雇用調整助成金の助成率と要件|中小3分の2・日額上限9,110円と、累計30日を超えたあとの分かれ道

累計支給日数30日を境に助成率が教育訓練実施率で分かれることを枝分かれで示したアイキャッチ

雇用調整助成金は、売上が落ちて事業活動を縮小せざるを得なくなったときに、従業員を解雇せず休業・教育訓練・出向で雇用を維持した事業主へ支給される助成金です。他の雇用関係助成金と違い、制度を新しく作ったことではなく、仕事が減っているという事実そのものが入口になります。そのぶん、売上や生産量が本当に落ちているかを数字で示す必要があります。厚生労働省が公開している制度ページとリーフレットから、いくら出るのか、どこで線が引かれるのかを整理します。

先に押さえる4点

助成率は中小企業3分の2、大企業2分の1。受け取れるのは、休業の場合は事業主が支払った休業手当負担額に助成率を乗じた額で、1人1日あたり9,110円が上限です(雇用保険基本手当日額上限額、令和8年8月1日現在)。

入口でいちばん重いのが生産指標が最近3か月の月平均値で前年同期比10%以上減少していること。ただしリーフレットのQ&Aは「3か月全てで減少している必要はありません」と明記しています。

令和6年4月からの見直しで、累計の支給日数が30日に達すると、次の判定基礎期間から教育訓練の実施率に応じて助成率が変わります。教育訓練実施率が10分の1未満だと、中小企業は3分の2から2分の1に下がります。

支給日数は休業・教育訓練で1年間に最大100日分、3年間で最大150日分。出向は最長1年の出向期間中に受給できます。

雇用調整助成金とは、休業・教育訓練・出向で雇用を維持した事業主に出る

厚生労働省は制度の概要を「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます」と説明しています。

ここでいう雇用調整は3種類しかありません。休業、教育訓練、出向です。人員削減で対応した場合は対象外で、雇用を維持したことが支給の条件です。

図1 助成の対象になる3つの雇用調整

休業

労使間の協定により、所定労働日の所定労働時間内において実施されるものであること。短時間休業の場合は、対象労働者の一部または全員について1時間以上行われることが必要です。

教育訓練

労使間の協定により所定労働日の所定労働時間内に実施され、内容が職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とするものであること。短時間訓練は2時間以上です。

出向

対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること。期間の上限だけでなく下限もあります。

返済不要の資金であること自体は他の助成金と同じですが、性格は近いようで違います。他のコース型の助成金が「制度を作った」「正社員化した」といった前向きな取組に出るのに対し、これは事業活動が縮小しているときの資金です。制度の全体像は助成金とは?申請条件・申請から受給までの流れで整理しています。

受給額の決まり方。休業手当負担額に助成率を乗じ、1人1日9,110円が上限

受給額は、休業を実施した場合は事業主が支払った休業手当負担額、教育訓練を実施した場合は賃金負担額の相当額に、助成率を乗じた額です。計算のもとになるのは実際に払った額なので、休業手当を支払っていなければ助成もありません。

表1 助成内容(雇用調整助成金リーフレット、資料番号LL080801企01)
項目 中小企業 大企業
助成率(休業・教育訓練) 3分の2 2分の1
日額上限額 9,110円(雇用保険基本手当日額上限額、令和8年8月1日現在)
対象労働者の要件 雇い入れ後6か月以上の雇用保険被保険者
支給日数 100日分(各事業所の対象労働者数×100日分)
教育訓練加算額(1人1日あたり) 1,200円

日額上限額の9,110円は雇用保険の基本手当日額上限額に連動しており、リーフレットにも「令和8年8月1日現在」と時点が明記されています。この額は毎年8月に見直される性質のものなので、過去の記事に書かれた金額をそのまま使うと合わなくなります。

対象になるのは雇い入れ後6か月以上の雇用保険被保険者です。入社間もない人の休業手当は、支払っていても助成の計算に入りません。

厚生労働省の雇用調整助成金リーフレットで、対象となる事業所の4要件と助成内容の表が示されている画面キャプチャ
厚生労働省「雇用調整助成金リーフレット」。対象となる事業所の要件4つと、助成率・日額上限額・対象労働者の要件・支給日数が1枚にまとまっている(資料番号LL080801企01)。

支給日数が30日を超えると、助成率が教育訓練の実施率で変わる

令和6年4月から適用されている見直しで、助成率が一律ではなくなりました。厚生労働省は、在職者によるリ・スキリングを強化する観点から、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするための見直しだと説明しています。

