という方も多いかと思います。今回は、補助金の面接でやってはいけないNG行動10選とやるべき補助金面接対策について解説します。
補助金面接の背景を理解する
- 補助金の面接は、何のために行うのか?
- 補助金の面接は、どうやって行うのか?
- 補助金の面接は、誰が行うのか?
を理解できれば、おのずと「補助金面接でやるべきこと」「補助金面接でやってはいけないこと」がクリアになるはずです。
まずは、補助金面接の背景を理解しましょう。
補助金の面接は、何のために行うのか?
申請書類の情報では、情報が不足してしまうから
補助金の申請書類は、別紙を添付することもできますが、基本的な申請書類には、どんなに小さな字で書いたとしても、書けることは限られてしまいます。最終的に補助金を交付するかどうかのジャッジをするために、審査をする担当者が判断する情報をヒアリングするための場であるのです。
経営者の「資質」をチェックしたいから
会社経営は、経営計画がしっかりしていれば誰がやっても上手くいくかというとそういうものではありません。
能力の低い経営者が、作りこまれた経営計画のもとに経営をしたとしても、絶対に上手くいかないのです。
- 部下や取引先と上手に事業を進めるコミュニケーション力
- 経営数字と的確に把握する数値把握能力
- 問題や課題に直面したときの改善能力
- 新しい取り組みを実行する行動力
・・・
様々な能力が経営者には必要になるため、経営者と面接しなければ、経営者の資質があるかどうかがジャッジできないため、面接を行うのです。
申請書類の内容と話している内容のズレの確認
申請書類は書類ですので「だれが書いたのか?」はわかりません。補助金の申請を代行する業者や税理士、コンサルタントが作っているかもしれません。
誰が作っていても、問題ではありませんが、経営者が申請書類に記載されている事業の内容や計画を完璧に把握しきれていなければ、実行できるはずがありません。
補助金の面接は、申請書類と面接で経営者が話す内容とのずれをチェックする場でもあるのです。
補助金の面接は、どうやって行うのか?
面接時間:30分~1時間
- 挨拶
- 自己紹介
- 申請書類を使った事業内容のプレゼン
- 面接官からの質疑
面接形式
面接の対象者:社長(責任者)が原則
※大企業の場合には社長でないケースもありますが、中小企業の場合には経営者・社長が出席するものと考えておきましょう。
面接官
- 審査委員
- 技術の専門家
- ビジネス・経営の専門家
3名~10名
補助金の面接は、誰が行うのか?
基本的には、補助金の面接官というのは
- 補助金を交付する国・地方公共団体の審査担当者(審査委員)
- ビジネス・経営の専門家(例:中小企業診断士、経営コンサルタント)
- 技術の専門家(補助金を交付する分野の技術系の専門家)
・・・
等が担当します。
審査担当者では、理解できない部分もあるため
- 経営の専門家
- 技術の専門家
- 補助金の分野の専門家
に「面接官」として出席してもらって、アドバイスをもらい、最終的なジャッジをする仕組みになっています。
補助金の面接でやってはいけないNG行動
NG行動その1.部下に行かせてしまう
明確なルールが決まっているわけではありませんが、補助金の面接の対象者は「事業責任者」が行くことになります。
社員数が数十名以下の中小企業の場合
事業責任者 = 経営者・社長
のことを指します。
「社員数が100名を超えていて、経営権も持つ役員が補助金の面接に出る」というのであれば、それほど問題はないかもしれませんが、中小企業で経営責任を持たない、部長・課長レベルが出席したところで
と思われて、審査に落とされてしまう可能性が非常に高いのです。
NG行動その2.要点を簡潔にプレゼンできない
面接の時間というのは、30分~1時間程度と決まっています。
もし仮にその補助金の面接時間が30分だとしたら、
申請者1人が自分の事業のプレゼンに使える時間というのは、10分程度しかないのです。
10分をダラダラと細かい事業説明に割いて、審査担当者に要点が伝わらなければ
という印象を与えてしまいます。
ITベンチャーが集まるアメリカ・シリコンバレーでは「エレベータピッチ」と言って
経営者・上司・投資家にプレゼンテーションするのは、エレベータに一緒に乗っている時間、つまり1分もあれば十分という考え方があります。
という意味なのです。
逆に言えば
ということです。
シリコンバレーに比べれば、補助金のプレゼンテーションの時間は十分長いのですが
ビジネスモデルの概要は
- 誰がターゲットなのか?
- 何が売りなのか?
- 競合はどこなのか?
