるのです。

FAの手数料

FAはアドバイザー(助言者)であり、基本的な業務はアドバイスになります。

そのため、手数料の呼び名は、アドバイザリー・フィーになります

アドバイザリー・フィーは、仲介会社のように、それぞれの職務に応じて、つまり相談料、着手金、期中手数料などに分かれていないことが大半です。

FAの手数料は職務ではなく、FAが仕事をした時間あたりの料金が設定され、実際にかかった時間に応じて発生します。

FAへの手数料ではこのような時間当たりの手数料に加え、仲介会社と同じく、成功報酬が設定されることも珍しくありません。

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成功報酬を設定することにより、FAがM&Aの成立に向けて最後まで努力することが期待できるからです。
手数料の支払い方法

仲介会社の手数料は、それぞれの手数料が発生した段階で請求されます。つまり着手金であれば、着手時点で支払う必要があります。

これに対してFAの手数料はそれぞれの場面で支払う契約はそう多くはありません。

月ごとにまとめて、あるいはM&Aが成立した後にまとめて支払われるケースが大半です

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これは手数料を支払う会社(依頼主)に信用があり、急いで(それぞれの場面で)手数料を受け取る必要がないためです。

手数料の計算方法と相場

手数料の計算方法と相場

M&Aにおける手数料は、仲介会社が関与する場合、一定の相場があります。

一方、FAの場合にはそれほど明確な相場があるわけではなく、幅があります。

仲介会社へ支払う手数料の計算方法と相場

まずは、仲介会社のそれぞれの手数料(相談料、着手金、期中手数料、成功報酬)について計算方法と相場についてみていきましょう。

相談料の計算方法と相場

M&Aの相談段階で発生する費用が相談料です。

通常は初回の相談時にのみ発生します。

相談料は30分から1時間程度の面談のための対価で、数千円から1万円程度が相場となります。

相談料は仲介会社によって決まっています。M&Aの金額などの条件によって変わることはなく、誰がどんな案件で相談しても一律の料金になります。

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相談料はその後、その仲介会社への契約に繋がった場合を除き(仲介会社によります)、返還されることはありません。

着手金の計算方法と相場

仲介会社と仲介契約を取り交わした際に発生するのが着手金です。

着手金は仲介会社がM&Aの相手方を探し始めるための費用です。

相場は50万円から300万円程度となります。

着手金は仲介会社によって決まっています。M&Aの金額などの条件によって変わることはなく、誰がどんな案件で仲介契約をしても一律の料金になります。

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着手金はM&Aが成立するかどうかに関わらず返還されることはありません。

期中手数料の計算方法と相場

期中手数料には月額報酬と中間報酬があります。

月額報酬の計算方法と相場

仲介を依頼している会社に対して毎月発生する手数料が月額報酬です。

月額報酬は毎月の業務(定期的な情報の更新を含め)で数千円から数万程度が相場となります。

月額報酬は仲介会社によって決まっています。M&Aの金額などの条件によって変わることはなく、どんな案件でも一律の料金になります。

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月額報酬はM&Aが成立するかどうかにかかわらず、また実際に仲介会社に何らかの業務が発生したか否かに関わらず、返還されることはありません。
中間報酬の計算方法と相場

中間報酬はM&Aが順調に進んでいることに対する報酬です。

中間報酬の相場は数十万円から数百万円程度となります。

月額報酬は仲介会社によって決まっています。M&Aの金額などの条件によって変わることはなく、どんな案件でも一律の料金になります。

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中間報酬はM&Aが成立するかどうかにかかわらず返還されることはありません。

成功報酬の計算方法と相場

仲介会社とは、M&Aを成立させるために契約しています。

そのため、M&Aが成立することに強いインセンティブを持ってもらうため、M&Aが成立したことを条件として支払われる手数料が設定されています。これが成功報酬です。

成功報酬は金額に相場があるわけではありませんが、どの仲介会社でも同じ計算方法で算出します。

成功報酬の計算方法は、レーマン方式と呼ばれています。

あらかじめ手数料率が決められており、M&Aの金額にその手数料率を掛けて成功報酬を計算します。

手数料率は一定の金額までは一定の料率、それを超えると別の料率で報酬を計算するように設定されます。

例えば、5億円以下であれば5%、それを超えて10億円までは3%という手数料率だったとします。金額が7億円であれば、5億円については5%(2,500万円)、それを超えた2億円については3%(600万円)、合計3,100万円となります。

手数料率は業者によって異なり、相場を知ることは困難です。また、取引金額として何を用いるのかも業者によって異なります。

株式の譲渡について、その譲渡価格を取引金額として用いることもあれば、企業価値を取引金額とする場合もあります。

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いずれにしても、仲介契約にはレーマン方式の手数料率と、何をM&Aの金額として用いるかが記載しているあるため、契約時点でしっかりと確認しておく必要があります。

FAに支払う手数料の計算方法と相場

次にFAに支払う手数料についてみていきましょう。

FAに支払う手数料は、金額的な相場がなく、M&Aの内容によって金額が大きく異なります。

FAの手数料は時間あたりの単価と成功報酬で計算されます。時間当たりの単価はM&Aの難易度によって、成功報酬は取引金額によって大きく変わります。

難易度

M&Aは案件によって難易度が異なります。

売り手、買い手どちらのFAであっても、相手方候補が既にいる状態なのか、これから探すのかによって難易度は全く異なります。

また、相手方候補との関係によっても難易度が変わります。

M&Aの相手方が外資系である場合、競合である場合は条件交渉がシビアになるため、難しい案件と言えます。

逆に、非常に近しい関係にある会社との取引は簡単な案件と言えます。例えば日立グループの会社が、自社の子会社をグループのほかの会社に譲渡する場合などはそれほどシビアな交渉が行われません。

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難易度が高い案件になればなるほど、FAが費やす人数と時間が多くなるため手数料は高額となります。

取引金額

M&Aの取引金額は大小さまざまです。仲介会社ではなくFAが起用される案件は取引金額が多額となる場合が多いものの、1兆円を超える案件から数百億円の案件まで幅があります。

FAの受け取る成功報酬もレーマン方式で計算されます。つまり取引金額と手数料額は連動します。

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取引金額が多額になればなるほど、手数料も高くなるということです。

まとめ

M&Aに様々な形があるのと同じく、M&Aの費用にも様々な形があります。

仲介会社に支払う相談料、着手金、期中手数料、成功報酬、についても発生する場合もあれば、発生しない場合もあります。

FAに支払うアドバイザリー・フィーは発生しないこと、はないもののその対象となる業務はFAへ依頼される業務によって、また案件の難易度によって大きく異なります。

M&Aは結婚に例えられることがよくありますが、まさに良い相手に巡り合うことが何より大事です。そのためには、手数料は安ければ安い方がよいとは言えないものの、逆に高い手数料を支払えば必ず満足する結果がついてくるわけでもありません。

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仲介会社に依頼する場合も、FAに依頼する場合も、相場をよく理解して、しっかりと仕事をしてくれる専門家を選びましょう。
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近年、クラウドファンディングという言葉が急速に広まってきました。

クラウドファンディングは、群衆を意味するクラウド(crowd)と資金調達を意味するファンディング(funding)を組み合わせた言葉です。

その内容は、言葉の通り、群衆(つまり多数の人)から資金調達する(つまり資金を集める)ことです。

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既にクラウドファンディングの運営事業者で上場した会社もある(例えばマクアケ)ほど、クラウドファンディングは世の中に広まっています。

実際に仕組みを理解している人、利用したことのある人(資金調達側、資金提供側のどちらも)はそれほど多くありません。

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クラウドファンディングを理解するために、どのような順番で何が起こるか、どのような種類があるのかを見ていきましょう。

クラウドファンディングの流れ

クラウドファンディングの流れ

クラウドファンディングで、それぞれの資金調達のことをプロジェクトと言います(それぞれのプロジェクトにおいて資金を集めようとする人をプロジェクト実施者と言います)。

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クラウドファンディングはプロジェクト実施者が示したプロジェクトに対して、資金を提供したくなった人が応募することで進行します。

資金提供者が応募する動機は二つあります。

一つは、プロジェクトの目的に共感する、賛同するなど、プロジェクトを実施させたいと思った場合です。

そしてもう一つは、プロジェクトに資金提供した際に得られるお礼(これをリターンと言います)を得たい場合です。

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プロジェクトがどのように進んでいくのかを順番に見ていきましょう。

ステップ1 事前準備を行う

資金を集める目的を決める

クラウドファンディングは特定の目的のために資金を集める仕組みです。

最初に、プロジェクト実施者が何のために資金を集めるのかを決めます。
  • 例えば、何かしたいことがあり、特に大したお礼もできないので寄付を募りたい。
  • 例えば、新商品を開発するための資金を募りたい。

資金を集める目的はプロジェクトの一部として公開されます。

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目的は資金提供者の動機の一つ、共感や賛同を得るために必要なため、クラウドファンディングの成否を左右するポイントの一つです。

運営会社を選定する

資金を集める目的が決まったら次に運営会社を選定します。
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運営会社はなぜ必要なのでしょうか。

クラウドファンディングに運営会社が存在することによって、プロジェクト実施者、資金提供者それぞれにメリットがあります。

プロジェクト実施者にとって運営会社はプラットフォームを提供してくれます

例えば、プロジェクトに応募してくれた人からお金を集めるのは運営会社がしてくれます。誰がお金を出してくれたのか確認しないことにはお礼ができませんが、その特定は運営会社がしてくれます。

また運営会社のプラットフォームを利用することで、そのプラットフォームの信用を利用することができ、多くの人にお金を集めていることを知ってもらえる機会が増えるというメリットもあります。

一方で資金提供者は運営会社が存在することで安心して資金提供することができます

運営会社なしに行われたクラウドファンディングはそれが詐欺なのか、本当にお金を必要としており、約束した返戻やサービスが受けられるのかを自分で確認する必要があります。これは大変な手間です。

運営会社側でもクラウドファンディングを行うための審査があります。

  • 資金調達の目的が適法なものであるか
  • 自社のプラットフォームにふさわしいものなのか

等が見られます。

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クラウドファンディングの運営会社はクラウドファンディングを成立させることにより手数料を受け取ることができます。

ステップ2 プロジェクトを作成する

目的と運営会社が決まったところで、細かい条件を決めてプロジェクトを煮詰めていくことになります。

具体的に決めるべき条件は次のようなことです。

  • プロジェクトの実施期間(資金調達を呼びかける期間)
  • 資金提供者に対するお礼(リターン)の内容
  • 資金の受取り条件(成功条件)
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プロジェクトの詳細については運営会社と相談しながら進めていくことになります。

プロジェクトの実施期間

プロジェクトは一定の期間内で行われます。

この期間はプロジェクト実施者がいかようにでも決められますが、通常、40-60日程度です。

一見すると、期間が長くなれば目標とする資金を集められる可能性が高まるように思えます。しかし実際には中だるみしてしまうため、長ければいいということはありません。また、後ほどプロジェクトの終了後の資金の移動について説明しますが、集めた資金がすぐにプロジェクト実施者に振り込まれ、使えるようになるわけではありません。

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プロジェクトの実施期間は様々な要因を考慮して、設定する必要があります。

資金提供者に対するお礼(リターン)の内容

資金を提供してくれた人に対してお礼として渡すものをリターンと言います。

プロジェクトでは「何をリターンとするか」決める必要があります。

リターンは提供された資金額によって変えることができます。

また同じ金額を提供して人にリターンを選んでもらうようにすることもできます。

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リターンはプロジェクトにおいて工夫の幅が広く、頭を悩ませるポイントですが、プロジェクトの成否を決めるとても大事な要素です。

資金の受取り条件(成功条件)

プロジェクトでは目標金額が明記されます。

この目標金額まで応募が集まればプロジェクトは成功となり、応募された資金を受け取ることができます。
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では応募金額が目標額に届かなかった場合はどうなるのでしょうか。

二つの方法があります。

  1. 一つは、目標額に達しなかった場合は、応募された額を一切受け取らない、という方法です。これをAll or Nothing方式と言います。
  2. そしてもう一つは、目標額に達しなかった場合でも応募された額を受け取る、という方法です。こちらはAll-in方式と言います。

資金調達としてクラウドファンディングを利用する場合、例え少額でも資金を手にしたくなります。しかし、どちらの方式を採用するかは、予定していたプロジェクトが実施できるのかを基準に判断すべきです。

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つまり、目標額がないとできないプロジェクトであればお金を受け取るべきではなく、逆に少額でも集まればプロジェクトを進められるのであれば受け取るべき、となります。

ステップ3 プロジェクトを実施する

プロジェクト作成できたら、いよいよプロジェクトを始めます。

具体的には、プロジェクト期間内に目標額を集めるための活動を行い、集まった資金でプロジェクトの目的に向けて活動し、資金提供者に対してリターンを渡すことになります。

周知する

プロジェクトは、運営会社のホームページで公開されることで始まります(この時点から、資金を提供したい人が申し込めるようになります)。

しかし、運営社のホームページで公開しただけで、お金が集まることは多くはありません。

そのため、大抵のプロジェクトは、プロジェクト実施者が自分で自分プロジェクトを宣伝し、多くの人に知ってもらう必要があります。

周知のために、SNS等のインターネットが利用されます。クラウドファンディングがWebサービスとして行われることから、SNS等とは相性が良いからです。

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なお、プロジェクトに資金提供することを申し込んだ人はこの時点で運営会社に対してお金を支払います。しかし、運営会社はそのお金をプロジェクトの実施者にこの時点では渡しません。

プロジェクト実施者にお金が渡るのはクラウドファンディングが成功した場合で、失敗した場合には、そのまま申し込んだ人に返金されることになります。

資金を受取る

プロジェクトが成功した場合にのみ、運営者が預かっている応募者からの資金がプロジェクトの実施者に支払われます。

プロジェクトの成功・失敗は設定された期限の最終日に判明します。

All or Nothing方式(目標額が集まらなければプロジェクトが成功しない)の場合には、誰もが成否を判断できます。

All-in方式(目標額が集まらなくても、集まった金額だけ受取ることができる)の場合には、プロジェクト実施者が資金を受領するかどうか判断します(集まった資金だけでは目的が達成できないのであれば受け取らないこともできます)。

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運営者からプロジェクトの実施者にお金が支払われるまでにはある程度、時間がかかります。

リターンを提供する

クラウドファンディングで資金を受け取るとプロジェクトで約束していたリターンを資金提供者に対して提供する必要があります。

リターンがすぐに提供可能なものであれば資金提供者に渡されます。

一方で、現時点では手元にリターンとして提供したいものがないケースもあり、その場合は用意できた時点で渡すことになります。

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多くのプロジェクトでは、リターンを返せるようになるまで経過の報告を行っています。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの種類

プロジェクトの流れを理解したところで、次に、クラウドファンディングにはどのような種類があるのかを見ていきます。

クラウドファンディングの種類は、リターンによって分類されます。

リターンが何か、によってクラウドファンディングは4つに分類することができます。

  • 寄付型
  • 購入型
  • 貸付型
  • 出資型

寄付型のクラウドファンディング

寄付型のクラウドファンディングとは、リターンがないもの、または提供された資金に見合わないような経済的には価値のないものがリターンとされているプロジェクトです。

社会課題解決を目的としたプロジェクトでよく使われます。

一例として新型コロナウィルス感染症:拡大防止活動基金があります。これは集めたお金をコロナ対策に利用するものです。

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寄付型のクラウドファンディングは、資金を集める人の目的に共感した人からお金を集める仕組みです。

購入型のクラウドファンディング

購入型のクラウドファンディングとは、リターンがプロジェクトの実施者(お金を集める人)の商品であるプロジェクトです。

つまりそれぞれの資金提供者は、商品を購入していることになります。

商品を購入するのであれば、個々人が発注して商品を購入すればいいはずです。なぜクラウドファンディングが用いられるのでしょうか。

販売する会社からすれば、クラウドファンディングを利用することにより一度にまとめて販売することができます。また、購入する方からすれば、クラウドファンディング限定の商品を手に入れることができます。

購入型のクラウドファンディングは、リターンとして今すぐには提供できないものを設定することもできます。

例えば開発中の商品をリターンにして、完成したら渡す、こともできます。言い換えると、開発資金を調達することができます。

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購入型のクラウドファンディングは、資金を集める人の商品が欲しい人からお金を集める仕組みです。

貸付型のクラウドファンディング

貸付型のクラウドファンディングとは、集められた資金が、貸付として運用されるものです。

リターンは、貸付の元本と、貸付から生じる利息になります。

借り手となるのは主として企業(事業会社)です。不動産等が担保にされているものもあります。

貸付型のクラウドファンディングのことを特に、ソーシャルレンディングと呼ぶこともあります。
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貸付型のクラウドファンディングは、貸付により利息を得たい人からお金を集める仕組みです。

出資型のクラウドファンディング

出資型のクラウドファンディングとは、リターンがプロジェクト実施者の株式や新株予約権であるプロジェクトです。

上場企業は株式市場で増資ができるため、ベンチャー企業の増資で利用されています。資金提供者はベンチャー企業の株式を取得する(株主になる)ということです。

ベンチャー企業の株式はそのままでは特別な価値がありません。株式を換金することができず、配当も期待できないためです。

また株式は会社が倒産してしまえば無価値になります。

しかしベンチャー企業が上場したり、M&Aにより買収されれば、売り抜けることができます。その際、株式を取得した時よりも会社が成長していれば、成長の度合いに応じて(つまり青天井で)株式の価値も上がります。

ハイリスク・ハイリターンな投資です。

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出資型のクラウドファンディングは、ベンチャー企業への投資を行いたい人からお金を集める仕組みです。

クラウドファンディングは資金調達にどのように使えるのか

クラウドファンディングは資金調達にどのように使えるのか

クラウドファンディングは実際に資金調達に使えるものなのでしょうか。

結論から先に言えば、非常に有用です。

従来からあった資金調達手段の一部とは同じ様に使うこともできますし、従来は難しかった資金調達も可能です。

従来と同様の資金調達

これまで利用可能だった資金調達の中にはクラウドファンディングでも同様に利用可能なものがあります。それは借入と増資です。

借入

これまで銀行などから行っていた借入は、貸付型のクラウドファンディングを用いて行うことができます。

銀行などからの借入と同じく、借り入れにより資金を受け取り、期日に利息をつけて元本と合わせて返済することになります。

違いは、借りる相手が、銀行などから、クラウドファンディングに応募してきた多数の個人になる点です。

この違いは主に審査に影響します。

銀行などからの借入は、大変手間と時間のかかる審査を経て行われます。これに対してクラウドファンディングは多数の個人がそれぞれプロジェクトを見て判断します。

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貸付型のクラウドファンディングでは運営会社の審査がそれなりに厳しく行われます。審査に耐えうる書類作成、整理は常日頃から行っておく必要があります。

増資

これまできわめて親しい知り合いや取引先のほかエンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)から行っていた増資による資金調達はクラウドファンディングを用いて行うことができます。

エンジェル投資家などからの出資受け入れと同じく、出資されたお金は返済義務がなく、また会社の利益を分配するときは出資者にも出資持ち分に応じておこなう必要があります。

出資型のクラウドファンディングは解禁されてからまだそれほど時間が経っていません。そのため、エンジェル投資家などから出資を受け入れた場合と比べて、株主数が増えるのですが、それが何にどのように影響するのか必ずしも明らかではありません。

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今のところ、すべての株主の個別同意が必要な場面はほとんど想定されないことから、クラウドファンディングによって受け入れる出資の割合を一定の範囲にコントロールすればほとんど変わりがないものと考えられています。

これまでは難しかった資金調達

これまで制度的に不可能ではなかったものの、実際には難易度の高かった資金調達がクラウドファンディングを用いることで可能になりました。

一例として開発中の商品にかかるプロジェクトファイナンスが挙げられます。

従来、未完成の製品を販売する方法がなかったわけではありません。

しかし、しっかりと仕組みを作るためにはコストがかかり、また税務的にも必ずしも取り扱いが明らかではない局面がありました。

そのため、数百億円を超えるような多額のプロジェクトでしか使われることがありませんでした。これは、個人に対して販売する商品に対してはほぼ利用不可能であった、ということです。

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クラウドファンディングを用いることで、これまでは大型の資金調達でしか使えなかった方法が少額からでも、つまり誰でも利用可能になりました。

クラウドファンディングを用いた資金調達のメリット

従来型の資金調達とクラウドファンディングによる資金調達は、資金を調達することの外側に非常に大きな違いが一つあります。

それは、資金提供者がプロジェクト(会社)に対して非常に強い思い入れを持つことです。

従来の資金調達においては、資金が提供されるのは、主に資金提供者が経済的な利益得るためでした。また、貸付の場合には銀行、増資の場合にはベンチャーキャピタルやエンジェル投資家など、少数の人しか関与しませんでした。

クラウドファンディングを通じて資金提供した人は経済的な利益のみを求めるのではなく、そのプロジェクト、あるいは会社に対して特別な思い入れがある、またはクラウドファンディングを通じて特別な思い入れを持つことが少なくありません。

一例として不動産を裏付けとするクラウドファンディングの場合、出資者は建物の完成後にはその不動産を訪れる可能性が高くなります。また実際に訪れることがなくとも、SNS等で話題にしてくれる可能性が高くなります。

さらに、このような思い入れを複数の人が持つことになります。

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クラウドファンディングは、資金調達と同時に、多数のファンを作り出す方法なのです。
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クラウドファンディングで成功するリターンの設定とは https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/successreturn/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/successreturn/#respond Sun, 29 May 2022 22:35:12 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5592 群衆(つまり多くの人)から資金を集める仕組みをクラウドファンディングといいます。 クラウドファンディングは、資金を集めたい人が、どのような理由で、いくら集めたいのか、資金を提供してくれれば「何を返せるのか」を示します(こ...

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群衆(つまり多くの人)から資金を集める仕組みをクラウドファンディングといいます。

クラウドファンディングは、資金を集めたい人が、どのような理由で、いくら集めたいのか、資金を提供してくれれば「何を返せるのか」を示します(これをプロジェクトと言います)。

この「返すもの」を「リターン」と言います

プロジェクトを見て、資金を提供したい人が応募します。

それぞれの応募者が提供する金額は様々です。その累積が目標としている金額を超えれば、クラウドファンディングは成功です。

クラウドファンディングに応募する人が資金を提供する理由は様々です。しかし、資金提供の一番大きな動機が、クラウドファンディングの対価として受け取るリターンにあることは間違いありません。

クラウドファンディングにはいくつかの仕組みがありますが、どの仕組みを利用するかによってリターンが変わってきます。

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まずはそれぞれの仕組みに応じてどのようなリターンが設定できるのかを確認します。

次に、リターンを設定する際に注意すべき事柄を説明します。

最後に、どのようなリターンが望ましいのかを見ていきましょう。

クラウドファンディングの種類とそれぞれのリターン

応募者(資金提供者)が何をリターンとして得られるのかによって、クラウドファンディングは金融型と非金融型に分類することができます。

金融型

金融型のクラウドファンディングは

金銭的なリターンを目的に資金提供がなされるクラウドファンディングです。

金銭的なリターンとは、提供した資金以上の資金がリターンとして手に入るものを言います。

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金融型のクラウドファンディングは、リターンのさらに細かい内容に応じて、貸付型と出資型に分かれます。

貸付型

貸付型のクラウドファンディングでは提供された資金が貸付に使われます。

貸付型のクラウドファンディングは資金を調達する方からは、銀行からの借入と同じになります(誰から借りているのかが違うだけです)。借りりた資金はあらかじめ決まっている期日に返済します。その際、あわせて利息を支払う必要があります。

資金を提供する方から見れば、提供した資金があらかじめ決められた期日に利息を付けて払い戻されることになります。

貸付型のクラウドファンディングのリターンは、提供した金額プラス利息です。

出資型

出資型のクラウドファンディングでは、提供された資金と引き換えに、対象となる会社の株式や新株引受権を取得します。

従って、出資型のクラウドファンディングの直接のリターンは株式などです。

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株式などは、持っているだけでは収益を生みません(出資型のクラウドファンディングで対象となる会社は通常、配当を行いません)。

資金を提供した人は、持っている株式などを売却することにより金銭を得ることができます。

出資型のクラウドファンディングで取得する株式などは、未公開株(上場していない株)のため、そのままでは売却できません。会社が上場したり、M&Aにより第三者に買われる際に処分ができます。

上場やM&Aのときに、自分が株式を取得した時点よりも会社が成長していれば、提供した以上の金額で株式などを売却することができ、利益を得ることができます。

出資型のクラウドファンディングのリターンは、取得した株式の売却収益です。

貸付型、出資型のほかに組合型、あるいはファンド型と呼ばれるクラウドファンディングもあります。

これは特定のプロジェクトの成果を資金提供者に分配するものです。

具体的には、期間限定のショップを開店し、期間経過後に残ったものを分配します。ショップが上手く行けば投資した以上の金銭が返ってくる一方で、失敗すれば提供した資金の全額が返ってこないこともあり得ます。

組合型のクラウドファンディングのリターンは、金額の計算方法こそ異なりますが、直接現金を対象にしている点では貸付型と同じです。

非金融型(寄付型、購入型)

非金融型のクラウドファンディングとは金銭的なリターンを目的としないクラウドファンディングを言います。
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非金融型はさらに、そもそもリターンを目的としない寄付型と、金銭以外のリターンを目的とする購入型に分かれます。

寄付型

寄付型のクラウドファンディングでは、金銭的に価値のないものがリターンになります。

しかし、何もリターンがないクラウドファンディングが成功しずらいこともまた事実であり、実際には何等かのリターンが設定されています。

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このリターンが金銭的に価値があると後述の購入型になります。

寄付型のリターンとは例えば、寄付に対するお礼の動画や、映画を作成するための資金集めを目的としたクラウドファンディングで、完成した映画の最後に自分の名前がクレジットとして記載される、といったものです。

寄付型のクラウドファンディングのリターンは、寄付する金額に対して極端に金銭的な価値の低いものです。

購入型

購入型のクラウドファンディングでは、資金提供のリターンとして特定の商品を受け取ります。

事例として多いのはハイテク商品(AIなどの搭載されたイヤホン、プリンター、自転車等)ですが、食品、化粧品などの日用品、家具や材料同、あらゆる商品で利用することができます。

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お金を払って商品を受け取るわけですから、仕組みとしては、ECでの販売と何ら変わるところがありません。

ただし、購入型のクラウドファンディングでは、集めた資金を使って商品を開発し、それをリターンとすることができます。通常の商売であれば(例えば、お店に行って買い物する際には)考えられない販売方法と言えます。

購入型のクラウドファンディングのリターンは、商品です。

リターンについてさらに知っておくべき事柄

クラウドファンディングの類型とそれぞれのリターンについてみてきました。

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続いて、リターンについてさらに知っておくべき事柄を二つ、見ていきましょう。

追加的なリターンは自由に設定できる

一つ目は、リターンは追加できるという点です。

寄付型の場合には、提供される資金と比べて財産的価値のないものであれば、リターンとして何を設定してもいいのでわかりやすいでしょう。

購入型の場合には、主に購入の対象になるものに何らかの権利を付け加えたようなリターンを設定することも可能です。公道では走れないセグウェイを販売し、セグウェイを乗り回せる土地の利用権を付ける、ようなことも可能です。

金融型のクラウドファンディングでも追加的なリターンは自由に設定できます。

貸付型のクラウドファンディングのリターンとして、元本と利息に加えて、会社の商品(飲食店であれば利用権など)を提供することができます。

出資型の場合にも同様に株式、新株予約権以外のリターン(その会社の提供するサービスの無償利用権など)を設定することが可能です(上場企業の株主優待券に近いものと言えます)。

リターンは一律である必要はない

クラウドファンディングにおけるリターンは、全ての資金提供者に対して、まったく同じものである必要はありません。

より多くの資金を提供してくれた人に特別なリターンを設定することもできます。

寄付の場合には、先ほどの映画のクラウドファンディングで映画のクレジットに資金提供者の名前を記載する例を考えてみます。例えばより多くの資金を提供してくれた人に対してはクレジットの文字を大きくする、色を変える、ようなことも可能です。

購入型も同様に、より多くの資金を提供してくれた人だけに特別なカスタムを行うことができます。これも例えば限定色を用意することや、場合によっては別素材のものをリターンとして設定することもできます。

同じ資金に対して違うリターンを設定することも可能です。

貸付型や出資型の場合、資金提供者に対する金銭的なリターンは同じくする必要があります。

資金提供された額に応じて、一律に利率が計算され、あるいは出資型であれば一律にリターンの株数・新株予約権の個数が決まります。

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このような金銭的なリターンに追加のリターン(対象会社のサービス利用権など)が設定されているものがあれば、こちらは資金提供額に応じて変えることができます。

リターンの設定で注意すべき事柄

どのようなリターン設定が可能かを見てきたところで、次にリターンの設定で注意すべき事柄を見ていきます。

クラウドファンディングのリターンには、そもそも設定できないものがあります。

クラウドファンディンは、サイトを運営する会社(運営会社)がクラウドファンディングを「自社のサイトで実施してもよいのか」の審査を行います。

リターンの設定に問題があれば、ここではじかれます。

例えば、リターンとして違法なもの(麻薬や武器など)を設定することはできません。

違法でなくとも、運営会社の信頼を傷つけるようなもの、例えばポルノなども設定できません。

リターンは提供可能か

リターンの設定において何よりもまず避けるべきなのは提供できないようなリターンを設定することです。

金融型のクラウドファンディングにおける提供が難しいリターン

出資型のリターンは通常は提供できないことはありません

出資型のリターンは「株式及び新株予約権」です。

対象会社に資金が払い込まれれば株式、あるいは新株予約権として効力が生じるため、会社が提供する、しないという判断や行動をすることはないからです。

貸付型のリターンは提供できない場合があります。

貸付型のリターンは「元本」と「金利」です。

これが提供できない場合というのは、銀行借り入れなどであれば返済できない状態です。いうまでもなく、借りたお金を返せないような事態は何としても避けなければなりません。

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言い換えると、返せないような(つまりリターンを提供できないような)クラウドファンディングを行うべきではありません。

非金融型のクラウドファンディングにおける提供が難しいリターン

寄付型のリターンが提供できない場合は、クラウドファンディングでの資金調達の目的であるプロジェクトが不調に終わる場合があります。

先ほどの映画製作費用をクラウドファンディングで調達し、リターンをクレジットに名前を入れることで設定した場合を考えてみます。

映画の製作が完成しなければリターンを提供することができなくなります。

購入型のリターンは、商品の販売となる場合であれば提供できないケースはまれでしょう。

しかし、クラウドファンディングでは通常の商品販売とは異なる販売方法が可能です。それは開発中の商品を販売することです。

開発中の商品は想定通り販売できないことが起こりえます。

開発に手間取り予想していた出荷時期に製品が完成しないこともあれば、開発途中で問題が生じ、開発を断念せざるを得ないこともあります。

リターンが返せないことは会社の信用を著しく下げることになるため、会社にとっては大きな損失となります。
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リターンを何にするか、よりも、リターンをちゃんと提供する、ことの方がはるかに重要です。

リターンは調達額に見合うのか

リターンはクラウドファンディングを行った際のコストの一部です。

クラウドファンディングではリターンのほかに運営会社への手数料が発生します。

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リターンと手数料の合計がコストとなります。

コストが調達額を上回る、あるいは調達額に比べて重すぎる場合には、リターンを考え直す必要があります。

融資型は、調達額よりもリターンが、単純に金額だけ見れば大きくなります。なぜなら調達した金額を元本として返済し、さらに利息を支払う必要があるからです。

ただ、リターンを減らせばいい、ということはありません。

リターンを減らすことにより確かにコストが少なくなります

しかし、一般的にはリターンが少なくなれば、その分、クラウドファンディングに応募する人も減ります

結果として、調達できる金額も減ることになるからです。

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調達とコストのバランスを考えながら、リターンを決める必要があります。

望ましいリターンとは

クラウドファンディングにおいてリターンはある程度決まっているものと、自由に設定できるものとがあります。

金融型であれば金銭を目的とするリターンは金利や株式等の発行による希薄化の程度など、条件は変更できてもリターンそのものは変更しようがありません。

一方で非金融型は自由にリターンを設定することができます。

また、金融型でもメインのリターン(金利や株式など)に付随するリターンについては自由に設定できることになります。

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クラウドファンディングの成功率を高めるリターンは以下のような特徴があります。

特徴1 期間限定にする

期間限定のリターンはプロジェクトの成功率を高めます。

いつでも手に入るのであればクラウドファンディングに応募する必要がありません。

クラウドファンディングで、その期間だけ手に入れられるものを用意することで、なんとなくほしい、から、どうしてもほしい!、に応募者の気持ちを変化させることができるのです。

需要が多く見込めるもの、つまり普通に売ってもよく売れそうなものは定番商品とすべきで、期間限定にする意味がありません。

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定番商品の特別なカスタマイズなどが期間限定で提供される例は多いです。何を期間限定で提供すべきなのかはよく検討してみる必要があります。

特徴2 複数のリターンを準備する

購入型のリターンは商品に魅力がないとクラウドファンディングに応募してもらうことが難しいです。また、追加的に設定するリターンはその追加リターンはいらない、という応募者もそれなりにいます。

より多くの人にクラウドファンディングに応募してもらうためには、応募者が自分の気に入ったものを選択できように複数のリターンを用意しておく方法があります。

リターンは同じものを多量に用意する方がコストがかかりません。逆に少量のリターンを数多く揃えることはコストがかかります。

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複数のリターンはコストに見合うのかを慎重に検討する必要があります。

特徴3 値引きする

商品販売において、「値引き」は単純ではあるものの効果の高い手法です。

クラウドファンディングのリターンが、他の機会(会社のECショップなど)で手に入れるよりも値引きされていれば、資金提供者を引き付ける魅力の一つとなります。

一方で値引きは一時的な売上の増加、一時のクラウドファンディングの成功につながるものの、繰り返すことで効果が薄れます(購入者がそのうちまた値引きするだろうと購入を手控えるためです)。

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そのため、値引きを行うことにより長期的な売上にどのような影響が生じるのかを検討する必要があります。

特徴4 リターンのイメージがわく画像を準備する

クラウドファンディングはSNSなどで拡散されることにより応募者を増やすことが成功の鍵です。

SNSで拡散されるためには、何よりもまずタイトルと画像で訴える必要があります。

後に続く文章や映像は、タイトルと画像に惹かれなければ、まず閲覧されることはないからです。

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形がある商品であればより商品の特徴と魅力が伝わる画像を添付するべきです。

形のないサービスをリターンとする場合であっても、そのリターンを想像しやすい画像を用意することが成功へと繋がります。

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クラウドファンディングでの資金調達の成功例10選 https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/casestudy10/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/casestudy10/#respond Sun, 15 May 2022 22:21:17 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5579 クラウドファンディングは広く、多くの人から資金を集める仕組みです。 お金を提供してくれた人に対する返礼(これをリターンと言います)が何か、によってクラウドファンディングは4つの類型に分かれます。 寄付型 購入型 融資型 ...