累計の支給日数が30日に達した判定基礎期間までは、表1の助成率と同じです。30日に達した判定基礎期間の次の判定基礎期間からは、教育訓練実施率に応じて次のように変わります。

表2 累計支給日数30日到達後の助成率と教育訓練加算額(令和6年4月1日以降に開始する対象期間から適用)
教育訓練実施率 企業規模 助成率 教育訓練加算額
10分の1未満 中小企業 2分の1 1,200円
大企業 4分の1
10分の1以上 5分の1未満 中小企業 3分の2
大企業 2分の1
5分の1以上 中小企業 3分の2 1,800円
大企業 2分の1

この表は、教育訓練を入れないと助成率が落ちる構造になっています。教育訓練実施率とは、休業等の延日数のうち教育訓練を実施した日数の割合です。累計支給日数は、1つの判定基礎期間の休業等の延日数を対象労働者数で除した数として定義されています。

図2 30日を超えたあとの助成率(中小企業、教育訓練実施率別)

教育訓練実施率 5分の1以上(加算額1,800円)

3分の2

教育訓練実施率 10分の1以上5分の1未満(加算額1,200円)

3分の2

教育訓練実施率 10分の1未満(加算額1,200円)

2分の1

参考:大企業・教育訓練実施率10分の1未満

4分の1

令和6年3月31日以前に対象期間を開始していた事業主と、令和6年能登半島地震に伴う特例を利用する事業主には、この見直しは適用されないと注記されています。

令和6年4月から雇用調整助成金の制度が変わりますというリーフレットで、見直し前と見直し後の助成率の表が並んでいる画面キャプチャ
厚生労働省「令和6年4月から、雇用調整助成金の制度が変わります。」。見直し前と見直し後の助成率・教育訓練加算額が並べて示されている(資料番号LL060329発01)。

支給限度日数は1年100日・3年150日、出向は最長1年

厚生労働省は「休業・教育訓練の場合、その初日から1年の間に最大100日分、3年の間に最大150日分受給できます。出向の場合は最長1年の出向期間中受給できます」としています。

1年で100日、3年で150日という枠は、2年目以降に使える日数が実質50日しか残らない計算になります。短期の落ち込みを乗り切るための制度で、長期にわたる構造的な縮小を支える設計にはなっていません。リーフレットの支給日数欄も「各事業所の対象労働者数×100日分」と書かれており、1人あたりではなく事業所単位の総枠として管理されます。

主な受給要件は5つ。生産指標10%以上減少がいちばん重い

制度ページは受給要件を5つ挙げ、そのいずれも満たすことが必要としています。

表3 雇用調整助成金の主な受給要件(厚生労働省の制度ページの記載)
要件 内容
(1) 適用事業主 雇用保険の適用事業主であること
(2) 生産量要件 売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること
(3) 雇用量要件 雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと
(4) 雇用調整の基準 実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること(休業・教育訓練・出向それぞれに基準あり)
(5) クーリング期間 過去に支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、前回の対象期間内の最後の判定基礎期間末日もしくは支給対象期末日(いずれか遅い日)の翌日から起算して1年を超えていること

(3)の雇用量要件は「増加していないこと」を求めるもので、減っていることを求めているわけではありません。仕事が減っているのに人を大きく増やしている状態を除く趣旨です。中小企業は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外は5%を超えてかつ6人以上という二重の条件になっており、どちらか一方だけでは該当しません。

生産量要件は「3か月全てで減少している必要はない」

リーフレットのよくあるご質問に、この助成金でもっとも問い合わせが多いであろう論点が置かれています。Q1は「生産量要件の『最近3か月の生産量等の生産指標が前年同期と比べて10%以上減少』は、3か月全てで減少している必要はありますか」で、答えは「3か月全てで減少している必要はありません」です。

続けて、直近1か月の生産量等が急激に落ち込んだ場合、それまでの2か月の生産量が減少していなくても、3か月平均で対前年同期と比べて10%以上減少していれば生産量要件を満たす、と説明されています。

図3 生産量要件の比較のしかた(リーフレットQ1の説明)

