日本人のエンジェル投資家の有名人一覧

エンジェル投資家、という言葉はアメリカで生まれました。そしてアメリカでは著名なエンジェル投資家が多数います。創業期のベンチャー企業に資金を提供する個人は日本でも昔から存在します。

しかし、エンジェル投資家がベンチャー企業に提供するものは資金だけではありません。

エンジェル投資家が資金以外に、投資先に提供するものは経営支援です。その経営支援とはどのようなものか、が共有されるようになってきたのは最近のことです。また日本においてはエンジェル投資家として個人が有名になり始めたのも最近のことです。

具体的に有名なエンジェル投資家にはどのような人がいるのでしょうか。
表1 この記事で取り上げる8人のプロフィール
名前 生年・出身 エンジェル投資家としての出自 主な経歴
有安伸宏 1981年生まれ 事業会社の創業経営者を経験 コーチ・ユナイテッドを創業、2013年にクックパッドへ売却。Tokyo Founders Fund、Japan Angel Fundを設立
中川綾太郎 1988年生まれ/兵庫県 連続起業家(シリアルアントレプレナー) peroliを創業し「MERY」を運営、2014年にDeNAへ売却。現在はnewn inc.代表取締役
家入一真 1978年生まれ/福岡県 元上場企業の経営者 2001年に起業した会社が現在のGMOペパボ。BASEなどを設立し、シード特化VCのNowも設立。現在はCampfire代表
千葉功太郎 1974年生まれ/東京都 自らVCを運営 コロプラを共同創業し副社長。千葉道場、2017年にドローンファンドを設立
孫泰蔵 1972年生まれ/佐賀県 ベンチャー支援を事業として運営 ガンホーの前身を立ち上げ2005年に上場。MOVIDA JAPAN、Mistletoeを設立
谷家衛 1962年生まれ 創業経営者を経ていない 外資系証券から2002年にMBOであすかアセットマネジメントとして独立。ライフネット生命に筆頭株主として参加
本田圭佑 1986年生まれ プロスポーツ選手出身 サッカー選手として活動しながら、2016年にKAK Angel Fundを設立
前澤友作 1975年生まれ/千葉県 上場企業の創業者 ZOZOタウンを運営し2007年に上場。2019年にYahooへ売却して退任。2020年に投資を表明(通称・前澤ファンド)
表2 投資のスタイル(本文で確認できる範囲)
名前 投資先の数 1社あたりの金額 開示の状況
有安伸宏 累計100社超(日本とシリコンバレー) 記載なし マネーフォワード、ママリ、Anypayなどが知られる
中川綾太郎 45社程度 100万円〜1,000万円 これからの会社が多い
家入一真 累計100社超(年10社程度) 500万円〜5,000万円 創業に関与したBASEなど
千葉功太郎 60社以上。VCへも40以上出資 記載なし 2020年上場のウェルスナビを含む
孫泰蔵 世界のベンチャー企業 記載なし 詳細は開示されていない
谷家衛 世界のベンチャー企業 記載なし 社数・金額とも開示されていない
本田圭佑 50社超 500万円〜1,000万円が中心 マクアケがExit済み
前澤友作 開示されている投資先は14社 10億円前後 投資実行から間もなくExit実績はない
表3 連絡の取りやすさと、現実的な接点の作り方
名前 SNSでの発信 現実的に有効な接点
有安伸宏 活発 SNS、VC経由の紹介、登壇イベント
中川綾太郎 活発(私的な投稿も多い) SNS、VC経由の紹介、登壇イベント
家入一真 活発 業界内の紹介が頼みやすい
千葉功太郎 活発 SNS、ドローンファンド、千葉道場、登壇イベント
孫泰蔵 あり SNS、VC経由の紹介
谷家衛 していない 知人の伝手をたどる(登壇も少なくオンライン中心)
本田圭佑 熱心 知人の伝手。本人側の企画が立つ機会を狙う
前澤友作 活発 ファンドの募集に合わせて動く

表1〜表3は、この記事の各人の節に書かれている内容を並べ替えたものです。投資先の数や金額は公表時点のもので、現在の状況とは異なることがあります。

エンジェル投資家という存在そのものの説明はエンジェル投資家とはに、出資を受けるまでの進め方はエンジェル投資家から出資を受ける方法にまとめています。投資を受ける側・する側の税制上の扱いはエンジェル税制とはで扱っています。

有安伸宏氏

出典:Twitter

概略

日本のエンジェル投資家といえばだれか。スタートアップに携わる人に聞いて、まず名前が挙がるのが有安氏です。

有安氏は、エンジェル投資家としてのキャリアが長く、投資先も豊富です。投資先の中には大成した会社も含まれています。

自身のエンジェル投資家としての活動だけに留まらず、日本のスタートアップのエコシステムやその中におけるエンジェル投資家の関与の仕方について提言を含めて活動していることが有安氏の特徴です。