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クラウドファンディングは広く、多くの人から資金を集める仕組みです。

お金を提供してくれた人に対する返礼(これをリターンと言います)が何か、によってクラウドファンディングは4つの類型に分かれます。

  1. 寄付型
  2. 購入型
  3. 融資型
  4. 出資型

寄付型は、リターンがない全くないもの、または財産的な価値のないものです。

購入型は、リターンとして商品を受け取るものです。

融資型は、集めたお金が貸付られ、リターンとして元本、および利息を受け取るものです。

出資型は、リターンとして株式や新株予約権を受け取るものです。

実施者の提示するプロジェクト(資金を集める目的とリターンを明示したもの)にお金が集まればクラウドファンディングは成功です。

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実際に資金調達に成功した事例を見ていきましょう。

寄付型のクラウドファンディングの成功例

寄付型のクラウドファンディングの成功例

成功例1.【#マスクを医療従事者に】あなたの拡散や寄付が医療の力に

成功例1.【#マスクを医療従事者に】あなたの拡散や寄付が医療の力に

出典:Readyfor

プロジェクトの概要

Readyforで行われたクラウドファンディングです。

2020年4月、日本でコロナ感染が広まった当初、マスクが手に入りずらい状況でした。このプロジェクトは、まずは医療従事者(医者や看護師など)に、マスクを届けること、そのための資金を調達することを目的に立ち上げられました

リターン

リターンとして設定されたのは、(1)領収書(2)お礼の動画、の二つです。

本プロジェクトに応募した金額は税制優遇が受けられるため、領収書がリターンとして明示されています。

調達額

目標額5千万円に対して、最終的には1億5千万円を調達しています。調達額が多額であることに加え、1億円を調達するのに1日かからなかった(21時間で達成)という点で特筆すべき成功と言えます。

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このプロジェクトはマスクが足りない状況においていち早く医療機関にマスクを届け医療崩壊を防ぎたい、という目的に多くの共感が集まったことが成功の大きなポイントの一つです。

さらにもう一つのポイントは、多くの有名人が賛同しており広く拡散されたことがあります。

成功例2.片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援

成功例2.片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援

出典:Makuake

プロジェクトの概要

Makuakeで行われたクラウドファンディングです。

このプロジェクトはこうの史代さんの漫画を映画化する資金を調達することを目的に立ち上げられました。単にお金を集めるだけではなく、この作品がクラウドファンディングを通じてより多くの人に知られることも目的の一つとされています。

リターン

このプロジェクトでは、支援した金額に応じて、リターンが設定されています。

共通するリターンは、(1)制作支援メンバーになれること(メンバーになることでグッズをもらえたり、映画の製作状況をすることができます)(2)すずさん(登場人物)からの手紙、の二つです。

より多額の支援をすることで、映画のエンドロールに自分の名前を記載してもらえるなどがリターンとして設定されています。

調達額

目標額の2千万円に対して、最終的には4千万円弱を調達しています。

調達額が目標額に対して約2倍集まったこと、資金提供者が3,374人と多数に上ったことから、成功したプロジェクトと言えます。

なお、このプロジェクトの続きとして、映画を監督した片渕氏に海外の映画祭に参加してもらうための費用を調達するプロジェクトも立ち上げられており、こちらも目標額を大きく上回る資金調達を実施しています。

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このプロジェクトはクラウドファンディングとして成功しただけではなく、その後、映画も大ヒットし、クラウドファンディングが世の中で認知されるきっかけになったともいわれています。

成功例3.キングコング西野の個展『えんとつ町のプペル展』を入場無料で開催したい!

成功例3.キングコング西野の個展『えんとつ町のプペル展』を入場無料で開催したい!

出典:Campfire

プロジェクトの概要

Campfireで行われたプロジェクトです。

このプロジェクトは吉本興業に所属していた芸人の西野亮廣さんが書かれた絵本「えんとつ街のプペル」の完成を記念して絵本の原画の展示会を開催するための費用を調達することを目的とするものです。

単に展示会を開催する費用、というだけではなく、クラウドファンディングで費用を賄うことにより展示会の入場料を無料にする目的も示されています。

リターン

リターンは非常にたくさんの種類が設定されています

特に、同じ金額でも複数のリターンが設定されており、その中から支援者が欲しいリターンを選ぶことができます。

例えば、最低金額の3,000円でも、

  • この絵本(サイン入り)とポストカード
  • この絵本と西野さんの読み聞かせ動画
  • 西野さんに依頼して作成してもらう自分専用の1分動画
  • 各種イベントの参加権

などのリターンが用意されています。

調達額

目標額の180万円に対して250倍を超える4,600万円を調達しています。

当初の設定金額が小さかったこともありますが、支援者が6,000人を超え、広く拡散されたことでこのような調達額になりました。

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このプロジェクトは目標額と比較した調達額の多さ、という点からも、また支援者が非常に多数になったという点からもクラウドファンディングの代表的な成功例です。

成功の要因は、西野さん自身の非常に高い知名度に加え、プロジェクトの目的が共感されやすいものであったこと、また、多様なリターンが用意されていたことなど、多数挙げられます。

購入型のクラウドファンディングの成功例

購入型のクラウドファンディングの成功例

成功例4.普段使いにも、旅先でも!スタイリッシュなチェーンレス電動アシスト自転車の登場

成功例4.普段使いにも、旅先でも!スタイリッシュなチェーンレス電動アシスト自転車の登場

出典:Makuake

プロジェクトの概要

Makuakeで行われたプロジェクトです。

このプロジェクトはClick Holdingsが実施した購入型のクラウドファンディングです。

従前から販売している商品ではあります。

しかし、先着購入者には値引きが適用されること、また異なるカラーバリュエーションが用意されていることがクラウドファンディングでの販売での特徴となっています。

リターン

リターンの対象となる商品は「Honbike」というチェーンレスな電動折りたたみ自転車

2020年「GOOD DESIGN AWARDのグッドデザイン・ ベスト100」に選出されています。

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AIを用いて自動アシストや傾き補正を行うハイテクなマシーンです。

また、オプション製品となるバッテリーケースや、専用の自転車かごなども用意されています。

調達額

目標額の1,100万円に対して6億3千万円を調達しています。

調達額が桁違いに大きいのは、1台当たりの金額が144,000円と高額であるうえ、購入者が5,000人近くまで膨れ上がったためです。

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※購入型のクラウドファンディングにおける代表的な成功例です。本プロジェクトの成功は何よりもまず、商品の良さが挙げられます。

成功例5.PrinCube – 世界最小のモバイルカラープリンター日本上陸!

成功例5.PrinCube – 世界最小のモバイルカラープリンター日本上陸!

出典:Campfire

プロジェクトの概要

Campfireで行われたプロジェクトです。

このプロジェクトはThe good thingsというスタートアップの実施した購入型のクラウドファンディングです。

既に前年、アメリカのクラウドファンディング大手Indiegogoにて約5億円を調達した実績があり、日本でのクラウドファンディングをCampfireで行ったものになります。

リターン

リターンの対象となる商品はカラープリンターです。

その特徴は、手のひらに収まるほど小さく、持ち運びが可能であること、そしてもう一つは、どんなものにでも印刷できることです。

商品本体(価格は11,950)のほか、インクカートリッジなどの付属品を購入することができます。

調達額

目標額の100万円に対して3億円を調達しています。

1台当たりの販売額は小さいものの、2万人を超える購入者がいたことからこの金額となりました。

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このプロジェクトの成功のポイントは何より、多くの人に欲しいと思わせた商品の良さにあります。加えて、クラウドファンディングでしか販売されておらず、今後の一般販売は予定されているものの、それよりも値引きで購入できることを明記したことが成功に繋がりました。

成功例6.世界初、完全ワイヤレス骨伝導イヤホン誕生。earsopen®︎ “PEACE”

成功例6.世界初、完全ワイヤレス骨伝導イヤホン誕生。earsopen®︎ “PEACE”

出典:GREEN Funding

プロジェクトの概要

GREEN Fundingで行われたプロジェクトです。

このプロジェクトはBoCo株式会社の実施した購入型のクラウドファンディングです。

既に販売されている商品ではなく、開発中の商品を扱っています。

そのため、購入から実際に商品が手元に届くまでに時間が空くことになります。

リターン

リターンの対象となる商品は、イヤホンです。

骨伝導のイヤホンで、聴覚障がい者用と音楽用の二つがあります。

また、スタンダードなモデルと高級モデル、あるいは無線と優先等、様々なリターンのバリュエーションが用意されています。

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価格は7千円から7万5千円まで幅広く、また学生向けの割引なども用意されています。

調達額

目標額の100万円に対して1億6,500万円を調達しています。

一つ当たりの価格もそれなりに値が張るうえに、購入者が7,500人を超え、この調達額となりました。

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※このプロジェクトではまだ開発中の商品が販売されました。商品が強く求められるものであったことに加え、実際に使用してよく聞こえなかった場合には返金することが明記されるなど、実施者がしっかりと信頼されたことが成功につながりました。

融資型のクラウドファンディングの成功例

融資型のクラウドファンディングの成功例

成功例7.インサイトファンド#1

成功例7.インサイトファンド#1

出典:Funds

プロジェクトの概要

Fundsで行われた融資型のクラウドファンディングです。

このプロジェクトでは集まったお金でファンドに出資を行い、そのファンドから企業への貸付が行われます。

貸付を受ける企業は株式会社インサイトです。当社は非上場会社で集金代行及び企業の計算事務代行業務を行っています。

親会社の保証はついていませんが、株式会社アクトコールの子会社です。

リターン

貸付型のクラウドファンディングにおいてリターンの対象となるのは貸付元本と利息です。

元本は貸付けた金額です。

利息は、予定利回りがこのプロジェクトでは1.50%(年率・税引前)になります。

予定運用期間は2か月のため、100万円を投資すると2,500円の利息になります(100万円×1.5%÷12×2)。

調達額

目標額の5,000万円に対して5,000万円を調達しています。

貸付型のクラウドファンディングは人気が高く、目標額が調達できないことはまれです。また、予定調達額を超過した場合に、その分を受け取ることも、ありません(超過して調達した金額に対しても利息が発生するためです)。

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このプロジェクトでは、全額の調達が見込まれていたことから、募集が2種類に分かれています。

調達額のうち、半分は先着順で、先に申し込んだ人から投資することができます。残りの半分は抽選となっており、申込額が集まったところで、投資できる人が決まることになります。

出資型のクラウドファンディングにおける成功例

出資型のクラウドファンディングにおける成功例

8.クロスロケーションズ

8.クロスロケーションズ

出典:Fundinno

プロジェクトの概要

Fundinnoで行われた出資型のクラウドファンディングです。

出資対象の企業はクロスコミュニケーションズです。

同社は位置情報をAIで解析するサービスを展開しています。

具体的には位置情報のビックデータからさまざまな有用な情報を引き出すためのツール「Location AI Platform」(LPA)を開発し、利用した企業から収益を上げています。

既にドコモベンチャーズ他、数社のベンチャーキャピタルや事業会社から資金を調達した実績があります。

リターン

このプロジェクトのリターンは、クロスロケーション社の新株予約権です。

新株予約権は、会社が新株を発行する際に、会社が定めた条件で株式を取得できる権利です。実際にどれだけの持ち分を取得できるのかは会社が新株を発行するまで分かりません。

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なお、新株予約権を保有している間は、LPAを無料で利用することができます。

調達額

目標額24,750,000円、上限額99,000,000円に対して、上限一杯の99,000,000円を調達しました。

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このプロジェクトは会社の事業の説明を丁寧に行っています。特に将来の事業計画についてもKPI(達成目標)を明示するなど、分かりやすいことが特徴です。

成功例9.日本発のクラウドサービスで世界のゲーム市場に挑む技術者集団「Game Server Services」

成功例9.日本発のクラウドサービスで世界のゲーム市場に挑む技術者集団「Game Server Services」

出典:イークラウド

プロジェクトの概要

イークラウドで行われた出資型のクラウドファンディングです。

出資対象の企業はGeme Server Services株式会社です。

同社はオンラインゲーム(スマホのゲームなど)で必要となるサーバーを、サーバー上で利用可能なソフトウェアと合わせて提供している会社です。

既にベンチャーキャピタル(VC)、事業会社から資金を調達した実績があります。

リターン

このプロジェクトのリターンは、Game Server Services社の株式です。

3万円で一株を取得することができます。

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既に15,000株が発行されていることから、一株当たりの持ち分は0.006%程度になります。

調達額

目標額49,950,000円、上限額99,990,000円に対して64,170,000 円を調達しています。

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このプロジェクトは事業や見通しについての説明を動画を多く用いて行っているところに特徴があります。

成功例10.“世界一”飲食店に優しいフードテックサービスへ!共創型プラットフォームで新たな食の流通を拓く「ごちめし」

成功例10.“世界一”飲食店に優しいフードテックサービスへ!共創型プラットフォームで新たな食の流通を拓く「ごちめし」

出典:Campfire Angels

プロジェクトの概要

Campfire Angelsで行われた出資型のクラウドファンディングです。

出資対象の企業はGigi株式会社です。

同社は飲食店向けのサービスを開発しているベンチャー企業です。具体的には、飲食店へ先払いする「さきめし」、飲食店への支払いの一部を寄付する「ごちめし」というサービスのプラットフォームを運営しています。

同社の社長の今井氏は作曲家・音楽プロデューサーであり、安室奈美恵さんの「HERO」などを手掛けられています。

リターン

このプロジェクトのリターンはGigi社の株式です。

1株当たり10,000円ですが、申込単位は10株から、10株単位のため、最低10万円からの申込となります。

調達額

目標募集額2千万円、募集上限が3千万円に対して、ほぼ上限となる29,800,000円を調達しています。

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このプロジェクトの成功の要因は2つあります。

一つは代表者の知名度がクラウドファンディング向きであったことです。

そしてもう一つは、会社の事業目的が収益の獲得だけではなく、日本での寄付文化の浸透という共感を得やすいものであったです。

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クラウドファンディングで資金調達するデメリット・リスクとは https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/demerisk/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/demerisk/#respond Sun, 27 Feb 2022 22:53:28 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5564 クラウドファンディングは多数の人からお金を集める仕組みです。 お金を集めるためにはリターンが必要になるなど、デメリットもあります。 また、クラウドファンディングを始める際には基本的にはお金がかかりません。資金を調達できた...

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クラウドファンディングは多数の人からお金を集める仕組みです。

お金を集めるためにはリターンが必要になるなど、デメリットもあります。

また、クラウドファンディングを始める際には基本的にはお金がかかりません。資金を調達できた場合にのみ、利用したクラウドファンディングサイトへの手数料や、返礼が必要になります。

上手く行けばいいですし、ダメでもリスクがないように見えます。

では、クラウドファンディングには何もリスクがないのかと言えばそんなことはありません

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どのようなデメリット、リスクがあるのかを見ていきましょう。

クラウドファンディングのデメリットとは

クラウドファンディングのデメリットとは

クラウドファンディングによる資金調達は、従来の資金調達(銀行からの借入など)と比べて様々なメリットがあります。その一方、デメリットもあります。

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従来の資金調達と比べながらクラウドファンディングのデメリットを理解していきましょう。

デメリット1.運営会社による審査がある

クラウドファンディングはクラウドファンディングサイトを通じて行います。

その際、サイトへの掲載は運営会社が審査を行い、審査を通ったものだけが掲載されます。

従来の資金調達では銀行などの審査の結果によって資金調達ができるかどうかが決まりました。クラウドファンディングでは審査を経たうえで、さらにプロジェクトへの募集を行い、支援者・投資家がつくことではじめて資金調達を行うことができます。

従来の資金調達と比べると資金調達までに余計に手間がかかると言えます。

デメリット2.調達できるかどうかが読めない

従来の資金調達も、融資や増資が決まっても、実際にお金が入金されるまで決して気を緩めるべきではないと言われてきました。融資も、出資も、最後まで(実際に入金されるまで)何が起こるか分からないためです(気が変わる、ということもあれば、不可抗力のような事情で資金調達に応じられなくケースもあります)。

これは逆に言えば、ある程度は「事前に予測することができていた」ということです。

融資であれ、出資であれ、銀行やVCなどの担当者と会話をする中で、資金調達ができるのかできないのか、おおよそは当たりをつけることができました。

これに対して

クラウドファンディングで資金調達ができるかどうかは、多数の支援者、あるいは投資家が、それぞれのプロジェクトへお金を提供するか否かで決まります。

この多数の判断を予想することは、困難です(事前にそれぞれと会話しておくことが、数が多いためできないです)。

クラウドファンディングによる資金調達は、従来の資金調達以上にやってみないと分からない(調達できるのかどうかが不明確)です。

デメリット3.調達までの時間が読めない

クラウドファンディングによる資金調達は、資金調達できるかどうかも不明ながら、もう一つ重大な問題があります。

それが、いつ資金が利用できるようになるのか分からない、つまり時間が読めないことです

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クラウドファンディングの手順を確認してみましょう。

クラウドファンディングの手順

クラウドファンディングは、まずクラウドファンディングサイトの運営者による審査があり、募集期間を決めることでスタートします。

募集の期限はいったん始めてしまうと通常、変更する、特に延期することができません。

期限に、プロジェクトが成功するまで応募が集まっていれば、その日から一定期間後(それぞれのクラウドファンディングサイトによって異なります)に手数料を差し引いた金額が会社に振り込まれることになります。

なぜ時間が読みずらいのか?

問題はクラウドファンディングを検討している段階ではいつが期限になるか分からない点です。

期限を決めるためには、クラウドファンディングサイトの運営者の審査に通る必要があります。また、その運営者との間で期限について合意する必要があります。

それぞれがスムーズに進み、募集期間も当初想定していた通りに設定できれば、資金を利用できる日もある程度見込めます。

どこか1か所でもでつまずくと、入金日が後ろ倒しになってしまいます。

デメリット4.調達までに時間がかかる

クラウドファンディングは、サイトの運営会社の審査を経て、実施されます。

サイト運営会社の審査にかかる日数は長くても1週間程度です。審査の後、募集期間が概ね1か月半かかります。クラウドファンディングが成功すれば期限の後、早くて半月ほどで入金がなされます。

非常にうまく進んだ場合で、2か月程度の時間がかかるということです。

しかし、審査の中で不備が指摘されれば、その是正を行ったうえで再度審査が行われるため、さらに時間がかります。

また、クラウドファンディングを始めるための準備には、説明資料やサイトの作成など、それなりに時間がかかります。

そのため、通常は3か月以上先の調達を見据えて、長期的にクラウドファンディングに取り組むことになります。

これは従来の銀行からの融資が新規であっても1か月かからず、既に借り入れたことがある先(あるいは借換)であれば2週間もかからないことと比較すると非常に時間がかかります。

デメリット5.大型の資金調達には向いていない

クラウドファンディングは多くの人から資金を集める仕組みであるため、その会社やプロジェクトが不確実であっても資金を集められる可能性があります。

なぜなら、一人ひとりの資金提供者が負担するリスクを小さく抑えることができ、それぞれの資金提供者は自分で選択した分だけのリスクを負担することができるからです。

しかしながら、多額の調達には向いていません。

資金提供者の事情

クラウドファンディングの認知度が向上していると言っても、実際に資金を提供している人は限られます。

また、小口に分散されたリスクは大口の投資家(例えば年金や金融機関など)には好まれません(リスクを分散する際にコストがかかるため、多額の資金を運用する場合にはほかにもっと選択肢があるためです)。

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多額の調達を行うためには、多くの人を巻き込む必要があります。

プロジェクト単位での調達になる

クラウドファンディングは、資金調達の目的を明示する必要があります。集めた資金を何に使うのかを明確にする必要があるということです。

寄付型や購入型のクラウドファンディングでは、かなり具体的な資金使途を明示する必要があります。クラウドファンディングに応募する人は、その資金の使い道に賛同して資金を提供してくれるためです。

貸付型や出資型の、いわゆる金融型のクラウドファンディングの場合には、資金使途はもっと緩い説明でも行われています。しかし、説明が不要になるわけではありません。

貸付型の場合、集めたお金が何に使われるのかによって、その資金をどうやって返済するつもりなのかが説明されます。これは銀行から融資を受ける場合に資金使途の説明を求められることと同じです。

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銀行融資の際に説明が必要となるのと同じ程度には資金使途を明確にする必要があります。

出資型の場合、集めたお金をどう使うことで、会社の想定する事業成長を達成するのかが最も重要な点と言えます。これはベンチャーキャピタル(VC)から資金を集める際に必要になる説明と同じ程度には資金使途が含まれる事業計画を明確にする必要がある、ということです。

資金使途を明示するということは、その範囲でしかお金を集めることができないということです。
目標を達成するのに必要な資金を1億円と見積った場合、何かイレギュラーなことがあった際の余裕資金として半分の5千万円を足して1億5千万円調達することは許容されるでしょう。しかし、2億円を調達したいとなれば、その理由が厳しく問われることになります。

成功率が低下する

調達しようとする金額が大きくなればなるほど、クラウドファンディングに成功する確率は低くなります。

クラウドファンディングは大衆からお金を集める仕組みですが、その大衆が少額ずつを出し合う仕組みでもあるからです。特に出資型の場合には一人当たりの出資額に上限があります。

一人から集めるお金が小さいということは、大金を投じてくれる人を探し当てるのではなく、より多くの人から資金を集める必要があります。

出資者を募るのに大がかりな宣伝費を使うことはできません。なぜなら、その資金があればクラウドファンディングを行う必要がないからです。

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大規模な広告(テレビ広告など)なしに、多数の人に会社を知ってもらい支援してもらうわけですから、数が多くなればなるほど大変と言えるのです。

返戻(リターン)が必要となる

調達額の限度を規定する事情にはもう一つ、リターンがあります。

出資型や貸付型の場合のリターンは、クラウドファンディングであっても、その他の従来から行われてきた銀行等を相手に行う場合であっても違いがありません。同じようにコストの一環として考えておけば足ります。

一方で購入型の場合には、用意できるリターンには限りがある場合もあります。プレミアム感を出すため、制限する場合もあります。

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リターンとして約束できる範囲の資金調達でないと、サイト運営者の審査に通らないとも言えます。

デメリット6.コストがかかる

クラウドファンディングは無料で始めることができますし、募集金額が集まらずプロジェクトを断念する場合にはお金がかかりません。

しかし、目標金額までお金が集まるとコストが発生します。

一つはサイトの運営会社に支払う手数料です。これは、サイト利用料、決済手数料など、費目は異なりますが、募集した金額の一部をサイト運営会社に手数料として支払うことになります。

そしてもう一つ、クラウドファンディングで資金調達した場合に、リターンが設定されているとそのリターンが費用として必要になります。

寄付型や購入型の場合のリターンはいわゆる「返戻品」や「商品」ということになります。

これに対して、金融型と呼ばれる融資型の場合には、借りたお金に対する「利子相当額」がコストになります。つまりサイトの運営者に対して支払われる手数料と借りたお金に対する利子の合計がコストになります。

クラウドファンディングで必要となるコストは銀行からの融資と比べると高くなります。

足元は低金利な経済状況であることも理由ですが、サイト利用料がそれなりに高額であることも理由です。また、出資型の場合には、リターンとして投資家に渡るものが株式や新株予約権であり、サイトの手数料だけがコストになります。

通常、第三者割当増資を行う際には、直接に費用が発生しない(間接的には、法定書類の作成のための弁護士費用などがかかります)のに対して、サイト利用料がかかる分だけクラウドファンディングの方がコストが大きいと言えます。

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クラウドファンディングを行った場合のコストは、従来の方法で資金調達を行った場合とよくよくコストを比較してみる必要があります。

クラウドファンディングのリスクとは?

クラウドファンディングのリスクとは?

クラウドファンディングは成功しなければコストが発生しないため、一見すると「チャレンジするだけならしないよりもよさそう」に見えます。

しかし、クラウドファンディングを利用した結果、逆に会社に悪影響を与えることもあり得ます。

クラウドファンディングの利用にはどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。

リスク1.プロジェクトがまねされる

クラウドファンディングは多くの人からお金を集めるために、まずは多くの人に会社のこと、計画しているプロジェクトについて知ってもらう必要があります。

より多くの人に知ってもらうことは、クラウドファンディングを成功するために必要で、会社やプロジェクトを知った人の一部が支援者や投資家となってクラウドファンディングに応募してくれることになります。

一方で、より多くの人に知られるのは良いことばかりではありません。悪意を持った人にも知られるということだからです。

具体的には、会社がクラウドファンディングを通じて行おうととしてるプロジェクトのアイディアがまねされることがあります。

特許で保護されている等、法的に強力に競合を排除できる仕組みがあれば考える必要のない問題です。

そのような仕組みで自社を守れないのであれば、アイディアをまねされても自社の競争力が守れるかを検討してみる必要があります。

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運営ノウハウなどで自社の優位性を築いている、多少の競合が生じても有り余るマーケットが存在するなど、まねされても問題がないのか、はクラウドファンディングを始める前によく考えておくべきリスクです。

リスク2.拡散にSNSを利用する(炎上するリスクがある)

自社の行うクラウドファンディングをより多くの人に知ってもらうためにはインターネット、特にSNSを活用する必要があります

元々、SNSを使いこなしている会社であれば問題ありませんが、クラウドファンディングを機に会社の公式SNSを始めるような場合には、SNSの運用ルールについて事前に検討しておく必要があります。

特に不用意な一言で批判が殺到する、いわゆる炎上してしまうと会社に取り返しのつかないダメージとなりかねない点はよく理解しておく必要があります。

(リスク・3)お金を集めてしまうとプロジェクトを中止できない

クラウドファンディングには

  1. All or Nothingと呼ばれる、目標金額の全額を超える応募が合った場合に初めて資金を受け取れるパターン
  2. All-inと呼ばれる、目標金額に届かなくても応募された金額が受け取れるパターン

の2種類があります。

どちらのパターンを利用するにしても、一度お金を受け取ってしまうと、約束したプロジェクトを行う義務が生じます。

具体的には、受け取った資金に相応するリターンを資金提供者に渡す義務が生じます。

そのプロジェクトが、少額の資金でも始められるのであれば何ら問題ありません。

しかしながら、リターンが目標額全額を集めたことを前提に設計されることがほとんどです。

特にAll-in型で目標額に欠ける資金しか受け取れない場合には、リターンを渡すことで収支がマイナスになってしまう可能性がある点を注意しておく必要があるでしょう。

リスク4.リターンは期待値を下回ると批判される

特に購入型のクラウドファンディングにおいて、応募者が応募してくる最大の理由はリターンとして設定されたものを手に入れたいからです。

その商品への期待が高い人が応募して資金を投じてくれるわけです。そのため、リターンが応募者の期待に沿うものであれば何ら問題ありません。

しかし、リターンが応募者の期待を下回る(特に大きく下回る)場合には、横暴者は期待を裏切られたと感じるため、会社に対して一転して批判者になることも珍しくありません。

期待にそぐわないことは、その商品の品質面においても起こりえます。約束していた機能が実装できなかった、あるいは実装されているものの期待されているレベルには程遠いこともあり得ます。

また、期限の面でも起こりえます。想定していた期間で開発が終わらず、リターンの提供がクラウドファンディングで説明していた時期より遅れてしまうこともありえます。

応募者が商品に対して抱く期待値は明確ではありません。そのため、すべての応募者の期待を上回ることを難しいと言えます。

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一部に批判的な人がいても、他の大部分の人が満足してくれているのであれば、深刻なトラブルにはならないでしょう。

逆に、多くの人の期待を下回った場合には、批判の声が大きくあがるとともに、広く拡散されることも覚悟しておくべきです。

まとめ

クラウドファンディングにはさまざまなデメリットがあります

従来からある資金調達方法がより望ましい場面も多々あるということです。

しかし、デメリットはより良い方法があった、という反省に留まる一方、リスクの中には、会社に取り返しのつかない損害を与えるものもあります。

特に、会社の大切なアイディアが盗まれてしまうと、会社の事業に深刻な問題が生じる可能性があります。

また、クラウドファンディングを行ったことにより会社の評判を下げてしまうと現在の損失に留まらず、将来の顧客まで失う可能性があります。

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クラウドファンディングは慎重にリスクを検討したうえで実施することが重要です。
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クラウドファンディングの会計と税務 https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/atofcf/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/atofcf/#respond Sun, 13 Feb 2022 22:47:40 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5573 クラウドファンディングに成功すると会社に入金があります。つまり資金調達できます。 会社を存続させ、事業を伸長させるための資金調達は望ましいことです。 しかし同時に、金銭の移動があるため、会計処理や税務処理が必要となります...