  1. 比較する期間を決める 生産量要件は、支給対象期間の初日が属する月の前月まで、又は前々月までの3か月間と、対前年同期を比較します。前月までと前々月までのどちらか一方で比べられます。
  2. 3か月の平均値を出す 各月の数字ではなく3か月平均で判定します。1か月だけ大きく落ちた場合でも平均で10%以上減っていれば要件を満たします。
  3. 生産指標を選ぶ Q2では、生産量・売上高のほか、販売量や完成工事高等があると説明されています。自社の事業活動を示す指標を選びます。

「前月まで、又は前々月までの3か月間」という選択肢があることは、実務上の余地になります。直近の月の数字がまだ確定していない段階でも、前々月までの3か月で判定できる場合があるということです。

支給対象になる教育訓練の例

令和6年4月からの見直しでは、支給対象となる教育訓練の要件も再整理されました。職業に関する知識、技能又は技術の習得又は向上を目的とするものであることが前提で、リーフレットは例を事業所内と事業所外に分けて挙げています。

表4 支給対象となり得る教育訓練の例(令和6年4月1日以降の日を初日とする判定基礎期間から適用)
実施場所 例
事業所内で実施するもの 事業所内で経験等を有する者が講師役となり、休業の対象となっており生産活動を停止している工場のラインを活用して、安全に作業が行えているかの確認、生産性を向上するための講習(業務プロセスの改善等)等を実施するもの(通常の事業活動と区別して行われており、教育訓練の成果物を販売等することにより利益を得るものでないものに限る)/事業所内に外部講師を招き、講習等を実施するもの(例:業務改善のためのノウハウ(業務の棚卸しや改善方策の検討の仕方)、マネジメント研修、ビジネススキル研修(プレゼンテーション、問題解決手法)等)
事業所外で実施するもの 官公庁や地域において産業や中小企業を支援する機関等が実施する講習等(講演が実施されない関係者の意見交換会やイベント等を除く)/業務で必要となる免許・資格等の取得や更新のための講習・訓練など、教育訓練機関等が行う訓練・セミナー等

事業所内の例に「教育訓練の成果物を販売等することにより利益を得るものでないものに限る」という条件が付いている点は見落とせません。休業中のラインを使った訓練であっても、そこで作ったものを売れば通常の事業活動になり、対象から外れます。

訓練そのものへの助成を狙うなら、雇用調整助成金の教育訓練加算とは別に人材開発支援助成金があります。ただし複数の助成金を申請する場合は併給調整がかかることがあるため、厚生労働省は併給調整早見ツールでの確認と、申請前の労働局への相談を案内しています。

「経済上の理由」に当たらない縮小もある

この助成金は「経済上の理由」による事業活動の縮小を要件にしています。理由の性質によっては対象にならない場合があり、厚生労働省は鳥インフルエンザの場合を例に整理した資料を公開しています。

その資料では、鳥インフルエンザを直接的な理由とする事業活動の縮小、つまり家畜伝染病予防法に基づく家きんの殺処分、農場の消毒等の防疫措置、移動制限等による縮小については、「経済上の理由」に該当しないため本助成金の対象にならないとされています。いっぽう、発生農場であっても、移動制限等の法令上の制限が解除された後に、新たに種鶏や採卵鶏等が購入できないなど発生前の規模で事業再開できない「経済上の理由」があり、これに伴い事業活動が縮小した場合は、要件を満たせば支給対象となりうる、とされています。

法令上の措置そのものによる停止と、その後に残る経済的な影響を分けて扱う考え方です。飲食店、運送業者、食鳥処理場といった関連事業者については、生産指標の要件を満たす場合に対象となりうるとして○が付けられています。

厚生労働省の雇用調整助成金の支給のイメージという資料で、鳥インフルエンザの場合に経済上の理由に該当する可能性を整理した表が示されている画面キャプチャ
厚生労働省「雇用調整助成金の支給のイメージ(鳥インフルエンザの場合)」。防疫措置の実施中と解除後で、経済上の理由に該当する可能性が分けて整理されている。

特例措置が設けられることがある

制度ページの冒頭には、令和8年熊本地震に伴う雇用調整助成金の特例について特設ページを確認するよう案内が出ています。災害が起きた際に特例措置が設けられることがあり、通常の要件とは適用が変わります。

また、令和6年4月からの助成率の見直しについて、令和6年能登半島地震に伴う特例を利用する事業主には適用しないと注記されているように、特例の利用者は本則の改正から外れることがあります。自社が特例の対象になるかどうかで適用される数字が変わるため、まず特設ページと相談窓口で確認する順番になります。

