【保存版】銀行融資のリスケジュール中「リスケ中」にできる資金調達方法5選

man
「リスケ中に新規の資金調達はできるの?」
「リスケ中だけで資金繰りが困難で新規の資金調達をしたい。」
「リスケ中だけど、徐々に回復しているので設備投資をしたい。」
・・・

銀行融資のリスケジュール中「リスケ中」にも、新規で検討できる資金調達方法には何があるのでしょうか?今回は銀行融資のリスケジュール中「リスケ中」にできる資金調達方法について解説します。

銀行融資のリスケジュール中「リスケ中」は新規融資は受けられないの?

銀行融資のリスケジュール中「リスケ中」は新規融資は受けられないの?

リスケをすると

銀行は新規の融資をしません。

当然ですが、返済ができないから「リスケジュール(リスケ)」を銀行にお願いして、元本返済を待ってもらっている状態です。

この状態で新規の融資を申請したとしても・・・

staff
「返済できないでしょ。既存の融資すら、返済できていないのに・・・。」

ということになってしまうので

「リスケ中」は新規融資はできない

というのが実情です。

銀行の信用格付(債務者区分)には

  1. 正常先
  2. 要注意先
  3. 破綻懸念先
  4. 実質破綻先
  5. 破綻先

と5種類の分類があり、正常先は6段階で評価されています。

リスケジュール(リスケ)を行うと

正常先 → 要注意先 or 破綻懸念先

に分類されることになります。

銀行は「要注意先」「破綻懸念先」には融資をしないのです。

man
「リスケジュール(リスケ)をしていない既存の取引銀行からは融資を受けられないの?」

リスケでは

「全行平等の原則」

というものがあり、借入中の銀行すべて同時に「リスケジュール(リスケ)」をしなければなりません。

  • A銀行:5,000万円
  • B銀行:3,000万円
  • C銀行:2,000万円

という借入がある場合は

100万円の返済までできるとしても

  • A銀行:50万円(50%)
  • B銀行:30万円(30%)
  • C銀行:20万円(20%)

と借入割合に応じた返済を全行に対してしなければならないので、借入中の銀行は、すべて「リスケ中」ということになってしまうのです。

では、この状態で新規の資金調達をするためにはどうすれば良いのでしょうか?

今回は銀行融資のリスケジュール中「リスケ中」にできる資金調達方法について解説します。

リスケジュール中「リスケ中」にできる資金調達方法

リスケジュール中「リスケ中」にできる資金調達方法

その1.新しい銀行から借り換え

既存の取引銀行は、すべて「リスケ中」です。

だとすると、新しい銀行であれば「新規融資の交渉の余地」が出てきます。

例えば

「リスケ中」で業績が徐々に回復してきたけれども、まだ「リスケ解除(返済の正常化)」ができるわけではない経営状態で、より経営を立て直すためには

  • 設備投資
  • 雇用

などが必要になってくるというシチュレーションの場合

多くの経営者は「リスケ中」の銀行に相談するのですが・・・

staff
「まずは返済を正常化してもらって、その後も正常化した返済が一定期間継続できるようであれば、新規融資を検討しますよ。」

ということになってしまいます。

「まずはリスケを解消してから・・・」

と、どの取引銀行に行っても、同じことを言われるはずです。

この状況下で融資をしてくれるのは、まったく取引実績のない「新しい銀行」です。

まったく取引実績のない新しい銀行であれば

  • リスケ中の銀行の借入の一括返済(借り換え)
  • 追加分の融資

を一手に引き受けてくれる可能性もあるのです。

man
「リスケ中の銀行分も、借り換えしなければならないの?新しい銀行とは新規の融資だけの相談ではダメなの?」

ダメです。

リスケをしていることは正直に話して、新規の融資を検討してもらう必要があります。

このときに他の銀行のリスケを解消せずに、新規の融資をして、そこだけ正常な返済をするのは「全行平等の原則」に反してしまうのです。

新規の銀行から、リスケ中の借入の「借り換え」も含めて「新規融資」をしてもらう

ことが可能です。

ただし、リスケ申請時から業績が回復していて、正常な返済に近いレベルまで返済ができる経営状態に戻っていることが必要不可欠です。

その2.条件変更改善型借換保証

条件変更改善型借換保証とは

信用保証協会の保証付き融資の「返済条件の緩和(リスケ)」を行っていることで新規の借り入れができない中小企業者に対して、複数債権の一本化と新規事業資金の追加を可能とする制度のこと