シンプルに説明できる訓練をしてから、面接に臨む必要があります。
NG行動その3.事業の成功に自信がないように話す
同じように
「〇〇になれば、計画数字が達成できるはずです。」
「事業計画は、かなり強気の設定にしているもので、実際はやってみないとわかりません。」
・・・
面接官も「事業計画通りに経営が進むことなどない。」ということは重々承知しています。
わざわざ、面接の場でエクスキューズを連発する必要はないのです。
「必ず、実行できると自信をもっています。」
という経営者の方が安心感があるのは間違えありません。
NG行動その4.競合他社の情報を知らない
ビジネスというのは、よほど画期的なものでない限り、必ず競合他社がいます。
対象が、消費者でも、企業でも、お財布、予算の中から、そのサービスに振り分けるのですから
「どこからか売上を奪い取る」
しかないのです。
だからこそ、
- 競合他社は、どこになるのか?
- 競合他社は、どのくらいの売上・利益なのか?
- 競合他社は、どうやって集客・宣伝をしているのか?
- 競合他社は、どうやって商品・サービスの提供をしているのか?
・・・
当然、上場企業でない限りは、競合他社の経営数値を知ることは非常に難しいのですが
- 実際に競合他社のサービスを受けてみる
- 実際に競合他社の商品を買ってみる
- 実際に競合他社の店舗に行ってみる
- 友人・知人から競合他社に関する情報を仕入れてみる
- インターネットを駆使して競合他社に関する情報を仕入れてみる
・・・
ぐらいは、必要最低限のことなのです。
このマーケティング情報のベースがあってこそ
という理論が成り立つのです。
NG行動その5.ターゲットが明確に設定されていない
お金をもらう方の情報も、競合他社と同様に重要なポイントになります。
キャリアウーマンがこのサービスのターゲットです。
と言うだけでは
- 東京都23区在住の30台後半の未婚のキャリアウーマン
- 郊外に住んでいる40台の既婚のキャリアウーマン
では、行動も違えば、居住エリアも違いますし、着る服も違えば、マインドも違うのは当然なのです。
NG行動その6.補助金の使い道がおかしい
補助金は、もらえるお金ですが、その原資は税金であったり、社会保険料であったり、公的な資金です。
資金使途がおかしい設定になっていると、後から面接官の責任を追求されてしまうリスクがあるので、面接で落ちてしまう可能性が高いのです。
海外ビジネスの補助金申請で、市場調査費用・海外渡航費用として、何百万も補助金を交付してしまったら
ということになりかねないのです。
NG行動その7.申請書と言っている内容が違う
申請書を別の人、別の会社の方が作っている場合に
- 経営者がやろうとしている事業内容
と
- 申請しに書いてある事業内容
違いが出てしまう可能性があります。
多少の誤差であれば、問題ありませんが
- 設定しているターゲットが違う
- 展開しようとしている商品、サービ内容が違う
- 設定している競合他社が違う
・・・
など、事業の根本が変わってくるような違いがあれば、審査に落ちてしまう要因となります。
NG行動その8.経営数値を覚えていない
通常、経営者自身が経営計画を作るのであれば何度も作り直して、最終的に妥当な形に作りこむため「概算の経営数字」は頭の中に入っているはずです。
- 市場規模
- 1年目の売上、原価、利益
- 2年目の売上、原価、利益
- 3年目の売上、原価、利益
- 客単価
- 製造原価
- 仕入れ
- 広告宣伝費
- 1顧客単位の広告宣伝費
- 外注費
- 借入
- 資本金
- 従業員の給料
- 採用コスト
・・・
などです。
1年目の売上高 54,253,646円
というような端数の数字を覚えている必要はありませんが
というように、概算の数値は、何も見ずに答えられる必要があります。
申請書を見ながら、他の資料を見ながら、答えてしまうようだと
経営者が経営数値を理解していない → 事業内容も理解していない
と面接官に判断されてしまう可能性があるのです。
NG行動その9.嘘をつく
面接官の質問に対して、答えを用意していない場合に嘘でごまかそうとしてしまう方もいます。
しかし、面接官は何人も、何社も、面接しているプロですので
嘘はばれます。
しかも、嘘をつけばつくほど、そこを掘り下げられてしまえば、さらに嘘をつく必要が出てきてしまいます。
嘘をつく人にお金を貸す人がいないのと同じで、嘘をついていることを察知されてしまえば、補助金の審査には通らなくなってしまうのです。
わからないものがあった場合には正直に
と答えた方がよいのです。
NG行動その10.身だしなみがおかしい
新卒の面接と同じですが、補助金の面接でも
- 清潔さ
- 服装
- 髪型
- 姿勢
- メモ
・・・
など、当たり前ですが、身だしなみを整えることが重要になってきます。
経営者の中には、ジーンズでラフな格好でやる、ジョブスのようなスタイルに憧れを持っている人も少なくないかと思いますが、ここは日本です。
一定数の割合で「スーツであること」を重視する方が多いのも事実なのです。
面接官が「身だしなみがきちんとしていないな。」と思う経営者の場合
と思われてしまうのです。
経営上の障害と判断されてしまうのです。
補助金の面接対策
2分~3分でビジネスモデル・事業内容を簡潔にプレゼンできる形を作る
ここでのポイントは
- ターゲットはだれか?