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クラウドファンディングに成功すると会社に入金があります。つまり資金調達できます。

会社を存続させ、事業を伸長させるための資金調達は望ましいことです。

しかし同時に、金銭の移動があるため、会計処理や税務処理が必要となります。

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資金は調達できたものの、思わぬ決算や税金とならないために、クラウドファンディングで資金調達した際にどのような会計処理や税務処理がなされるのかを知っておきましょう。

ところで、クラウドファンディングには4つの類型があります。

会計処理はこの4つの類型ごとに異なるため、まずはそれぞれの類型を見ていきましょう。そして、それぞれの類型ごとの会計処理、税務処理についてみていきましょう。

クラウドファンディングの類型

クラウドファンディングの類型

クラウドファンディングには4つの類型があります。

  1. 寄付型
  2. 購入型
  3. 貸付型
  4. 出資型
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4つの類型は、資金提供者がクラウドファンディングのリターンとして何を受け取るかによって分けられます。

寄付型

寄付型のクラウドファンディングは

資金提供者の受け取るリターンがないもの、あるいはリターンが提供した資金とは見合わない(提供した資金を下回る)類型です。

資金調達する会社から見ると、資金を受け取る対価が経済的に価値のないもの、あるいは著しく経済的に価値の低いもの、という場合です。

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寄付型のクラウドファンディングは社会的に意義のある活動(離島への医師派遣のためのヘリコプターを購入するなど)や、製作者への支払い(映画、絵本などの製作)などで用いられます。言い換えると、会社の資金調達ではあまり用いられません。

購入型

購入型のクラウドファンディングは

資金提供者の受け取るリターンが、提供した金額と見合う商品である類型です。

資金調達する会社から見ると、資金を受け取る対価が会社の商品である、という場合です。つまり、会社の通常の販売と似ています。違いは一度に、多くの人に売れることです。

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購入型のクラウドファンディングは、これまで世の中になかった商品や、他の商品とは強く差別化できる商品(希少なお米で製造したお酒等)で用いられます。

貸付型

貸付型のクラウドファンディングは

資金提供者の受け取るリターンが、提供した金額に見合う貸付の返済、つまり元本と利息である類型です。

資金調達する会社から見ると借入を行ったことになります。銀行などからの借入と同様に、元本と利息を支払うことになります。

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貸付型のクラウドファンディングは、不動産など何等かの担保がついているもののほか、特定の目的に使う資金など、幅広い用途で用いられます。

出資型

出資型のクラウドファンディングは

資金提供者の受け取るリターンが、提供した金額に見合う対象となる会社の株式、あるいは新株予約権である類型です。

資金調達する会社から見ると、第三者割当増資を行ったことになります。エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)から増資を受けた場合と同様、払い込みを受けたお金に対して、返済の義務を負いません。一方で、利益配当を行う場合には、出資割合に応じて、既存の株主と平等に支払う必要があります。

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出資型のクラウドファンディングは、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)からの増資による資金調達と同じ用途で用いられます。

クラウドファンディングの会計処理と税務処理

クラウドファンディングの会計処理と税務処理

クラウドファンディングでは資金や在庫の移動があるため、金銭や在庫に変動が生じた時に「会計処理」が必要となります。

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4つの類型ごとにどのような処理が必要になるのかを見ていきましょう。
税務処理は資金の受け取り手が個人なのか、法人なのかによって異なります。以下では、資金の受け取り手が個人の場合の説明は割愛します。

寄付型

寄付型のクラウドファンディングを行った場合、会計・税務処理が必要となるのは次の3つの出入金です。

  1. クラウドファンディングに応募して払い込まれた金額
  2. クラウドファンディングサイトの運営者に対して支払う手数料
  3. クラウドファンディングの応募者に対して渡すリターンのための費用

クラウドファンディングで集めた金額

寄付型のクラウドファンディングで資金を調達した場合、寄付を受けた全額を「受贈益」として会計処理します。

その結果、損益計算書では特別利益の項目に記載されることになります。

実際にはクラウドファンディングサイトの運営会社から、手数料を除いた金額が入金されてきます。しかし、その実際の入金額ではなく、資金提供者が提供した資金の全額が受贈益となります。

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税務上、受贈益は益金となります(課税の対象となります)。

手数料

手数料は、「実際に支払った金額」(つまり募集して集めた金額と実際に手元に受け取った金額との差額)を経費として会計処理します。

その結果、損益計算書では販売管理費の項目に記載されることになります。

staff
税務上、手数料は損金となります(課税対象額の計算から差し引かれることになります)。

リターンのための費用

寄付型では、クラウドファンディングで提供を受けた金額には見合わないものの、リターンを設定しているケースがあります。その「リターンを提供するのに使った費用」は会計上は手数料と同じく経費として会計処理します。

その結果、損益計算書では販売管理費の項目に記載されることになります。

よく見られる「お礼の手紙」をリターンとして設定した場合を例に考えてみます。

お礼の手紙をリターンとして資金提供者に渡すためには、次の費用がかかります。

  • 作成する費用(デザインや印刷を外注するのであればその費用、紙代)
  • 郵送する費用(切手代)

これらの費用が経費として処理されるということです。

staff
税務上、これらの費用は損金となります。

購入型

寄付型のクラウドファンディングの会計・税務処理が必要となるのは次の3つです。

  1. クラウドファンディングに応募して払い込まれた金額
  2. クラウドファンディングサイトの運営者に対して支払う手数料
  3. クラウドファンディングの応募者に対して渡すリターン

クラウドファンディングで集めた金額

購入型のクラウドファンディングで資金を調達した場合、受領した金額は「売上金」として会計処理します。

その結果、損益計算書では売上高の項目に記載されることになります。

実際にはクラウドファンディングサイトの運営会社から、手数料を除いた金額が入金されてきます。しかし、その実際の入金額ではなく、資金提供者が提供した資金の全額が売上高となります。

ただし、クラウドファンディングを実施した時点ではまだ商品が完成しておらず、発送までしばらく時間がかかる(特に決算期をまたぐ)場合には、前受金として処理することもあります。

前受金として処理した場合には、会計方針として売上を計上すべきときに前受金を売上に振り替えます。

staff
税務上 売上は益金となります(課税の対象となります)。
購入型のクラウドファンディングで受け取った金額は消費税の課税対象となる点にも注意しておきましょう。

手数料

手数料の会計処理、税務処理は寄付型の場合と同様です。

手数料は、実際に支払った金額(つまり募集して集めた金額と実際に手元に受け取った金額との差額)を経費として会計処理します。

その結果、損益計算書では販売管理費の項目に記載されることになります。

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税務上、手数料は損金となります。

リターンの費用

購入型では、リターンがモノ(商品)となります。会計処理の考え方としては通販を行った場合と同じになります。

そのためリターンは「売上原価」として会計処理されます。既に在庫として商品を持っている(会計上は貯蔵品として処理されている)はずなので、その貯蔵品を売上原価に振り替える処理を行います。

その結果、損益計算書では売上原価の項目に記載されることになります。

付随する費用、商品の梱包にかかる費用、発送にかかる費用などは商品を販売した際と同じ処理を行い原価と一般販売管理に振り分けられます。

staff
税務上、これらの費用はいずれも損金となります。

貸付型

貸付型のクラウドファンディングにおいて会計・税務処理が必要となるのは次の3つの出入金です。

  1. クラウドファンディングを通じて貸付を受けた金額
  2. クラウドファンディングサイトの運営者に対して支払う手数料
  3. クラウドファンディングの応募者に対して渡すリターン

クラウドファンディングを通じて貸付を受けた金額

貸付型のクラウドファンディングで資金を調達した場合、受領した金額は「借入」です。そのため「借入金」として会計処理します。

銀行等から借入を行った場合と会計処理は全く同じです。

その結果、損益計算書への記載はなく、貸借対照表の借入の項目に記載されることになります(通常の借入と同様、1年以内に返済期限が到来するか否かによって、短期借入金、または長期借入金のいずれかに計上されます)。

staff
税務上、借入金は納税額の計算上考慮されません(課税の対象とならず、税金を増やしも減らしもしません)。

手数料

借入型のクラウドファンディングにおいて手数料が発生する場合には、支払った手数料は「一般販売管理費」となります。

その結果、損益計算書では販売管理費の項目に記載されることになります。

staff
税務上、手数料は損金となります。

リターンのための費用

貸付型のリターンは「元利金の支払い」です。

元本は支払った金額だけ現預金が減少し、同時に借入金も減少します。つまり貸借対照表の科目の増減になります。損益計算書では計上されません。

一方で利息は費用計上されます。その結果、損益計算書では営業外損失に「支払利息」として記載されることになります。

付随する費用、銀行への支払い手数料などは一般販売管理費になります。

staff
税務上、元本の返済は課税対象になりません(税金の額は増減しません)。一方で、利息や、その他の費用はいずれも損金となります。

出資型

出資型のクラウドファンディングにおいて会計・税務処理が必要となるのは次の3つの出入金です。

  1. クラウドファンディングを通じて出資を受けた金額
  2. クラウドファンディングサイトの運営者に対して支払う手数料
  3. クラウドファンディングの応募者に対して渡すリターン

クラウドファンディングを通じて出資を受けた金額

出資型のクラウドファンディングで資金を調達した場合「増資」になります。そのため「資本金」「資本準備金」として会計処理します。

エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)等に対して増資を行った場合と会計処理は全く同じです。

その結果、損益計算書への記載はなく、貸借対照表の資本の項目に記載されることになります。

staff
税務上、出資金は納税額の計算上考慮されません。そのため、税金が増減しません。

なお、出資により資本金が増額された場合、登記手数料がかかることや以降の事業税の金額が変わることがあります。

手数料

出資型のクラウドファンディングにおいて手数料が発生する場合には、支払った手数料は「一般販売管理費」となります。

その結果、損益計算書では販売管理費の項目に記載されることになります。

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税務上、手数料は損金となります(課税対象額の計算から差し引かれることになります)。

リターンのための費用

出資型のリターンは「株式」や「新株予約権」です。これらは資本の部に記載されるため、損益計算書には影響ありません。

ほとんど生じないものの株券を発行するなどして費用が発生する場合には株式交付費として費用計上します。

また、通常は事業拡大のための資金調達となるため、繰延資産として計上することもできます。繰延資産として計上した場合には、3年以内に償却します。

費用計上した場合、繰延資産の償却をした場合には、営業外費用として損益計算書に記載されることになります。

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税務上、費用計上した場合には損金となります。また、繰延資産とした場合には計上時点では損金にはなりませんが、償却の際に損金となります。

出資型クラウドファンディングは、資金提供した人が、エンジェル税制を適用できる場合があります。

この税制が適用されることで、お金を出した人の税金が安くなる可能性があります。

通常は運営会社が必要な手続きを進めてくれますが、出資者にはそのようなメリットがあるかもしれないことは覚えておきましょう。

3.まとめ

クラウドファンディングにより資金調達した場合、資金の出入りに応じて会計処理、税務処理が必要になります。
  • 会計処理は、クラウドファンディングの4つの類型によって異なります。
  • 損益計算書に反映される処理を行った場合、税務上の処理も変わってきます(税金が増えたり、減ったり変動します)。

会計処理、税務処理ともに、制度変更がしばしば行われます。

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必ず、その時点で最新の情報に基づいて処理するよう、会計士や税理士などの専門家とよく相談して進めるようにしてください。
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クラウドファンディングは多くの人から、少額ずつの資金を集める仕組みです。

資金を集めようとする人(実施者)が計画(プロジェクト)を立ち上げます。

プロジェクトでは次の項目が示されます。

  • いくら集める予定なのか(目標額)
  • 集めた資金で何をするか
  • 資金を提供した人に何をお返しするのか(リターン)

資金提供者は、このプロジェクトを見て、気に入ったプロジェクトがあれば資金を提供します。

プロジェクトは、クラウドファンディングサイトで開示されます。

つまり実施者と資金提供者をつなぐのが「クラウドファンディングサイト」です。

クラウドファンディングサイトを利用するにはサイトの運営者に対して手数料を支払う必要があります。

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クラウドファンディングサイトの手数料とはどのようなものかを見ていきましょう。

クラウドファンディングサイト(運営者)の役割と手数料

クラウドファンディングサイト(運営者)の役割と手数料

クラウドファンディングサイトの手数料はその運営者が果たす役務の対価です。

クラウドファンディングサイトの運営者の役割とはどのようなことでしょうか。また、その役割の対価となる手数料はどのようなものでしょうか。

クラウドファンディングサイトの役割

クラウドファンディングにおいて実施者と資金提供者をつなぐのがクラウドファンディングサイト(運営者)です。

つなぐ、の内容は2つあります。

  1. クラウドファンディングサイトに実施者のプロジェクトを掲載する
  2. 資金提供者から受領したお金を預かり、実施者に手渡す

プロジェクトの掲載

クラウドファンディングを実施するためにはクラウドファンディングのホームぺージ(クラウドファンディングサイト)にプロジェクトを掲載する必要があります。

プロジェクトがサイトに掲載されることにより、クラウドファンディングが実施されていること、そしてそのプロジェクトに参加する方法が分かります。

資金提供者は、例えばSNSの投稿や知り合いからの直接の連絡によってもクラウドファンディングが実施されていることを知ることはできます。

しかし、実際にクラウドファンディングが実施されているかは、クラウドファンディングサイトに掲載されていることを持って確認することになります。

teacher
「プロジェクトをサイトに掲載すること」が運営者にとって大事な役割の一つです。

資金の決済

クラウドファンディングは、資金提供者からプロジェクトの実施者へと、金銭が移動します。

しかし、この資金移動は、資金提供者とプロジェクト実施者との間で直接行われるのではありません。一度、運営者が金銭を資金提供者から預かり、実施者へと渡されます。

このように間に運営者が入ることは一見、非効率に見えますが、実際にはさまざまなメリットがあります。

資金提供者のメリット

資金提供者からすると、より安心して資金を提供しやすくなります。

資金提供者はクラウドファンディングに応募するに当たり、先にお金を支払う必要があります。先に、とは「リターンを受けるよりも先」にです。

そのため、実施者がリターンを用意できず返金する場合等、なんらかの事情で資金を返済しなければならなくなった場合等に自分の資金が返ってくるのかは非常に重要です。

実施者が広く知られており、自ら信用を勝ち得ている場合には問題ありません。しかしそうではなく、資金提供者にとって初めて名前を聞くような相手である場合には、信頼してよいのか、つまり何かあったときにちゃんとお金が返ってくるのか、という問題が生じます。

信頼してよいのかを調べることは資金提供者にとって手間です。そのため、その手間をかけるくらいなら、資金提供をやめようと思う資金提供者も出てきます。

プロジェクトの実施者と運営者を比較して、より信頼できるのは通常、運営者です。

直接、実施者ではなく運営者にお金を渡すことにより、運営会社の信頼を使うことができます。運営会社の信頼を使うことにより、資金提供者の手間を減らすことができます。
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運営者が一度お金を預かることにより、クラウドファンディングの成功率を高めることができるのです。
プロジェクト実施者のメリット

プロジェクト実施者にとっても、資金提供者から資金を受け取ることは手間です。

金銭を受領した際に、誰からの金銭なのか確認する必要があります。

誰から、とは名前だけではなく、相手の連絡先なども確認する必要があります。なぜなら、連絡先の情報がないとリターンが渡せないからです。また、何等かの理由で返金が発生した際には相手の銀行口座を確認する必要があります。

運営会社が資金提供者を把握することが実施者の手間を減らすことになるのです。
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運営者が一度資金を受け取ることにより、実施者の手間を減らすことになるのです。

その他の役割

サイトの運営者はこのほかにも、サイトの運営するために必要な役割を担っています。

プロジェクトの審査

運営者はクラウドファンディングの申込を審査し、審査を通ったプロジェクトのみをサイトに掲載しています。

teacher
違法だったり、質の低かったりするプロジェクト避けることで、サイトの閲覧者が資金提供するためのハードルを下げる取り組みです。
サポート

審査に通ったプロジェクトの成功率を上げるためのサポートも行っています。プロジェクトの文章の校正や、プロジェクトが拡散される(多くの相手に資金提供を呼び掛ける)ためのアドバイスなどです。

teacher
プロジェクトの成功率を上げることは、運営会社が手数料を受領するために必要な取り組みです。
リターンの管理

プロジェクトが成功した後、応募のあった金銭を実施者に渡すだけではなく、リターンが適正になされるかを管理しています。

リターンがなされないことは資金提供者からすれば詐欺に遭ったようなものです。そのようなことがことがあれば、資金を提供することに二の足を踏むことが予想されます。結果として、資金提供者を減らしてしまうことにつながります。

teacher
運営者は自社サイトに掲載されたプロジェクトのリターンが実施されるよう管理することで自社サイトの評判を守っているのです。
staff
運営会社はクラウドファンディングにおいてさまざまな役割を担っているのです。

手数料の内容と金額の算定方法

運営会社は、その様々な役割のうち、サイトへの掲載および資金決済に伴って手数料を受領します。

この2つの手数料を別々に請求する運営会社もあります。合わせて(一括して)、手数料として請求する運営会社もあります。

クラウドファンディングを行った全ての実施者に対して、サイトへの掲載は行われます。

一方で資金決済は、クラウドファンディングが成功した(目標額の資金が集まった)場合にのみ行われます。

目標額が集まらず、クラウドファンディングが不成立となった場合には、運営会社の預かった資金がそのまま資金提供者へ返還されるためです。

運営会社の手数料はクラウドファンディングが成立した場合にのみ、徴求されます。

staff
クラウドファンディングが不成立になり、資金を受け取れなかった場合には(クラウドファンディングサイトに掲載されたのであっても)手数料を支払う必要がありません。

クラウドファンディングの手数料は、資金提供者が提供した金額に対して割合で請求されるのが一般的です。

例えば調達額の20%が手数料となっている場合、100万円調達すれば、20万円が手数料として運営会社に支払われます。

結果、実施者の手元に残るのは80万円になります。

teacher

ごく一部の運営会社は審査手数料を徴求することがあります。また、サイト掲載、資金決済以外の手数料をオプションとして設定している会社もあります(その手数料の分だけ、プロジェクトへの支援が手厚くなったりします)。

利用するサイトの手数料は事前によく確認しておきましょう。

資金提供者の支払う手数料

クラウドファンディングではこのように実施者が手数料を支払うことが一般的です。しかし、資金提供者が手数料を支払うサイトもあります。

この場合、資金提供者は自分の提供する金額に対して一定の割合で手数料を支払います。

仮に一定の割合が20%だとすると、10万円の資金提供をした場合に、運営者に対して2万円が手数料として支払われ、実施者に対して8万円が支払われることになります。

実施者と資金提供者、いずれが手数料を支払ったとしても、手数料の料率が同じであれば、プロジェクトで調達される金額の総額は変わりません。

staff
実施者がクラウドファンディングの前に計画していた金額を全額調達するためには、自分が支払う手数料だけではなく、資金提供者が支払う手数料についてもよく知っておく必要があります。

手数料の計算方法と手数料の安いサイト

手数料の計算方法と手数料の安いサイト

クラウドファンディングにおいては手数料の支払いが必要となります。

手数料は安ければ安いほど望ましいことは言うまでもありません。

では、どのサイトを使うと手数料を安く済ませることができるのでしょうか。

各サイトの手数料を比較する際、単純に比較することには意味がありません。クラウドファンディングには種類があり、その種類によって、手数料の水準が異なるためです。

teacher
クラウドファンディングにはどのような種類があるのか、それぞれの種類の中で、手数料が安いサイトはどこかを見ていきましょう。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングには2つの種類があります。「金融型」と「非金融型」です。

「金融型」と「非金融型」はクラウドファンディングのリターンが金銭的なものか、金銭以外のものかによって区別されます。

金銭型はさらに、「貸付型」と「出資型」の2つに分かれます。

貸付型とは、資金提供者の提供したお金が、実施者に貸し付けられるものを言います。資金提供者はリターンとして、提供した金額(元本)と、それに対する利息を受領します。

teacher
貸付型には信用リスクがあります。そのため、実施者が倒産するなどリターンの全額が支払われない可能性があります。

出資型とは、資金提供者の提供したお金が、実施者への出資になるものを言います。資金提供者はリターンとして、提供額に見合った株式、新株予約権などを受領します。

teacher
出資型は、リターンである株式や新株予約権が上場会社のものではないため、すぐには換金することができません。それにもかかわらず、出資型が金融型と呼ばれるのは、その株式や新株予約権が、将来実施者が上場したり、買収された際に、金銭を回収できるためです。

非金銭型のクラウドファンディングサイトの手数料

非金銭型クラウドファンディングサイトの手数料の計算方法

非金融型のクラウドファンディングは、プロジェクトが終わり、実施者に資金が振り込まれる際に、その一部を手数料として徴求する料金体系が一般的です。

その一部、は集まった金額に一定の割合(手数料率)をかけて算定されます。

仮に100万円を集め、手数料率が20%である場合、手数料額は20万円になります(つまり、100万円から20万円を差し引いた80万円が実施者に手渡されることになります)。

つまり、手数料が実額として安いことは、そのサイトの手数料が安いことと同じではありません。Aサイトでは手数料が20万円だった、Bサイトでは手数料が10万円だったとしても、Bサイトの方が手数料が安い、とは言えません。

Aサイトの手数料率が10%、Bサイトの手数料率が20%であった場合、Aサイトでは200万円の調達が行えたのに対して、Bサイトでは50万円の調達した行えなかったことになるからです。

比較すべきは、手数料率です。手数料率が少なければ少ないほど、割安なサイトであると言えます。

手数料から見ておすすめの非金銭型のクラウドファンディングサイト

非金銭型のクラウドファンディングにおいて、手数料率が安いサイトと言えば、Kibidangoです。

手数料から見ておすすめの非金銭型のクラウドファンディングサイト

出典:Kibidango

Kibidangoでは調達金額の10%が手数料となります。

teacher
他のサイトの手数料が概ね14-20%であることを考えると、頭一つ抜きんでて安いと言えます。

貸付型のクラウドファンディングサイトの手数料

貸付型のクラウドファンディングの手数料は、組成手数料と管理報酬の2つがあります。

組成手数料

貸付型のクラウドファンディングにおいて、資金提供者は、実施者に対して直接貸付を行いません。サイト運営者の指定するファンドに対して出資することになります。

そして、そのファンドが実施者に対して貸付を行います。

組成手数料とは、このような仕組み(スキーム)を組成し、資金提供者を見つけてきたことに対して実施者がサイト運営者に対して支払う報酬です。
teacher
銀行貸付の場合には、貸出手数料やアップフロントフィーと呼ばれるものに相当します。

維持手数料

もう一つの手数料は、ファンドの維持にかかる手数料です。これを管理報酬と言います。

管理報酬は、ファンドが貸付の利息として取得した金銭の一部を受領することになります。

100万円を10%で貸し付けているプロジェクトでは、1年間の利息は10万円になります。実施者は利息として10万円をファンドに支払います。

一方、ファンドの管理報酬が投資管理している金額(100万円)の1%だとすると、1万円になります。ファンドは利息から1万円を差し引いた9万円を資金提供者に支払うことになります。

このように管理報酬は、実施者ではなく、資金提供者が負担している手数料です。

貸付型のクラウドファンディングサイトにおいて、実施者の支払う組成手数料は、一般には開示されていません。また、実施者の信用によって変わり、貸付の都度、交渉で決められることになります。

teacher
手数料の安い貸付型のクラウドファンディングサイトは自ら調べてみる必要があります。

出資型のクラウドファンディングサイトの手数料

出資型のクラウドファンディングの手数料は実施者が支払います。

staff
手数料は、審査料と取扱手数料の2つがあります。

審査料はクラウドファンディングを開始するときに徴求されます。クラウドファンディングが不成立の(成功しなかった)場合でも返金されません。

これに対して取扱手数料は調達金額に対して割合で発生します。各社ともに20%が基本です。

teacher

2回目以降は割引になる、調達金額が一定水準(5,000万円)を超えた場合には、超えた分の金額については割引になる、といったサイトもあるので、調達金額や回数を考えながら選ぶ必要があります。

手数料のキャンペーンや助成

手数料のキャンペーンや助成

クラウドファンディングの手数料は固定されていて不変、というわけではありません。

コロナによる緊急事態宣言が発令された期間、複数のクラウドファンディングサイトが手数料の引き下げを行っています。

手数料のキャンペーンや助成

出典:パルコ

現時点ではこれがコロナが終息するまでの一時的なものなのか、継続するものなのか、は分かりません。

teacher

いずれにしてもクラウドファンディングの手数料は変動するのです。

そして、できるだけ手数料が安くなったタイミングでクラウドファンディングを実施すべきです。

また、クラウドファンディングの手数料については、行政からの助成金が受け取れるケースもあります。

手数料のキャンペーンや助成

出典:東京都

teacher
このような情報もクラウドファンディングを実施する前にはしっかり押さえておくと、より手数料を気にせずクラウドファンディングを始めることができるでしょう。
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クラウドファンディングで失敗する理由とその対策 https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/whyfail/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/whyfail/#respond Mon, 15 Nov 2021 22:32:42 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5548 資金調達手段としてクラウドファンディングが注目されています。調達に成功したニュースは毎日のように見ることができます。 しかし、これまでの資金調達にも成功と失敗があったのと同じく、クラウドファンディングにも成功と失敗があり...