経歴

1981年生まれ。

大学(慶応義塾大学)を卒業後、外資の事業会社(ユニリーバ・ジャパン)に入社。

2007年にコーチ・ユナイテッドを創業し、CEOを務められます。同社は個人指導の講師(趣味や語学等について教えてくれる先生)を探すサービスを展開していました。

同社は2013年にクックパッドがM&Aにより買収されており、有安氏の持ち株も合わせて、クックパッドに譲渡されています。

有安氏はこのように事業会社の創業経営者を経験したエンジェル投資家です。

2015年にはTokyo Founders Fund(若手起業家による投資家集団として構想されたもの)、2018年にはJapan Angel Fund(日本ではやや変わった仕組みのベンチャーキャピタル(VC))を立ち上げています。

投資先

投資先は日本のベンチャー企業に加え、アメリカ(シリコンバレー)のベンチャー企業もあり、累計で100社を超えています。

中でも有名なのが、2017年にマザーズ市場へのIPOを果たしたマネーフォワードへ創業期に投資したことです。

その他、ママリ(KDDIが買収)などExitした先、Anypayなどのように現在でも独立して事業展開している先、などに投資しています。

連絡先

有安氏はSNSを通じてコンタクトすることができます。特にTwitter(@ariyasu)は現在でも活発に投稿されています。

スタートアップ業界では有名な方なので、知り合いのベンチャーキャピタル(VC)などに紹介を頼むことや、登壇されるイベントに参加してみることなど、いろいろな方法で接点を探すことができるでしょう。

中川綾太郎

出典:Twitter

概略

数年前にDeNAのキュレーションサイトで有名になった中川氏は、エンジェル投資家としても著名です。

中川氏は、複数の会社を立ち上げたシリアルアントレプレナーです。現在でも複数の会社の運営に関与されています。

TwitterやNoteにおいて、プロダクト開発に関する知識、経験を、ご自身の体験に基づいて書かれるなど、情報発信を積極的に行うエンジェル投資家です。

経歴

1988年生まれ、兵庫県出身。

大学在学中に仲間とアトコレ(ウェブメディアを運営)を設立するも早々に同社を抜けています。

2012年、女性向けキュレーションプラットフォーム「MERY」を運営する株式会社peroliを創業。同社は2014年にDeNAに売却されています。

現在はDtoCやWebサービス開発を手掛けるnewn inc.の代表取締役をされています。

中川氏はこのように、創業経営者を経た、シリアルアントレプレナー(連続起業家)であるエンジェル投資家です。

投資先

投資先は、各社100万円から1000万円、45社程度です。

投資先はこれからが楽しみな会社が多い点に特徴があります。

連絡先

中川氏はSNSを通じてコンタクトすることができます。Twitterアカウント(@ayatan48)はプライベートな内容も多く、接点を持ちやすいエンジェル投資家の一人です。

有安氏と同様、スタートアップ業界での知名度が高く、知り合いのベンチャーキャピタル(VC)などに紹介を頼むことや、登壇されるイベントに参加してみることなど、いろいろな方法で接点を探すことができるでしょう。

家入一真

出典:Twitter

概略

東京都都知事選への出馬、DJサオリリスとの結婚、などなど話題に事欠かない家入氏はシリアルアントレプレナーとして著名ですが、エンジェル投資家としても有名です。

起業したそれぞれの会社がそれぞれ大成功を収めている(買収されているものの、1社は上場している)点で単なる連続起業家とは一線を画しています。

また、自身でベンチャーキャピタル(VC)を立ち上げる等、ベンチャー企業に様々な手法で寄り添う姿勢で知られています。

経歴

1978年生まれ、福岡県出身。

2001年に最初の会社を起業。この会社は、のちにGMOからの出資を受けて社名が変わり現在はGMOペパボ(インターネットサービスを手掛けており、レンタルサーバやブログ運営が有名です)となっています。2008年にジャスダック市場へ上場。現在は東証一部上場企業です。

家入氏はこのように、元上場企業の経営者であるエンジェル投資家です。

同社取締役を退任したのち、飲食事業を行ったり、都知事選に出馬したりしていましたが、その間にもBASE(ネットショッピングのプラットフォーム事業)等、多くのスタートアップを設立しています。

