補助金による資金調達成功事例分析「近接覚センサーを用いた食品業界向け研究開発プランが内閣府主導「日本版SBIR制度」の推進プログラムに採択」

補助金による資金調達の背景（推測）

「近接覚センサーを用いた食品業界向け研究開発プラン」が内閣府主導の「日本版SBIR制度」の推進プログラムに採択された背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、食品業界における技術革新や効率化が求められていることが挙げられます。近年、日本の食品業界は労働力不足や生産効率の向上、食品の安全性の強化など、多くの課題に直面しています。これらの課題を解決するために、新しい技術やシステムの導入が急務となっており、近接覚センサーのような革新的技術は、その一助となると期待されています。

また、政府の方針としても、持続可能な産業発展とデジタルトランスフォーメーション（DX）の推進が強調されています。このような背景から、内閣府が主導する「日本版SBIR制度」は、民間企業の研究開発を支援するために設けられた制度であり、特に食品業界の技術革新を促進するプロジェクトには優先的に補助金を提供する意向が強いと考えられます。近接覚センサー技術は、食品の品質管理や自動化プロセスの最適化に役立つことが期待されるため、このプランが採択されたと推測されます。

補助金による資金調達が成功した理由（推測）

この研究開発プランが補助金を獲得できた理由として、いくつかのポイントが考えられます。まず、近接覚センサーという革新的な技術が、食品業界のニーズに非常に適合していた点が挙げられます。特に、食品の安全性管理や生産効率の向上において、近接覚センサーは異物の検出や製品の正確な品質管理を可能にするため、業界全体の生産性向上に寄与することが期待されています。こうした技術の具体的な応用例や効果を示すことができたことが、審査員の評価を得る重要な要素となったと考えられます。

また、プラン自体が具体的かつ現実的であることも、補助金獲得に成功した要因の一つです。補助金申請では、計画の詳細な内容や実施可能性、成果の見込み、そして社会的・経済的インパクトを明確に示すことが求められます。このプランが、技術的な優位性だけでなく、実施スケジュールや予算配分、リスク管理の方法についても具体的に記載されていた可能性があります。これにより、審査員にとっても「投資する価値がある」と判断されたのでしょう。

さらに、政府の政策方針との一致も重要な成功要因と考えられます。現在、政府はDX推進や中小企業支援、食品業界の技術革新を強化する方針を打ち出しています。この政策方針に沿った研究開発プランであることが、補助金の獲得において大きなポイントになった可能性があります。

補助金による資金調達の参考にすべきポイント

補助金を通じて資金調達を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。まず、申請する補助金の目的や趣旨を正確に理解することが不可欠です。各補助金には、それぞれの目的や支援対象があります。例えば、今回の「日本版SBIR制度」のように、特定の業界や技術分野の研究開発を支援することを目的としている場合、申請プランがその趣旨に適合していることを強調する必要があります。

次に、具体的で現実的なプランの策定が求められます。補助金申請書では、プロジェクトの詳細な計画、目標、実施方法、予算の配分、予想される成果、リスク管理の方法などを明確に示すことが重要です。特に、技術的な革新性や社会的・経済的インパクトを示すデータや実例を含めることで、審査員の信頼を得ることができます。

また、補助金の申請にあたっては、事前の情報収集と準備が大切です。補助金の公募情報や過去の採択事例を調査し、自社のプランがどのように適合するかを検討することが有益です。さらに、申請書作成の際には、専門家の助言を得ることや、過去の成功事例を参考にすることも有効です。

最後に、政府の政策方針や社会的課題との関連性を強調することも成功への鍵です。補助金を受けるためには、企業のプロジェクトがどのようにして社会的な課題を解決し、政府の政策目標を達成するかを明確に示す必要があります。この点を強調することで、申請プランが社会的にも経済的にも価値があると判断されやすくなります。