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資金調達手段としてクラウドファンディングが注目されています。調達に成功したニュースは毎日のように見ることができます。

しかし、これまでの資金調達にも成功と失敗があったのと同じく、クラウドファンディングにも成功と失敗があります。誰がどのようにやっても資金が調達できる、ということはありません。

staff

クラウドファンディングが日本で広まった当初、成功率は5割程度と言われていました。しかし、最近では成功率は3割程度と言われます。

つまり、残りの7割は思うように資金調達ができていないということです。

失敗するには、失敗するだけの理由があります。そして、失敗する理由が分かれば失敗を避けるための方法も分かります。

teacher
では、そもそも、クラウドファンディングにおける失敗とは何でしょうか。

失敗には次の4つの類型があります。

  1. プロジェクトが始まらないまたは途中で挫折する
  2. 目標額が集まらない
  3. 他の方法で調達するよりも経済的な条件で劣った
  4. プロジェクトが炎上した
teacher
それぞれについて、その内容と理由、対策を見ていきましょう。

(失敗その1)プロジェクトが始まらないまたは途中で挫折する

(失敗その1)プロジェクトが始まらないまたは途中で挫折する

どのような失敗か

teacher
クラウドファンディングにおいて一番多い失敗事例はなんでしょうか。

それは、クラウドファンディングをやろうと思ったものの、そのまま挫折して、何も行われなかった事例です。あるいは、クラウドファンディングを始めてはみたものの、すぐに諦めてしまい放置した事例です。

クラウドファンディングという資金調達手段を知って、検討してみた結果、自社には合わないと思って断念するケースは失敗ではありません。

しかし、一度やろうと決めたのに途中でやめてしまうのは避けるべき失敗と言えます。

teacher

クラウドファンディングを一度やると決めた以上、それに関与する人が出てきます。それは自社の従業員であったり、クラウドファンディングサイトの運営者であったり、自社の顧客、ファンであったりします。

途中でやめてしまうことはそのような人たちの期待を踏みにじることになってしまうのです。

失敗の理由は何か

クラウドファンディングが始まらないあるいは挫折する理由は、クラウドファンディングをよく知らずに始めることにあります。つまりイメージが先行している場合です。

イメージと実際が異なる理由はいくつかあります。

想定よりもコストがかる

クラウドファンディングにはさまざまなコストがかかります。

コストとして最も大事なのはクラウドファンディングサイトの運営者に支払う手数料です。

また、資金提供者に供与する返礼(リターン)もコストと言えます。

teacher
これらのコストが判明した時に、予想していたよりも多額である場合でも、そのコストと成果が見合ってさえいれば本来は問題ないはずです。しかし、コストと成果が見合うかを検討する前に、クラウドファンディングを続ける気力がなくなってしまうことも珍しくありません。

想定よりも手間がかかる

クラウドファンディングは運営会社に任せておけば終わるようなものではありません。

運営会社はサポートしてくれるにすぎません。資金提供者を探してくるのは資金調達をもくろむ者、つまりプロジェクトの実施者です。

当資金提供者を募るのには、手間がかかります。

資金を集めるためには文章にせよ、動画にせよ、プロジェクトを理解してもらうための資料が必要です。それらは自分で作成しなければなりません。

また、資金を提供してくれる可能性のある人を探し出し、場合によっては個別に説明する必要があります。

teacher
このような手間も、当初想定していたよりも煩雑になるとクラウドファンディングを続ける気力がなくなってしまうこともあります。

途中経過が思わしくない

クラウドファンディングは数か月かかります。つまりそれなりに長期にわたって行われます。

この期間は、クラウドファンディングを検討し、資金提供者を募集する期間も決して短くありません。

teacher

その期間に、何等か手ごたえがあれば、プロジェクトが進展している実感が持てます。しかし、何ら反応がない場合、これを続けていっていいのか不安になります。

その不安から、クラウドファンディングが続けられないケースもよくあります。

失敗しないための対策

クラウドファンディングが始まらない、または挫折しないためには、どのような対策をしたらよいのでしょうか。

事前によく調べて検討する

クラウドファンディングがそもそもの入り口で止まってしまったり、途中で挫折してしまうのは想定よりも困難であることが分かったからであることが多いです。

そのため、事前にどのようなコスト、手間がかかるのかをよく調べてみてみるべきです。

しっかりとクラウドファンディングを理解し、それならやめようという決断をするかもしれません。それは失敗ではありません。

teacher
しっかりと調べたうえで、それでもクラウドファンディングをやってみようと思うのであれば、途中で出てくる困難も、想定内のものとして乗り越えられる可能性が高まります。

目的を明確にする

クラウドファンディングを続けられない理由の一つは、始めた動機が不明確だからです。

なぜクラウドファンディングを行うのかを明確にしておくことで、途中で挫折することをある程度、回避することができます。

teacher
やめてしまいそうになった時に、初心に戻ってみることができれば、やり続けなければいけない理由も見えてくるでしょう。

失敗の影響を考える

クラウドファンディングが上手く行く見通しが立たないときには、不安から挫折してしまいがちです。見通しが立たず不安になる原因は、進捗している手ごたえがないという場合が多いです。

手ごたえが感じられない場合、クラウドファンディングに失敗すると何が起こるのかを考えてみるべきです。

まずは、資金調達の予定が狂ってしまい、また別の資金調達の方法を考え、取り組む必要があります。

また、既にクラウドファンディングに着手している場合には、これまでの作業やコストが無駄になります。

しかし、それよりも遥かに悪い影響が大きいのが、クラウドファンディングに期待している人の信頼を裏切ることです。会社の従業員がクラウドファンディングに関与している場合には、プロジェクトをやり遂げられなかった経営陣への失望が広がります。また、既に顧客に対して拡散を始めている場合には、その商品に期待している人がいる可能性があります。このような人たちの信頼も裏切ることになります。

teacher
クラウドファンディングに挫折したときの影響を考えれば、何としてもやりきらなければならない、という強いインセンティブになることでしょう。

(失敗その2)目標額が集まらない

(失敗その2)目標額が集まらない

どのような失敗か

クラウドファンディングによる資金調達を目指す場合、目標額を設定します。この目標額が集まらない場合、クラウドファンディングは不成立となり、失敗に終わります。

実施者だけではなく、クラウドファンディングサイトの運営会社にとっても目標額が集まらないことは問題です。なぜなら運営会社は、目標額が集められて初めて、集まった資金の一部を手数料として受け取る仕組みであるためです。

失敗の理由は何か

クラウドファンディングにおいて目標としていた資金が集まらない理由は、そのプロジェクトに応募して資金を提供してくれる人が少なかったことにあります。

クラウドファンディングにおいて応募者が少ない要因は主に三つあります。

  1. 実施者が信頼されてない
  2. プロジェクトが共感されない
  3. 十分に周知されていない

実施者が信頼されてない

実施者を信頼できないプロジェクトに資金を提供する人はいません。

実施者が信頼されるとはどのようなことでしょうか。

最も基本的なところではちゃんとプロジェクトで提示された目的に従って資金を使ってくれるのか、約束したリターンを返してくれるのか、があります。

加えて、自分が応募したプロジェクトが目標の資金を集められるのか、それに賛同したことによって何か不利益を被らないか、など、応募者が実施者に対して不安を抱かないことです。

teacher
クラウドファンディングで成功するためには資金提供者が実施者を信頼することが必要です。

プロジェクトが共感されない

お店で何か買う際に、最も重視するのは商品、あるいはその商品の価格です。

クラウドファンディングでも、お金を出して何が受け取れるのか(つまりリターン)、はとても大事です。

ただし、クラウドファンディングで資金調達するためにはそれだけでは足りません。世の中には、経済的な見返りを求めてお金を出す人もいれば、自分の満足のためにお金を払う人もいるからです。

クラウドファンディングは多くの人からお金を集めることが成功につながります。そのため、この「自分の満足のための資金提供」をどれだけ受けられるかが非常に重要です。

teacher
言い換えると、そのプロジェクトが共感を集められなかったために資金調達が失敗することはよくあります。

十分に周知されていない

クラウドファンディングに応募して資金提供してくれる人は、当然のことながらそのプロジェクトを知っている人です。

クラウドファンディングでは、自社のプロジェクトを知っている人が多いと成功に近づくことができます。なぜなら、そのプロジェクトを知っている人の一部が資金提供してくれるためです。

まず知ってもらわないことには何も始まらないのです。

teacher
この周知が不十分だとプロジェクトは失敗します。

失敗しないための対策

クラウドファンディングでは

何のためにクラウドファンディングを行うのか

の目的を明確にすることが最初に行うべきことです。

その次に

クラウドファンディングの内容を誰にでもわかるように説明できるよう準備する

ことになります。

実施者が信頼を得るための最初のハードルは資金提供者が分からないことを言わない、だからです。また、分からないことに共感する人はいないので、共感を得るためにも、資金提供者に分かるように説明する必要があります。

プロジェクトが分かりやすく説明され、それに共感する人が増えるとプロジェクトが拡散されるようになります。クラウドファンディングを周知するためにはSNSを利用するか、広告を行うか、が一般的ですが、SNSを通じて拡散される方が費用が掛からず望ましいことは言うまでもありません。

自分たちの行うクラウドファンディングが分かりやすいか、共感を得られるのか、は自分で考えただけではなかなか分かりません。

クラウドファンディングを始める前に他人の意見をよく聞いておくことがおすすめです。

teacher
特に、運営会社は多くのクラウドファンディングを見てきていることもあり、客観的にプロジェクトを見られる立場にいることもあり、よく相談してみるべきです。

(失敗その3)他の方法で調達するよりも経済的な条件で劣った

(失敗その3)他の方法で調達するよりも経済的な条件で劣った

どのような失敗か

クラウドファンディングは資金調達を行うことが目的です。しかし、クラウドファンディングを行うにはコストがかかります。

クラウドファンディングを実施した結果、目標の調達額を調達できたとしても、コストが調達額を上回り赤字になってしまうのでは、そのクラウドファンディングは失敗です。

また、赤字にならずとも、調達した資金を十分に活用するために、コストはなるべく少ない方がよいことは言うまでもありません。

一方で資金調達は、クラウドファンディングによらずとも他の方法(銀行からの借入など)によって行うこともできます。

teacher
その際に支払うコストとクラウドファンディングを実施した際のコストを比較して、クラウドファンディングのコストの方がはるかに高いのであれば通常は失敗であったと言えます。

クラウドファンディングを実施した結果、資金調達以外のメリットが会社に生じるのであれば、失敗ではありません。

クラウドファンディングによる資金調達以外のメリットはいくつかありますが、典型的なのは、クラウドファンディングを通じて自社や、自社の商品を知ってもらい、自社のファンを作ることにあります。

失敗の理由は何か

このような失敗が生じる理由はコストを十分に理解していないことです。

まず、クラウドファンディングにはどのようなコストがかかるのか、見ていきましょう。

クラウドファンディングのコストには、次の3つがあります。

  1. リターン
  2. 運営会社に支払う手数料
  3. その他のコスト

リターン

クラウドファンディングで資金を提供してくれた人に対して、対価として渡すものをリターンと言います。

自社の製品などのモノ、あるいはサービス、そして金銭がリターンになります。

クラウドファンディングでは提供してくれた資金に応じてリターンを設定します。

teacher
このリターンはクラウドファンディングで目標とした資金が集まった場合に、資金を提供してくれた人に対して支払うものです。言い換えると、目標とした資金が集まらず、クラウドファンディングが不成立に終わった場合にはリターンは必要がありません。

運営会社に支払う手数料

クラウドファンディングはクラウドファンディングサイトを通じておこないます。このサイトを運営しているのが運営会社です。

運営会社が実施者に提供する役務は二つあります。一つはその運営しているサイトに実施者のプロジェクトを掲載することです。そしてもう一つがプロジェクトに応募した人からお金を預かり、クラウドファンディングが成立した場合(目標額を集めた場合)に実施者に渡すことです。

これら役務の対価として運営会社は手数料を受領します。
teacher
手数料もリターンと同様、クラウドファンディングで目標とした資金が集まった場合に、発生します。
稀に、クラウドファンディングが不成立に終わった場合にも審査料などとして手数料の支払いが発生する場合があります。事前に、手数料を運営会社によく聞いて理解しておきましょう。

その他のコスト

リターンと手数料はクラウドファンディングを行う全ての人が負担するコストです。そしてこの二つのコストは、クラウドファンディングが成立した場合にのみ発生するコスト、という点が共通しています。

実際にクラウドファンディングを行う場合にはこのほかにもコストがかかる場合があります。

teacher
例えば、広告料がこれに当たります。

クラウドファンディングは多くの人にプロジェクトを知ってもらえるかどうかが成立の鍵の一つです。

そして、多くの人にプロジェクトを知ってもらうための方法の一つに広告があります。

クラウドファンディングのために広告をうつことになれば、その分だけ費用がかかります。そして、このような費用はクラウドファンディングが成立してもしなくても支払うべきコストになります。

失敗しないための対策

クラウドファンディングを実施した結果、赤字になってしまったり、他の調達と比較して過大なコストになってしまう原因は、まず、クラウドファンディングを実施する前にコストを十分に把握していないことにあります。

従って、何よりの対策は

クラウドファンディングの実施前にコストをしっかりと把握すること

です。

コストを把握するためには、

  • 事前に把握できるコスト
  • 事前に把握できないコスト

を分けることから始めます。

事前に把握できるコストは「手数料」です。

一方で事前に把握できないコストは「その他コスト」です。

「リターン」は、把握できる部分とできない部分が混在しています。

リターンのうち、事前に把握できるのは、貸付型のクラウドファンディングで支払う「元金」と「金利」などです。一方で把握できないのは、購入型のクラウドファンディングにおける「リターンの製造コスト」などです。

teacher
コストを把握したら、予備費を含めて予算枠を決めておきます。事前に把握できないコストはこの予備費の枠内に収まるようにします。そうすることで想定外にコストが膨らみ、気づいたら大赤字、という事態を避けることができます。

(失敗その4)炎上した

(失敗その4)炎上した

どのような失敗か

クラウンドファンディングでの資金調達が上手くできた、できなかった、いずれも場合でも、プロジェクトが多くの批判にさらされ(炎上)してしまえば、クラウドファンディングは失敗です。

また、クラウドファンディングを行うと、自社のアイディアがまねされたりすることもあります。その結果、会社に損害が生じるのであれば、クラウドファンディングは失敗です。

失敗の理由は何か

クラウドファンディングを実施した結果、炎上したり、自社のアイディアがまねされるなど予想外の損害が発生する理由は、クラウドファンディングを実施することによって自社やプロジェクトの内容が多くの人の目に触れることとなるためです。

多くの人の目に触れれば、都合の悪いことを隠しておくことは難しくなります。

加えて、正当な批判ではなく、ねたみや恨みから、攻撃されることもあります。

teacher
ただ、いずれにしても隙があるがために、損害を招き入れていることは共通です。

失敗しないための対策

資金調達のためには、広く周知されることが必要なので、多くの人の目に触れること自体はむしろ好ましいことと言えます。

しかし、多くの人の目に触れることを意識して、資料を作成し、説明を行うことで、隙を減らすことができます。

つまり、「まねされて困るような情報は公表すべきではない」ということです。その情報がなくとも、プロジェクトの内容が資金提供を検討している人に伝えるような工夫が必要となります。
また炎上は、プロジェクト自体に問題がある、いわゆる初動だけで問題になることはそれほど多くありません。むしろ、初動の小さなミスへの対応が問題を大きくしてしまうケースが多くあります。対応とは例えば、ミスをカバーしようと焦ってしまう、あるいは、ミスで落ち込み、その後の対応がおろそかになってしまう、ことなどです。
teacher
クラウドファンディングは、多くの人の目にさらされていることを意識し、常に冷静である必要があります。それが難しい場合には、事前に相談できる相手(弁護士などの専門家、客観的に自体を見られる家族など)を見つけておくことが自らを救うことにつながるでしょう。
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クラウドファンディングで成功するためのコツ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/howtosuccess/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/howtosuccess/#respond Mon, 08 Nov 2021 22:20:59 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5538 日本ではクラウドファンディングを通じた資金調達は、2020年の1年間で約1,700億円です。 この資金調達額は、前年から微増です。コロナの影響により落ち込むでもなく、また家にいる時間が伸びたからと言って極端に増加している...

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日本ではクラウドファンディングを通じた資金調達は、2020年の1年間で約1,700億円です。

この資金調達額は、前年から微増です。コロナの影響により落ち込むでもなく、また家にいる時間が伸びたからと言って極端に増加していることもありません。ここ数年は、堅調に推移しています。

出典:日本クラウドファンディング協会

2,000兆円を超える金融市場全体から見ればクラウドファンディングによる資金調達はまだまだ少額の資金を扱っている分野にすぎません。しかし、その大半が個人あるいは中小企業の調達によって占められていることから、中小企業の資金調達に当たっては注目すべき方法の一つと言えます。

staff
クラウドファンディングでは「挑戦する」という言葉がよく使われます。これは、成功することもあれば、失敗することもあるということです。

自社の資金調達方法としてクラウドファンディングに取り組む場合、どうしたら成功させることができるのでしょうか。

正しくクラウドファンディングを選ぶ

正しくクラウドファンディングを選ぶ
クラウドファンディングは、群衆を意味するCrowdと、資金調達を意味するFundingを足し合わせた新語です。つまり、多くの人から資金を集める(=資金調達する)ための仕組みです。
teacher
資金調達に多くの方法があるように、クラウドファンディングにもいくつかの種類があります。
  • 寄付型
  • 購入型
  • 融資型
  • 出資型
クラウドファンディングを成功させるためにまず最初にすべきことは、この4つの中から、自社にとって望ましい方法を選択することです。

それぞれのクラウドファンディングはどのようなものか

teacher
4つのクラウドファンディングは、そのリターンとして何を設定するかによって分類されます。

寄付型

クラウドファンディングに応募した人(資金提供者)が対価を求めない、つまりリターンがなくてもよいクラウドファンディングです。

ただし、ほとんどのケースでは何かしらのリターンが設定されています。リターンが資金提供額と著しく見合わない場合には寄付型に含められます。

teacher
社会課題の解決(最近ではマスクを医療機関に配る、など)、映画の製作(この世界の片隅に、など)が典型的な寄付型のクラウドファンディングです。

購入型

クラウドファンディングに応募した人が、その提供する資金と引き換えに商品をリターンとして受け取ることを目的としたクラウドファンディングです。

クラウドファンディングを実施する方からすれば、商品の販売に他なりません。

teacher
街に出れば買えるようなものではなく、今まで世の中にはなかったようなものが多く取り上げられています。

融資型

クラウドファンディングに応募した人の資金により、クラウドファンディングを行う人(実施者といいます)が貸付を受けるクラウドファンディングです。

融資型はリターンとして、元本及び利息を受け取ることができます。一方で、借り入れた事業者が破綻した場合には投資した金額が返ってこない、というリスクも引き受けます。

teacher
融資型のクラウドファンディングはソーシャルレンディングと呼ばれることもあります。

出資型

クラウドファンディングに応募した人が、対象となる会社(実施者)の株主となるクラウドファンディングです。

資金提供時にそのまま株式を受け取って株主になるパターンもあれば、一度株式を受け取れる権利だけを受け取り(これを新株予約権といいます)、後から新株予約権を行使して株主となるパターンもあります。

teacher
出資型のクラウドファンディングのリターンは株式や新株予約権ですが、これらの権利には資金提供時点ではほとんど価値がありません。クラウドファンディングを実施した会社がその後成長し、IPOやM&Aなどを行うことにより、出資した以上の現金を回収できるチャンスが生まれます。

なぜクラウドファンディングの選択が重要なのか

クラウドファンディングの選択が重要なのは、どのクラウドファンディングを利用するかによって、準備すべきこと、資金調達した結果が大きく異なるためです。

準備

寄付型、購入型の場合には、どうやってプロジェクトをより多くの人に知ってもらうか、が何より重要です。

そのため、SNSアカウントを作成し、フォロワーを増やしておくなどの準備が必要となります。

一方、融資型や出資型の場合には自ら宣伝せずともサイトの運営者に資金提供者を集めることは依頼できます。

むしろ、サイトの運営者に選んでもらえることが何より重要になります。そのため、サイトの運営者にクラウドファンディングを行ってもらうための事業計画の立案やその説明資料の作成が必要になります。

teacher
このようにクラウドファンディングの種類によって、すべき準備が異なります。

サイト選び

クラウドファンディングサイトはそれぞれ、得意な分野が異なります。

そもそも寄付型や購入型のサイトでは貸付型や出資型を取り扱っていないため、自分の望むクラウドファンディングを行えるサイトを選ぶ必要があります。

teacher
そのサイトでの取り扱いがあるとしても、得意分野とは異なる領域で始めると応募者を探すのにより苦労することになります。自分の行いたいクラウドファンディングを得意とするサイトで行うことはクラウドファンディングを成功させるために重要です。

リターン

リターンとして何を選択するかはクラウドファンディングの成否、つまり調達できるか否かに大きく影響します。

しかし、リターンはクラウドファンディングが成功し、資金調達した場合には返さなければならない会社の義務となります。

teacher
クラウドファンディングを成功させるために一番望ましいリターンを選ぶだけではなく、その後、そのリターンを実施する負担まで考え併せてリターンとその結果としてのクラウドファンディングの種類を選ぶ必要があります。

同じ種類のクラウドファンディングでも、何をリターンにするかは重要です。

クラウドファンディングを通じて、資金だけではなくその商品の認知度も高まるため、この先自社が主力商品として売っていくものを選択するのと等しいからです。

クラウドファンディングを成功させるためのコツ

クラウドファンディングを成功させるためのコツ

次に、具体的にクラウドファンディングを成功させるためのコツを見ていきましょう。

コツその1 クラウドファンディングを利用する理由を再確認する

クラウドファンディングを成功させる最初のコツは、クラウドファンディングを利用する目的をはっきりさせることです。

利用目的をはっきりさせることにより、次のような効果があります。

  • 適切な資金調達方法を選ぶことができる
  • クラウドファンディングの成功率を高める
  • クラウドファンディングをやり抜くためのよすがとなる

適切な資金調達方法を選ぶ

クラウドファンディングを利用する理由を考えることは、なぜ他の資金調達方法ではなくクラウドファンディングを利用するのかを考えることにつながります。

クラウドファンディングによる資金調達は、従来からの資金調達方法(銀行からの融資、ファクタリング、第三者割当増資など)と比べてメリット、デメリットがあります。

そのため、よく比較したうえで、本当にクラウドファンディングを利用することが望ましいのかを検討する必要があります。

teacher
クラウドファンディングを利用する理由を検討することで、ただクラウドファンディングを利用するだけではなく、どのクラウドファンディングの利用が望ましいかも見えてくるでしょう。また、何をリターンとするクラウドファンディングが自社の資金調達にとって望ましいかも見えてくるでしょう。

クラウドファンディングの成功率を高める

クラウドファンディングの利用目的を再確認することでクラウドファンディングの成功率を高めることができます。

クラウドファンディングは多くの人に知ってもらうことが必要です。自社がクラウドファンディングを行っていることを知った人の一部が資金提供者となってくれるためです。

その際、誰もが疑問に思うのが、なぜクラウドファンディングをしているのだろう、です。

teacher
この疑問にスムーズに回答することがクラウドファンディングへの資金提供者を増やすことにつながります。

クラウドファンディングは、広く拡散することを目指すため、取引先、顧客に対しても自社を知ってもらうことになります。特に、現在の取引先、顧客だけではなく、将来の取引先、顧客に対しても自社を知ってもらうことになります。

目的のはっきりしないクラウドファンディングを実施するとこのような人たちの信頼を損なってしまいかねないことにも注意が必要です。

コツその2 正しく運営会社を選ぶ

クラウドファンディングの利用に当たってはクラウドファンディングサイト、およびその運営者の選定が必要になります。

staff
サイトの運営会社の役割はサイトを提供し、応募者と資金の管理をしてくれることです。つまり、クラウドファンディングを支援してくれる存在です。

運営会社はあくまで支援してくれるのであって、すべてを任せてしまうことはできません。クラウドファンディングとは、あくまで自社が主体的に実施する自社のプロジェクトなのです。

とはいうものの、運営会社はクラウドファンディングが成功することで手数料を得られます(成功しない限り手数料を受け取れません)。そのため、実施者との関係では、同じ目的に向かって進む仲間と言えます。

teacher

そのため、クラウドファンディングの運営会社はどこを選んでも同じかというと、そうではありません。運営会社の選定は、クラウドファンディングの成否を大きく左右する重要な事柄です。

運営会社の選定が重要な理由は3つあります。

運営会社が扱えるクラウドファンディングの種類

運営会社はその運営するサイトによって取り扱っているクラウドファンディングの種類が限定される場合があります。

例えば出資型のクラウドファンディングを行うためには、出資型のクラウドファンディングを行える運営会社を選ぶ必要があります。

これは、出資型のクラウドファンディングを行うためには、運営会社が金融庁への登録を行っている必要があるためです。

teacher
行いたいクラウドファンディングがちゃんと行える運営会社を選ぶ必要があるということです。

運営会社の得意領域

同じ種類のクラウドファンディングを運営していても、運営会社によって得意な領域が分かれます。

例えば、同じ購入型を取り扱う運営会社であっても、目新しい商品が得意な会社、特定の地域に強い会社があるということです。

teacher
行いたいクラウドファンディングを得意としている運営会社を選ぶことがプロジェクトの成功に近づくことなります。

運営会社の支援

クラウドファンディングを行う人(実施者)は多くの場合、クラウドファンディングを始めて行う実施者です。一方で、運営会社は、多数のクラウドファンディングを身近に見てきています。そのため、多くの経験に基づく知識、ノウハウを持っています。

しかも、運営会社はクラウドファンディングを行う人(実施者)と同じ目的に向かっています。

つまり、一番頼りになる相談役と言えます。

teacher
運営会社の知識、ノウハウを十分に活用するためにも、相談しやすい運営会社を選定することは重要です。

コツ3 資金を提供する側の理由を考える

クラウドファンディングは多数の人から資金を集めるプロジェクトです。

そのため、多数の人がなぜ資金を出してくれるのかを考えてみることでより成功率が高まります。

staff
他人が資金を提供してくれる理由は二つあります。一つはリターンに魅力があること、そしてもう一つはこれから行われようとしていることに共感していることです。

リターンの魅力を高める

人が財布のひもを緩める理由は、ほしいものがあるからです。

クラウドファンディングの場合にはリターンが「ほしいもの」であれば資金を提供してもらえます。

金融型の場合にはリターンを上げることは、実施者のコストを増やすことになります。そのため、どこまでコストをかけてでも資金調達したいのかを慎重に検討する必要があります。

一方で、金融型であれ、非金融型であれ、金銭的なリターン以外のリターンを自由に設定できます。そのため、資金提供者が欲しいと思えるリターンの設定を工夫する余地があります。

teacher
リターンの魅力を高めることで、クラウドファンディングの成功確率が高まります。

プロジェクトへの共感を得る

人が財布のひもを緩めるもう一つの理由は、お金を受け取る相手がすることに共感するからです。

寄付型という類型があることからも明らかな通り、必ずしも誰もがリターンを求めて資金提供を行っているわけではありません。

クラウドファンディングを成功させるに当たっては、リターンの魅力を高めることが手っ取り早く合理的です。ただし、それだけがクラウドファンディングの成功にとって必要な要素ではないということです。

teacher
共感するとは、具体的にはクラウドファンディングの成功を共に願うことです。より多くの人の共感を得ることでクラウドファンディングの成功率は高まります。

リターンと共感

staff
リターンの魅力を高めることと、プロジェクトへの共感を得ること、どちらがより重要でしょうか。

これはプロジェクトによって異なります。

寄付型の場合にはリターンが決定的に重要ではありませんが、リターンのみを期待して寄付する人もいます。

一方で金融型の場合にも、リターン以上に共感で資金が集まるケースがあります。

teacher
どちらかではなく、どちらも追及してみるべきです。

まとめ

クラウドファンディングは金融全体からみればまだまだ小さなマーケットです。

しかし、中小企業の資金調達に当たって検討すべき方法の一つになってきています。

クラウドファンディングは何よりもまず、4つの種類(寄付型、購入型、貸付型、出資型)から、何を選ぶのかが重要です。

また、クラウドファンディングを成功させるには3つのコツを抑える必要があります。

  1. クラウドファンディングを行う理由を再度確認する
  2. 運営会社を正しく選択する
  3. 資金を提供する側の理由を考えてみる

クラウドファンディングを検討することは他の資金調達方法について見直すきっかけになります。また、クラウドファンディングを実施して得られることは、単に資金を調達できることだけではありません。

teacher
3つのコツを使ってクラウドファンディングによる資金調達を成功させましょう。
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クラウドファンディングのやり方と手順 https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/crwdprocess/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/crwdprocess/#respond Wed, 29 Sep 2021 00:29:17 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5528 クラウドファンディングとは多数の人からお金を集める仕組みです。 これまでも上場企業であれば、公募増資や社債発行を行うことで多数の人からお金を集めることができました。一方で、非上場企業はこれらが使えず、銀行融資や第三者割当...

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クラウドファンディングとは多数の人からお金を集める仕組みです。

これまでも上場企業であれば、公募増資や社債発行を行うことで多数の人からお金を集めることができました。一方で、非上場企業はこれらが使えず、銀行融資や第三者割当増資等により、一人あるいは少数の人からお金を集めることしかできませんでした。

staff
クラウドファンディングはだれでも利用することができます。そのため、非上場企業にとって新しい資金調達の手段を増やしたことになります。

では、実際にクラウドファンディングを用いて資金調達を行うためにはどのような手順で進めたらよいのでしょうか?

クラウドファンディングによる資金調達に当たって考えるべきこと

クラウドファンディングによる資金調達に当たって考えるべきこと

クラウドファンディングによる資金調達を行う前に検討しておくべきことがいくつかあります。

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実際の手順に進む前に考えておくべきことをまずは見ていきましょう。

資金調達の目的を明確にする

クラウドファンディングを用いた資金調達を検討する際、まず最初に考えなければならないことは、資金調達を行う目的です。

クラウドファンディングは万能ではないため、目的によってはクラウドファンディング以外の手段で資金調達を行うことが望ましいこともあります。また、クラウドファンディングにはいくつか種類があるため、目的によってどのクラウドファンディングが望ましいか、が変わってきます。

そもそも、資金調達の目的が次のようなものであればクラウドファンディングに向いていません。

  • 急いで資金を必要としている
  • 調達した資金を返還するタイミングを会社が選べるようにしたい

クラウドファンディングは資金を調達するまでにある程度(数か月程度)の時間がかかります。また、いつ調達ができるのか、事前に明確に知ることができません

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急いで資金を必要としている場合にはクラウドファンディングではなく、他の方法を検討してみることがおすすめです。

また、クラウドファンディングは返還条件が決まっています

例えば売掛金を回収するまでのつなぎの資金を調達するケースを考えてみます。

売掛金が入金されればその資金は必要なくなります。金利を支払うくらいなら返済すべきです。

しかしクラウドファンディングでは、初めに決められた条件が成就しなければ資金を支援者に返還することができません。この条件は通常、期間であるため、決められた期限まで資金を返済できないことになります。

teacher

短期の資金繰りの一環としての資金調達に、クラウドファンディングは向いていません。

もっと長期的な財務戦略の一つとして検討すべき資金調達方法です。

どうしてもクラウドファンディングを利用すべきなのか

資金調達の目的が定まったところで、他の手段と比較してクラウドファンディングを利用すべきなのかを考えることになります。

他の資金調達方法よりも、クラウドファンディングを優先して検討すべき場合とは、例えば以下のようなものがあります。

  • 他の資金調達方法が使えない
  • クラウドファンディングの利用により、資金調達以外のメリットも見込まれる

他の資金調達方法が使えない

資金調達は必要、でも他の方法が使えない、のであればクラウドファンディングによる資金調達を検討してみるべきです。

他の資金調達が使えない、という状況は銀行などから貸付を断られると発生します。

会社が設立したばかりである、担保がない、過去に貸し倒れを発生させたことがある、など銀行などから貸付を断れる理由は様々です。

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クラウドファンディングは誰でも利用できる仕組みなので、他の方法がだめでもクラウドファンディングをやってみるという選択は常にあります。

資金調達以外のメリットがある

資金を集めるという点ではクラウドファンディングも、従来からある資金調達方法も同じです。しかし、クラウドファンディングにしかない追加的なメリットが発生する場合があります。

他の、つまり資金調達ができる以外のメリットの一つは、クラウドファンディングを通じて自社を多くの人に知ってもらえることです。

また、クラウドファンディングに応募し資金提供してくれた人は会社のファン、応援者になってくれやすいという点も従前からの資金調達では得られなかったメリットの一つです。

人は自分が関与しているものを応援したくなるものです。そのためクラウドファンディングに応募し資金提供した人が自社の製品をSNS等を通じて広めてくれる可能性があります。

teacher
このように、資金調達に加え、クラウドファンディングの持つ、他のメリットを利用したい場合にも、クラウドファンディングを検討すべきです。

クラウドファンディングは望ましいのか

クラウドファンディングを実際に利用する前には、他の資金調達方法、銀行等からの借入のような従来から存在する資金調達方法とクラウドファンディングのどちらが望ましいのか比較して検討してみる必要があります。

クラウドファンディングと他の資金調達方法を比較するポイントは次の二つです。

  1. コスト面からの比較
  2. メリットとデメリットの面からの比較

コスト面からの比較

クラウドファンディングを利用することが既存の資金調達と比べて、コストが安いのであれば、クラウドファンディングを始めやすいといえるでしょう。

クラウドファンディングのコストは

  1. 資金提供者へのリターン
  2. クラウドファンディングサイトの運営者に支払う手数料

の二つがあります。

資金提供者へのリターンとは、資金提供者にクラウドファンディングに応募してもらったお礼または対価として提供するものです。

また、運営者へ支払う手数料はサイトによって名前が異なります。共通して必要となるのはクラウドファンディングサイトの利用料と、送金にかかる手数料です(クラウドファンディングでは運営者が、応募者が提供する資金をいったん預かり、クラウドファンディングの実施者へ振り込みます)。

teacher
いずれのコストについてもクラウドファンディングが成立しなかった場合(つまり目標としていた資金が集まらなかった場合)には発生しません。

メリット・デメリットの面からの比較

クラウドファンディングを利用することにメリットを感じていても、同時にデメリットも想定される場合、やはり従来の資金調達方法とどちらが望ましいかを比較してみる必要があります。

