銀行融資の審査では「融資の原則」というものが重視されます。「原則」ということからもわかるとおり、どんな融資であれば、この原則に則って審査が行われるのです。銀行融資の審査について理解するためにはこの原則について知る必要があります。
「融資の原則」とは?
- 安全性の原則
- 収益性の原則
- 公共性の原則
- 成長性の原則
- 流動性の原則
の5つです。一つずつ解説していきます。
1.安全性の原則
銀行の立場に立ってみれば、融資審査で一番重視されるのは「確実な回収ができること」です。
貸したのに返してもらえない状態 = 貸し倒れ(デフォルト)
- 倒産
- 夜逃げ
- 破産
- 債務整理
- 踏み倒し
- 返済ができない資金不足
・・・
が起きてしまえば、貸した金額がそのまま銀行の損失になってしまいます。
これでは、銀行が収益を上げることができなくなり、すぐにつぶれてしまうのです。銀行が倒産してしまえば、預金者の預金も全額戻らないのですから、貸し倒れ(デフォルト)を回避するように銀行が慎重な審査を行うのは、当然のことなのです。
銀行融資の審査では、まず「確実に返済ができるのか?どうか?」を最も重要なポイントとして審査が行われるのです。
2.収益性の原則
銀行も一企業であることに変わりがありません。
利益を出さなければ
- 従業員の給料も払えません
- 預金に対する利息も払えません
- 投資家に対する配当もできません
・・・
となってしまいます。
一般の企業と同じように「利益を出すこと」も銀行は重視しなければならないのです。
利益を出すために銀行がすること
- 金利を引き上げる
- 融資額を増やす
- 貸し倒れ率を下げる
- 調達コストを下げる
の4つが大きなポイントになります。
金利や融資額を増やせば、それだけ利息収入が増えることになります。
貸し倒れ率を下げれば、それだけ貸し倒れによる損失が小さくなります。
調達コストというのは預金者へ還元する利息などのことです。これを下げればコストが下がります。
当然、単純に金利を上げても、競合の銀行と比較され融資先が減ってしまえば元も子もありませんから、企業努力の中で「利益の拡大」を重視しているのです。
信用力が低い企業の場合は「金利を上げること」でバランスを取ることもできるのです。
3.公共性の原則
銀行は一企業であると同時に、日本経済に対して大きな影響力を持つ企業でもあります。
- 悪徳業者
- 詐欺業者
- 反社会勢力
にどんどんお金を融資してしまったら・・・日本経済や日本の治安の悪化というのは加速してしまいます。
こうならないためにも、銀行は一企業でありながら公共性も担保しなければならないのです。
融資審査の中で、反社会勢力とのかかわりなどが明るみに出れば、審査は通らないことになります。最近では口座開設すらも、厳しくなっているのです。
4.成長性の原則
銀行は、金利を上げなくても、融資している金額が大きくなれば利息収入が増えるのです。
銀行が企業に融資をして
企業がその資金を基に成長して
さらに大きな設備投資のために銀行から資金調達をする
という好循環が生み出せれば、銀行の収益も上昇していくのです。
銀行が融資した企業に対して顧客の紹介や経営面のアドバイスをするのは「企業の成長が銀行の利益につながる」ことを理解しているからです。
5.流動性の原則
流動性というのは「現金としていつでも使える度合」のことです。
銀行の立場で考えると
- 1年間の短期融資 → 流動性が高い
- 10年間の長期融資 → 流動性が低い
ということになります。
長期の融資の方が流動性が低くなり
- 倒産リスクが上がる
- 調達コストの上昇などに対応できない
というデメリットが出てくるのです。
銀行融資でも、信用力がついてくるまでは長期の融資は審査が厳しくなり、短期の融資の方が審査が通りやすいのは「流動性の原則」があるからなのです。
まとめ
銀行審査における「融資の原則」は、銀行だけでなく、すべての金融機関の金融商品に対して共通するものです。
銀行審査を通すためには、基本中の基本として、ここを理解しておく必要があるのです。
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