を言います。

中小企業の銀行融資は、プロパー融資ではなく、多くは「信用保証協会の保証付き融資」です。

銀行にリスケ申請をするということは、信用保証協会にも、リスケ申請しているということを意味します。

「条件変更改善型借換保証」では、信用保証協会の保証付き融資をリスケ中に

  1. 債権を一つに一本化する(おまとめ)
  2. 返済額の軽減を行う
  3. 追加で新規融資をする

という3つの機能を持った、リスケ中の企業を支援する保証協会のプログラムなのです。

条件変更改善型借換保証とは

保証期間

  • 15年以内(据置期間1年以内を含む)

計画策定等

  • 返済条件の緩和に至った経緯等の状況説明書を作成すること
  • 金融機関及び認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、事業計画を策定すること
  • 策定した事業計画の進捗報告を行うこと

保証料

  • 信用保証協会の所定料率

保証割合

  • 責任共有制度の対象(8割保証)

例:神奈川県保証協会の条件変更改善型借換保証のサービス

ご利用いただける方 当協会の通常の申込人資格要件のほか、次の①から③の要件を満たす中小企業者
①保証申込時点において、当協会の保証付既往借入金の残高があること。
②①の既往借入金の全部または一部について返済条件の緩和を行っていること。
③金融機関および認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、自ら事業計画の策定ならびに計画の実行および進捗の報告を行うこと。
保証限度額 2億8,000万円
資金使途 保証付の既往借入金の返済資金
そのほか、上記③の事業計画の内容に応じて、当該返済資金以外の事業資金を含めることができる。
保証期間 15年以内(据置期間2年以内を含む)
返済方法 原則として均等分割返済
信用保証料率 0.45~1.90%
融資利率 金融機関所定の利率
保証人 代表者を除き原則不要
担保 必要に応じて
責任共有 責任共有制度の対象
必要書類 ・状況説明書
・事業計画書
・認定経営革新等支援機関による支援内容を記載した書面
(事業計画書に記載されている場合は不要)
その他 中小企業者は四半期に1回、計画の実行状況を金融機関に報告していただきます。
金融機関は年に1回、中小企業者の計画の実行状況を当協会に報告していただきます。

その他 “中小企業者は四半期に1回、計画の実行状況を金融機関に報告していただきます。

金融機関は年に1回、中小企業者の計画の実行状況を当協会に報告していただきます。”

これを見てもわかる通りで

「条件変更改善型借換保証」を利用するためには

  • 事業計画の策定・実行
  • 「状況説明書 」「事業計画書」「認定経営革新等支援機関による支援内容を記載した書面 」などの提出
  • 四半期に1回、計画の実行状況を金融機関に報告

をしなければなりません。

しかし、これらは銀行との「リスケ交渉」でも、必要なものですので、取り立てて面倒なものではありません。

金利も低金利で、新規の追加融資の枠も用意してもらえるので、十分に検討できる「リスケ中」の資金調達方法となっています。

その3.「手形」を利用した融資

リスケ中でも、融資が受けられる可能性が高いものは「手形貸付」「手形割引」です。

手形貸付とは

借主から金銭消費貸借契約証書の代わりに約束手形 (借主:振出人、貸主:受取人) を振出させて,手形金額に相当する額の貸付けをすること

手形割引とは

手形の所持人が支払い期日以前の手形を金融機関などの第三者に裏書譲渡し、支払い期日までの利息や手数料を差し引かれて現金化すること

を言います。

どちらも

  • 手形(支払いが約束されているもの)
  • 売上に紐づく短期の資金調達に利用されるもの

ですから、「リスケ中」であっても、銀行は融資を認めれてくれる可能性が高いのです。

その4.有担保ローン(売掛債権担保ローン・不動産担保ローン・ABL)

有担保ローン

の場合も、

「リスケ中」≒「貸し倒れリスクが高い」

と考えられてしまうので、審査は厳しくなります。

しかしながら、「担保がある」ということは「貸し倒れになっても、回収できる」ということを意味しています。

担保が十分に保全されていると判断された場合

有担保ローン

  • 売掛債権担保ローン
  • 不動産担保ローン
  • ABL(動産担保ローン)

であれば、「リスケ中」でも融資を受けられる可能性が高いのです。

「不動産」などの資産はリスケ申請時に手放している方も多いと思いますが

  • 売上に紐づいて発生する「売掛債権」を担保にする「売掛債権担保ローン」
  • 仕入れに紐づいて発生する「在庫や機械設備」を担保にする「ABL(動産担保ローン)」