クラウドファンディングを用いた資金調達のメリットは先に説明した通りです。一方のデメリットは2点あります。

    • プロジェクトが公開されること
    • 多数の個人との関係ができること

クラウドファンディングは集めたお金を何に使うのかを明示して資金調達することになります。この何に使うのかをプロジェクトと言います。

クラウドファンディングはより多くの人にプロジェクトを知ってもらうことにより、資金調達を行います。つまりプロジェクトが公開されることになります。

プロジェクトが公開されることにより、同業他社にアイディアを盗まれたり、風評被害を受ける可能性があります。より多くの人に知られれば知られるほど、応援されることもあれば、逆にねたまれることもありうるためです。

また、クラウドファンディングは多くの人から資金提供してもらうことを目的に実施されます。つまり多くの人に資金提供してもらえるよう働きかけ、結果として多くの人との関係が生じます。

関係とは具体的には、プロジェクトの達成状況を報告し、リターンを提供することです。

この報告やリターンの提供は、相手が多くなればなるほど大変です。

クラウドファンディングの中でも何を利用すべきなのか

クラウドファンディングは「金融型」と「非金融型」に分けることができます。

teacher
金融型とは、プロジェクトへの資金提供の見返りとして金銭が期待されているもの、非金融型とは金銭以外のものが期待されているものです。

金融型

金融型はさらに、「貸付型」と「出資型」に分かれます。

貸出型とは、支援者から集まったお金を一度匿名組合に集め、匿名組合からの貸し付けを受けるかたちのクラウドファンディングです。

資金調達する会社からすれば借入の相手が、銀行などから匿名組合に変わることになります。

teacher
この違いは小さくなく、一度借りてしまうと借入の条件について変更するのがとても困難であるなどの影響があります。
出資型とは、支援者が支援した金額の対価として、会社の株式や新株予約権を返礼として受け取ることができるかたちのクラウドファンディングです。

資金調達する会社からすれば出資を受ける相手が、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)から多数の投資家に変わることになります。

teacher
こちらの違いも小さくなく、投資家(株主)が増えると管理コストが高くつく、という影響があります。

非金融型

非金融型はさらに、「寄付型」と「購入型」に分かれます。

寄付型とは、資金提供者に対して気持ち程度の(つまり経済的に価値がない)お礼(リターン)を行うものです。

寄付型は社会課題の解決や、映画の作成などに用いられ、リターンはお礼状であったり、進捗の報告だったりします。

購入型は、資金提供者に提供された資金に見合うだけの商品・サービスをリターンとして提供するものです。

一般の商品販売よりも多数の個人に対して一遍に販売できることがメリットの一つです。そしてもう一つ、通常の商品販売であれば、まだ存在しない商品、つまり開発中の商品は販売することができません。しかし購入型のクラウドファンディングではこのような開発中の商品の販売も行うことが可能です(資金提供者は、商品開発が終わり、販売できる状態になったらその商品を受け取れます)。

クラウドファンディングの具体的な手順

クラウドファンディングの具体的な手順

資金調達の目的が明確になったら、いよいよクラウドファンディングに着手することになります。

それぞれのクラウドファンディングをプロジェクトと言います。

teacher
クラウドファンディング、その中のプロジェクトがどのような手順で進むのかを見ていきましょう。

チームを組成する

まず最初にやるべきことは

クラウドファンディングをやりきるためのチームを組成すること

です。

中小企業の資金調達においては社長が一人ですべての交渉を行うことも珍しくありません。場合によっては経理部長が実務を取り仕切ることもありますが、いずれにしても少人数で対応することとなります。

teacher
クラウドファンディングの場合は、情報を守る必要が少なく、むしろ逆に拡散させることが重要であるため、なるべく多くの社員にチームに参加してもらうことが重要です。

全体がどこに向かって進んでいるかを把握し、書面作成などの実務を回す責任者を決めておくことも必要となります。

運営会社を選定する

クラウドファンディングでは

運営会社を選定する

必要があります。

staff
この運営会社選びはクラウドファンディングの成否を左右しかねない重要なポイントです。

運営会社の実務的な役割

運営会社の実務的な役割は以下の通りです。

  • プロジェクトについて、自社のメディアで宣伝する
  • 資金提供者の情報を把握し管理する
  • クラウドファンディングに応募してきた人から資金をいったん受取り、プロジェクト実施者に渡す
  • 資金提供者に対するリターンを手助けする

運営会社のその他の機能

運営会社は上記の役割を果たすだけではありません。

運営会社は数多くのクラウドファンディングを見てきているプロです。成功のポイントを熟知しています。

また、プロジェクトの成立により手数料を受領できることから、プロジェクトを応援してくれる立場にいます。

そのため、必要に応じてアドバイスしてくれます。

teacher
クラウドファンディングの運営会社はクラウドファンディングを成功に導くための大事なパートナーと言えます。

運営会社の選び方

運営会社を選ぶ際には、事前にその運営会社のサイトを見ておくべきです。

どのようなプロジェクトが多く扱われているのか、いくらくらいの調達案件が多いのか、等、サイトを見て分かることはたくさんあります。

また、実際に決める前に多くの運営会社の話を聞くことがおすすめです。

運営会社は自分で選んで申し込むことによって、その運営会社を使ってクラウドファンディングを行えるわけではありません。運営会社による審査があります。その審査に通って初めて、その運営会社のサイトでクラウドファンディングを行うことができます。

通常、この審査は、申込書面を提出し、書類選考とインタビューにて行われます。

teacher
運営会社は、審査前であっても相談を受け付けていますので、分からないことは何でも聞いたうえで審査に臨むべきです。

プロジェクトの条件を決定する

運営会社が決まったところで、クラウドファンディングの条件を固めます。

条件として定めることは次の事柄です。

  • プロジェクトの成立条件
  • 超過応募の取り扱い
  • リターン

プロジェクトの成立条件

プロジェクトでいくら集めるか(募集金額)

をまずは定めます。

募集金額は多い方がいい、というものではありません。プロジェクトで約束した目標事項を達成するために必要な金額であること、また、リターンを用意できる範囲でなければなりません。

募集金額が決まったところで、

どのような条件でプロジェクトが成立となるのか

を決める必要があります。

これは目標金額まで応募が集まらなかった場合に、集まった金額だけでも受け取るのか(all-in方式と呼ばれます)、募集金額が集まらなければ応募額を受け取らないのか(all or nothing方式と呼ばれます)のどちらかを選ぶことになります。

All-in方式の中には、募集額の一定割合(例えば70%)を超えた場合にのみ、集まった金額を受け取ることができ、それ以下の場合には受け取らないという条件を定めることもあります。

超過応募の取り扱い

プロジェクトの募集金を決めたら、募集金額を超えて応募が集まった場合の取り扱いも定めることになります。

金融型の場合には超過応募は受け取らない(募集金額に至ったところで募集を止める)ことが通常です。しかし、購入型の場合にはリターンを用意できる範囲内で超過応募も受け付けることができます。

この場合には、目標金額1,000万円に対して、調達総額が1,500万円ということも起こりえます。

リターン

プロジェクトに応募して資金提供してくれた人に何を返すのかを定めます。

購入型の場合にはリターンは特定されます。寄付型では複数の返礼の中から応募者が選べるよう条件を定めることも可能です。

金融型の場合には、貸付型であれば利子、出資型であれば株式の発行割合、新株予約権の行使条件を決めることになります。さらに、これらリターンにに加えて、会社のサービスや商品をリターンとして提供することもできます。

リターンが株式や新株予約権である場合、つまり出資型のクラウドファンディングでは、プロジェクト実施者と資金提供者との間で株主間契約が結ばれるケースがあります。

実際に資金提供者それぞれと株主間契約を締結することは煩雑であるため、募集の条件の一つとして株主間契約を規定しておくことも行われています。

資金提供者を探す

運営会社が決まりクラウドファンディングが始まると、次は資金提供者を探すことになります。

運営会社は資金提供者を募るため、自社のメディアに広告を載せるなど、手伝ってはくれます。しかしそれは必要なすべての広告を運営会社にお任せできるという意味ではありません。

運営会社はあくまで手伝いであって、プロジェクト実施者が資金提供者を探してくることになります。

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具体的には、リアルな知り合いに対して、プロジェクトへの支援を呼びかけること、そしてSNS等でプロジェクトについて拡散させることが必要です。

調達された資金を受け取る

クラウドファンディングは応募した人がその都度、応募金額を支払うパターンもあれば、プロジェクトが成功した段階で応募者が資金を提供するケースもあります。

ただ、いずれにしてもその入金は応募者から直接資金調達者に支払うものではありません。

一度、運営会社が応募者から受領したうえで、資金調達者に支払うことになります。

teacher
多数の人からお金を集めると言っても少額ずつ入金があるわけではなく、プロジェクトが成功しない限り資金調達ができません。

プロジェクトの目的に従って資金を使う

集まったお金はプロジェクトの目的に応じて使う必要があります。

プロジェクトの中で、リターンとして金銭の分配に加えて、それ以外のことを約束している場合には当該約束を果たさねばなりません。例えば、資金を使った後の経過報告を行うなどです。

もちろん、金銭は約束した通りに分配する必要があります。

まとめ

まとめ

クラウドファンディングは運営会社の選定から、資金提供者探し、クラウドファンディング成功後のリターンの提供までやるべきことは多岐にわたります。

teacher
あらかじめ、何をいつまでにやらなければならないのかのタイムテーブルを作っておきましょう。

社内の何人かがクラウドファンディングに参加できるのであれば、それぞれの役割も決めておくことが有効です。

クラウドファンディングは大変な上に時間がかかります。

やっている最中に、困難にぶつかることも多くあります。

その際には、なぜクラウドファンディングをやろうと思ったのか、に立ち返ることが重要です。

teacher
そのためにも最初に、なぜクラウドファンディングを行うのかというクラウドファンディングの目的はしっかりと考えて、自分たちが納得できる理由を用意しておくとよいでしょう。
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クラウドファンディングは新しい資金調達手段です。

中小企業は従来から借入や増資により資金調達することができました。しかし、上場企業のように公募増資や社債を発行することによる資金調達の道はほぼ閉ざされていました。そのため、ごく少数の人からしか、資金調達することができませんでした。

クラウドファンディングを利用することで中小企業でも、多数の個人から資金調達することが可能になりました。

またクラウドファンディングを利用することにより、「開発中の商品を販売する」などこれまでにはなかった資金調達も可能となりました。

クラウドファンディングを行うためには

クラウドファンディングを運営する会社のウェブサービス、通称クラウドファンディングサイトを利用する

ことになります。

どのクラウドファンディングサイトを利用すればよいのかは、どのようなクラウドファンディングを行うかによって変わってきます。

teacher
まずはクラウドファンディングの種類を見てみましょう。そして、それぞれにおすすめのクラウドファンディングサイトをご紹介します。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングには4つの種類があります。

  1. 寄付型
  2. 購入型
  3. 貸付型
  4. 出資型

4種類のクラウドファンディング

このうち、1.寄付型と、2.購入型は、資金の出し手が返礼(リターンといいます)として金銭を求めないタイプのクラウドファンディングです。

一方で3.貸付型と4.出資型は金銭的なリターンを求めるクラウドファンディングです。

寄付型

寄付型のクラウドファンディングとは、寄付を募るものです。

一般に寄付とは無償で相手に何かを渡すことを言います。しかし、クラウドファンディングで募集される寄付型はふるさと納税と同様、一定のリターンがなされることが一般的です。

ただし、あくまで無償であることが前提であり、リターンは目的の一部にすぎません。寄付に応募する人はそのプロジェクトの目的に共感しているからこそ寄付を行います。

teacher
そのため、寄付型のクラウドファンディングは社会貢献を目的とするもの(例えば、コロナが蔓延している状況において医療従事者のための花火を打ち上げるなど)が多くなっています。

購入型

購入型とは、会社の商品を販売するものです(購入とは資金を提供する立場から見た言い方になります)。

既に手元にある在庫を販売する場合には在庫金融と同じ資金調達とはなります。

開発中の商品を販売する場合には、商品やサービス提供前に現金を受け取れるという意味で資金調達として機能します。

teacher
クラウドファンディングの中で、一般的に最も認知されているのがこの購入型です。

貸付型

貸付型とは、会社が貸付を受けることとなるものです。

資金調達する方の立場からは貸付人が銀行などからクラウドファンディングの支援者である多数の個人となる点にしか違いがありません(実際には組合形式で資金を集めることから、貸付人は当該組合になります)。

teacher
貸付型のクラウドファンディングはソーシャルレンディングと呼ばれることもあります。海外ではクラウドファンディングの中で、取り扱い金額が最も多いのがこの貸付型です。

出資型

出資型とは、会社が株式または新株予約権を発行するものです。

出資型は貸付型よりも(匿名組合を使うやや煩雑なスキームを用いないだけに)さらに、クラウドファンディングを用いない第三者割当増資と近いものと言えます。

第三者割当増資により出資を受け入れた結果、株主となるのが従前はエンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)だったところ、多数の個人に変わるだけだからです。

teacher
出資型のクラウドファンディングは長らく規制されてきましたが、近年緩和され利用可能となったもので、最も新しい種類のクラウドファンディングです。

それぞれのクラウドファンディングサイトが対応するクラウドファンディングの種類

クラウドファンディングはこのように4種類があるわけですが、クラウドファンディングサイトは3つに分類することができます。

  1. 寄付・購入型
  2. 融資型
  3. 出資型

です。

「寄付型」と「購入型」は同じクラウドファンディングサイトが一緒に扱っているケースが多いのです。

その理由は、二つあります。

一つ目は、クラウドファンディングが日本で広まった際に、寄付型と購入型のクラウドファンディングサイトが先行して広まったことです。

そのため、クラウドファンディングサイトを立ち上げる際には両方を同時に行うことがクラウドファンディングサイトにとって望ましい選択でした。そして、現在でも、そのまま両方を継続して運営しているクラウドファンディングサイトが多いです。

そしてもう一つは、寄付・購入型と、その他(つまり融資型、出資型)とは法規制が異なり、寄付・購入型に適用される規制がかなり緩いことです。

言い換えると、融資型や出資型、つまり金融型のクラウドファンディングサイトを始めるためにはかなり高い法規制をクリアする必要があります。

おすすめのクラウドファンディングサイト

おすすめのクラウドファンディングサイト

寄付・購入型でおすすめのクラウドファンディングサイト

寄付・購入型のクラウドファンディングサイトを選ぶ、最初のポイントは実績の多いサイトを選ぶことです。

実績が多いサイトほど、そのサイトのファンが多いため、プロジェクトの成功率が高まるためです。また、どのようなクラウドファンディングでお金が集まるのかの経験が蓄積されているため、よりよいアドバイスをもらえます。

そして二つ目のポイントは、各サイトにはそれぞれの特徴があるため、自分のプロジェクトに合ったサイトを選ぶことです。

各サイトの特徴はサイトの運営者が意図してブランディングした結果であるケースもあります。また、一つの成功事例が他の同種のプロジェクトを呼び込むような自然発生的なものであるケースもあります。

サイトの特徴というにとどまらず、特定の分野のクラウドファンディングに限って行われるクラウドファンディングサイトもあります。

例えば、地域特化のクラウドファンディングサイトや、特定分野の商品のみに特化しているクラウドファンディングサイトは、自分の始めようとしているプロジェクトと合っているのかを確認してから準備を始める必要があります。

Readyfor

Readyfor

出典:Readyfor

Readyforは日本で最初に立ち上げられたクラウドファンディングサイトです。

その特徴は長期に渡るサイトの運営実績がもたらす経験にあります。

掲載プロジェクト数は2万件、累計支援額は2億円を超えています。サイトに掲載されたプロジェクトが非常に高い達成率を誇っていることも特徴です。

また、Readyforのもう一つの特徴は手数料が安いことです。

手数料はサービスの手数料と、Readyforが支援者から受け取った金額をクラウドファンディングの実施者に渡す決済手数料からなりますが、最低で12%です。

なお、Readyforの料金はクラウドファンディングサイトへの掲載時点ではなく、実際に必要な支援額が集まりプロジェクトが成立した際に発生することも特徴の一つとなっています。

teacher
少額でもいいのでクラウドファンディングでの資金調達に挑戦してみるためにはおすすめのプラットフォームであると言えます。

Makuake

Makuake

出典:Makuake

Makuakeはサイバーエージェントの子会社としてサービスをスタートさせたクラウドファンディングサイトです(その後上場を果たしています)。

寄付型、購入型の両方を取り扱っているものの、寄付型はMakuake Gavermentという別サイトで運営されており(その名の通り、社会性の高い課題に対する寄付を取り扱っており)、本家のMakuakeは購入型に特化しています。

teacher

Makuakeの購入型は、単に形のあるものを販売する、というものだけではなくサービス(例えば会員権など)の販売にも利用されるという特徴があります。

また典型的な購入型(商品の販売)についても、これまで世の中になかったようなモノが多く取り上げられていることが特徴です。

Campfire

Campfire

出典:Campfire

Campfireはこれまでに5.4万件以上のプロジェクトが立ち上がり550万人以上の支援が集まった国内最大級のクラウドファンディングサイトです。

CampfireはGMOペポパを創業して上場に導いた家入一真氏が創業したクラウドファンディングサイトです。

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Campfireはグループ(別ブランド)で金融型のクラウドファンディングサイトを運営しているという特徴もあります。

貸付型でおすすめのクラウドファンディングサイト

貸付型のクラウドファンディングサイトは銀行預金と比べて利回りが高いことから、2現在では、それぞれの掲載案件が投資家からの人気を集めています。

そのため、「クラウドファンディングサイトに掲載してもらえるかどうか」が貸付型のクラウドファンディングを通じて資金調達を行う際にもっとも重要なポイントです。
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掲載されるためには何よりもまず、そのサイトが対象としている貸付案件であることが必要です。それぞれのサイトで対象としている貸付案件の条件は必ずしも明らかではありませんが、募集中の案件を見ることで傾向が分かります。

クラウドバンク

クラウドバンク

出典:クラウドバンク

クラウドバンクは、クラウドバンク株式会社が運用する貸付型のクラウドファンディングサイトです。

クラウドバンク株式会社は傘下に日本クラウド証券という証券会社があります。証券会社の登録(第一種金融商品取引業者としての登録)は要件が厳しいことから、クラウドバンクは証券会社が運用するクラウドファンディングという評判で信用を得ています。

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クラウドバンクを資金調達として利用する場合、太陽光発電関連、あるいは不動産関連の事業者の案件が多いことに注目すべきです。逆に言えば、その他の事業者がクラウドバンクで資金調達を行うことは難しいと言えます。

Bankers(バンカーズ)

Bankers(バンカーズ)

出典:バンカーズ

バンカーズは、株式会社バンカーズが運営を行うクラウドファンディングサイトです。

バンカーズ元々、泰平物産という貸金業を行っていた会社が2019年に社名を変更し、経営陣も入れ替えてスタートしたクラウドファンディングの運用会社です。

2020年の12月にサービスをスタートさせたばかりでありますが、既に11本の貸付を行っています(2021年7月末現在)

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一般の中小事業者を対象とする募集もありますが、その際には商業手形などを担保とする貸付を主に扱っています。

Campfire Owners

Campfire Owners

出典:Campfire Owners

寄付型、購入型のクラウドファンディングを手掛けるCampfireが手掛ける貸付型のクラウドファンディングサイトがCampfire Ownersです。

Campfire Ownersの特徴は、各事業者のプロジェクトごとに借入を行う形式であることです。

そのため、投資家は自分がどの企業に投資するのかを理解したうえで投資することになります。言い換えると、借入する企業は、自社が借入していることを投資家に開示できることになり、投資家に対するプロモーションが行えることになります。

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なお、Capmfire Ownersは借入する企業向けの案内ページが分かりやすく整備されている点も特徴と言えます。

出資型でおすすめのクラウドファンディングサイト

出資型のクラウドファンディングサイトは現状、提供している運営会社が数社しかありません。

その一覧は日本証券業協会のホームページ(株式投資型クラウドファンディング業務を行う金融商品取引業者)から確認することができます。

これまでサイトに掲載され、資金調達を果たした会社もそれほど多くありません。

出資型のクラウドファンディングは他のクラウドファンディングと比べても最近法改正により解禁されたばかりです。そのため、実績が少なく、この先、大きく発展する可能性がある分野と言えます。

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出資型のクラウドファンディングサイトを活用する場合には、できるだけ多くのクラウドファンディングサイトを回ってみることがおすすめです。

以下、その中でも特におすすめのクラウドファンディングサイトをご紹介します。

イークラウド

イークラウド

出典:イークラウド

イークラウドは、イークラウド株式会社が運営会社となる出資型のクラウドファンディングサイトです。

イークラウドの特徴は、掲載案件を厳選していることをアピールしている点にあります。また、投資時点で株主間契約を結ぶこと、投資後もイークラウドが継続して投資先企業の情報開示などに関するフォローを行っていく点に特徴があります。

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第一種少額電子募集取扱業者として金融庁に登録されていることに加え、大和証券との提携をしていることで信用力のあるクラウドファンディングサイトであると言えるでしょう。

Campfire Angels

Campfire Angels

出典:Campfire Angels

Campfire Angelsは購入型、寄付型のクラウドファンディングサイトを運営するCampfireが運営する出資型のクラウドファンディングサイトです。

これまで5件の案件を成立させ、約1億円の調達を行っています。

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他の出資型のクラウドファンディングサイトが出資型に特化しているのと比較すると、Campfireは数多くのクラウドファンディングを手掛けてきた実績が強みであると言えます。

FUNDINNO

FUNDINNO

出典:fundinno

FUNDINNOは、日本クラウドキャピタルが運営する出資型のクラウドファンディングサイトです。

2021年3月時点で成約件数が150件、累計成約額は50億円を超えたことが会社から発表されています。

日本で最初に出資型のクラウドファンディングにかかる登録を行った会社で、日本で最も多く出資型クラウドファンディングサイトして資金を集めている会社です。

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テレビCMを行っていることから、おそらくは日本で最も知名度の高い出資型クラウドファンディングの会社です。
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クラウドファンディングで資金調達するメリットとは https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/cfmerit/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/cfmerit/#respond Tue, 07 Sep 2021 22:43:35 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5499 クラウドファンディングとは「多数の人から資金を調達する仕組み」です。 従来、上場企業など一部の大企業を除き、会社の資金調達はごく少数の相手からなされてきました。 例えば、銀行から融資を受ける場合、初めての融資であれば1つ...

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クラウドファンディングとは「多数の人から資金を調達する仕組み」です。

従来、上場企業など一部の大企業を除き、会社の資金調達はごく少数の相手からなされてきました

例えば、銀行から融資を受ける場合、初めての融資であれば1つの銀行から、2度目の融資以降も付き合いのある銀行から行われてきました。会社の規模が相当大きくなって初めて、複数の銀行から平行して借りることができるようになります。

同様に、第三者割当増資による資金調達を行う場合も、少数の出資者からしか資金が集まりませんでした。ストックオプションの付与により潜在株主が多い会社はあるものの、ほとんどの未上場企業の会社の株主は二桁です。

一方で、上場企業などの大企業は、中小企業も利用できるような従来からの資金調達方法(銀行借入など)も当然利用できます。それに加えて、公募増資や社債の発行により、多くの主体(個人投資家及び金融機関など)から資金を集めることができます。

クラウドファンディングは、中小企業であっても多数の人から資金を調達することを可能にする仕組みなのです。

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多数の人から資金を集めるクラウドファンディングを利用することのメリットとは何でしょうか?

現金収支がプラスになる

現金収支がプラスになる

クラウドファンディングを行うことは現金収支を一時的にせよマイナスするものではありません。もちろん、成功すれば、現金収支はプラスになります。

なぜなら、クラウドファンディングは、成功した後に集まった資金の中から手数料が支払われる仕組みであって、クラウドファンディングの成功前に、資金の流出が生じないからです

クラウドファンディングを成功させるために、広告宣伝費などのコストをかけることがあります。その場合にはクラウドファンディングの成功前に一時的に資金流出が生じ、現金収支がマイナスになります。

しかし、このコストはクラウドファンディングのためだけに使われるコストではなく、会社の知名度を高めるコストの一部になります。

従来の資金調達でも同様に、資金調達により現金収支がプラスになります。銀行からの借入のため銀行に審査を依頼しても手数料がかかるわけではないからです。

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従来の資金調達と比較すると、現金収支がプラスになることは同じでも、以下のような違いがあります。

調達までの過程が可視化される

従来の資金調達は、調達に応じてくれる人(銀行であったり、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)であったり)が、融資・投資の判断をしている間、待っていることしかできません。

審査が順調に進んでいるのか、調達に対して銀行や投資家が前向きなのか後ろ向きなのか、は担当者に個別に聞くくらいしか確認する手段がありませんでした。そのため結果的に審査に落ちて資金繰りに窮する、ことは決して珍しい事例ではありません。

これに対してクラウドファンディングでは、その時点で「何人の人からいくらの資金が集まっているか」が開示されています。

調達目標額500万円に対して、既に100人から300万円が集まっている、ということが一目でわかるように開示されます。

このように、クラウドファンディングでは資金調達までの過程が可視化されているのです。

「調達予定額に対してどの程度が集まるとクラウドファンディングに成功するか」は、最初に設定した条件によります。調達目標額の全額が集まらないと失敗となり資金を手にできない条件を設定する場合もあります。

途中経過はあくまで途中経過で、必ずしもその時に応募されている資金が調達できるわけではないことには注意が必要です。

調達を頑張れる

調達までの過程が可視化されているため、クラウドファンディングでは「途中経過を知る」ことができます。

「目標額にいくら届いていないのか」が分かれば、「あとどれくらい頑張ればいいのか」が分かります。

そのため、目標額に届くまで、自らプロジェクトを宣伝するなど、プロジェクトの成功に向けて努力することが可能です。

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従来の調達では、銀行や投資家が審査している期間、ただ結果を待つだけで、自らできることは何もありませんでした。

そのため、クラウドファンディングの方が従来からの調達よりも「資金調達できた際の達成感が大きい」という経営者もいます。

資金調達の過程が可視化されることの効果はそのクラウドファンディングを頑張れることだけではありません。

クラウドファンディングの状況が思わしくない場合には、他の資金調達に向けて早めに準備を始めることもできます。銀行からの融資を検討したり、別のクラウドファンディングを立ち上げるなどが、結果を待つことなく行えるようになるのです。

多額の資金を調達できる

従来の資金調達方法では、調達できる金額に上限がありました。

銀行からの融資はどこの銀行から借りてもそれほど金額に違いはありません。その規模の会社に対していくらまで貸せるのか、どこの銀行も同じような基準を設定しているためです。

これは、その会社に対して一つの銀行が取れるリスクには限界がある、ということです。

これに対してクラウドファンディングでは、多数の資金の出し手がリスクを分散して負担することになります。一人ひとりの資金の出し手は自分のとれるリスクの範囲内で支援や投資を行います。

さらにクラウドファンディングには資金の出し手の数に限度がありません

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そのため、参加者が増えれば増えるほど調達金額は多額になりえます。その結果、調達できる金額に上限がが存在しないのです。

誰でも使える

誰でも使える

クラウドファンディングは成功しなければ資金調達ができません。しかし、だれでも挑戦することができます

従来からの資金調達は一定の条件を満たす会社以外にはとても使いずらいものでした。

例えば、銀行からの借入では会社の規模、財務状態、あるいは担保の有無等が、融資の判断基準となっています。

会社を設立して間もない会社はこのいずれの基準にも満たないため、銀行からの借入が困難です。また、会社が事業に失敗して立て直しを図りたいときにも、この基準を満たせず資金調達が困難になりがちです。

また、第三者割当増資による資金調達は、親類や知人などの身近な人に対して行われることほとんどです。その他の投資家(エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC))に増資を引き受けてもらえるのは、高い成長が期待できる事業に限られます。

しかし、クラウドファンディングでは多数の人が、それぞれの判断基準に従って資金提供するかどうかを判断します。

その結果、従来からの資金調達方法が使えなかった会社でも、クラウドファンディングを通じて資金調達できるチャンスがあるのです。
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具体的には以下のような会社であっても、クラウドファンディングで資金調達を行うことができます。

銀行等から資金調達を断られた

銀行から融資を断られた、ベンチャーキャピタル(VC)から増資の引受を断られた、など他の資金調達にチャレンジしてみた結果、上手く行かなかった場合でもクラウドファンディングにチャレンジすることができます。

従来の方法での資金調達が上手く行かなかったことは、直接にはクラウドファンディングの成否に影響しません。

資金調達を断ったことを銀行から開示されることはないからです。

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銀行等が資金調達に際して行う判断はクラウドファンディングの支援者、投資家の判断とは異なります。どこの銀行からも融資を断られたとしても、クラウドファンディングでの資金調達をあきらめる必要はないのです。

事業の不確実性が高い

銀行からの融資は不確実性が高い会社、事業には行われません。貸出はリターン(収益)が金利の範囲に限定されるため、リスクが高い場合にはリスク・リターンが見合わないためです。

仮にリスク・リターンが見合っていたとしても銀行は不確実性の高い融資は行いません。

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その結果、担保のある融資は歓迎されます。逆に担保なく資金調達しようとしても、融資に積極的な銀行はほとんどありません。

クラウドファンディングの場合には、それぞれの投資家がリスク・リターンに見合うかどうかを判断します。銀行等では取れないリスクも取ることができます

なお、購入型のクラウドファンディングでは、まだ開発途中の商品を、完成後にリターンとして支援者に渡すことを条件に資金を集めることができます。これは従来であれば担保とならなかった開発中の商品が担保として機能していることを意味しています。

従来からの資金調達方法では調達できなかった

従来、寄付は仕組みや制度としては可能であったものの、実際にはほとんど利用されてきませんでした。クラウドファンディングの中の寄付型は、この寄付を資金調達として利用できる仕組みです。

これまで寄付が資金調達に使われてこなかった理由は、寄付を受ける側(資金調達する会社)が寄付で資金が集まるとは思ってこなかったこと、反対に寄付をする側も、どの会社が寄付を受け付けているのかを知る方法がなかったためです。

とくに寄付を行う側からすると、なにがしかの返戻(リターン)が期待できるのか皆目見当もつかなかったことや、自分の寄付したお金がどのように使われるのかを確認することが手間であったことなどが寄付の障害でした。

クラウドファンディングは「寄付を募る条件」をはっきりと募集の際に記載することにより、寄付する側の疑問を解消しています。
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寄付型のクラウドファンディングも資金調達手段として利用できる可能性があります。

プロジェクトを多くの人に知ってもらえる

プロジェクトを多くの人に知ってもらえる

多くの人から資金を集めるクラウドファンディングに成功するためには、そもそも、会社を多くの人に知ってもらう必要があります。

その会社を知らない人がクラウドファンディングに応募することはなく、知った人の一部がクラウドファンディングに応募して資金を提供してくれる可能性があるからです。

つまり

クラウドファンディングとはいかに多くの人にプロジェクトあるいは資金調達を行う会社を知ってもらうことが成功のカギとなります。

逆に言えば、クラウドファンディングを行うことで、多くの人に会社を知ってもらうことができます

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会社を知ってもらうこと、言い換えると会社の知名度が上がることは様々な面で会社にとってプラスになります。なぜなら、知名度は信用になるためです。

