
資金調達方法の中に「在庫売却」というものがあります。今回は、在庫を売却して資金調達する方法について、メリットデメリット・手順をわかりやすく解説します。
在庫売却で資金調達する方法とは?
在庫とは
を言います。
会計用語で言うと「棚卸資産」の一種であり、販売目的と何らかの形で結びついている資産のことを言います。
例えば、小売店の場合は
を指します。
在庫売却で資金調達する方法とは
在庫は、原材料・仕掛品・製品・商品と色々なパターンがありますが、原材料・仕掛品などは売却できないケースもありますが、製品・商品であれば、売却することができるため、資金調達が可能になります。
在庫を売却することで資金調達ができるのです。
とくに
長期間在庫として保管しておくと
- 経年劣化によって売れなくなってしまう
 - 何かの拍子に壊れてしまう
 - 在庫を置くスペースが必要になる
 - 在庫を置く管理コストが必要になる
 
というデメリットが発生してしまうため、不良在庫は、早い段階で売却して、資金繰りに充てる方が経営的にも、大きなメリットがあるのです。
在庫売却で資金調達する方法には何がある?
在庫を売却する方法には
- 自社の販路で広告宣伝を行い売却する
 - セールで売り切る
 - アウトレットで販売する
 - フリマアプリ、インターネットオークションで販売する
 - 在庫買取業者に売却する
 
などがあります。
1.自社の販路で広告宣伝を行い売却する

と思う方も多いですが、実際には、「売るための努力」を怠っているケースが少なくありません。
商品をすでに知っている。かつ興味がある方には
- メルマガ
 - SNS(twitter、instagram、facebook)
 - LINE@
 - DM(ダイレクトメール)
 
などで、定期アプローチをする中で「在庫」をアピールすることで、「購入したい」タイミングに「在庫」へ誘導して、売却することができるのです。
商品をすでに知っている。かつ興味がない方には
- 別の切り口で訴求する
 
商品性でアピールしても、興味が持たれなかったということを意味しているので
- 掘り出し物
 - 人気No.1
 - 隠れた逸品
 
など、切り口を変えることで、興味を持ってもらえる可能性が出てくるのです。
商品を知らない方には
- ウェブサイトで上位に表示する
 - 販売店の商品の棚を変える
 - ポップなどでアピールする
 - SNSでアピールする
 - 販促チラシでアピールする
 
など、見てもらえる機会を増やす努力が必要になります。
2.セールで売り切る
自社のサイトや店舗で売却するときに「値引き」をすることで、在庫の売却を狙います。
- 値下げセール
 - 在庫一斉セール
 - 決算セール
 
など「セール」「値引き」をすることで在庫を処分することができます。
3.アウトレットで販売する
アウトレットとは
を言います。
- 数シーズン前の商品
 - クーリングオフの返品物
 - 過剰な在庫の処分品
 - 色落ち、ほつれなどがあるB級品
 
などがアウトレットの店舗に並びます。
最近では、アウトレットモールなどで、高級ブランドのアウトレット商品が売られることで、安く手に入ることで人気となっています。
アウトレットモールに出店料を支払うことで、在庫品の売却が可能になります。
4.フリマアプリ、インターネットオークションで販売する
- ヤフオク、楽天オークションなどのオークションサイト
 - メルカリ、ラクマなどのフリマサイト
 - ジモティーなどの掲示板サイト
 
などを利用することで、身元(販売主体)を隠したまま、在庫品を処分することが可能です。
5.在庫買取業者に売却する
在庫の買取業者に売却する方法もあります。
在庫の買取業者は
- 家電製品
 - パソコン
 - パソコン周辺機器
 - 家具
 - 日用雑貨
 - ブランド品
 - 食料品
 - 消耗品
 - 酒
 - 化粧品
 - スポーツ用品
 - DIY工具
 - ベビー用品
 
などを、多くのロットで買い取ってくれる在庫買取専門業者です。
買取業者は、
- 小売店
 - 問屋
 - 仲間卸
 - ネットショップ
 
など、2次流通の販路を幅広く用意しているため、大量の在庫品を買い取ることができるのです。
在庫の売却で資金調達するメリット
メリットその1.在庫の保管コストを削減できる
前述した通りで、売れない在庫(不良在庫)を抱えてしまうと色々なコストが発生します。
- 在庫の保管コスト(倉庫の賃料、光熱費)
 - 在庫管理の人件費
 - 保険料
 - 運搬費
 
が主なコストです。
メリットその2.早期の資金調達が可能
在庫の売却方法にも、寄りますが、在庫の売却は、買い手が見つかれば、その場で完了し、資金調達ができます。
- 買取業者に売却する → その場で現金で支払われる
 - フリマアプリ、オークションサイト → 売れたら、その場で入金される
 
のですから、資金調達のスピードが、「融資」や「出資」と比較して、圧倒的に早いのです。
メリットその3.売却方法によっては、通常の販売価格に近い金額で売却可能
買取業者に一括売却した場合は、
商品原価の数十%まで、売却価格が落ちてしまうため、商品単体で見れば赤字となってしまいます。
自社のウェブサイトや店舗で工夫して売り切った場合は、
多少の割引をしても、販売価格の7割~8割の金額で売却できる可能性もあります。この場合は、商品単体で見れば利益が出ていることになります。
メリットその4.資金調達したお金で次の売上を作る商品の仕入れも可能
売れない不良在庫を抱えているよりも、損をしてでも、売却して資金化した方が、未来の売上を作る仕入れが可能になります。
在庫の売却で資金調達するデメリット
デメリットその1.売却方法によっては、ブランド価値が下がる
- セールや値引きで売却する
 - フリマアプリ、インターネットオークションで売却する
 - 買取業者に売却する
 