以上のポイントを踏まえ、経営者の皆様も自社のプロジェクトに適した補助金を見つけ、適切な準備を行うことで、資金調達を成功させる可能性が高まるでしょう。

“指先で考えるロボットハンド”で製造現場の革新に取り組む株式会社Thinker（読み：シンカー、本社：大阪府大阪市、代表取締役兼CEO：藤本弘道、以下Thinker）が掲げる食品業界向けの研究開発プランが、スタートアップ等による研究開発および社会のイノベーション促進を目指し、内閣府が主導する「SBIR（Small/Startup Business Innovation Research）制度」（※１）の推進プログラムに採択されました。テーマは「近接覚センサー技術を用いた中食向け低コスト・高速ピッキングシステム」で、この制度のなかで経済産業省（製造産業局 産業機械課 ロボット政策室）が設定する研究開発課題「食品製造分野での自動化を実現するロボティクス技術の開発」（助成額は１億円以内）に該当します。

テーマに掲げた、「中食（家庭外で商業的に調理・加工されたものを購入して食べる形態）」（※2）は単身者・高齢者世帯を中心に全世帯で増加傾向にありますが、食品製造現場の人手不足もあって供給が十分に追いついているとはいえず、ロボットによる自動化が切実に待たれています。にもかかわらず、従来のロボットの導入コストが高額であったことや、「柔やかい」、「デリケート」、「不定形」という食品の特性への対応が難しかったことから、多くの現場で導入が見送られてきました。

ただ、Thinkerが提供する近接覚センサーを活用すれば、カメラレスでのロボットハンドの運用も可能となることから、大幅に導入コストを低減できます。さらには独自の赤外線機構とエッジAIにより、リアルタイムで対象物の距離と姿勢を補足できるため、従来のロボットが苦手としていた「柔らかい」、「デリケート」、「不定形」な食品のピッキングも可能となります。

このたびの「日本版SBIR制度」の推進プログラムへの採択は、まさに食品業界が直面しているこうした課題解決の貢献の可能性を評価・期待いただいたものと受け止めています。

※１　SBIR（Small/Startup Business Innovation Research）制度

スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度です。同時に、革新的な技術を社会実装していくことで我が国が直面する様々な社会課題を解決に導くことも目的の1つです。

制度のポイントは大きく2つあります。

１つは、国の機関から研究開発型スタートアップ等への補助金 や委託費の支出機会を増やす仕組みを作ること「特定新技術補助金等での支出目標の設定」。

もう１つは、それら補助金や委託費の効果を高めるため、公募や執行に関する統一的なルールを設定するとともに、研究開発成果の社会実装に向けて随意契約制度の活用など 事業活動支援等を実施し、初期段階の技術シーズから事業化までを一貫して支援することです「指定補助金等での各省横断かつ統一的運用」。

引用元: https://sbir.csti-startup-policy.go.jp/purpose

※２　中食

中食とは、惣菜店やお弁当屋・コンビニエンスストア・スーパーなどでお弁当や惣菜などを購入したり、外食店のデリバリー（宅配・出前）などを利用して、家庭外で商業的に調理・加工されたものを購入して食べる形態の食事をさします。中食の利用は年々増加の傾向にあり、2007年の内食・中食・外食の市場、約71兆円のうちの約8％を占めています。

引用元：厚生労働省　e-ヘルスネット

中食の選び方

■Thinkerの近接覚センサー

カメラを用いることなく、赤外線とAIを組み合わせた独自の高速・高分解能なセンシングによりモノの位置と形を非接触かつ高速に把握できるセンサーです。これにより、従来の産業用ロボットでは難しいとされていた鏡面・透明物質の取り扱いや、現場環境に応じた臨機応変なピックアップが可能となり、ロボットハンドによるピッキングの可能性を飛躍的に広げることができます。また、ティーチング（ロボットに作業を教え込む工程）の時間や労力を大幅に軽減できることから、これまでとは異なる領域でのロボットハンドの活用も期待されています。2023年8月の量産サンプル提供開始以来、実に800社を超える引き合いをいただいております。現在は60社を超えるパートナー企業とともに実証評価に取り組んでいるほか、すでに量産工程における試験導入も始まっているなど、実装への準備が進んでいます。

○近接覚センサーTK-01の紹介動画（YouTube）：

〇動く対象物をセンシングすることで把持部が追従する動画（YouTube）：