具体的には、営業の面で会社の信用は役に立ちます。知らない会社の商品は買ってよいのか悩むのに対して、知っている会社の商品であれば安心して購入できるというのは誰しも経験しているところです。

あるいは採用においても、知名度のある会社ほど、採用しやすいと言えます。

新規上場の目的として、会社の信用力の向上、具体的には営業の進展や採用の強化、と記載している会社が多くあります。これは上場による知名度の向上が会社の信用に結びついていることの一例です。
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クラウドファンディングで会社を多くの人に知ってもらえることは次のような追加の効果もあります。

出資者からは応援してもらえるようになる

クラウドファンディングを通じて資金を提供してくれた人は、その会社に興味を持ち、好感を持っている人です。

これは商品を買ってくれる顧客が、商品を提供している会社に興味と好感を持っている、ということと似ています。

クラウドファンディングの場合には、資金を提供してからリターンを受け取るまでに時間があります(出資型の場合にはリターンとしての株式や新株予約権はすぐに入手できますが、その株式などが価値を持つまでに時間がかかります)。その時間は会社が製品を開発したり、あるいは、集めた資金を投資して事業を行うために使われるものです。

このリターンを受け取るまでの時間、資金を提供してくれた人は、会社の応援者となります。なぜなら、会社が商品開発や事業を成功させることで、自分にも返礼品が確実に手に届くことや、分配金などが増えるなど、メリットがあるからです。

また、資金受領後の報告やリターンで満足させることができれば、会社の応援者は、その後もSNS等を通じて会社やその商品を宣伝してくれることが期待できます。

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クラウドファンディングは資金調達と同時に、会社の応援者を見つけることができる仕組みです。

普通の人が理解できる説明の練習になる

クラウドファンディングを通じて、多くの人から資金を集めるためには、まず会社を知ってもらうことが必要です。

その際により正しく会社を理解してもらうことができれば、より多くの資金が集まりやすいです。人はなんだか分からないものには財布のひもを緩めないからです。

クラウドファンディングでは、会社を正しく、また、多くの人に理解してもらう必要があります。

少人数に理解してもらうためには一人一人の疑問に向き合い、話し合うことが有効です。しかし、多くの人に理解してもらうためには、一人ひとりと話すのは効率の面で問題があります。

そのため必然的に、文章や図表、映像などにより理解してもらうことになります。

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つまり、クラウドファンディングを通じて、会社を多くの人に正しく理解してもらうための練習を行うことができます。

とくに説明資料を見て、分からない箇所のフィードバックをもらえることが重要です。それを都度直していくことで、より資料の完成度が上がってゆくからです。

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会社を正しく知ってもらう資料は、クラウドファンディング以外の場面でも多くの使い道があります。

資金提供者の意向に左右されにくい

資金提供者の意向に左右されにくい

従来の資金調達方法では、少数の人から資金を調達してきました。少人数から資金調達することの弊害として、資金調達に応じてくれた相手の影響を受けやすい点が挙げられます。

出資であれば

  • 議決権を行使される
  • 少数株主権を行使される

法的にも会社に影響を及ぼす行為を行うことができます。

貸付の場合にも、貸し手側は様々な影響力を持っています。

法的には

  • 貸付契約書に定められた期限の利益喪失を主張する権限

があります。

これは借り手に何か借入を返せない事柄が発生した場合には、その時点で借りている資金を全て債権者に返済するというものです。借り手に発生する事柄とは例えば、破産の申し立て、不渡り手形の発生などです。

この他にも貸し手は法的な権限のあるなしに関わらず、会社に様々な影響を与えます。

株主であれ貸し手であれ、何か権利を行使する理由は、資金調達した側にもあり得ます。事業に失敗した、あるいはその結果、会社の経営が苦しくなった、などです。

しかし、株主や貸し手が行動を起こす理由が、株主や貸し手の側にあることも、ままよくあります。

クラウドファンディングで資金調達することにより、多くの株主、貸し手が存在することとなります。

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しかし、その分だけ株主や貸し手の事情が、より大きく会社に影響を与えることはありません。むしろ少人数からの資金調達よりも、資金の出し手の事情を受けにくくなっています。

なぜなら、そのような事態は収拾がつかなくなるため、あらかじめ株主間契約を締結しておくことや、貸し手が直接会社との間で貸主にならないように匿名組合を間に挟むスキームを採用することで、株主、貸し手が一体として会社に対して影響力を行使するような仕組みが整備されているからです。

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エンジェル税制とは?(エンジェル税制の仕組みと活用法) https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/taxangel/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/taxangel/#respond Wed, 21 Jul 2021 00:23:45 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5450 エンジェル投資の魅力の一つがエンジェル税制を活用できることにあります。 エンジェル税制は税の優遇措置です。エンジェル税制を活用することにより税金の負担が軽くなります。 エンジェル税制は全てのエンジェル投資家が利用できるわ...

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エンジェル投資の魅力の一つがエンジェル税制を活用できることにあります。

エンジェル税制は税の優遇措置です。エンジェル税制を活用することにより税金の負担が軽くなります。

エンジェル税制は全てのエンジェル投資家が利用できるわけではありません。利用のための要件があります。また、エンジェル税制が適用されると全てのエンジェル投資家に税のメリットがあるわけではありません。エンジェル税制が適用されても、税金の負担が全く減らないこともあります。

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上手にエンジェル税制を活用して税金の負担を減らすために、エンジェル税制の仕組みと活用法を理解しましょう。

以下は、2021年3月末の情報に基づいて記載しています。

税制については、常に制度のアップデートが行われています。国税庁、中小企業庁のHP等を参照したり、税理士に確認したりして、最新の情報を確認してください。

エンジェル税制の仕組み

エンジェル税制の仕組み

エンジェル税制とは

ベンチャー企業へ投資を行った個人に対して税の優遇措置が受けられる制度

を言います。

エンジェル税制の適用を受けられるのは個人投資家のみです。

これは最終的に税優遇の恩恵を受けられるのが個人であることを意味しています。

一方で、法人の場合には、エンジェル税制の適用はないものの、「企業のベンチャー投資促進税制」というベンチャー企業へ投資した場合に税優遇を受けられる制度があります。

なぜ優遇措置が受けられるのか

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そもそもエンジェル投資を行うと、なぜ税の優遇措置が受けられるのでしょうか。

ベンチャー企業は成功するとこれまでの生産性、効率性を一気に押し上げたり、生活を便利にしてくれることが期待できます。そのため、多くのベンチャー企業が成功することで国の経済が活性化することが期待されています

ベンチャー企業が成功するために必要なもの(不足しているもの)はいろいろとありますが、起業直後の資金がその不足しているものの一つです。この不足を補うことにより、より多くのベンチャー企業が成功することが期待できます。そしてこの不足を補う方法の一つがエンジェル投資です。

これが税の優遇を行ってまで、国がエンジェル投資を増やそうとしている理由です。

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エンジェル税制は、エンジェル投資を増やすことを目的として設けられている制度です。

このような政策目的を推し進めるための税制は、政策目的が変更されることに伴って変更される可能性があります。

例えば、ベンチャー企業への投資を促進する必要がなくなったと判断された場合には、この税制は廃止される可能性があります。

どのような投資がエンジェル税制の対象になるか

エンジェル税制の対象になるのはエンジェル投資家の行うエンジェル投資です。

具体的には、次の3つの要件に合致しているかでエンジェル税制の対象になるのかが判断されます。

  1. 投資の方法がエンジェル投資と言えるか
  2. 投資家がエンジェル投資家と言えるか
  3. 投資先がエンジェル投資の対象と言えるか

投資の方法がエンジェル投資と言えるか

エンジェル税制の対象となる投資は「株式投資」です。

個人が直接ベンチャー企業の株式を取得する場合を含め、以下の3種類の投資がエンジェル税制の対象となります。

      • 直接投資
      • 認定投資事業有限責任組合経由の投資
      • 認定少額電子募集取扱業者経由の投資
直接投資

個人が直接、ベンチャー企業の株式を取得する場合には、エンジェル税制の適用対象となります。

これに加えて、民法上の組合等へ投資し、その組合がベンチャー企業の株式を取得した場合にもエンジェル税制の適用対象となります。

認定投資事業有限責任組合経由の投資

投資を行う際、ファンドを経由して投資が行われる場合があります。

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ファンドとは、複数の人から資金を預かり、その資金を投資する仕組みです(投資は1社に対して行われることもありますが、複数社に行われることが通常です)。

このファンドを作る方法の一つが、投資事業有限責任組合を用いることです。これは投資事業有限責任組合法に基づき設立される、法人格を持った組合です。

投資事業有限責任組合が経済産業省の認定を受けることで、認定投資事業有限責任組合になります。この認定投資事業有限責任組合にお金を預けることでエンジェル税制の適用を受けることができます。

認定された投資事業有限責任組合の一覧は、中小企業庁のホームページで確認することができます。

2016年にウォーターベイン・テクノロジー1号 投資事業有限責任組合が認定されたのち、2021年5月末現在までに19の投資事業有限責任組合が認定されています。
認定少額電子募集取扱業者経由の投資

クラウドファンディングの一種として、株式投資型のクラウドファンディングが解禁されています。クラウドファンディングの一つ、株式投資型のクラウドファンディングは、複数の人が共同して同じ会社に投資をする仕組みです。

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多数の人が同じ会社に投資するという意味ではファンドと同じです。その違いは、クラウドファンディングを運営する業者がお金を預かることなく、ただ、多数の人の投資をまとめる役割だけを果たすことにあります。

この株式投資型のクラウドファンディングを通じて投資するエンジェル投資家は、クラウドファンディングを運用する事業者が、認定少額電子募集取扱業者であればエンジェル税制の適用を受けることができます。

認定少額電子募集取扱業者は認定投資事業有限責任組合と同様、経済産業省の認定を受ける必要があります。

認定された少額電子募集取扱事業者も、中小企業庁のホームページで確認することができます。

2021年5月末現在、5社が認定されています。

株式投資型のクラウドファンディングを行うためにはそもそも金融庁の認可が必要です。金融庁の認可を受けたクラウドファンディング事業者は6社あります。

その中の1社(AngelFunding)はエンジェル税制の適用がないことに注意が必要です。

投資家がエンジェル投資家と言えるか

エンジェル税制の適用を受けられるのはエンジェル投資家、つまり個人投資家です。

個人投資家の行う投資の中でも一定の投資だけがエンジェル税制の対象となります。この一定の、とうい条件のことを個人投資家要件といいます。つまり、個人投資家要件を満たしたエンジェル投資家の行うエンジェル投資だけがエンジェル税制の対象になります。

個人投資家要件は二つあります。

  1. 対象会社の株式を金銭の払い込みにより取得していること
  2. 同族会社への投資ではないこと
対象会社の株式を金銭の払い込みにより取得していること

エンジェル投資の対象となる未公開企業への投資は、株式投資だけではなく、貸付等により行われることもあります。エンジェル税制の対象となるのは、株式投資のみです。

また、株式投資は、対象となる会社から第三者割当増資により株式を取得して行うほか、既存の株主から株式の譲渡を受けて投資することもできます。このうち、エンジェル税制の対象となるのは、第三者割当増資により株式を取得する場合に限定されます。

なお、第三者割当増資は、株式の発行を受けるのと引き換えに、金銭を出資することもできますが、金銭以外のものを出資することも可能です(金銭以外のものを出資することを現物出資といいます)。このうち、エンジェル税制の対象となるのは、金銭の出資だけです(つまり現物出資はエンジェル税制の適用がありません)。

同族会社への投資ではないこと

自分の経営している会社への投資はエンジェル税制の対象とはなりません。また自分自身でなくても、自分の家族等、近親者の経営している会社への投資はエンジェル税制の対象とはなりません。

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この意味でエンジェル税制の対象になるのか、ならないのかを分ける基準が同族会社であるかどうかです。

具体的には、投資先の会社の上位3位までの株主グループ(個人とその親族等)が投資先の会社の株式等を50%超保有している場合、自分がその株主グループに属しているとエンジェル税制の対象ではなくなります。

投資先がエンジェル投資の対象と言えるか

エンジェル税制の対象となるエンジェル投資と言えるための投資は、ベンチャー企業に対する投資です。

エンジェル税制におけるベンチャー企業となるためには4つの要件をクリアする必要があります。

  1. (1) 中小企業要件
  2. (2) 設立経過年数要件
  3. (3) 外部株主要件
  4. (4) 適用除外要件
(1) 中小企業要件

エンジェル税制が適用されるためには投資先が中小企業でなければなりません

中小企業は中小企業等経営強化法や中小企業基本法といった別の法律でも使われている定義により判断されます。

具体的には、業種毎に、資本金のあるいは従業員数、のどちらかの要件を満たしていれば中小企業と判断されることになります。

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例えば、ITサービスの会社が広く当てはまるソフトウェア業、情報処理サービス業では、資本金が3億円以下、あるいは、従業員が300名以下であれば中小企業になります。
(2) 設立経過年数要件

エンジェル税制が適用されるためには、会社の設立後、時間の経過とともに会社が成長していることが必要です。

時間の経過は年数によって分類されています。設立後1年経過する前、1年経過後2年経過前、という具合です。

会社が成長していることは、通常、会社のプロダクトが順調にマネタイズしていることを指しています。経過年数の要件でも、売上が要件の一つとなっています。

しかし、それだけではなく会社のプロダクトを開発するための準備をしていること、具体的にはそのための人員を確保していることや、費用を投下していることでも要件を満たすことができます。

(3) 外部株主要件

エンジェル税制が適用されるのはベンチャー企業です。

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そのため、大企業の子会社や身内だけで運営されているような会社への投資にはエンジェル税制が適用されません。

大企業の子会社とは具体的には、株主が大企業及びそのグループ会社である場合を言います。大企業とは、資本金が1億円を超える会社です。

そのような大企業が株主にいること自体は問題ありません。その大企業が株式の50%超を保有する場合にエンジェル税制の適用から外れます。

複数の大企業が株式の2/3超を保有する場合にも同様にエンジェル税制の適用がありません。

また、身内だけで運用されている会社とは、株主が本人及び親族等である場合を言います。こちらは、大企業の要件よりも緩和されており、5/6超を同族で保有している場合以外、つまり同族外の株主が1/6いればエンジェル税制が適用されます。

(4) 適用除外要件

国の政策としてベンチャー企業を育成することがエンジェル税制の目的であるため、国として育成を望まない事業を行う会社はエンジェル税制の対象になりません

これは具体的には風俗営業などを行う会社を言います(この中には、キャバクラや一部のメイド喫茶、パチンコ屋などが含まれます)。

投資を検討している会社がエンジェル税制の適用対象であるかを確認するために、中小企業庁に事前確認を行うことができます。

この事前確認を行うと中小企業庁のホームページに確認を行った(結果、エンジェル税制の対象となる)会社として記録されます。つまり外部に公表されることになります。

エンジェル税制の効果と活用法

エンジェル税制の効果と活用法

いつ、税の優遇措置が受けられるのか

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エンジェル税制が適用されるタイミングは二つあります。

一つは、ベンチャー企業へ投資した時、つまり、ベンチャー企業の株式を取得した時です。

そしてもう一つは、投資して取得した株式を売却した時です。

より正確には、取得または売却した年度の税金について優遇措置が受けられることになります(後から説明する通り、効果が数年続くこともあります)。

税の優遇措置の内容とは何か

エンジェル税制が適用された結果、税の優遇措置を受けることができます。

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税の優遇措置とは一言でいえば、税金が安くなることに他なりません。

具体的に何の税金が安くなるのか、その時の税金の計算方法がどうなるのか、は税の優遇措置を受けるタイミング、即ち株式を取得したとき、売却した時、のそれぞれで異なります。

株式を取得したときの税の優遇措置

株式を取得した際の税の優遇措置は、二つあります。

一つは投資した金額を、その年の総所得金額から控除できることです(実際には投資した金額から一定の計算式で減額を行うため、投資額を全てではありません)。

総所得額は税金を計算する際の基準となる金額です。会社に勤めている人がイメージしやすいのは、給料です。

給料が高ければ高いほど、税金は高くなります。しかし、エンジェル税制が適用されるエンジェル投資を行った場合には、その分が総所得金額から控除される結果、総所得額が小さくなり、最終的に税金が安くなります。

そして二つ目は、投資した金額を、その年の株式譲渡益から控除できることです。

株式を譲渡した際、取得価格よりも高額で売れ、利益がでると、その一部を税金として支払う必要があります。エンジェル税制が適用されるエンジェル投資を行った場合には、その分、譲渡益が減り、結果として税金が安くなります。

この二つは両方を同時に使うことはできません。しかし、両方とも使える状態であれば、いずれかを選択することが可能です。

株式譲渡益からの控除ができる場合でも、総所得額からの控除ができない場合があります。この違いは投資した会社が設立後何年経過しているか、によって生じます。

株式を売却したときの税の優遇措置

株式を売却したときの税の優遇措置は、売却により損が生じた場合にのみ適用されます。

teacher
まず、株式を売却した際の基本的な税金の考え方を整理しておきましょう。

株式の売却により損失が発生した場合の税金の処理は上場株式と未上場株式で大きく異なります。

上場株式の場合、株式の売却により生じた損失は、利益と足し合わせることができます(これを損益通算と言います)。ただしここでいう利益とは、利子や配当所得のことです(つまり、株式を売却して得た利益、譲渡益は損益通算の対象とはなりません。

一方で非上場株式の場合、原則として損益通算の制度がありません。

これに対して、エンジェル税制が適用される場合、エンジェル投資により株式の売却損が発生すると、他の株式の譲渡益を、その損失の金額だけ減らすことができます。

さらに、その年の株式譲渡益よりもエンジェル投資の損失が大きかった場合、その損失は3年間、持ち越すことができます。

つまり、次の年、その次の年、さらに次の年、に発生した株式譲渡益があれば、エンジェル投資の損失の金額に至るまで、株式譲渡益を減らし、その分税金を安くできるのです。

エンジェル税制の活用法

エンジェル税制の結果、受けられる税の優遇措置は、投資時点で総所得金額からの控除を選択した場合には、ほとんど全ての人がメリットを享受できます。全く何の収入もなく所得が0円、という人でなければ税金が安くなるためです。

これに対して、取得時に株式の譲渡益からの控除を行うためには、株式譲渡益が発生している必要があります。売却時の売却損についても同様に、株式の譲渡益が発生していなければ税の優遇措置を受けられないとの変わりがありません。

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まり、株式投資を他にもしていなければエンジェル税制を活用することは難しい、ということです。

株式投資の中でも、未上場株式への投資は譲渡益の発生するタイミングを計ることが困難です。なぜなら未上場株式の売却益は、会社がM&Aで買われるか、あるいはIPOして上場株式に変わらなければ発生しません。

M&A、IPOともにいつ起こるのか予測することが難しくエンジェル税制の適用の結果、譲渡損が使えるとなっても、

他の株式の売却とタイミングと合わせることは不可能

と言えます。

一方で、上場株式へ投資している場合には、含み益を認識でき、売却するタイミングも自由に選ぶことができます。

そのため、エンジェル税制をフルに活用するためには、上場株式への投資を行っていることが望ましいと言えるのです。
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エンジェル投資家を探し出資してもらう方法 https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/howtogetangel/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/howtogetangel/#respond Thu, 08 Jul 2021 22:05:09 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5433 事業を始めたばかりの、あるいは事業を始める前の起業家にとって何より必要なのは資金です。ベンチャーキャピタル(VC)と並んで、このようなアーリーステージの起業家に投資してくれる投資家がエンジェル投資家です。 エンジェル投資...

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事業を始めたばかりの、あるいは事業を始める前の起業家にとって何より必要なのは資金です。ベンチャーキャピタル(VC)と並んで、このようなアーリーステージの起業家に投資してくれる投資家がエンジェル投資家です。

エンジェル投資家は個人投資家であるため、数はたくさんいます。しかし、実際に知り合いにエンジェル投資家がいるかといえば、いない人が大半でしょう。エンジェル投資家は必ずしも、表に出てくるとは限らないためです。

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どうやってエンジェル投資家と知り合ったらいいのか、エンジェル投資家から出資を受けるためにはどうしたらいいのかを見ていきましょう。

エンジェル投資家と知り合うメリットとその方法

エンジェル投資家と知り合うメリットとその方法

エンジェル投資家を探すのは、投資家として資金調達を手伝ってもらう(つまりエンジェル投資家に投資してもらう)ためでしょう。

しかし、資金調達を手伝ってくれないエンジェル投資家と知り合うことは無駄にはなりません。エンジェル投資家は資金調達以外にも様々なメリットをもたらしてくれる存在だからです。

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エンジェル投資家を探す具体的な方法をご紹介する前に、エンジェル投資家と知り合うことにどのようなメリットがあるのかを理解しておきましょう。

エンジェル投資家と知り合うメリット

エンジェル投資家から投資を受けることによって事業を立ち上げ、あるいはその事業を成長させることができます。

つまり、エンジェル投資家は起業家の事業を手伝ってくれる存在であるということです。

エンジェル投資家として起業家に投資をしてくれることも起業家にとっては大きな支援になります。しかし、エンジェル投資家が起業家の事業を手伝う方法は、投資することだけではありません。

エンジェル投資家の経験を活用する

エンジェル投資家には自分で事業を行っていた元経営者、あるいは現役の経営者が数多くいます。彼らは事業の進め方について実体験に基づいた経験と知識を持っています。

また、自ら事業経験があるかないかに関わらず、エンジェル投資家としてそれなりの期間、活動していれば多くのスタートアップを見てきています。何をすれば成功し、何をすると失敗するのかを見てきています。

エンジェル投資家と知り合うメリットの一つは、エンジェル投資家の経験に基づく知識をアドバイスとして提供してもらえることにあります。

エンジェル投資家の持つ情報を活用する

エンジェル投資家は、良い投資先を見つけるためにスタートアップの情報を集めています。そのため、スタートアップに関わる情報を多く持っています。

その中にはスタートアップの経営に役立つ情報が多々含まれています。

  • スタートアップとの協業に熱心な大企業はどこか(逆に熱心ではない、あるいは熱心であっても付き合うと手間とコストが見合わない大企業はどこか)。
  • スタートアップで働きたいと思っている人材の中で信頼できる人はだれか。

エンジェル投資家が現役の経営者である場合には、その事業との提携を紹介してくれるケースもあります。

このようなエンジェル投資家の持つスタートアップにまつわる有用な情報は、エンジェル投資家と知り合うことで獲得することができます。

エンジェル投資家のネットワークを活用する

エンジェル投資家同士は知り合いであることが多いです。

そもそもエンジェル投資を始めるきっかけが知り合いからの紹介であることが多く、またエンジェル投資同士で情報を共有することがエンジェル投資家にとって有用なためです。

このエンジェル投資家のネットワークを使わせてもらえることがエンジェル投資家と知り合うメリットの一つです。

エンジェル投資家のネットワークを活用するとは、例えば、エンジェル投資家が、別のエンジェル投資家を紹介してくれることもあります。エンジェル投資家同士のネットワークに組み込んでもらうことができれば、エンジェル投資家を探してアプローチする手間が減るのです。

加えて、同じネットワークでつながっているエンジェル投資家に投資してもらうことで投資家同士の相性に配慮する必要が減ります。

エンジェル投資家と知り合う方法

エンジェル投資家と知り合う方法は、数多くあります。

どの方法を選ぶかによって、どのようなエンジェル投資家と知り合えるかが変わってきます

つまり、何をエンジェル投資家に求めるか(資金提供を迅速に判断してくれればいいのか、その他の経営支援を受けたいのか、等)によってどの方法を使うべきなのかを選ぶべきです。

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起業家がエンジェル投資家を探しているのと同じく、エンジェル投資家もまた起業家を探しています。エンジェル投資家と知り合うことを負担に感じることがあれば、この点はぜひ思い出してください。

知り合いにコンタクトしてみる

エンジェル投資家を探す最も簡単で効率的な方法は

知り合いに、エンジェル投資家の知り合いがいないか聞いてみること

です。

エンジェル投資家と知り合いであれば紹介してもらいます。

また、エンジェル投資家の知り合いがいるいないに関わらず、エンジェル投資に関心がある人がこの機会にエンジェル投資家として投資してくれる可能性もあります。

ここで知り合いとは、親族や友達に限らず、かつて働いていた会社の経営者などを指しています。その会社での働き方が評価されていれば、元の勤め先の経営者から資金提供を受けられる可能性があり、現にそのような調達をしている会社は意外とたくさんあります。

SNSからアプローチする

エンジェル投資の中には、SNSやメディアでエンジェル投資家として活動していることを公開している人も少なくありません。みずからエンジェル投資家であることを公言しているということは、起業家からのアプローチを待っているということでもあります。

そのため、SNSを利用しているエンジェル投資家にメッセージを送り、自ら直接アプローチする方法試してみるべき方法の一つです。

SNSからエンジェル投資家にアプローチする起業家は大勢いるため、必ずしも効率のよい方法とは言えません。しかし、やる気や行動力をエンジェル投資家に伝えるにはSNSからアプローチする方法はとても有効です。

サークルやマッチングサイトに登録する

エンジェル投資家のマッチングサイトは、エンジェル投資家と起業家がお互いに、自分の求める条件にあった相手を探すことができるサービスです。

もちろん、探すだけではなく、条件を記載しておくことで自分を探してアプローチしてもらうこともできます。

マッチングサイトを利用してエンジェル投資家を探すことのメリットは、事前にお互いの条件が合致した相手とマッチングされるため、非常に手間が少なくて済むことです。

反面、マッチングサイトは条件を工夫しないとアプローチが多すぎたり、逆にまったくアプローチされなかったりします。また、アプローチしてくるエンジェル投資家が全て信頼できるわけではなく、そのエンジェル投資家とどの程度、話をすべきか、自分で判断する必要があります。

アクセラレータプログラムに参加する

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自治体や企業などが行っているベンチャー企業の成長を支援するための取組みをアクセラレータプログラムといいます。

アクセラレータプログラムでよく用いられる手法が、メンターと呼ばれる指導者が各スタートアップを担当し、メンターととともにプログラムの目標(プロダクトの開発や事業計画の作成・ブラッシュアップ)達成に向けて努力する(そしてプログラムの最後に成果を発表する)、というものです。

メンターにはスタートアップの支援に詳しい人が選ばれます。エンジェル投資家がメンターに選ばれていることもあります。

そのため、アクセラレータプログラムに応募することは、エンジェル投資家と知り合うための方法の一つとなっています。エンジェル投資家がメンターとなっていない場合でも、メンターがエンジェル投資家を誰一人知らないということは普通はありませんので、紹介してもらうことができるでしょう。

アクセラレータプログラムに参加することは、非常に手間がかかります。応募のための書類作成から始まり、必ずしも自社の成長に関係しないプログラムを強要されることもあるためです。

アクセラレータプログラムに参加してエンジェル投資家と知り合うことは他の方法でエンジェル投資家と知り合うよりも優れた点があります。それはアクセラレータプログラムを通じて知り合うことのできるエンジェル投資家は信頼できる可能性が高いということです。

なぜなら、プログラムで出会う人は、自治体や企業が厳選した人材であることから、信頼できないような人に当たってしまうリスクは非常に少なく、また、その信頼できる人が紹介してくれる人もまた信頼できる可能性が高いためです。

クラウドファンディングを利用する

近年、ベンチャー企業の資金調達方法の一つとしてクラウドファンディングが注目されています。

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クラウドファンディングは多数の個人からお金を集める仕組みです。特に、集めたお金に対する返礼を後から行うことが可能なため、開発している商品が出来上がってから、販売することも可能です。

クラウドファンディングを利用することは直接、エンジェル投資家と知り合う方法ではありません。しかし、クラウドファンディングで支援してくれた人は、その起業家を応援してくれる人であることから、エンジェル投資家となってくれる可能性があります。

クラウドファンディングの類型の一つとして株式投資型のクラウドファンディングが法改正により解禁されました。株式投資型のクラウドファンディングを用いることで、多数のエンジェル投資家にアプローチすることが可能となっています。

メディアやイベントなどで露出する

エンジェル投資家の中には、投資先を自分の基準で探している人も少なくありません。

そのようなエンジェル投資家の目に留まるためには、メディア(自分で立ち上げたブログなども含め)に掲載されることや、イベントに登壇することが有効な方法となります。

イベントには様々な種類のものがありますが、とくに参加しやすいのはピッチコンテストと呼ばれるイベントです。これはベンチャー企業数社が自社の紹介を行い、公募で集められたリスナーがその紹介を聞くイベントです。(自社紹介用の資料を「ピッチ」といいます)。

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ピッチコンテストはコンテストという名前がついている通り、実際に受賞者に特典が渡されるケースもあります。しかし、特典の有無よりも、リスナーの中から自社に興味を持ってくれる人を見つけたり、SNS等を通して自社の存在を広めてくれる人を探すことができます。

紹介してもらう

エンジェル投資家と知り合う最も理想的な方法の一つが、

自分のことをよく知る人からの紹介を受けて接触することです。

この方法の利点は、間に入って紹介してくれる人が、自分のこともエンジェル投資家のことも、両方ともに分かったうえでマッチングしてくれるため、より探している人に近い人と知り合えることにあります。

エンジェル投資家からしても、見知らぬ人から話しかけるよりも、信頼できる知り合いから話を持ち掛けられた方がより話がスムーズです。

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エンジェル投資家を紹介してくれる可能性が高いのは、エンジェル投資家のほか、ベンチャーキャピタル(VC)、そしてエンジェル投資家から投資を受けている起業家です。

出資を受ける起業家と出資をうける手順

出資を受ける起業家と出資をうける手順

エンジェル投資家と知り合ってから、出資に至るまでの具体的な手順について説明する前に、エンジェル投資家はどのような起業家に対して投資しているのかをまずは理解しておきましょう。

これは投資を受ける前にどのような関係をエンジエンジェル投資家と構築しておかなければならないのか、どのようなポイントを訴求すればいいのか、を理解することにつながるためです。