場合は
というイメージを持たれてしまいます。
ブランド価値を低下させないためには、B級品であることが明らかであるアウトレットモールなどで売却すると良いでしょう。
デメリットその2.売却方法によっては、買いたたかれる
- 買取業者に売却する
 - フリマアプリ、インターネットオークションで売却しても、一向に売れない
 
場合は、販売価格に対して、10%~20%という安値で売却しなければならないケースも出てきます。
デメリットその3.売却方法によっては、なかなか資金化できない
- 自社のウェブサイトや店舗で売却しようとする
 - フリマアプリ、インターネットオークションで売却する
 - アウトレットモールで売却する
 
場合も、「なかなか売れない」という可能性が出てきます。
在庫による資金調達でおすすめの方法とは?

なぜならば
- 自社サイト、自社の店頭で売る
 - セールで売り切る
 - アウトレットモールで売却する
 - フリマアプリ、インターネットオークションで販売する
 
の場合は
- 在庫買取業者よりも、高く売れる可能性がある
 
というメリットがある反面
- すべてが売却できるわけではない
 - 売却するまでに時間がかかる
 - 売却するまでに手間がかかる
 - 売却するまでにコストがかかる(広告宣伝費、アウトレットモールへの出展料、人件費)
 
というデメリットがある上に、自社での売却の場合は、ブランドイメージの毀損による、今後の売上への悪影響が考えられるからです。
在庫買取業者での売却の場合は
- かなり安く売却することになる
 
というデメリットがある反面
- 多くの在庫も売却が可能
 - すぐに在庫の処分ができる
 
ためです。
在庫処分に経営のエネルギーを使うよりは、安くても、在庫を処分して、在庫処分ではなく、新しい商品の開発、仕入れ、販売に力を割く方が、経営を改善させられる可能性が高いからです。
在庫処分にエネルギーを割くのではなく、「在庫買取業者」を利用して、すぐに在庫処分を完了することをおすすめします。
在庫買取業者を選ぶポイント
ポイントその1.専門の業者を探す
「幅広い商品を取り扱っている在庫買取業者」よりも、「その商品専門で買取している在庫買取業者」の方が、高く売れる販路を確保している可能性が高く、買取額が高くなります。
何でも買い取れる在庫買取業者ではなく
- 家電専門買取業者
 - アパレス専門買取業者
 - 雑貨専門買取業者
 - ブランド専門買取業者
 - お酒専門買取業者
 - 重機買取
 - など
 
ポイントその2.あまりに種類の違う商品が残っている場合には、何でも買い取れる在庫買取業者を選ぶ
専門性の高い在庫買取業者に買取を依頼した方が高値売却が期待できますが
- 商品の種類が多い
 - 商品ごとのロットが少ない
 
という状況では、専門性の高い在庫買取業者も買い取ってくれませんし、多くの在庫買取業者を見つける労力が発生します。
ポイントその3.買取実績の豊富な在庫買取業者を選ぶ
と言って過言ではありません。
買取実績が多いということは、それだけ捌けるということを意味します。
ポイントその4.見積書、契約書を提示してくれる在庫買取業者を選ぶ
買取業者は、安く買い取る業者ほど「口頭での買取」を強要してくる業者が多いです。
- 見積書の提示
 - 契約書の用意
 
をしっかりしてくれる在庫買取業者の方が、高値買取の可能性が高いのです。
また、契約書があれば、在庫の持ち逃げなどのトラブルを回避できますので
- 連絡先
 - 事務所の住所
 
も抑えたうえで、契約書をしっかり締結し、在庫売却を進める必要があります。
ポイントその5.相見積もりを取る
もっとも重要なポイントは
- 相見積もりを取る
 
という点です。
在庫買取業者への依頼手順
手順その1.在庫買取業者を探す
ウェブサイトやタウンページなどで、保有する在庫の買取ができる在庫買取業者を探します。
手順その2.メール、問い合わせフォーム、電話で連絡する
在庫買取業者のウェブサイトから、メール、問い合わせフォーム、電話で「在庫買取希望」の連絡を入れます。
手順その3.ヒアリング
在庫買取業者に問い合わせをすれば、業者からヒアリングの連絡が来ます。
- 在庫の種類や内容、数
 - 希望する売却価格
 
などを口頭で回答した上で
- 在庫リスト
 - 在庫サンプル画像
 
を送ります。
在庫リストには
- JANコード
 - 型番
 - 品名
 - 数量
 
などを記載しておくとスムーズに査定が可能になります。
手順その4.見積もり依頼
在庫リストを送って、見積もり依頼をすれば、在庫買取業者から買取価格の見積もりが提示されます。リストの数にもよりますが、1週間~2週間ぐらい見積もりに時間がかかります。
手順その5.価格交渉
納得がいかなければ、買取価格の交渉をします。
手順その6.契約
買取価格、入金日、在庫の引き渡し方法など契約内容に問題がなければ、契約を完了し、契約内容にそって、手続きを進めます。






















「在庫の売却で資金調達するメリットデメリットを教えてください。」
「在庫の売却で資金調達は、どのような手順で行えば良いでしょうか?」