「前受金」という魔法の資金調達方法

up128_128日本では、一般的なビジネス取引は、信用取引によって成り立っています。商品やサービスを購入したとしても、その支払いは月末締めの翌月末払いや翌々月払いなど、支払いサイトによって遅れて支払う商慣習があるのです。しかし、この信用取引は「お金を支払うのが先でお金を受け取るのが後になる」仕組みなので、資金繰りにとって非常に悪影響を及ぼしているのです。今回は、信用取引を回避するための「前受金」という資金調達方法について解説します。

前受金システムとは

商品やサービスなどを提供する前に代金をもらう(預かる)仕組みのこと

を言います。

前払いシステムと言い換えた方が分かりやすいかもしれません。

前受金システムには具体的にどんなものがあるの?

例えば

  • Suica、PASMO、nanaco、Edyなどのプリペイド型の電子マネーカード
  • 住宅やオフィス賃貸の家賃
  • 定期購読の雑誌
  • 学校や塾などの授業料
  • ゲームソフトやCDなどの予約販売
    ・・・

とビジネスではかなり多くのサービスで「前受金システム」が取り入れられています。

誰でも当てはまるのは家賃だと思いますが、家賃は前払いで支払うもので、今月の家賃は先月に支払う先払いなのです。

前受金システムは何がメリットなの?

資金繰りが楽になる。資金調達が不要

信用取引の場合

資金調達

商品やサービスの提供(仕入れコスト、サービス提供コストの発生)

1ヶ月~2か月後に顧客から入金(手形の場合は5か月~6か月後入金)

というフローになります。この場合、支払いが入金よりも先にあるため、ここで資金調達の必要性が発生してしまうのです。お金を先に用意しておかなければ「キャッシュフローが回らない=債務超過に至ってしまう」からです。

売上が伸びれば伸びるほど、資金繰りが苦しくなる原因がここにあるのです。

前受金システムの場合

商品やサービスの提供前に顧客から入金

商品やサービスの提供(仕入れコスト、サービス提供コストの発生)

というフローになります。お金が入金されてから、コストが発生するので資金調達の必要性がなくなるのです。当然、キャッシュフローも改善します。

無在庫・受発注での取引が可能に

先に注文があり、入金もされている「前受金システム」では、注文を受けてから在庫を発注することが可能です。

サービスの提供であったとしても、はじめから人員のアサインを計画的に実行できることになります。

  • 不良在庫の発生
  • 過剰在庫の発生

を回避できるのです。

会員の囲い込みができる

はじめに一定額の前受金を受け取っていれば、その前受金がなくなるまでは、競合他社と比較して有利な立場を取ることができます。

例えば、電子マネーにチャージしていて、使い切らないうちに他の電子マネーに移行するというのは考えにくいのです。

先にお金を受け取ることで、一定の囲い込みが可能になります。

「前受金」は金利も発生しない、返済する必要のない、税金がかからない借入

前受金というのは、銀行からの借入とは違って

  • 金利もありません
  • 返済の必要性もありません。
  • 税金もかかりません。(預かっているだけのお金)

という非常に使い勝手の良いお金です。

いうなれば「顧客からの借入」と言っていいでしょう。

お金としての制約もなく、金利コストが発生しないので、企業の経営・資金繰りを楽にする効果というのは絶大なのです。

資金回収は確実にできている

前受金は商品やサービスを提供する前にお金をもらっているので、資金回収はすでに完了しているのです。

当然、回収率は100%になります。

未回収の状態になりにくいメリットがあります。

前受金システムのデメリットってあるの?

導入をするには強い商品力などの魅力が必要

顧客からすれば同じサービスが利用できるのであれば、前払いよりも後払いの方が良いに決まっています。

例えば、ゲームソフトの先行予約販売があったとしても、そのソフト自体に魅力がなく「別に後で買ってもいいや。」と思われてしまう商品力であれば「前受金システムは成立しない」のです。

BtoBでも、サービスの提供前にお金をもらうというのは、その会社に依頼せざるをえないほどの優位性がなければ実現しません。「なぜ、御社にだけ前入金をしなければならないの?他の会社にお願いするよ。」と言われかねないのです。

つまり、前受金システムは導入メリットが非常に多くあるのですが、その分導入するためのハードルが高い資金調達方法なのです。

まとめ

前受金システムには

  • 資金繰りが楽になる
  • 不良在庫、過剰在庫が発生しない
  • 未回収が発生しない
  • 金利がない借入
  • 税金も発生しない借入
  • 返済の義務もない借入
  • 顧客の囲い込みが可能

という色々なメリットがあります。

しかし、前受金システムを導入するためには、商品やサービスに競合他社にはない大きな魅力が伴わなければ、顧客が前受金システムを利用してくれないのです。

「前受金システム」で資金繰りを楽にすることを検討する場合には、他社に負けないサービスや商品を作ることも同時に考える必要があります。

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