などは、「リスケ中」でも発生しやすい資産性のあるものですので、「リスケ中」でも検討しやすい資金調達方法となっています。

その5.ファクタリング(売掛債権譲渡)

ファクタリング(売掛債権譲渡)とは

売掛債権を売掛金の入金日よりも前に資金化する資金調達方法のこと

を言います。

ファクタリング(売掛債権譲渡)は、ファクタリング会社にとってみれば

「融資」ではなく「買取」です。

シンプルな「売買」ということになるので、債権を譲渡する企業が

  • リスケ中であっても、
  • 赤字決算であっても、
  • 税金未納であっても、
    ・・・

関係ないのです。

ファクタリング(売掛債権譲渡)審査で重要視されるのは

譲渡する売掛債権の売掛先の信用力

です。

売掛金を支払うのは売掛先ですので、売掛先の信用力が高ければ、ファクタリング審査には通り、リスケ中でも早期の資金化が実現できるのです。
ただし、売掛債権を譲渡するときには「ファクタリング手数料」が発生するので、その分、本来受け取れる売上は減少し、利益額も小さくなってしまいます。どうしても、大きな売上が入ったために、早期に資金化しないと資金繰りが回らないというときに利用するものと考えましょう。

銀行融資の「リスケ中」の資金調達での注意点

銀行融資の「リスケ中」の資金調達での注意点

その1.基本的には資金調達せずに「リスケ」解消がベスト

「リスケジュール(リスケ)」をしながら、資金調達をするという行為は、すでに「リスケジュール(リスケ)」を呑んでくれている金融機関にとっては「貸し倒れリスクを上げる行為」です。

いろいろな事情はあっても、歓迎されるものではありません。

「リスケ中」に資金調達をしないで済む方法はないのか。

を十分に検討したうえで、資金調達を検討しましょう。

その2.「リスケ中」に銀行に無理な返済をしていないか?

「リスケ中」に返済額を決定するのは「銀行側」だと考えている経営者は少なくありません。

しかし、「リスケ中」に無理な返済額を提示されたとしても、その要求を呑んで、倒産してしまっては、銀行にとっても、大きなデメリットになるのです。

利益が十分でない段階で、銀行から「このぐらいの金額を返済してください。」と提示されたとしても、

man
「その金額では返済を続けることはできません。」

ときっぱり言い切って

man
「利益がこのぐらいなので、この返済額でお願いします。」

とこちら側から、「可能な返済額」を提示する形に切り替えなければなりません。

teacher

新規借入ができないのですから、利益は貴重な会社の経営財源です。

利益が出るようになったからと言って、その全額を「リスケ中」の銀行への返済に回していたら、すぐに資金不足に陥ってしまうのです。

多くても「利益の50%」までを「リスケ中」の返済上限と考えて、交渉しましょう。

その3.税金の滞納はしない

「リスケ中」でも、

  • 税金
  • 社会保険料

の滞納だけはしてはいけません。

「リスケ中」に新規の融資を受けるとなると

多くの場合は「信用保証協会」の保証付融資を利用することになるはずです。

信用保証協会の融資は

  • 税金
  • 社会保険料

の滞納をしていると受けられません。

teacher
前述した資金調達方法の中で「ファクタリング(売掛債権譲渡)」だけは、税金未納でも、利用できる可能性がありますが、それ以外の資金調達方法は「税金未納」では利用できない可能性が高くなってしまうのです。

まとめ

銀行融資のリスケジュール中「リスケ中」には、新規融資は受けられません。

「まずはリスケを解消して、正常な返済に戻してください。」

と言われてしまいます。

しかし、「リスケ中」に新規の融資が必要な状況も発生します。

銀行融資のリスケジュール中「リスケ中」にできる資金調達方法には

  1. その1.新しい銀行から借り換え
  2. その2.条件変更改善型借換保証
  3. その3.「手形」を利用した融資
  4. その4.有担保ローン(売掛債権担保ローン・不動産担保ローン・ABL)
  5. その5.ファクタリング(売掛債権譲渡)

というものがあります。

ただし、リスケジュール中「リスケ中」に資金調達をする場合には

  1. その1.基本的には資金調達せずに「リスケ」解消がベスト
  2. その2.「リスケ中」に無理な返済をしていないか?
  3. その3.税金の滞納はしない

という点に注意する必要があります。

teacher
「リスケ中」の新規の資金調達は、できればしない方が良いのです。十分に利益が上がる企業体質になってから、「リスケ」を解消して、その後の新規の融資を受けて、経営を向上させていくというのが大きなポイントになります。

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