銀行融資や不動産担保ローンなど、不動産担保が必要になるケースがあります。この場合、不動産担保はどのようにして、いくらで評価されるのでしょうか?今回は不動産担保評価の方法について解説します。
不動産担保評価の前提
不動産担保も、担保ですから、銀行や金融機関は融資したお金の返済が滞ってしまった場合に、担保である不動産を売却して、その売却金で融資した金額を回収することを目的としています。
そのため、不動産担保評価というのは「いくらで売れるのか?」で算出したものと言えます。
- 高く売れる不動産 → 担保評価が高い
- すぐに売れる不動産 → 担保評価が高い
のです。
一方で
- 買い手がいない不動産 → 担保評価が低い
- 安くしか売れない不動産 → 担保評価が低い
売りにくい(流動性が低い)不動産は、かなり価値が低くなってしまうと考えましょう。
不動産担保は、売掛債権担保や有価証券担保といった、他の担保と比較して売りにくいものです。また、競売や任意売却で売却するために事務コストもかかってしまいます。担保の中でも、市場価格よりもシビアに見られる可能性が高いのが不動産担保です。
不動産担保価値の評価方法
1.土地、建物の価値を評価する
土地の評価
対象物件の国税庁路線価を調べます。※路線価以外にも、標準地価格(公示地価)、都道府県地価調査における基準地価を参考にするケースもあります。
- 路線価 → 国税庁サイト
- 標準地価格・基準地価 → 国土交通省:土地総合情報ライブラリー
物件の面積(㎡)に路線価(もしくは公示地価、基準地価の㎡あたりの価値)をかけると土地の評価額が出てきます。
例:
土地面積100㎡ × 路線価15万円 = 土地評価額1500万円
土地の評価での注意点
山奥の土地、市街化調整区域の土地、農地などは買い手を見つけることが難しい流動性の低い土地です。担保としての評価は上記の計算よりも、低く見積もられてしまいます。
また、不整形地や再建築不可の土地など、買い手が少なくなってしまう土地も、流動性が低いとして担保評価は下がってしまうのです。
建物の評価
1㎡あたりの建築単価を調べます。そして建築単価に建物の面積(㎡)をかけます。現在同じ建物を建築した場合の価格が算出されます。
さらに上記で算出された建築価格に現在価値割合(1-建物経過年数/減価償却耐用年数)をかけることで建物の評価額が算出されます。
例:
建物床面積100㎡ × 建築単価(1㎡)20万円 = 建物を今建築した場合の価格2,000万円
2,000万円 × 現在価値割合(1-15年/22年) = 636万円
建物の評価での注意点
基本的には上記の方法で不動産担保価値というのが計算されますが、周辺の同じ物件の実際の売却価格相場なども加味されて、評価されます。銀行やノンバンクでは、築年数や立地、建物の構造により、時価を算出する表が用意されています。
企業が保有する建物にも、売りにくいものが多くなってしまいます。例えば、工場など買い手が見つからないことも多く、この場合は建物の評価というのはかなり低く見積もられてしまうのです。
築年数が長くなればなるほど、建物の評価額は0円に近づきます。土地と比較して、建物の担保価値というのは低い設定になることが多いのです。
2.掛目を考慮する
掛目(かけめ)とは
担保掛目とも呼ばれますが、担保を評価する際の「掛目(比率)」のことです。
前述した通りで、不動産は現金や有価証券と比較して、現金化が難しい担保です。そのため、不動産評価100%で融資をしてしまうと、売れなかった場合のリスク、経年劣化による価値減少リスクを担保できないのです。
一般的な掛目
- 預金:100%
- 国債:90%
- 有価証券;80%
- 不動産:70%
となっています。
前述した計算で
不動産の価値:1000万円
建物の価値:200万円
となった場合
1200万円 × 掛目70% = 840万円までの融資が可能
と計算されることになります。
不動産担保の掛目設定は
- 銀行:70%
- 不動産担保ローン専門の:90%~100%
不動産売買も自社で行っている不動産担保ローン専門のノンバンクは、銀行よりも「高く売れる自信」があるため、掛目が大きく設定されています。
3.現地調査と資料との差異の確認
不動産担保で融資やローンを利用する場合には下記の書類提出が求められます。
- 不動産登記簿
- 公図
- 建物図面
- 所在地(住宅地図)
- 地積測量図
など
しかし、不動産担保評価は、書類だけで行われるものではありません。なぜなら、実際に現地に行ってみると、その不動産の使われ方や面積が明らかに違うケースが少なくないからです。土地だけで登記されてても、建物が立っていることすらあります。
不動産に手を加えたときに、いちいち登記簿を修正する人の方が少なく、数十年前の状況と現在の状況が変わっていることも少なくないのです。
そのため、不動産担保評価では、不動産鑑定士などの専門家が現地にい赴いて調査することがほとんどです。そのため、無担保ローンのビジネスローンと比較すると審査の時間がかかるのです。1営業日~3営業日ほど不動産担保の融資やローンの方が無担保ローンよりも時間がかかります。
まとめ
不動産担保の評価方法は路線価、公示地価などで算出した評価に対して、掛目を乗じることで算出されます。
銀行やノンバンクの種類によっても、不動産担保の評価はかなり異なるケースがあります。不動産の担保評価に不満があるのであれば、自分でも計算してみた上で、他の金融機関に申込んでみるのも一つの方法です。
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