また、シード投資に特化したベンチャーキャピタル(VC)であるNowを設立しています。

現在は、クラウドファンディングを手掛けるCampfireの代表をされています。

投資先

1社当たり500万円から5,000万円を、年間10社程度投資しており、累計の投資社数は100社を超えています。

投資先の中でも創業に関与している会社(Base等)が有名になっています。

連絡先

家入氏はSNS等で積極的な情報発信を続けています。スタートアップ業界では顔が広く、知り合いの伝手で紹介を頼みやすいエンジェル投資家の一人です。

家入氏はtoCのサービス(一般消費者向けのサービス)を構想し、実現する際には資金に加え、知識・経験に基づく力強い支援が期待できるでしょう。

千葉功太郎

出典:Twitter

概略

テレビでも見かけることのある千葉氏はオンラインゲームの運営等を行っているコロプラの元副社長です。

彼は空を飛ぶことへの強い関心があり、ホリエモンこと堀江貴文氏と共同でホンダジェットを買ったことは大きなニュースになりました。

エンジェル投資家としての顔に加え、ドローン関連の事業を行っているだけをベンチャー企業のみを投資対象とするドローンファンドを運営するほか、千葉道場という経営者向けの支援に力を入れていることでも知られています。

経歴

1974年生まれ、東京都出身。

大学卒業後にリクルートへ入社。サイバード、KLabを経て、2008年にソーシャルゲームなどを手掛けるコロプラを共同創業しました。副社長として同社を率い東証一部上場企業にまで育て上げました。

2016年に同社を去ったのち、母校である慶應義塾大学の講師を務め、芸能事務所であるワタナベエンターテインメントと契約しています。。

起業家向けのコミュニティである千葉道場(現在はベンチャーキャピタル(VC)も運営しています)を運営する傍ら、2017年にはドローンファンドを設立。同ファンドは2018年に2号ファンドが立ち上がっています。

千葉氏はこのように、ベンチャーキャピタル(VC)を自ら運営しているエンジェル投資家です。

投資先

投資先は日本のベンチャー企業で、これまでに60社以上に投資しています。千葉氏はベンチャーキャピタル(VC)への投資も多く、40以上のベンチャーキャピタル(VC)へ出資しています。

投資先の中には、2020年に上場を果たしたウェルスナビが含まれます。

連絡先

千葉氏はSNS、ドローンファンド、千葉道場を通じて、積極的にスタートアップの活動を支援しています。そのため、直接連絡を取ってみるほか、登壇するイベントに参加する、知人を通じて紹介を頼む等、様々な方法でコンタクト可能です。

ドローンのみならず、特にシード期のベンチャー企業は、千葉氏の支援があれば、大きな恩恵を受けることが期待できます。

孫泰蔵

出典:Twitter

概略

日本一知名度の高い社長ともいわれるソフトバンクグループの孫正義社長の実弟である孫泰蔵氏、もまた兄と同じく事業家です。パズル&ドラゴンズ(通称パズドラ)を開発、運営していたガンホー・オンライン・エンターテイメントの創業者で社長を務めていました。

孫氏は、今は数あるスタートアップ支援の走りと言える会社を、長年にわたって運営してきています。

個人の資金を利用したエンジェル投資も数多く行っています。

経歴

1972年生まれ、佐賀県出身。

大学卒業中にYahoo Japanの立ち上げに参画。

1998年にはガンホーの前身となる会社を立ち上げ、2005年には同社を現在のジャスダック上場へと導きました。同社はパズドラの大ヒットを受けて一時期、時価総額が1兆円を超えたことでも話題となりました。

2009年にMOVIDA JAPAN、2013年にはMistletoeといずれもスタートアップ支援の会社を立ち上げ、スタートアップのエコシステムの構築に向けて活動しています。

孫氏はこのように、ベンチャー企業の支援を事業として行っているエンジェル投資家です。

投資先

投資先は日本に留まらず、世界のベンチャー企業です。

孫氏が社長を務めるMistletoe Japanのホームページを見ると、世界を相手にしていることがよく分かります。

これまでに投資してきた詳細は開示されていませんが、エンジェル投資家として社数、金額ともに、相当な投資を行っています。また、孫氏は独立系ベンチャーキャピタル(VC)への投資も多行っています。

連絡先

孫氏はSNSを通じてコンタクトすることができます。

また、スタートアップ業界では有名な方なので、知り合いのベンチャーキャピタル(VC)などに紹介を頼むことから接点を探すことができるでしょう。

そのバックグラウンドからIT系のサービスやプロダクトには特に詳しく、強力な支援が期待できます。

谷家衛

出典:D4V(Design for Ventures)

概略

外資系証券会社からキャリアをスタートさせた谷家氏は自身で創業したあすかアセットマネジメント(ヘッジファンド運用会社)の社長を務めていました(2020年に持ち株を売却し、現在は経営に関与していません)。

谷家氏が知られるようになったのは、同社が発起人、また筆頭株主となったライフネット生命の成功によります。しかし、個人でのエンジェル投資家を行っていることもスタートアップ周辺で働いている人にはよく知られています。