出資を受ける起業家

エンジェル投資家が投資した理由としてよく挙げられるのは以下のようなものです。

知り合い(仲良し)であること

エンジェル投資の行われる最も多い理由は、エンジェル投資家にとって起業家が知り合いだから、というものです。

自分と親しい起業家への投資ほど成功に近い、と考えているエンジェル投資家が多くいます。

エンジェル投資は事業ではなく、人(起業家)だけを見て投資判断がなされることが普通であるため、親しい人ほど、人間性が理解できており投資しやすいと考えられるのです。

また純粋に経済的な利益を求めるのではなく、親しい人の起業を応援したいと考えるエンジェル投資家も相当数存在します。

エンジェル投資家から投資を受けるためには何よりもまず、エンジェル投資家と親しくなることが一番の近道といえます。

やりたいことを明確にすること

「知り合いだから」という理由に次いでエンジェル投資家が投資する理由として多いのが、スタートアップの実現したい世界観に共感したからというものです。

スタートアップの多くが世の中のペイン(誰かが苦痛に感じていること)の解消を目的に設立されています。

この目的に共感してもらうためには、誰がどんな困難を感じているのか、その困難が解消されるとどんなにいいことが起こるのかを明確に言葉にする必要があります。
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起業家が自分の解決したい課題を言葉にすることは、エンジェル投資家から資金調達を受ける場面だけではなく、事業の提携先や、自社の社員を増やしていく際にも役立ちます。

実績を作ること(活動をしていること)

自分の理念を明確に語ることと同じくらい大事なことは、その理念の実現に向けて実際にどのような活動を行っているか、です。

エンジェル投資家の投資事例を見ても、その理念のためにどのような活動を行ってきたのかが大事なポイントになっています。

活動、あるいは実績とは、前職では営業成績を社内で表彰された、というようなことではありません(もちろん、それはそれでアピールポイントになります)。起業家の解決したい課題に対して「どのように関与してきたのか」が実績です。

解決したい課題に対して、どのようにかかわってきたのか、を話せるように準備しておく必要があります。

面識があること

一度も会ったことのない起業家に投資するエンジェル投資はまずいません。

どれだけ情報を集めたところで、実際に会ってみないことには信用できないと考えるエンジェル投資家は当然のことながらまだまだ大多数であるためです。

会ったことがある、というのは会議室で向かい合うことだけを指すのではありません。イベントで登壇しているのを見たでも、何なら飲み会で一緒だった、でも、お互いに顔を合わせて話したという事実が大事です。

もちろん、一対一でじっくり話し合う機会があれば、そちらの方が望ましいことは言うまでもありません。

エンジェル投資家から出資を受けるためには、SNSなどで知り合うことに加え、実際に会ってみる必要があります。

出資を受ける手順

エンジェル投資家から出資を受ける手順のうち、最も大変なのはエンジェル投資家と知り合って、出資することを決めてもらうことです。

それ以降の出資を受ける場合に必要となる手順は、概ね、ベンチャーキャピタル(VC)や事業会社から出資を受ける手順と同じです。

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それはつまり、投資判断に必要となる資料を提出し(デューデリジェンス)、出資条件について交渉したうえで、出資が行われるということです。

しかし、エンジェル投資家のみが必要とする特殊な手続きもあることには注意が必要です。エンジェル投資家から、出資の前に求められることが、不適切な要求である場合もあります。

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何が投資を受けるために必要で、何が必要ではないのか、しっかりと理解しておきましょう。

法人を設立する

エンジェル投資家から出資を受けるためには、出資を受ける受け皿となる会社(法人)が必要になります。

しかし、会社を設立する前に金銭を渡されることはあります。これは基本的には出資にはなりません。

その金銭がどのような意味のお金であるかは後々トラブルとなりがちです。お金を渡してくるエンジェル投資家としっかりと話し合ったうえで、可能な限り、書面(契約書)、それが難しい場合には、メール等で残しておく必要があります。

投資判断のための資料(DD資料)を提出する

投資してもらうためには、投資する側が意思決定するための、つまり投資判断のための資料を投資家に提出する必要があります。

これには会社の登記簿謄本や決算書といった法定の書類のほか、事業計画や資本政策のような会社が作成した資料も含まれます。そして投資判断のために投資家に提出する資料をデューデリジェンス資料、略してデューデリ資料あるいはDD資料といいます。

投資家から開示を求められたにもかかわらず開示しない書類があることは、何かを隠そうとしているのではないかと勘繰られる可能性が高いため、開示を断る際には、開示できない理由を明確にするか、出資を受けるのを断念することも覚悟すべきです。
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また、デューデリジェンスの資料を用意することは面倒なことであるため、後回しにしがちです。しかし、投資する方の立場からすると、資料がすぐに用意されないことは、投資した後に投資家の要求に対応してくれない可能性が高いと判断せざるを得ず、これも理由がない限りは極力避けるべきであると言えます。

一方で、投資家が要求する資料の中には必ずしも投資判断に必要ないものが含まれていることがあります。

そのような要求は、資料の要否を判断したうえで、理由をつけて断り、それでも要求してくる投資家からの出資は受け入れないことも考える必要があります。投資の時点で不合理な要求をしてくるエンジェル投資家は投資したのちも面倒な要求をしてくることが多々あるためです。

エンジェル税制の適用を受けるための準備を行う

エンジェル投資家から出資を受ける際の特殊な要請として、エンジェル税制の適用を受けるための資料を、投資を受ける会社が整えることがあります。

これはベンチャーキャピタル(VC)から投資を受ける際には基本的には発生しない手続きです。

堅実なエンジェル投資家であれば、必要な手続きをしっかり教えてくれます。しかし、大まかな要求を伝えてくるエンジェル投資家も少なくないのが現実です。自分で相談できる税理士がいれば、確認しながら手続きを進めることができます。

エンジェル投資家の使っている税理士を教えてもらい、その税理士にコンタクトしてみることができれば、より望ましいと言えます。起業家が税理士に支払うコストを削減できるのみならず、そのエンジェル投資家が求めているものを正しく理解している専門家であるためです。

出資契約を締結する

投資を受ける際には出資契約書が締結されることが多いです。出資契約書がない場合には会社法の規定に従って株主の権利義務が決まることになります。

出資契約書は出資者が会社法には規定のない権利を求めて締結されることが多く、具体的には次のような事項が定められることになります。

  • 一定の条件での会社による株式の買戻し
  • 起業家の会社に対する連帯責任
  • 一定の行為をする際の投資家の承認の要求

出資契約はエンジェル投資家の都合に合わせて締結されることが多いものの、投資を受ける起業家にとっても必要です。例えば、投資家から要求された事柄について、契約書に記載がないことを理由に断ることができます。

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出資の時点ではエンジェル投資家と起業家の関係は良好です。しかし、時間が経つとすれ違いが生じることはよく起こります。そうなったときに頼れるのは契約書ですから、契約書はしっかりと理解して契約するようにしましょう。

まとめ

エンジェル投資家が見つかり、自分の会社への出資を考えてくれることはうれしいことです。

しかし、エンジェル投資家はただの善意で出資してくれるわけではありません。出資には見返りが期待されており、そのエンジェル投資家が期待する見返りは必ずしも会社の成長にとってプラスではないものも含まれていることがあります。

また、エンジェル投資家は個人であって、様々な人がいます。良いエンジェル投資家もいれば、悪いエンジェル投資家もいます。会社の成長を願うエンジェル投資家もいれば、邪魔するエンジェル投資家もいます。

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エンジェル投資家が見つかったとしても、飛びつくべきではありません。今一度、そのエンジェル投資家と本当に付き合っていっていいのかをよく考えて、調べて、判断すべきです。
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エンジェル投資家におすすめのマッチングサイト https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/angelmatching/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/angelmatching/#respond Thu, 24 Jun 2021 23:55:45 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5391 エンジェル投資家になるための大きなハードルの一つが、投資対象となる起業家と出会うことです。 エンジェル投資家が起業家と出会う方法はいくつかあります。 人から起業家を紹介してもらう 起業家の登壇するイベントに参加して面識を...

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エンジェル投資家になるための大きなハードルの一つが、投資対象となる起業家と出会うことです。

エンジェル投資家が起業家と出会う方法はいくつかあります。

  • 人から起業家を紹介してもらう
  • 起業家の登壇するイベントに参加して面識を得る
  • ホームページやSNS等で起業家を探してコンタクトしてみる

このような方法は手間と時間がかかります。

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簡単に起業家を探す方法、それがエンジェル投資家のマッチングサイトを利用することです。

エンジェル投資家のマッチングサイトとは

エンジェル投資家のマッチングサイトとは

エンジェル投資家のマッチングサイトとは

WEBのサービスとして提供されている、エンジェル投資家と起業家(もしくはベンチャー企業)を結びつけるサービスです。

マッチングサイトの利用方法

エンジェル投資家のマッチングサイトでは、エンジェル投資家と起業家がそれぞれ自分のプロフィールを作成し、相手に求める条件を開示します。この開示により、エンジェル投資家、起業家が双方向で相手を探しだし、アプローチすることができるようになります。

エンジェル投資家は、起業家が、どのような事業領域で会社を成長させていきたいのか、いくらくらいの資金調達を目標としているのか、などを開示しているので、その中から自分の求める起業家を検索することができます。

逆にエンジェル投資家側が、どのような事業領域に投資したいのか、1社当たりいくらくらいを投資したいのかを開示することで、条件に合う起業家からアプローチを受けることができます。

マッチングサイトを利用するメリット

マッチングサイトを利用する最大のメリットは、エンジェル投資家が投資したい起業家に、効率的に出会うことができる点にあります。

個々の投資家にアプローチすることに比べ、自分の求めていない投資家に時間を費やすことを避けることができるからです。

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またマッチングサイトには、自分で企業家を探した場合、あるいは人づてに起業家の紹介を受けた場合には生じないような出会いのチャンスがあります。

マッチングサイトの種類

マッチングサイトに登録している投資家、起業家はそのマッチングサイトごとに特徴があります。その結果、どのマッチングサイトを利用するかによって、出会える相手が変わってきます。

それぞれのマッチングサイトの利用者の特徴は、マッチングにサイトの運営者がどの程度、サイトでの出会いに関与するかによって生じています。

  1. サイトの運営者がエンジェル投資家、起業家の双方にまったく関与しないサイト
  2. サイトの運営者が最低限、開示すべき事項を定めているサイト
  3. サイトの運営者が起業家の選別、投資条件の交渉をしているサイト
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また、最近では、従来のマッチングサイトとは異なる株式型クラウドファンディングのサイトも登場しています。

従来型のエンジェル投資家のマッチングサイト

Founder(ファウンダー)

Founder(ファウンダー)

出典:Founder

Founderはファウンダー(株)が運用する「日本最大級の経営者&投資家マッチングサイト」を謳うマッチングサイトです。

このサイトの特徴は、投資家、資金調達を求める経営者ともに費用をかけずにサイトが利用できる点にあります。

サイトの運営者は、開示すべき事柄の概要を定めていますが、実際に何を記載するかは利用者に委ねられており、自由に考え記載できます。

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Founderは起業前の(事業アイディアの段階での)調達に関する募集が多く掲載されています。

グッドエンジェル

グッドエンジェル

出典:グッドエンジェル

グッドエンジェルは(有)グッドヒルの運営する「投資家と起業家のマッチングサイト」です。2011年のサービス開始から10年以上に渡ってサイトを運営してきている実績があります。

起業家の投稿(投資家へのアピール)は無料で行えますが、投資家からの反応(メッセージの受領)に対して、返信するためには有料会員になる必要があります。

一方で投資家は費用をかけることなく起業家を探すことができます。

グッドエンジェルの特徴として、投資家のランキングが発表されていることがあります。起業家が投資家を判断する手掛かりが乏しい中、投資家が自分に注目を集める(アプローチを受けやすくする)効果が期待できます。

グッドエンジェルは投資家としてエンジェル投資家だけではなくベンチャーキャピタル(VC)が参加している点に特徴があります。

サイトの運営者は開示する事柄の概要を定めていますが、フリーハンドでアピールしたい点を記載できるようになっています。

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グッドエンジェルは個人が起業するにあたっての資金調達に関する募集が多く掲載されています。

Uproom

Uproom

出典:Uproom

UProomは「エンジェル・投資家を探そう」をキャッチフレーズにしたエンジェル投資家と起業家のマッチングフォームです。

姉妹サイトに提携先(ビジネスパートナー)の検索サイトや、取引先の検索サイトがあり、資金調達だけではなく起業家にとって会社を成長させるための出会いを促進しています。

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UProomはサイトの解説から15年以上にわたって運営されてきています。また、サイトだけではなくメールマガジンでの情報発信にも力を入れて取り組んでいることもUproomの特徴です。

エンジェル投資総研

エンジェル投資総研

出典:エンジェル投資総研

エンジェル投資総研は「日本一安いエンジェル投資プラットフォーム」を謳うエンジェル投資家と起業家のマッチングサイトです。

会費は1万円ですが、一度会費を支払うと100年間会員資格が継続するため、年額は100円になります。また実際に起業家と投資家がマッチングした際の成約手数料がかかりません。

2007年からサービスを行っており、長い運営実績があります。

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エンジェル投資総研は投資家の検索はだれでも行えますが、投資家にコンタクトするためには登録が必要になります。一方で、起業家を検索するためには登録が必要になります。

起業家を広く開示していないことから、起業家のニーズにより向き合ったサービスであると言えます。

ANGEL PORT

ANGEL PORT

出典:Angel Port

Angel Portはユニコーンを目指す投資家と起業家をつなぐマッチングフォームです。

ユニコーンは人間がめったに目にすることができないと言われる伝説上の一角獣です。ベンチャー企業に対してユニコーンという場合、時価総額が1千億円以上の会社を指します。

時価総額が1千億円を超えると上場企業の中でもかなり大きな会社となります。

Angel Portはそのようなベンチャー企業になることを目指す起業家(つまり、飲食店などの個人商店の開業ではなく)、高い成長を目指すスタートアップが集まっています。

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Angel Portはエンジェル投資家が実名で登録している点にも特徴があります。本田圭佑氏をはじめ多くの著名なエンジェル投資家が参加しています。

StartupList

StartupList

出典:startup List

StartupLsitは国内最大の起業家・投資家の情報検索サービスです。

スタートアップリストは起業家と投資家がより適切に出会えることを目的としており、特に起業家の情報開示を積極的に進めていることが特徴です。

起業家の登録は無料で行えますが、月5,000円の会費を支払うことで投資家を検索し、連絡を取ることができるようになります。

またスタートアップリストはベンチャーキャピタル(VC)が参加している点にも特徴があります。

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起業家は一度、情報を登録することで、エンジェル投資家のみならずベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達のチャンスも合わせて広げることができます。

エンジェル投資家が利用可能なクラウドファンディング

エンジェル投資家が利用可能なクラウドファンディング

従来型のマッチングサイトには資金調達を希望するベンチャー企業の側から見て、二つの問題があります。

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一つは、マッチングサイトで出会ったエンジェル投資家から資金調達を受けてよいのか、不安が残ることです。

ベンチャー企業の資金調達に当たっては、誰から調達するか、が重要です。投資家は単なるお金の出し手ではなく、口も出します(経営に関与します)。よい投資家は経営を支援してくれますが、わるい投資家は経営の足を引っ張ります。

エンジェル投資家のマッチングサイトはエンジェル投資家と起業家を1対1でつなぐサービスです。そのため、マッチングサイトで出会ったエンジェル投資家が良い投資家なのか、ベンチャー企業側で判断しなくてはなりません

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そしてもう一つは、資金調達の規模が大きくなるにつれて一人のエンジェル投資家からの調達では必要額が満たされない可能性が高くなることです。
ベンチャー企業は必要な資金調達ができないのであればマッチングサイトを利用する意味がありません。

これは、エンジェル投資家にとっても問題があります。自分の投資可能な資金を超えるような多額の資金を必要とする会社には投資できないからです。

クラウドファンディングは、ベンチャー企業、エンジェル投資家の双方をこれらの問題から解放する仕組みです。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングという仕組みは、群衆を意味するクラウドと、資金調達を意味するファンディングを組み合わせた造語です。

クラウドファンディングを利用することにより、必要な金額の調達を、多数の個人から行うことができます。

クラウドファンディングの仕組み

クラウドファンディングは資金を調達したい利用者が、クラウドファンディングの運営会社にプロジェクト単位で申込み、承認されることから始まります。

運営会社により承認される際、条件設定がなされます。具体的には、以下のことを決めておきます。

  • いくら集めるのか
  • 集めたお金で何をするのか(つまり対象となるプロジェクトとは何か)
  • 目標とする金額が集まらなかった場合、または目標とする金額以上が集まってしまった場合にどうするのか
  • プロジェクトに資金提供した人は何を受け取れるのか

運営会社に承認されたプロジェクトは公開され、資金提供者を募ります。

資金提供者はいきなりお金を出すのではなく、まずはプロジェクトに応募します。

資金提供者が多く、プロジェクトを遂行する資金が集まると、お金を受け取ることができ、その一部が運営会社に手数料として支払われます。一方で、必要な資金が集まらない場合にはプロジェクト自体が中止されることになります。

クラウドファンディングの歴史と種類

クラウドファンディングは当初、寄付型購入型からスタートしました。

寄付型とは、プロジェクトを応援するためにお金を渡すことを言います。寄付とは言いつつも、ふるさと納税と同様、実際には何らかの返礼がなされることも多いです。

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具体的な事例としては医師不在の離島に、緊急時の医師派遣を目的としたヘリコプター(いわゆるドクターヘリ)を飛ばす資金を集めるプロジェクトなどがあります(返礼は例えば地域の特産品などになります)。

購入型とは、寄付型の返礼を仕組化したものです。プロジェクトを事業者が行い、その商品が対価となります。通常の商品の購入と異なるのは、まだ存在しない商品を販売し、販売した資金で商品を開発、それを購入者に届けることも可能という点にあります。

クラウドファンディングはその後、法改正を経ることにより、金融商品の組成もできるようになってきました。

はじめに解禁されたのは貸付です。金融機関からの借入に代わって、多数の個人から借り入れを行えるようになりました。これは社債に近い仕組みであるとも言えます。

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そして、近年、株式型のクラウドファンディングが解禁されています。

株式型のクラウドファンディングとは

株式型のクラウドファンディングは、多数の個人が資金を持ち寄って出資する仕組みです。出資とは主に株式を意味します。

投資する個人の側からすると、上場株式はクラウドファンディングの仕組みを使うことなく、購入することができます(上場株式は個人投資家が購入しやすい金額まで細分化されています)。

そのため、株式型のクラウドファンディングは未上場企業への投資への利用が想定されます。

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株式型のクラウドファンディングはエンジェル投資のための制度、ということです。

クラウドファンディングの仕組み自体は、寄付型や購入型と同様です。一点、異なるのは、株式投資型のクラウドファンディングを行うためには運営会社が金融庁へ特殊な登録を行う必要があることです。

エンジェル投資においてクラウドファンディングのメリットとは

エンジェル投資にクラウドファンディングを用いることは、エンジェル投資家、投資を受ける起業家、それぞれにメリットがあります。

エンジェル投資家のメリットは、少額での投資が可能になることです。一人一人の出資額が少なくても、多数のエンジェル投資家が資金を持ち寄ることで企業が必要な金額の投資を行うことができます。

また、投資に当たって投資先の信用を自分だけではなく、運用会社も確認していること、また条件交渉をする必要がないこともメリットです。

特に投資先企業との条件交渉は、運営会社が行ったうえで募集がなされるため、投資家はその条件だけを検討し、不足している情報を要求するのみで投資できることになります。
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一方で投資家のメリットはそれぞれ、起業家のメリットとなります。

起業家からすると、エンジェル投資家の投資可能額には限度があるところ、クラウドファンディングを用いることで、この上限を、投資家が分担して負担することからより多額の資金を調達できる可能性があります。

また、エンジェル投資家から資金調達する場合に個々の投資家と交渉することは起業家にとっても手間です。これがクラウドファンディングの仕組みを利用することにより、運営会社だけとの交渉で済みます。

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なお、株式型クラウドファンディングに投資した場合でもエンジェル税制のメリットを享受することが可能です。

株式型クラウドファンディングの運営会社

株式型クラウドファンディングの運営会社は、日本証券業取引協会のホームページから確認することができます。

株式型クラウドファンディングの運営会社

出典:日本証券業協会

2021年5月末現在、以下の運営者が株式投資型のクラウドファンディングを取り扱っています(以下は、運営会社、日本証券業取引業協会への加入日、運営するサービス名です)。

  • イークラウド株式会社(2020年4月24日)イークラウド
  • SBIエクイティクラウド株式会社(2019年8月15日)GEMESEE Equity
  • 株式会社Angel Funding(2018年10月15日)※サービス準備中
  • 株式会社CAMPFIRE Startups(2017年9月1日)Campfire Angels
  • 株式会社日本クラウドキャピタル(2016年11月1日)Fundinno
  • 株式会社ユニコーン(2019年2月1日)Unicorn
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エンジェル投資家になる方法とは? https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/howtoangel/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/howtoangel/#respond Tue, 15 Jun 2021 22:45:31 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5377 成功前のベンチャー企業に投資する投資家をエンジェル投資家といいます。 エンジェル投資はリスクの高い投資です。投資先のベンチャー企業(投資先)が成功すれば、投資した金額が1円も回収できないことも珍しくありません。 エンジェ...

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成功前のベンチャー企業に投資する投資家をエンジェル投資家といいます。

エンジェル投資はリスクの高い投資です。投資先のベンチャー企業(投資先)が成功すれば、投資した金額が1円も回収できないことも珍しくありません。

エンジェル投資は莫大な収益を得られる可能性のある投資です。投資先が成功すれば、莫大な利益を手にします。また、起業家から深く感謝されることも少なくありません。

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エンジェル投資家になるためにはどうしたらいいのでしょうか。

そもそも投資とは、次のような手順で行われます。

  1. 投資資金を用意する
  2. 投資先を探す
  3. 投資判断のための調査を行う
  4. 投資条件について交渉し、投資を実行する

エンジェル投資も、この手順を踏んで行われることに変わりはありません。投資実行をベンチャー企業に対して行うことでエンジェル投資家となります。

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エンジェル投資家は、さらに、一定の要件を満たすことで税務上のエンジェル投資家となります。税務上のエンジェル投資家になることによって、税務メリットを享受することができます。

エンジェル投資家になる手順

エンジェル投資家になる手順

エンジェル投資家になる手順(その1.投資資金を用意する)

エンジェル投資家になるには、何よりもまず「投資資金を用意する」必要があります。

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必要な投資資金は、何を目的としてエンジェル投資を行うか、によって変わります。

経済的なリターンよりも回収を重視する場合

エンジェル投資はそもそもリスクが高い投資です。

しかし、同じエンジェル投資であっても、投資するベンチャー企業によってリスク量には差があります。

薬の開発を目指す、いわゆる創薬ベンチャーへの投資は、非常にリスクの大きな投資です。薬の開発が成功し市販されるようになれば莫大な利益が生じる一方、その確率はとても低いからです。

これに対して有名店で修業したシェフが自分のお店を持つための開店資金を投資する場合、創薬ベンチャーへの投資と比較すればリスク量は小さくなります(成功する確率が高いと言えます)。一方で、いくらお店が繁盛しても生じる利益には限界があります。

損をなるべく減らしたい場合、後者のようにリターンが低くても、リスクの小さな投資を行うことになります。このような投資は、通常、必要資金が少なくてすみ、百万円、場合によってはそれ以下の資金でもエンジェル投資家になることができます。

経済的なリターンよりもベンチャー企業との関係構築を重視する場合

エンジェル投資は、投資先のベンチャー企業やその創業者(起業家)との(良好な)関係を築きたい場合にも行われます。エンジェル投資により調達するベンチャー企業の起業家からは感謝されることになるからです。

関係を築く目的は様々です。一例として以下のような目的でエンジェル投資がなされることがあります。

  • そのベンチャー企業との取引を行いたい場合
  • そのベンチャー企業の経営者と知り合いで助けてあげたい場合
  • そのベンチャー企業への貢献を行うことでスキルアップしたい場合
投資先との関係構築を目的してエンジェル投資を行う場合、投資額は百万円を下回ることがあります。

経済的なリターンを重視する場合

エンジェル投資で経済的なリターンを得たい場合には数千万円から数億円規模の投資資金が必要になります。

それなりのリターンが期待できる投資先には投資家が集まりがちです。他の投資家ではなく自分を選んでもらう(投資させてもらう)ためには、少なくとも数百万円程度の出資が求められます。

加えて、リスクの高い投資を行うこととなるため、複数の投資(分散投資)が必要になります。

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その結果、必要な投資資金が膨れ上がることになるのです

エンジェル投資家になる手順(その2.投資先を探す)

資金が用意できればエンジェル投資を行う前提が整い、次に投資先を探すことになります。

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投資先は次のような方法で探すことができます。
  1. 起業家、または知り合いなどから投資先の紹介を受ける
  2. エンジェル投資のためのマッチングサイトに登録する
  3. ピッチコンテストなどのイベントに参加する
  4. ネット等で情報を収集し、自分から投資先にアプローチする

自ら探すよりも相手から資金提供を求められる方が手間がかかりません。紹介はもちろんのこと、マッチングサイトへの登録やピッチコンテストは投資先からアプローチされる方法です。

一方でマッチングサイトやピッチコンテストは多くの投資家が同じ情報を知ることとなるため、投資家同士の競争が生じる可能性があります。

エンジェル投資家になる手順(その3.投資判断のための調査を行う)

ここぞという会社が見つかれば、本当にその会社に投資してよいのかを判断するための調査(デューデリジェンス)を行うことになります。

エンジェル投資は、投資するかどうかの判断が何より大事です。

エンジェル投資は一度投資してしまうと、やめることが非常に困難です。上場株式への投資はいつでも(市場価格で)売れるのに対して、エンジェル投資の投資先の株式を処分する方法がほとんどないからです。

投資するかどうか判断するためには投資先を調査して情報を集めるしかありません。

エンジェル投資におけるデューデリジェンスは上場株式への投資の場合のそれとはまったく異なります。

上場株式への投資の場合に真っ先に調査される、投資先の会社や事業内容について情報がない中で投資がなされることも珍しくありません。

理由は三つあります。

  1. 少額分散投資となることから一つの投資にそれほどの手間をかけることは経済的に見合わない。
  2. まだ事業が始まっていないようなケースではそもそも投資先を調べることにさほど意味がない。
  3. 投資先であるベンチャー企業が調査に対応する余裕がない。

一方で上場株式への投資ではそれほど重要視されない経営者の人柄を、最重視しているエンジェル投資家は少なくありません。どう転ぶか分からないベンチャー企業が成功に至るかどうかは、相当の部分が経営者の人柄に左右されるためです。

エンジェル投資家になる手順(その4.投資条件について交渉し、投資を実行する)

デューデリジェンスも終わり投資したい会社を見つけたら、具体的な投資条件に付いてその会社と交渉することになります。

これは国債、社債などの債券や上場株式への投資と大きく異なります。債券や上場株式の場合には取引条件が均一です(つまりどの投資家も同じ条件で投資することになるため、投資条件について交渉する余地がありません)。

エンジェル投資の場合には、取引条件が決まっているわけではないので、投資先と個別に条件を話し合う必要があるのです。

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交渉される条件は多岐にわたります。

最も重要な条件は「投資金額」及び「取得する株式の議決権に占める割合」です。

他にも、投資家側が求める条件として、投資先からの情報開示の頻度と内容、役員派遣の可否、買戻しの有無、投資先との取引を希望している場合には取引条件などが交渉されます。

反対に投資先の会社がエンジェル投資を受け入れる条件として、資金以外の事柄、特に経営の支援を期待している場合にはその支援内容が話し合われます。

この条件交渉がまとまった後、資金実行することにより、エンジェル投資が完了しエンジェル投資家になります。

近年、エンジェル投資の時点で詳細な条件を決めず、後から調整する形の新株予約権による資金調達することもしばしば行われています。このような投資のひな型の一つとしてJ-KISSと呼ばれるスキームが有名です。

エンジェル投資家になる手順(番外編.税務上の要件を満たす)

以上の手順でエンジェル投資を行っても、当然に税務上のエンジェル投資家となるわけではありません。

税務上のエンジェル投資家となるためには、そのエンジェル投資が一定の要件を満たしている必要があります。

加えて、投資したとき、その後投資先の株式を譲渡した時、あるいは投資先が清算した時に、自分で確定申告を行う必要があります。確定申告に当たっては投資先に書面を準備してもらうことが必要となる場合もあります。

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税務上のエンジェル投資家となることが投資の重要な目的の一つである場合には、投資する前に税理士などに、税務上のエンジェル投資家になるかどうか、を確認しておくべきでしょう。

エンジェル投資家として成功する方法

エンジェル投資家として成功する方法

エンジェル投資家になることは投資資金さえ用意できれば、さほど難しいことではありませんが、誰もがエンジェル投資家として成功できるわけではありません。

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エンジェル投資家として成功するためには、エンジェル投資家の投資環境について理解しておく必要があります。また、その環境の中でどうしたら成功する確率を高められるのか、を見ていきましょう。

エンジェル投資家の投資環境

ベンチャー企業はほぼ常に資金を必要としています。

一方で、ベンチャー企業への資金提供はリスクが高く、投資家が多くいるわけではありません。

資金需要があるところに資金の供給者が少ない状態、つまり投資機会が豊富です。

問題は、投資機会は豊富であっても、優良な案件がほとんどないことです。そして優良な案件であればあるほど、多くの投資家が群がります。

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エンジェル投資で成功するためには

  1. 優良案件を探し出すこと
  2. 優良案件でベンチャー企業から選ばれて投資家になること

の2点が必要です。

エンジェル投資ではこの双方に高いハードルがあります。

優良案件を探し出す際のハードルとは

数多くのエンジェル投資案件の中から優良案件を探し出すのが困難であることの背景にはベンチャー企業の情報開示が進んでいないことがあります。

上場企業の場合には、情報開示が進んでいる(法令のほか、上場している証券取引所からも情報開示を求められます)ため、複数の会社を横に並べて自分の投資したい会社を探すことができます。

しかし、ベンチャー企業の情報を複数社分、並べて検討できるようなサービスはほとんどありません。あったとしても、ある程度成功しているベンチャー企業を対象としており、エンジェル投資の対象となるようなベンチャー企業が含まれていることはほとんどありません。

その結果、多くのベンチャー投資案件を一つひとつチェックすることでしか、有望な案件を探せないのです。

ベンチャー企業の情報開示が進まない理由は

  1. ベンチャー企業が情報開示に積極的ではないこと
  2. 情報開示に積極的だとしてもハードルがあること

の2つです。

ベンチャー企業が情報開示に積極的ではない理由

そもそも情報開示をしたいという意思が、そもそもないベンチャー企業も多数存在しています。

その理由は様々ですが、情報開示を行うことがベンチャー企業にとってメリットが少なく、相当のデメリットがあることです。

例えば、ベンチャー企業によってはアイディアが強みであり、開示して他社にまねされると取り返しのつかない損害となる可能性があります。
ベンチャー企業が情報開示に積極的であっても実際には情報開示がなされていない理由

情報開示をしたいという意思はあっても、情報開示ができていないベンチャー企業もあります。

ほとんどのベンチャー企業では人手が不足しており、実際に情報開示を行う人や時間を確保すること難しいからです。

また、量としては十分な情報開示が行われていても、ベンチャー企業の共通の開示様式が存在しないため、各社ばらばらの開示がなされている結果、他社との比較は困難になっています。

ベンチャー企業から選ばれるハードルとは

ベンチャー企業は資金を必要としているものの、お金を出してくれるのであれば誰から調達しても同じ、ということはありません。

そのため、必要な資金を調達できそうであれば、投資家の中から誰に投資してもらうかを選ぶことになります。

このようにベンチャー企業が投資家を選別する理由は二つあります。

投資家にかかるコストとリスク

ベンチャー企業側からすると「株主の数はできれば少なくしたい」のが本音です。

その理由は二つあります。

一つは、株主が増えると管理の手間が増えるためです。

例えば、株主総会の通知を送付する先が増えたり、株主に会社の状況を説明するのに時間を取られたりします。

そしてもう一つは、株主が増えれば増えるほど、情報漏洩のリスクが高まるためです。

株主には経営の情報を開示する必要がありますが、株主がその情報を秘密にしておいてくれる可能性は株主の数が増えるにしたがって低くなります。

株主の数を減らすためには、一人の投資家当たりの投資金額が大きい方が望ましいです(二人の投資家から100万円ずつ、計200万円を調達するよりも一人の投資家から200万円を調達する方がいい、ということです)。

投資家側からすると、投資先のベンチャー企業から選ばれてエンジェル投資家になるためには、より多くの金額を投資できる方が有利、ということです。
会社への寄与

会社としては、なるべく会社へ貢献してくれる人に投資家になってほしいと考えます。

会社への貢献の分かりやすい例は

  • 営業の支援をしてくれる(取引先を紹介してくれる)
  • プロダクトの開発を手伝ってくれる
  • 資金調達先を見つけてきてくれる

などです。

会社へより高い価格で投資してくれる投資家も、その分だけ他の投資家よりも多く支援してくれていることになります。

エンジェル投資家に対して会社が割り当てる株式は、持ち株割合に応じて、将来の会社の収益を受け取ることのできる権利です。

持ち株割合10%ということは、この会社が将来1億円の利益を出せば、その10%である1千万円を受け取れることになります。

持ち株割合10%をいくらで投資すれば受け取れるかは投資家と投資先が交渉する事柄です。ある投資家は2千万円、別の投資家は3千万円の投資をしたいのであれば、3千万円投資してくれる投資家が選ばれやすいことになります。

ハードルを乗り越える方法

エンジェル投資をする際に、優良投資先を探し出すことは簡単なことではありません。また優良投資先から投資家として選んでもらうことも簡単なことではありません。

この二つのハードルは、広く、信頼できるエンジェル投資家との評判を得ることによってまとめて解決できます。そのような評判があれば、他の投資家に先んじて投資先の情報を取得でき、また投資先から選ばれやすくなるためです。

具体的にエンジェル投資家として知名度を高め、評判を得るためには、一人でも多くの起業家を支援し、実績を出すことが一番の近道です。なぜなら起業家、そして起業を目指す起業家予備軍同士のネットワークが存在するためです。

エンジェル投資家として成功を目指すには、まずは起業家のネットワークに入り込むことから始めるべきです。
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エンジェル投資家はどのような配当・リターンを期待できるのか? https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/angelreturn/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/angelreturn/#respond Wed, 09 Jun 2021 01:16:11 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5365 エンジェル投資は投資先の経営支援や営業上のつながり等、様々なことを考慮して行われることも少なくありません。 しかし、エンジェル投資も投資の一つである以上、投資したお金と回収したお金の差額(これを投資リターン、あるいは単に...

