銀行の融資で資金調達する際には、一体どのくらいの金利が適用されるのか?わかりません。今回は銀行の融資の金利の決め方について解説します。
銀行の融資は変動金利
基本的に銀行融資の金利タイプは「変動金利」が採用されています。
- 変動金利 → 一定期間ごとに金利を見直す(金利が変動する)金利タイプ
- 固定金利 → 借入から完済まで金利が一定の金利タイプ
です。
なぜ、金利が変動するのか?というと
銀行は
この利ザヤ(スプレッド)が銀行の収益となります。
この資金を調達する側の調達金利は、日本銀行から銀行へ融資するときの政策金利だったりするのですが、これは景気の動向によって変動してしまうのです。
景気が悪いときは、日銀は政策金利を引き下げます。民間銀行が低金利で企業への融資をしやすい環境を作って、企業が設備投資をし、経済が活発化することを意図しているからです。
ここ20年ほどは0.1%というゼロ金利政策が取られてきました。
しかし、景気が良くなればアメリカのように政策金利を引き下げて、バブル、インフレになるのを抑制する必要があります。こうなると銀行の調達金利も上がってしまうのです。
一方、政府系金融機関や地方公共団体の制度融資など、リスクを無視できる公的機関の融資には「固定金利」が採用されているものが多いです。
銀行の融資の金利の決め方「短期プライムレート」
短期プライムレートとは
を言います。
通称「短プラ」です。短期プライムレートは画一的なものではなく、銀行ごとに異なり、銀行が融資金利を決めるときの基準として設定しているものです。
銀行が融資をするときには
で計算されます。
「+α」の部分が貸し倒れリスクです。
貸し倒れリスクというのは、会社の信用力ということになります。
- 大手企業 → 貸し倒れリスクは低い → +αは小さく、融資金利は短プラに近い金利
- 中小企業 → 貸し倒れリスクは大きい → +αが大きく、融資金利は短プラより高い金利
が設定されるのです。
最近では1年を超える融資金利も、「短期プライムレート」を基軸に計算さされています。
「+β」の部分は返済期間です。
- 返済期間が長くなる → +βが大きくなる
という仕組みです。
- 1年未満 = 短期プライムレート
- 3年未満 = 短期プライムレート + 0.2%
- 5年未満 = 短期プライムレート + 0.4%
となるのです。一昔前は「長期プライムレート」というものがあったのですが、今は短期プライムレートを基準に1年を超える融資金利を決める形がメジャーです。
じゃあ、「短プラ」自体はどうやって決めるのか?
という疑問が出てきますが
「短プラ」の計算のもととなる調達元は「預金」です。
で設定するのです。
今は、預金は0.001%とほぼないに等しい状況ですので、銀行の短プラというのは「銀行がどのくらい利ザヤを抜きたいか?」によって決まってくるのです。
銀行の融資の金利の決め方「スプレッド貸」
スプレッド貸(スプレッド融資)とは
東京銀行間取引金利(TIBOR)とは
1週間
1ヶ月
2ヶ月
3ヶ月
6ヶ月
9ヶ月
1年物
という種類があります。
で計算されます。
- 「短プラ」 → 預金が原資
- 「スプレッド貸」 → 銀行間取引による資金調達が原資
という違いがあるのです。
「短プラ」と「スプレッド貸」の金利の違い
- 大手企業 → 「スプレッド貸」※「短プラ連動融資」より低金利
- 中小企業 → 「短プラ連動融資」
というのが一般的な金利の違いです。「スプレッド貸」はある一定の信用がある状態で利用できるようになります。
中小企業でも、財務体質が良い優良企業は「スプレッド貸」の低金利の資金調達ができるケースがあります。
まとめ
銀行融資の金利は「変動金利」です。
基本的には、調達コストに銀行の利ザヤを載せたものが融資金利となります。ここに企業の信用力に応じて+αのリスクヘッジをして、融資金利が決まるのです。格付けが良く財務体質も健全、取引実績も豊富な企業ほど、短期プライムレートに近い金利が適用されるのです。