銀行融資の審査ではどのような点をチェックして審査が行われるのでしょうか?今回は銀行融資審査のチェックポイント「経営者の能力」とその攻略法について解説します。
経営者の能力は会社の経営を大きく左右する
社員数が100名に満たない中小企業の場合
会社経営が上手くいくかどうか = 経営者の能力次第
と考える銀行がほとんどです。
社員がいくら優秀であっても、優秀な経営者の元でなければ残ってもらえませんし、社員が会社経営をするわけではありません。
結局、融資をする銀行にとっても
優秀な経営者かどうか?
は非常に重要な審査のチェックポイントとなるのです。
経営者の能力って銀行は何を見ているのか?
経営者の能力は色々なものがありますが、概ね見られているのは下記のポイントです。
具体的な数字で話せる人かどうか?
- 現在の自社の経営状態
- 3年~5年後までの中期事業計画
- 半年後の経営状況の見通し
- 強み
- 弱み
をイメージではなく、具体的な数字でスラスラと語れる経営者は信頼される可能性が高いのです。
例えば
「現在の自社の弱みは営業利益率が3.2%の低いことが要因だと考えています。これを改善するために高利益率の商品Aの投入を3か月後人予定し、既存の商品Bのコスト削減も進めています。予定通りに行けば半年後の営業利益率は10%まで引き上げられると考えます。商品Aの仕入れ資金が500万円不足しているので、融資を希望します。」
と具体的な数字で
- 未来のことを語れる
- 現在の改善すべき事項を語れる
- 経営戦略を語れる
ことが銀行が見る経営者の大きな資質なのです。
「今度、新しい高利益率の商品Aを投入するので、利益率が向上することは間違えありません。営業利益率も良くなる見通しですので、融資をお願いします。」
というプレゼンをする経営者はダメということです。
具体的な数字で経営をとらえているということが何よりも重要なことなのです。
ウソをつかない、言い訳をしない
「ウソをつかない、言い訳をしない」というのは幼稚園児に言うようなことかもしれませんが、実はこれも大きなポイントとなります。
経営者が
- 営業成績トップの営業マンが急に辞めてしまったので売上が落ちてしまいました。
- 経理のミスによって取引下げなくなってしまい売上が落ちてしまいました。
と言い訳をしている会社は伸びないと考えているのです。
営業成績トップの営業マンが急に辞めてしまって売上が落ちたのが事実だとしても、「なぜ、辞めたのか?」を経営者の責任と捉えて改善する姿勢を持って、話さなければならないのです。
正解は
「今回はうちの会社の30%の売上を持っていた営業マンAの退社によって、売上が15%減ってしまいました。原因は営業マンのインセンティブの低さと営業マン個人にクライアントの交渉を任せてしまう経営体質にあると考えます。インセンティブ設計の見直しと、クライアントに長くつかないような営業内でのローテーションの導入を考えています。」
とあくまでも経営者の責任として改善策につなげる形にしなければならないのです。
友人関係でも
- ウソをつく人
- 言い訳をする人
が信頼されないのと同様で
お金を貸す銀行も
- ウソをつく人
- 言い訳をする人
を信用してくれないのです。
実行力
「前回来た時に話していた改善プランがまともだったのに、いつまで経っても実行されない。」と銀行が思うことも多いようです。
経営者は経営戦略の構築も高いレベルで求められますが、同時に実行力を伴わなければ「絵に描いた餅」で終わってしまうのです。
とくに銀行に話した経営戦略や経営の改善策などは、話した予定通りに実行して、実行力があることを示す必要があります。
口だけの経営者はごまんといます。実行力も重要なポイントなのです。
銀行融資「事業実態」の審査の攻略法
数字で話す癖をつける
前述した通りで「具体的な数字」が銀行と話すときの共通言語です。数字で話せないのは致命的なのです。社内でも、取引先との折衝でも、常に数字を見ることを心がけて練習しておく必要があります。実際に経営も数字がなければ上手くいきませんので、日次で経営数値の管理をすることを心がけましょう。日次で経営数値のチェックをしていれば、いつの間にか具体的な数字で話す癖がついているはずです。
すべて自分の責任と考える
中小企業の最終責任を負うのは経営者です。社員が働かなくても、社員の頭が悪いと思っても、すべてそれは自分の責任と捉えたうえで「改善するためには何をすべきか?」という視点を持つように心がけましょう。
計画を期日までに実行する
言ったことをやらない経営者は、銀行にも、社員にも、信頼されません。言ったことは確実に期日までに実行しましょう。期日から逆算して今何をすべきか?のスケジュールを日々チェックすることが重要です。
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