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エンジェル投資は投資先の経営支援や営業上のつながり等、様々なことを考慮して行われることも少なくありません。

しかし、エンジェル投資も投資の一つである以上、投資したお金と回収したお金の差額(これを投資リターン、あるいは単にリターンといいます)がどのくらいになるのかは重要です。

エンジェル投資に限らず、株式投資でどの程度のリターンを期待できるか、は難しい問題です。貸付や債券のように利回りが確定している金融商品とは異なり、投資先の概況、また市場の動向の影響を強く受けるためです。

上場企業の株式への投資であれば、公表されているIndex(TOPIXや日経平均など)などからどの程度のリターンを得られるかを分析することができます。個々の会社の株価も過去分まで含めて開示されているのため、こちらを分析することもできます。

一方でエンジェル投資の対象となる未公開株式については投資リターンを分析するための情報が非常に限られています

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エンジェル投資ではどのくらいのリターンが得られるのでしょうか。

エンジェル投資でリターンを得る方法

エンジェル投資でリターンを得る方法
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一般的に株式投資ではどのようにリターンを得らえるのかを見ていきましょう。そして、それぞれのリターンを得る方法がエンジェル投資ではどのように生じるのか、生じないのかを見ていきましょう。

株式投資でリターンを得る方法

株式投資でリターンを得る方法は3つあります。

  1. 清算配当を受け取る
  2. 配当を受け取る
  3. 保有する株式を売却する

清算分配を受け取る

会社が存続することを断念した場合、会社は清算されます。

ベンチャー企業が事業をやめる理由はいくつかあります。

当然、事業が上手く行かず、これ以上やってもダメだと思ってやめるケースもあります。その場合であっても、資金が続かず事業を断念するケースもあれば、早い段階で見切りをつけることもあります。

会社の清算は会社の持っている資産を全て換金することから始まります。そして、そのお金で債権者への支払いを行います。

つまり従業員の給料を支払い、借りているお金があればそれを返済します。

それでもなおまだお金が残っていれば株主に分配されます。これを清算時に行われる分配であることから「清算分配」といいます。

清算分配を受け取ることが株式投資でリターンを得る方法の一つです。

しかし、エンジェル投資においては、ベンチャー企業を清算する際に、債権者へお金を支払ってまだ会社にお金が残っているのは非常にまれなケースです。清算分配で投資資金を回収できることはほとんど期待できないのです(少なくとも、当初投資額を超える回収を行える可能性はまずありません)。

このように、エンジェル投資は清算分配を期待できません。

M&Aにより、買収側の事業会社が株主から株式を買い取るのではなく、会社から事業を買い取る場合には、投資した以上のお金が分配されることがあります。

配当を受け取る

このように株主は会社から「清算分配」を受け取ることができます。

しかし、清算する前であっても、一定の財産を会社に残した上で会社の収益を株主に分配することができます。この分配を「配当」と呼びます(この前提あるいはその計算式を配当の財源規制といいます)

配当を受け取ることで投資資金の一部を回収することができます。配当の額によっては、投資資金を全額回収し、それ以上のリターンを得ることができることもあります。また、後から述べる他のリターンに配当額が足されることでリターンを上昇させることもできます。

@配当受け取ること」が株式投資でリターンを得る方法の二つ目です。

しかし、エンジェル投資家が投資するようなベンチャー企業で配当がなされることはまずありません

配当を行うためには、会社が収益を上げている必要があります。その収益の一部を投資家に渡すことが配当であるからです。この収益をあげているベンチャー企業はほとんどないのです。

加えて、ベンチャー企業は将来の成長のために、投資家から調達資金を利用することを目指しています。仮に少し収益が出たとしても、それを株主に配って終わりにするのではなく、その収益をさらに事業に用いることで、さらなる成長を目指しています。

このように、エンジェル投資は通常、配当を得ることを期待できません。

保有している株式を売却する

投資したベンチャー企業が成長すると、その会社に投資をしたい投資家が増えます。また、そのベンチャー企業の事業を欲しがる事業会社も出てきます。

これらの新しくそのベンチャー企業への関係を作りたい人に対して、持っている株式を売却する機会が生まれます。売却することができれば、投資資金を回収でき、リターンを得ることができます。

清算分配や配当が見込まれないエンジェル投資でリターンを出す方法は、投資して取得した株式を売却することです。

保有する株式を売却する方法とは

エンジェル投資でリターンを出すためには、投資して得た株式を売却する必要があります。

ところが、株式を売却する相手を自分で見つけてくるのは相当困難です。また、売却価格が低く抑えられがちです。

そのため、株式の売却は大半が「IPOやM&Aといったイベントが発生したタイミング」で行われます。

IPOによる株式の売却

IPOは株式の上場のことを指します。

株式が上場すると、その上場した市場内で株式が自由に売買されることになります。エンジェル投資家もその保有している株式を売却できるようになります。

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会社がIPOするためには、非常に長い時間がかかります。会社の事業が成功していて、それを証券会社、証券取引所が審査して認めてもらう必要がありからです。
市場での売却は、市場価格(マーケット価格)で行われることとなります。市場価格はIPO前に株式を売却するよりも高い値段が付きやすです。これは、上場することにより会社の知名度が上がり、会社の事業の中身を理解して株式を購入したい投資家が増えることによるものです。

M&Aによる株式の売却

M&Aは、事業会社によるベンチャー企業の買収です。

M&Aにより事業会社がベンチャー企業の株式を買い取る場合もあれば、ベンチャー企業の事業を買い取り、ベンチャー企業がその受け取った対価を株主に分配して会社を清算することもあります。

買収の対価が取得会社の株式である場合もありますが、取得会社が上場企業であれば、その株式を市場で売却し、現金を回収することができます。

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M&AはIPOに至るよりも、投資してから短期間で実現することが多くあります。なぜなら、M&Aでは、まだ成功していない企業であっても、その将来性を見て買われることがあるためです。
M&Aによる株式の売却も、個々の株主が自分の持ち株を売却するよりも高い価格が付きやすいです。

投資先の会社またはその経営者による株式の買取

エンジェル投資家の投資を売却によって回収する方法にはもう一つパターンがあります。それは投資先の会社、あるいは経営者などに株式を買い戻してもらうことです。

株式の買戻しは会社や経営者との合意に基づいて行われます。事前に合意しておく方法、つまり投資時の条件として、事業が上手く行かなかったときに株式の買戻しを約束しておく方法もあります。

投資先の会社またはその経営者による株式の買取には二つ問題があります。

一つは、合意に基づいて行われるものであるため、投資先の会社またはその経営者が嫌がれば(合意しなければ)、買取は行われないということです。

そしてもう一つ、会社もしくは経営者に買戻しの意思があったとしても、会社にもその経営者にも買取るだけのお金がないことが大半であり、お金がなければ買取ることができないことです。

エンジェル投資ではどのくらいのリターンを得られるのか

エンジェル投資ではどのくらいのリターンを得られるのか
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次にエンジェル投資ではどのくらいのリターンが得られるのかを見ていきましょう。

エンジェル投資のリターンを考える前提

投資のリターンは、目の前にいくつかの投資候補があった際、その中のどれに投資すればよいかを判断するための重要な手がかりです。

しかし、投資を検討する際、投資リターンだけで判断すべきではありません

投資リターンと同時に、次の二つを検討する必要があります。

  1. 投資がどのくらいの確度で成功するか(成功確率)
  2. 投資が成功するのはいつか

投資のリターンには「実現損益」と「未実現損益」の二つがあります

  • 実現損益とは、投資した資金が回収されたときに認識されます。
  • 未実現損益とは、投資した資金が回収されるよりも前に、投資の価値が変動した際に、その差分を損益として認識します。

仮にA社に100万円投資し、その投資の価値が200万円になれば、差額の100万円を未実現益と考えるものです。

ベンチャーキャピタル(VC)はしばしば未実現利益を計上しています。これは会計規則に定められた方法で計上するもので、ベンチャーキャピタル(VC)への投資家はその利益を取り込むことができます(取り込まない投資家もいます)。

しかし、エンジェル投資家の場合には未実現損益を、参考数値、以上の意味で考慮する必要がありません。

ベンチャーキャピタル(VC)の投資家である会社は、投資が上手く行っているのかどうかを自社の経営者、ひいては株主に説明する必要があります。しかし、エンジェル投資家は個人で自分のお金を運用しているため、その必要がありません。結果として、投資した金額と、配当、売却、清算等により受領した現金のみでリターンを考えればいいのです。

成功確率

エンジェル投資は非常にリスクの高い投資です。その意味するところは、成功した時に大きなリターンが得られる一方、失敗した時の損失もまた大きく、その可能性も高い、ということです。

より確実性の高い、上場企業の社債への投資と比較してみます。ある社債が期間1年、利回りが1%だとします。100万円買えば1年後に1万円のリターンを得ることができます。

一方で、エンジェル投資は成功することもあれば、失敗することもあります。

あるベンチャー企業の株式に、5年後に投資額の5倍が回収できると期待して投資したとします。期待通りに回収できればリターンは5倍(500%)になります。

しかし、何も返ってこないで終わる可能性もあります。そのため、この投資と、先ほどの社債を比較して、この投資の方がリターンが高いと判断すべきではありません。

どうやって比較すればいいのでしょうか。

リスクの高い投資は成功確率を加味して計算します(成功確率を加味して計算したリターンを期待リターンといいます)。

先の例で投資が1%の確率で成功するのであれば、期待リターンは500%の1%で5%になるということです。

いつリターンを得られるのか

投資のリターンを考える際に、どれだけのリターンが得られるのかと同じかそれ以上に重要なことは、いつ、そのリターンを得られるか、です。

同じリターンが得られるのであれば早ければ早い方がよい投資になります。

100万円を投資して、来月1万円のリターンが得られる(101万円返ってくる)のと、1年後に1万円のリターンが得られるのでは、前者の方が望ましいということです。

上場企業の株式への投資は、いつでも好きな時にその株式を売却してリターンを確定させることができます。一方でベンチャー企業の株式への投資はその株式を売却することは困難で、M&Aが成立したり、IPOしたりするまで売却することができません。

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上場企業の株式への投資と比較すると、エンジェル投資は回収が遅くなります。

分散投資

エンジェル投資家は、1社に投資して成功することを祈っていることもできます。しかし、複数のベンチャー企業に投資してその中のどれかが成功することを祈ることもできます。

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複数の会社に投資することを「分散投資」といいます。

投資したベンチャー企業が投資時の想定通りに成長し成功することは多くありません。しかし、分散投資を行うことで、想定していたそれぞれのリターンと期間の平均に近づいてきます

エンジェル投資ではどのくらいのリターンを期待できるのか

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エンジェル投資は、実際にはどのくらいのリターンが期待できるのでしょうか。

個々の会社の期待リターンは、それぞれの会社によって異なります。

投資リターンが10倍になることを期待できる会社もあれば、2倍にしかならない会社もあります。

一方で分散投資を行った場合には、エンジェル投資でどのくらいのリターンが期待できるのか、をある程度、想定することができます。

その参考となるものが二つあります。一つは、ベンチャーキャピタル(VC)が投資家を集める際に提示している利回りです。そしてもう一つはベンチャーキャピタル(VC)の実際の運用実績です。

ベンチャーキャピタル(VC)は分散投資を行っています。そのためベンチャーキャピタル(VC)の想定リターンは他の投資家にとっても分散投資をした際の参考となります。

ベンチャーキャピタル(VC)が投資家に示す利回りは二つあります。一つはグロス利回り、もう一つはネット利回りです。

ベンチャーキャピタル(VC)は投資家からお金を預かって、そのお金でベンチャー企業への投資を行います。その際、ベンチャーキャピタル(VC)が受け取る手数料があります。

この手数料を考えない利回りがグロス利回りです。この手数料を含めて考えるのがネット利回りです。

ベンチャーキャピタル(VC)の想定リターンとは

ベンチャーキャピタル(VC)は個人から資金を集めることがほとんどありません。そのため、想定リターンが開示されることもほぼありません。

一般に開示されていないものの、ベンチャーキャピタル(VC)の目標リターンは一般に、期間10年のネット利回りで3倍程度になります。

100万円投資すると、10年後に300万円になって返ってくるということです。

teacher
もちろん、あくまで目標なので、実際にこの金額が返ってくる保証はありません。

ベンチャーキャピタル(VC)の実際のリターンとは

目標が分かったところで、これまでの実績としてはどの程度のリターンをベンチャーキャピタル(VC)はたたき出しているのでしょうか。

ベンチャーキャピタル(VC)の過去の利回りは調査会社が調べて公表しています。日本では日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)からの依頼を受け、Preqinという調査会社が調査を行い、結果を公表しています。

ベンチャーキャピタル(VC)の実際のリターンとは

出典:JVCA

ビンテージとは、ベンチャーキャピタル(VC)が運用するファンドが設立された年です。ビンテージが2010年のファンドは2010年に設立され、一般的には5年間(2015年)までの期間にベンチャー企業に投資しています。

既に投資した株式を売却してリターンが確定しているものもあれば、未実現のもの(つまりこれから先にリターンが生じるもの)もあります。

実現したものと、未実現のものの評価額を足した(そこからファンドの運営費用を除いた)額が、投資した金額の何倍になって返ってきたのか、を示すのが表の右端のネットマルチプルです。2010年がビンテージのファンドでは2.66倍になります。

こちらの調査は各ベンチャーキャピタル(VC)にヒアリングして結果を取りまとめ、その中央値を示したものです。

ベンチャーキャピタル(VC)のリターンは、概ね目標とする3倍に近くなっています。

つまりエンジェル投資で期待できるリターンは、分散投資を行うのであれば、高くて3倍程度、ということです。

まとめ

エンジェル投資はリスクが高い投資です。どの会社に投資するかによってリターンは全く変わってきます。

投資のプロであるベンチャーキャピタル(VC)は分散投資によりリスクを抑えています。そのリターンは10年かけて3倍前後です。

エンジェル投資家は、必ず分散投資をしなければならないわけではありません。夢にかけて、大きなリターンを狙って個社に投資することも問う手法の一つです。

teacher
自分に合った投資手法で目標とするリターンを目指すのが賢い投資家といえるでしょう。
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エンジェル投資家の投資家側のメリットデメリット、企業側のメリットデメリット https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/angelprocon/ https://shikin-bank.com/shikinchotatsu/angelprocon/#respond Wed, 19 May 2021 00:12:45 +0000 https://shikin-bank.com/?p=5360 エンジェル投資家から投資を受けることは、資金調達に悩むベンチャー企業にとってはありがたいものです(そのような幸福をもたらしてくれるために、「エンジェル(天使)」と呼ばれるのです)。しかし、エンジェル投資家からの資金調達は...

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エンジェル投資家から投資を受けることは、資金調達に悩むベンチャー企業にとってはありがたいものです(そのような幸福をもたらしてくれるために、「エンジェル(天使)」と呼ばれるのです)。しかし、エンジェル投資家からの資金調達はいいことばかりではなくデメリットもあります。

エンジェル投資家にとってもベンチャー企業への投資はメリットとデメリットの双方がある投資です。

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それぞれのメリット・デメリットを理解して、エンジェル投資を有効に活用しましょう。

ベンチャー企業側のメリット・デメリット

ベンチャー企業側のメリット・デメリット
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ベンチャー企業がエンジェル投資家から資金調達した際のメリット・デメリットについてみていきましょう。

エンジェル投資家から資金調達するメリット

エンジェル投資家から資金調達することのメリットとして、すぐに感じられることは「資金調達ができること」そのものです。

しかし、エンジェル投資家からの資金調達のメリットはそれだけに留まるものではありません。

資金調達できる

ベンチャー企業は多くの資金を必要としています。

会社を成長させるためには、また成長を加速させるためには、多くの資金が必要です。また資金があることはより多くの失敗を許容できるようになるということです。

しかし、成功するのかどうかまだわからないベンチャー企業へ投資してくれる人は多くはいません。

「他に資金調達に応じてくれる人がいないときに、投資してくれること」これがエンジェル投資家から資金調達を行う最大のメリットです。

他の投資家の呼び水となる

ベンチャー企業の資金調達が一回の調達で必要額の全てを集めきり、そこで終わることはありません。また、事業が成功して拡大した場合、失敗して立て直したい場合には、それぞれ新たに資金が必要となります。

ベンチャー企業は常に資金調達を必要としているのです。

既にエンジェル投資家が投資しているベンチャー企業は、他のエンジェル投資家、またはベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達が行われる可能性が高まります。投資を検討している人にとって、既にエンジェル投資家がいることは、安心材料になります。誰かが投資するくらいいい会社であるということがポジティブに評価されるためです。

このように、エンジェル投資家から投資を受けることは、「次の調達で他の投資家を呼び込む呼び水となる」というメリットがあります。

次の資金調達で、ダウンラウンドが許容される可能性が高いこともエンジェル投資家から投資を受けるメリットです。

エンジェル投資家であれ、ベンチャーキャピタル(VC)であれ、ダウンラウンドでの資金調達は自身の投資が希薄化することから望ましくはありません。しかしベンチャーキャピタル(VC)は投資家に損益を分配する前提であることからよりダウンラウンドを嫌がります。

この点、エンジェル投資家は個人であって評価益は実体的には何ら影響しません(特に税務上、何ら損得ありません)。そのため、ダウンラウンドをベンチャーキャピタル(VC)よりも許容しやすいです。

経営の支援を期待できる

ベンチャー企業では経営資源、特に人材が常に不足しています。

エンジェル投資家からの経営支援はこの不足を解消させてくれます。

エンジェル投資家は成功する前の会社に投資しています。会社がそのままの状態であれば投資した資金を回収することができません。そのため、会社を成功させることに強いインセンティブを持っています。

そのため、エンジェル投資家から、経営支援を期待することができます。

支援とは具体的には、資金調達のための他の投資家の紹介、顧客の紹介、一緒に会社を経営してくれる経営者、社員の紹介等、人の紹介に関するもののほか、経営戦略へのアドバイスなどがあります。
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特にそれぞれのエンジェル投資家の専門分野(プロダクト開発、マーケティング、法規制対応等)からのアドバイスはお金を払っても得られないものも多く、大変貴重です。

デメリット

エンジェル投資家から資金調達することはこのようにメリットが多い反面、デメリットもあります。

エンジェル投資家から資金調達すると一般的に生じるデメリットもありますが、特に注意が必要なのは「エンジェル投資家は個人」ということです。

インセンティブが減ってしまう

エンジェル投資家からの資金調達は会社が成長して取得する収益の一部をエンジェル投資家に渡す取引です。

エンジェル投資家に渡した持ち分だけ、創業者(もともとの株主)の取得できる対価が減ってしまうことになります。
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特にエンジェル投資家に大きな持ち分を渡してしまうことで、後々、経営者が、自分はだれのために頑張っているのか、分からなくなってしまうことがあります。

個人株主としてコストがかかり、リスクがある

エンジェル投資家は、裕福な個人ではあるものの、ベンチャーキャピタル(VC)や事業会社には資金量で劣ります。そのため、調達したい金額を一人のエンジェル投資家から集めることは難しく、複数のエンジェル投資家から調達することになります。

エンジェル投資家、に限らず、資金調達先が増えれば増えるほど、管理コストが高くつきます

実際に費用が膨らむこととしては、例えば株主総会の案内の発送先が多くなり、会場も広い場所を確保する、などがあります。また、その投資家が税務上もエンジェル投資家として扱われる(エンジェル税制の適用を受ける)ことを望む場合には、投資家の確定申告に加え、会社としても行政との折衝や書面の準備が必要となります。

お金がかかるというコスト以外にも、説明コストを負担することになります。投資家は会社の状況を知りたいと思っており、情報を共有し、会社のしたいことがあれば投資家を説得する必要があるため、これに時間と労力がかかるためです。

また、投資家が増えれば増えるほど、リスクも高まります。

一例として、会社の状況を知る株主が増えるほど、情報の秘密を確保するのが難しくなるという問題があります(株主からの情報漏洩リスクが増えるということです)。

エンジェル投資家からの資金調達はコストとリスクが高いが高くつくのです。

経営が振り回される

エンジェル投資家は個人の投資家です。しかも、「エンジェル投資と」言うニッチな領域での投資を行っている投資家です。いろいろな人がいることに加え、一人ひとりの個性が濃い、あるいはクセが強いです。

このようなエンジェル投資家が会社経営に関与することは会社にとって頼もしいことでもありますが、一方で、エンジェル投資家の意向に経営が振り回されるというデメリットがあります。

起業家とエンジェル投資家で、経験があまりに違うことはよくあります。はじめはありがたいアドバイスとして聞けていたことでも、徐々に負担に感じてくることはよくあります。

経営者の負担感だけでも大きな問題ですが、実際にはエンジェル投資が会社の利益よりも前に、自分の個人的な利益を優先して会社に様々な要求を行うことも珍しくありません。

典型的な事例としては、エンジェル投資家の経営している会社との取引を強く勧められる事例があります。

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エンジェル投資家からのアドバイスが、本当に会社のために良かれと思ってのものなのか、そうではないのか、を見分けることはとても難しいものです。

エンジェル投資家と会社との関係でも気苦労が多いのですが、実際にはエンジェル投資家同士のいざこざに会社が巻き込まれることもあります。

エンジェル投資家同士は、同じ投資先1社だけで顔を合わせていることはまれです。他の投資先や、自分の本業で顔を合わせていることも珍しくありません。エンジェル投資家同士の不和は自社とは関係ないところでも生じうるということです。

会社としては、株主の情報には常に注意を払っておく必要があり、この点もコストの増加につながることになります。

エンジェル投資家側のメリット・デメリット

エンジェル投資家側のメリット・デメリット

エンジェル投資家がエンジェル投資を行うことのメリット・デメリットは、他の投資と比較すると分かりやすいです。

ここでは他の投資(上場株式への投資や、融資)と比較して、エンジェル投資のメリット・デメリットを見ていきます。

エンジェル投資家側のメリット

エンジェル投資を行うことの「エンジェル投資家にとってのメリット」は、経済的なリターン、税務上のメリットと、経済なもの以外のメリットがあります。

経済的なリターン

エンジェル投資家の経済的なメリットは、なによりもまず、投資リターンが大きいという点にあります。

株式への投資は融資などよりもリスクが高いため、より大きなリターンが狙えます。また株式投資のリターンには上限がなく、会社が収益を上げれば上げるだけ、青天井でリターンが大きくなります。株式への投資の中でも、よりどうなるかわかない会社への投資の方が、上場企業のような安心感のある会社への投資よりも、成功すれば、より大きなリターンが得られます。

これが経済的なメリットです。

税務的なメリット

エンジェル投資は、税務上の要件に当てはまる場合、エンジェル税制が適用になります。

エンジェル税制が適用されると、簡単に言えば税金が安くなります。

投資をする上で税金は「埋没コスト」と呼ばれ、「見返りのない支払い」です。

そのため、税金が安くなることはエンジェル投資家がエンジェル投資をする上で、大きなメリットの一つです。

経済もの以外のメリット

エンジェル投資の経済的なメリット以外のメリットは、投資先会社への影響力から生じます。

上場企業であれば、会社に影響を持ちたいと思ったら多額の資金が必要になります。調達している金額が大きいので、少額の投資をしても、影響力が生じないからです。

一方で、ベンチャー企業の場合には、少ない金額を投資することで会社に対して大きな影響力を持つことができます。

つまりエンジェル投資を行うことは、投資先に大きな影響力を持つことができるというメリットがあります。

会社に対して影響力を持つことが具体的にどのようなメリットにつながるかは人それぞれです。

  • 影響力を持つこと自体に喜びを感じる
  • 影響力を通じて経済的なメリットを得られる
  • 影響力を持つことで名声を得られる
  • 影響力を持つことで貴重な体験をする機会が増える

デメリット

エンジェル投資を行うにあたってのデメリットは限定的です。想定外のデメリットが生じることは心配する必要がありません。

つまり、エンジェル投資はリスクが高いため失敗したらどうしよう、というのはよく聞かれる悩みですが、経済的な投資したお金が返ってこなくなる、以上のリスクはありません。

例えば、会社のトラブルに巻き込まれたり、投資先の失敗のあおりを受けることは基本的にはありません。投資だけではなく、投資先の事業に深く関与している場合であって、単なる投資であれば投資家に影響が及ぶことはほぼありません。

ただし、エンジェル投資家として評価を得ている場合には、その評判が投資先の失敗によって傷つく事例はあります。

リスクが高い

上場企業への投資は投資先の会社の会社のリスクがある程度、抑制されています。

なぜなら上場するためには証券会社と証券取引所が審査しており、どのような会社でも上場できるわけではないからです。その審査の中では、事業モデルが確立していることが求められます(確認されています)。

一方でエンジェル投資の対象となる会社は事業モデルが確立されていません。まだ事業の構想段階であったり、収益基盤を持っていません。そのため、成功するかどうかを見通すことが難しく、実際にほとんどのエンジェル投資は失敗に終わります。

エンジェル投資はリスクの高い投資である点がデメリットです。
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10社に投資して9社失敗しても、残りの1社から大きなリターンが得られれば、全体として成功と考えるのがエンジェル投資です。

長期固定資金となる

上場企業への投資は、投資対象(その会社の株式)が証券取引所に上場されています。

その意味するところは、いつでも売却できるというところです(売却の価格はその時々の市場の価格によります)。言い換えると、いつでも投資をやめて現金に戻すことができます。

一方でエンジェル投資の対象となる会社の株式は売却することが困難です。

制度として売却できるようにはなっていません。また売却を仲介してくれる専門家もいません。そのため、自分で売却先を見つけてくる必要があります。この問題は投資先の会社が成長し、取引所に上場できるようになると解消します。また会社がM&Aにより事業会社等に買われることがあれば、自分の持ち株も一緒に売却できます。

いずれにしても、投資先の事業が成長しないことには実現しません。ベンチャー企業は一朝一夕に成長するわけではないことを考え合わせると、数年から十数年という遠い先まで、投資をやめて現金に戻すことができません。

エンジェル投資のデメリットの一つは、長期にわたって投資した資金が別のことに使えなくなることにあります。

情報開示が不足している

上場企業は、金融商品取引法などの法律面の要請として、または取引所、市場の圧力の結果として、様々な情報開示を行っています。しかも、その情報開示は、それぞれの投資家が求めると開示されるのではなく、会社が自ら開示します。また、ある程度は継続して開示されると期待できます。

情報開示がなされることは、投資先の価値を把握するために必要です。しかし、それだけにとどまらず、不正を抑制したり、効率化を推し進めるための原動力となりえます。

一方でエンジェル投資の場合には投資先からの情報開示が不足しています。

しっかりとした情報開示が受けられないことがエンジェル投資のデメリットの一つです。

ベンチャー企業の情報開示は、法律面から強制されるものではないため、それぞれの投資家が会社と交渉して開示してもらう必要があります。

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会社が情報開示を嫌がる場合もありますが、ベンチャー企業には、適切なタイミングで投資家に情報開示を行うだけのリソースが不足していることも珍しくありません。

まとめ

エンジェルは会社の資金調達にとっては天使のような存在です。しかし、投資したのちに、デビル(悪魔)に変わってしまわうことがある点はいくら注意してもしすぎであることはありません。

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エンジェル投資家から資金調達を行うメリット、デメリットをよく理解した上で比較して、資金調達を行うかどうか判断しなければなりません。

投資を行う側のエンジェル投資家にとってもエンジェル投資はリスクが高くデメリットが少なくない投資です。

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一度投資を始めてしまうと長期間、投資した資金を別のことに使えなくなることから、投資するかどうは慎重に判断する必要があるでしょう。
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