偽サイトへの注意喚起がある

「雇用調整助成金」に関する偽サイトにご注意ください!(厚生労働省の制度ページの掲示)

インターネット上で、厚生労働省の雇用調整助成金ページを模倣した偽のページが確認されております。URLのドメイン(厚生労働省発行のものはmhlw.go.jp)や掲載内容をよくご確認いただき、不審な点がある場合はアクセスしないようお願いします。

助成金の情報を検索して上位に出たページをそのまま信用せず、ドメインを見る。これは雇用調整助成金に限らず、金額や要件を確認するときの基本の手順です。当サイトが本文中に一次情報のURLを併記しているのも、読者が自分でドメインを確かめられるようにするためです。

様式と支給要領は版が分かれる

制度ページのお知らせには、様式等の更新が令和8年8月1日付で掲示されています。パンフレット類は雇用調整助成金ガイドブックが令和8年8月1日現在版、支給要領は令和8年9月10日現在版として掲載されています。ガイドブックと支給要領で時点が1か月以上ずれているため、数字の根拠を確認するときはどちらの版を見ているかを意識する必要があります。

申請は雇用関係助成金ポータルから電子申請ができます。様式ダウンロードのページでは、共通の要件等に関する申請書類が別に案内されています。雇用関係助成金に共通の要件も満たす必要があり、共通要領は令和8年4月8日現在のものが公開されています。

資金繰りの目線。休業手当は先に払い、助成はそのあと

この助成金でもっとも重いのは、休業手当を先に支払う必要があることです。受給額の計算のもとが「事業主が支払った休業手当負担額」である以上、支払いの実績がなければ申請できません。売上が10%以上落ちている状況で、休業手当を先払いしてから助成を待つ構造です。

数字を置きます。対象労働者20人が1か月に10日休業し、1人1日あたりの休業手当が8,000円だとすると、支払いは20人×10日×8,000円=160万円。中小企業の助成率3分の2なら約106万円が助成の計算上の額で、日額上限9,110円は超えていないので上限には当たりません。残りの約54万円は自社負担で、しかも160万円は先に出ていきます。

助成率が2分の1に下がる局面では、この自社負担が倍近くになります。累計支給日数が30日に近づいてきたら、教育訓練を組み込むかどうかを資金繰りの問題として判断する必要があります。非正規雇用の処遇を同時に見直す場合はキャリアアップ助成金が別枠にあります。資金繰り表の作り方は資金繰り改善の具体策100を参照してください。

よくある質問

3か月のうち1か月だけ売上が落ちた場合も対象になりますか。
リーフレットのQ1では、3か月全てで減少している必要はないとされています。直近1か月の生産量等が急激に落ち込んだ場合、それまでの2か月が減少していなくても、3か月平均で対前年同期と比べて10%以上減少していれば生産量要件を満たすと説明されています。
入社したばかりの社員の休業手当も助成の対象になりますか。
リーフレットの対象労働者の要件は「雇い入れ後6か月以上の雇用保険被保険者」です。
1日だけの休業でも申請できますか。
制度ページでは、短時間休業について、当該事業所における対象労働者の一部又は全員について1時間以上行われるものであることとされています。短時間訓練の場合は2時間以上です。
以前に受給したことがありますが、また申請できますか。
過去に支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、前回の対象期間内の最後の判定基礎期間末日もしくは支給対象期末日(いずれか遅い日)の翌日から起算して1年を超えていることが要件とされています。
教育訓練を入れないと助成率が下がりますか。
累計の支給日数が30日に達した判定基礎期間の次の判定基礎期間から、教育訓練実施率が10分の1未満の場合、中小企業は2分の1、大企業は4分の1になります。10分の1以上5分の1未満であれば中小企業3分の2、大企業2分の1に戻ります。
出向でも受給できますか。
出向は対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであることが基準です。最長1年の出向期間中に受給できるとされています。

雇用維持のための他の助成金との違い

厚生労働省の雇用関係助成金一覧では、雇用調整助成金は「休業、教育訓練や出向を通じて従業員の雇用を維持する」ための助成金として1番目に置かれています。同じ雇用維持の文脈で2番目に並ぶのが産業雇用安定助成金で、こちらは在籍型出向やスキルアップを軸にしています。