また谷家氏は、教育にも熱心に取り組んでおり、複数のNPO法人の設立、運営を行っています。

経歴

1962年生まれ。

外資系証券会社では敏腕トレーダーとして知られ、2002年に当時に勤め先の日本支社をMBOしてあすかアセットマネジメントとして独立しました。

谷家氏はこのように、創業経営者を経ていないエンジェル投資家です。

2006年にはライフネット生命の設立に筆頭株主として参加。2013年にはロボアドバイザーによる個人向けの投資サービス(THEO)を運用するお金のデザインを創業しています。

2020年にはあすかアセットマネジメントの株式を売却しています。

投資先

投資先は世界のベンチャー企業で、投資社数や金額は開示されていませんが、相当な社数と金額に上ります。

投資先には、単に資金提供だけをしている先も多数ありますが、経営に関与することで成長したベンチャーもまたたくさんあります。ライフネット生命のほか、マネーフォワードやお金のデザイン、さらにはクラウドファンディングを手掛けるCampfireにも投資しており、同社の会長を務めています。

連絡先

谷家氏はTwitter等のSNSで情報発信をしていません。またイベントへの登壇も少なく、登壇してもオンラインであることが多いです。そのため、連絡を取るには知り合いの伝手をたどることが最もおすすめです。

なお、谷家氏はメディアへの登壇も少なく、どのような考え方、スタンスでエンジェル投資を行っているのか分かりにくいかもしれません。

成功しないスタートアップに投資するエンジェル投資家はいない、という原点に立ち返り、自分の考える事業計画をしっかりと説明することが興味を持ってもらう近道だといえるでしょう。

本田圭佑

出典:Keisuke Honda Official Website

概略

元日本代表のサッカー選手、本田圭佑氏は、エンジェル投資家としても著名です。

海外ではプロスポーツの選手がエンジェル投資を行う事例が多くありますが、国内では元陸上選手の為末大氏ほか、数えるほどしかいないのが実情です。

経歴

1986年生まれ。

サッカー選手として活躍する傍ら、クラブチームのオーナーとなり、カンボジアのナショナルチームの監督となるなどその活動は多彩です。

エンジェル投資は日本代表で活躍していた時代から始めており、2016年にはKAK Angel Fundを設立して投資活動を行っています。

本田氏はプロスポーツ選手出身のエンジェル投資家です。

投資先

投資先は日本のベンチャー企業が多く、既に50社超に投資しています。1社当たりの投資金額は500万円から1,000万円が多いものの、さらに多額の投資を行っている事例もあります。

既にExitした投資先としてはクラウドファンディングを運営するのマクアケがあります。

連絡先

本田氏はSNSでの情報発信を熱心に行っています。しかし、あまりに著名であるため、一般に公開されているSNSから連絡を取ったところで返信を期待するのは難しいと言えます。

連絡を取るには知り合いの伝手をたどることが最もおすすめです。

本田氏側が起業家と知り合うための企画を立ち上げるケースもあり、そのようなチャンスは見逃さないように狙っておくべきでしょう。

前澤友作

出典:Twitter

概略

ZOZOの創設者として、またさまざまなお金の使い方で注目されている前澤氏は2020年にスタートアップ向けの投資を行うことを発表して話題になりました(通称、前澤ファンド、と呼ばれています)。

前澤ファンドからスタートアップへの投資は、豊富な資金量が背景にあるため、その投資のスタイルが他のエンジェル投資家とは異なる、独特のものです。

経歴

1975年生まれ、千葉県出身。

前澤氏は元々ミュージシャンであり(CDデビューもしています)、平行して輸入CDの販売を行っていました。

2001年頃からビジネスに専念し始め、ZOZOタウンの運営で会社を成長させると2007年には上場を果たします。2019年には会社をYahooに売却し、退任しています。

前澤氏は経歴では測れないエンジェル投資家です。なぜなら、エンジェル投資を行う資金量が桁違いだからです。

投資先

投資先の14社は開示されています。1社当たり10億円前後の投資を行っています。

投資実行から間もなく、まだExit実績はありません。

連絡先

前澤ファンドは一過性のイベントのように見えますが、スタートアップへの投資に興味を持っていることは明らかです。今後も、よいスタートアップに投資しない理由はないと思われるため、機会があれば積極的にアプローチしてみたいエンジェル投資家と言えるでしょう。

前澤ファンドからの投資は投資金額が大きい分、出資割合も大きくなります。また前澤氏自身が投資先の経営に積極的にコミットすることを言明しています。

そのため、前澤ファンドにアプローチすべきなのかどうか、既存株主と事前にすり合わせておくことが重要です。