銀行融資やビジネスローンを利用するときに担保を求められるケースもあります。この場合に利用される担保のひとつに「有価証券担保」というものがあります。今回は有価証券担保について解説します。
有価証券担保とは?
有価証券担保とは
有価証券を担保にすること
を意味します。
有価証券とは
- 為替手形
- 約束手形
- 小切手
- 国債
- 地方債
- 社債
- 株券(株式)
- 新株予約権
・・・
など、財産権を表す証券のことを言います。
有価証券担保というのは「株式や債権、手形、小切手」などを担保にした融資のことを言います。
有価証券担保の担保評価
有価証券担保は有価証券の種類と発行主体の信用力によって、担保評価が大きく変わってきます。
国債(国が発行する債権)
国債であれば債権の額面の90%程度まで評価してもらうことができます。国債は国が責任をもって発行している債権であり、日常的に銀行同士で取引されるものですから、「流動性が非常に高い=いつでも換金できる」担保となります。預金までとはいかないものの、不動産担保や売掛債権担保よりも、評価が高い担保なのです。国債が支払われないということは日本という国自体が破たんした状態を意味するので、ほぼ起こりえないと考えられているのです。
社債
最近は大手企業でも社債で資金調達をする企業が増えてきました。ソフトバンクなどが社債を中心に資金調達する企業としては有名ですが、大手企業の社債であれば比較的容易に換金可能です。流動性が高いのです。しかし、未上場企業や中小企業の社債では買い手が見つけられないことが多くなってしまうため、担保価値は著しく下がってしまうのです。
株式
これも債権と同様ですが、東証1部上場企業で日々の取引量が十分にある株式であれば、銀行も容易に換金でき流動性が高いため、担保価値は高く額面の60%~80%程度で評価してもらえます。一方で大手上場企業の株式は国債などの債権以上に値動きが大きいケースもあり、この場合には銀行は担保評価を50%~60%と抑えめに査定することもあります。未上場企業や中小企業の株式では買い手が見つけられないことが多くなってしまうため、担保価値は著しく下がってしまうのです。上場企業であっても、セントレックスやヘラクレス、アンビシャスなど流通が少ない取引所もあります。この場合も、担保価値は下がってしまうのです。
手形
約束手形の場合には、手形を担保に融資を受けることもできますが、多くの場合は手形割引で現金化するケースが多いようです。手形の担保評価は発行会社の信用力に依存します。
銀行の有価証券担保評価のチェックポイント
流動性が高いかどうか?
銀行や金融機関は「流動性(換金のしやすさ)」で担保評価を決めていると言っても過言ではありません。換金できなければ価値がないのです。有価証券担保の場合は、発行主体や取引所の有無によって「流動性」が変わってくるため、同じ株式であっても、担保に対する評価額は大きく変わってしまうのです。
相場の変動が少ないか?大きいか?
国債というのも、日々銀行や機関投資家が売買するので価格には変動があります。とはいえ、変動幅は小さいと言っていいでしょう。一方で上場企業の株式の場合は、同じ業績であれば変動は少ないでしょうが、スキャンダルや大きなニュースがメディアに露出すると、一気に業績が上がったり、急降下したりします。情報の拡散スピードが速くなっている現代では、株価に対する波及スピードも上がってきているのです。株価の変動が大きい株式の場合は、銀行や金融機関の担保評価は低く設定されます。
発行主体の信用力
発行主体は企業規模が大きければ大きいほど、経営状態が良ければ良いほど+の評価になります。経営状態が悪い会社が発行した社債や株式、手形などは回収リスクが大きくなってしまうからです。
まとめ
有価証券担保は、有価証券の種類、発行主体、流動性、価値の変動によって、担保評価は大きく動いてしまいます。そのため、銀行や金融機関の評価基準も、まちまちです。担保評価額に納得がいかない場合は別の銀行や金融機関を探すというのも一つの方法です。
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