銀行融資やビジネスローンなどの資金調達を利用する際には保証人を求められるケースがあります。今回は「保証人とは?保証人が必要なケース」について解説します。
保証人とは?
民法:446条
保証人とは、主たる債務者がその債務を履行しない場合に、その履行をなす債務(保証債務)を負う者をいう
とあります。
もっと、噛み砕いて資金調達のケースで説明すると
融資を受けた企業が返済できなかった場合に、残りの借金を代わりに返済する責任を持つ人のこと
です。
民法:452条、453条
保証人には催告の抗弁権と検索の抗弁権が与えられる。
とあります。
これは保証人が債権者に支払いを要求されたときに
- 催告の抗弁権 → 「先に借りた人に返済を請求してよ。」という権利
- 検索の抗弁権 → 「先に借りたの財産を処分して返済してから、返済を請求してよ。」という権利
を持つということを意味しているのです。
しかし、この権利を持たない「連帯保証人」というものがあります。
連帯保証人とは?
民法:454条
連帯保証人には、催告の抗弁権と検索の抗弁権はなく、事実上債務者と全く同じ義務を負う。
とあります。
例えば
銀行が500万円をA社に融資し、Bさんが保証人になりました。
Bさんが保証人のケース
Bさんは残っている残債250万円の支払いをいきなり銀行から要求されてしまいました。
「ちょっと待って、A社はまだ財産もあるし、返済もできる状態なんだから、私に返済を要求する前にA社からきちんと回収して、残債を減らしてよ。」
と要求することができます。
Bさんが連帯保証人のケース
Bさんは残っている残債250万円の支払いをいきなり銀行から要求されてしまいました。
「ちょっと待って、A社はまだ財産もあるし、返済もできる状態なんだから、私に返済を要求する前にA社からきちんと回収して、残債を減らしてよ。」
と要求することはできません。返済を請求されたら、連帯保証人はそれに従って返済しなければならないのです。
「事実上債務者と全く同じ義務を負う。」というのは、こういうことを意味しているのです。
責任の重さは
連帯保証人 > 保証人
なのです。
保証人が必要なケース
1.企業が融資を受けるときに代表者の連帯保証が必要
銀行融資にしろ、ビジネスローンにしろ、中小企業(法人)が金融機関から融資を受ける際には必ず法人経営者が連帯保証人になることを求められます。
法人というのは「法人格」を持っており、仮に「法人への融資」だけで代表者の連帯保証を取らなかった場合には
「会社(法人)の経営が上手くいかなくなったら潰しちゃえば借金はチャラになるんでしょ。俺は個人だから関係ないね。」
と考える経営者が増えてしまいます。
このような考え方で会社経営されてしまうと、金融機関は貸し倒れリスクが怖くて融資を一切することができなくなってしまいます。
そのため、中小企業への融資の際には
経営者を連帯保証人にする
のが一般的なのです。
上場企業等、株主と経営者が分離されている場合は金融機関から連帯保証人を求められないことが多いです。
また、信用保証協会の融資商品の中には完全に保証人なしで利用できるものも一部あります。
「保証人なし」を謳っているビジネスローンも、「第三者保証人なし=代表者の連帯保証は必要」となっているので注意が必要です。
2.信用力の評価が低く、保証人を立てなければ融資ができないケース
融資審査で十分な信用力があると判断されれば、代表者の連帯保証だけで十分に融資が可能です。
しかし、
- 信用力が低い
- 担保も用意できない
という場合には
代表者以外の「関係者の保証人」「第三者の保証人」を金融機関が要求してくることがあります。
「関係者の保証人」とは
- 役員
- 従業員
- 同じ生計で暮らしている家族
「第三者の保証人」とは
- 別の生計で暮らしている家族
- 友人
- 知人
です。
保証人の信用力の評価としては
「関係者の保証人」 < 「第三者の保証人」
となります。
「関係者の保証人」は会社が倒産すると同時に収入を失うため、返済力が亡くなってしまう可能性が高いからです。
まとめ
企業が銀行やノンバンクから、融資を受ける際にはほぼ必ず代表者は連帯保証人になる必要があるのです。
それでも融資の審査が通らない場合に「関係者の保証人」「第三者の保証人」を要求されるケースがあります。しかしながら、「保証人になる」というのは大きなリスクを伴いますので、経営者の方はできるだけ自分以外の保証人は不要な形で金融機関と交渉することをおすすめします。自分の人生ならまだしも、人の人生を狂わせてしまうリスクがあるからです。
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