表5 雇用維持・出向に関わる助成金の位置づけ(厚生労働省「雇用関係助成金一覧」の説明文)
助成金・コース 一覧に書かれている対象
雇用調整助成金 休業、教育訓練や出向を通じて従業員の雇用を維持する
産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース) 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされたため、生産性向上に資する取組等を行い、当該生産性向上に資する取組等に必要な新たな人材を雇い入れる
産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース) 労働者のスキルアップを在籍型出向により行い、出向から復帰した際の賃金を出向前と比較して5%以上上昇させる
産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース) 令和6年能登半島地震に伴う経済上の理由により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされたため、在籍型出向により労働者の雇用を確保する

同じ「経済上の理由により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた」という状況を起点にしながら、雇用調整助成金は雇用を維持する側、産業雇用安定助成金は人を動かす側または新たに雇い入れる側に助成します。出向という手段は両方に出てきますが、雇用調整助成金の出向は出向元に3か月以上1年以内で復帰することが条件で、スキルアップ支援コースは復帰後の賃金上昇を条件にしており、見ているものが違います。

どちらで申請するかを決める前に、併給調整の確認が要ります。厚生労働省は「複数の助成金の支給申請にあたっては、併給調整がかかる場合がありますので、『併給調整早見ツール』によりご確認ください」としたうえで、個別の申請ではこれによらない場合があるため申請前に管轄の労働局へ相談するよう求めています。

厚生労働省の雇用調整助成金のページで、リーフレットの画像と偽サイトへの注意喚起、制度改正のお知らせが並んでいる画面キャプチャ
厚生労働省「雇用調整助成金」のページ。リーフレットの掲示のすぐ下に偽サイトへの注意喚起が置かれ、その下に令和6年4月の制度改正と令和6年1月の算定方法変更の案内が続く。

まとめ

雇用調整助成金は、休業・教育訓練・出向で雇用を維持した事業主に出る助成金です。助成率は中小企業3分の2、大企業2分の1で、日額上限は1人1日9,110円(令和8年8月1日現在)。支給日数は1年で最大100日分、3年で最大150日分です。

入口は生産指標の10%以上減少ですが、3か月全てで減っている必要はなく、3か月平均で判定します。比較する期間は、支給対象期間の初日が属する月の前月まで、又は前々月までの3か月間のどちらかを選べます。

令和6年4月以降に対象期間を開始した場合、累計支給日数が30日を超えると教育訓練の実施率で助成率が変わります。休業だけで長く回すと助成率が下がる設計なので、30日が近づく前に教育訓練を組み込むかどうかを決めておくのが現実的です。個別の適用可否は、制度ページに掲載されている相談窓口にご確認ください。

雇用維持以外の助成金も含めて検討する場合は雇用関係助成金13分類の比較に金額と期限を並べています。制度の仕組みは助成金とはをご覧ください。

参照した一次情報

  • 厚生労働省「雇用調整助成金」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_20200515.html(制度の概要、受給額と助成率、累計支給日数30日到達後の助成率、支給限度日数、主な受給要件5つ、ガイドブック(令和8年8月1日現在版)と支給要領(令和8年9月10日現在版)、偽サイトへの注意喚起、令和8年熊本地震の特例)
  • 厚生労働省「雇用調整助成金リーフレット」(資料番号LL080801企01)https://www.mhlw.go.jp/content/001705117.pdf(対象となる事業所の4要件、助成率・日額上限額9,110円・対象労働者の要件・支給日数100日分、生産量要件の判定方法に関するQ&A)
  • 厚生労働省「令和6年4月から、雇用調整助成金の制度が変わります。」(資料番号LL060329発01)https://www.mhlw.go.jp/content/001238390.pdf(助成率と教育訓練加算の見直し、見直し前後の対比表、支給対象となり得る教育訓練の例、適用除外となる事業主)
  • 厚生労働省「雇用調整助成金の支給のイメージ(鳥インフルエンザの場合)」https://www.mhlw.go.jp/content/001160854.pdf(法令上の防疫措置による縮小が「経済上の理由」に該当しないこと、制限解除後に該当しうること、関連事業者の扱い)
  • 厚生労働省「雇用関係助成金の申請にあたって」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00018.html(共通要領、併給調整早見ツール)

助成率・上限額・要件は2026年9月30日に厚生労働省の公式ページおよびリーフレットに掲載されていた内容です。日額上限額は雇用保険基本手当日額上限額に連動し、見直されることがあります。災害等に伴う特例措置の対象となる場合は適用が変わります。受給を保証するものではなく、適用の可否は管轄の窓口の判断によります。個別の労務判断については社会保険労務士等の専門家にご相談ください。