- そのターゲットは現状どんな問題・不満・課題を抱えているのか?
- それを解決するために、どういう商品・サービスを提供するのか?
- 競合他社と比較して、どういう優位性があるのか?
ということを簡潔に説明するぐらいで十分ということです。
プレゼンテーションで一番伝えたいのは
- 何が「売り」なのか?
- それを「誰」が必要としているのか?
- 競合他社に勝つ勝算はあるのか?
だと言っていいでしょう。早口になる必要はなく、ゆっくり重要なポイントを絞ってプレゼンテーションすればよいのです。
ここを伝えきってから、時間が余るようであれば、計画の数値などの話に展開しておけば良いのです。
申請書類、事業計画の数値を頭に叩き込む
いちいち、申請書類を見て、別の資料を見て、面接官の質問に回答するようでは、面接官には不安感しか与えません。
- 申請書類の内容
- 事業計画の数値
- その数値になる根拠
は、完全に頭に叩き込んでおく必要があります。
とくに売上1000万円という数字だけを覚えていても意味がはなく、
営業する見込客:6000人(広告宣伝費60万円で、@100円のコストで集客想定)
購入する割合:20%(競合他社を参考にした。)
客単価:12,000円(自分の会社員時代の経験則で)
なので、売上1200万円のところを固く見て、1000万円としています。
というように数値の組み立てを含めて、理解する必要があります。
面接官の質問では
という数字の組み立ての話になることも少なくないからです。
想定問答集を作る
面接官が何を聞いてくるのかは、面接官次第ですから、わかりませんが・・・ある程度予想することは可能です。
突っ込まれやすいところを自分や社員でも、洗い出すことはできます。
また、面接官は、その分野に詳しくない方の可能性が高いので、知り合いの経営者やある程度のビジネススキルのある方に申請書とプレゼンテーションを聞いてもらって、気になるところを挙げてもらうようなことも有効です。
想定問答集を多く用意しておくほど
- 落ち着いて面接に取り組める
- 答えられない質問でも、ほかの質問で用意していた回答を流用できる
メリットがあります。
また、想定問答集を作ることは、実は自分のビジネスモデルを改良する問題提起につながる可能性があるので、やっておいて損はないことなのです。
まとめ
補助金の面接を通るためには「補助金面接の背景を理解する」必要があります。
補助金面接の背景を理解する
- 補助金の面接は、何のために行うのか?
- 補助金の面接は、どうやって行うのか?
- 補助金の面接は、誰が行うのか?
補助金の面接でやってはいけないNG行動
- NG行動その1.部下に行かせてしまう
- NG行動その2.要点を簡潔にプレゼンできない
- NG行動その3.事業の成功に自信がないように話す
- NG行動その4.競合他社の情報を知らない
- NG行動その5.ターゲットが明確に設定されていない
- NG行動その6.補助金の使い道がおかしい
- NG行動その7.申請書と言っている内容が違う
- NG行動その8.経営数値を覚えていない
- NG行動その9.嘘をつく
- NG行動その10.身だしなみがおかしい
補助金の面接対策
- 2分~3分でビジネスモデル・事業内容を簡潔にプレゼンできる形を作る
- 申請書類、事業計画の数値を頭に叩き込む
- 想定問答集を作る
補助金の面接官というのは、1日で5社~10社の面接を行いますし、自分のビジネスモデルの分野に詳しい方はほぼいません。
できるだけ、シンプルに「自社のビジネスモデルの強み」をプレゼンしたうえで、その説得力を増す「根拠」を「自信」持って提示できれば、補助金の面接に通ることはさほど難しいことではありません。
補助金の面接では、5割ぐらいの方が落ちてしまうのですが、多くの方は上記のNG行動をしていることが多いのです。きちんとした準備をして、補助金の面接に挑みましょう。
「補助金の面接でどのような質問が来るのか?不安だ。」