海外では創業間もない企業、ベンチャー企業へ投資をする投資家のことをエンジェル、またはビジネスエンジェルと呼びます。今回はエンジェル投資家による資金調達について解説します。
エンジェル投資家とは
エンジェル投資家とは、創業間もない企業、ベンチャー企業へ投資をする投資家のこと
を言います。
海外ではエンジェル投資家による有望なベンチャーへの投資が主要な資金調達方法となっています。
日本:エンジェル投資額 約9億9000万円(2011年度)
アメリカ:ンジェル投資額 約2.3兆円(2012年度)
日本:エンジェル投資家 834人
アメリカ:エンジェル投資家 26万人
ですから、ほぼ2000倍の投資額を誇ります。アメリカではエンジェル投資家による出資モデルというのが定着しているのです。
日本の場合、中小企業の資金調達といえば、長らく「銀行融資」「公的融資」中心の借入が主役だったのです。そのため、「出資」という土壌がなく、エンジェル投資家も育っていないのです。
エンジェル投資家から資金調達をする方法
1.実現可能でかつ独自性のある事業計画を作る
エンジェル投資家と呼ばれる方は、すでに大企業で成功を収めた資産家などが多いのです。そのため、投資家でありながらも、「利回り○%」というような投資効率を重視するのではなく、
このベンチャー企業が成長したら、世界を変えることができる
このベンチャー企業が成長したら、多く人を救うことができる
このベンチャー企業が成長したら、日本の経済が大きく発展する
・・・
というような「夢」「社会貢献」「経済発展」などを低い確率でも実現しようという企業に賛同するのです。「次世代の起業家の育成」もエンジェル投資家の出資の動機となります。
他の企業のモノマネでは、エンジェル投資家は出資をしてくれません。ベンチャー企業としての可能性を事業計画で伝える必要があるのです。
また、「夢」を追うと同時に「実現可能性」も重要な要素です。エンジェル投資家は事業で成功した引退した社長さんなどが多いので、「実現可能性」がない「夢」には出資をしてくれません。
- 具体的なデータ
- 研究開発している独自技術
- 社長の経歴・実績
など「実現可能性」のある事業計画を作る必要があります。
2.エンジェル投資家は探すのではなく、探してもらう
エンジェル投資家はコネで動くものではありません。
「知り合いにエンジェル投資家がいないから、エンジェル投資家に出資してもらうのは厳しい。」
というものではないのです。
エンジェル投資家が求めているのは「知っている起業家」ではなく、「未来の夢を託せる起業家」です。知り合いであるかどうかなど何の意味も持たないのです。
エンジェル投資家は探すのではなく、作成した事業計画を公開して見つけてもらうものなのです。
- 自社ウェブサイトへの公開
- エンジェル投資家サイトへの公開
- クラウドファンディングへの公開
- ビジネス誌への情報公開(リリース利用)
- 海外のエンジェル投資家サイトへの公開
魅力的な事業計画であれば、勝手にエンジェル投資家が探してくれます。世界的に通用するビジネスモデルであれば、海外のエンジェル投資家を探すのも一つの方法です。
日本でもエンジェル投資家による出資の体制が整い始めている
日本でもエンジェル投資家による出資というのが徐々に整備されてきています。
1.クラウドファンディングの台頭
クラウドファンディングとは、少額の資金で夢を実現するための事業へ投資できる小口の出資を募るクラウドサービスのことです。、自らのアイデアをネット上でプレゼンテーションすることで、そのアイデアへの賛同者を集められる仕組みです。
明確なエンジェル投資家とは違って、1人当たりの投資k額は数万円というレベルで多くの出資を募るのがクラウドファンディングですが、出資をされる側も、出資をする側も、経験を積むことで、エンジェル投資家が増えることが期待されます。
2.エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)の登場
エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)とは
- 出資額から5000円を差し引いた金額が自分の総所得金額から控除される
- 出資した中小企業への投資額が他に所有する株式の売却益から差し引かれる
という制度のことを言います。
簡単にいうと、出資なのに経費として課税所得から控除されるということになります。
- 収入が多い方
- 利益が多く出ている中小企業
の場合は、出資をして節税をするということが可能になったのです。出資ですから、ベンチャー企業が大化けして上場でもすれば莫大な利益を生み出すことにつながります。その上、節税ができるので、今後はベンチャー企業投資も増えることが期待されます。
エンジェル投資家による資金調達のメリット
VC(ベンチャーキャピタル)よりもうるさくない
VC(ベンチャーキャピタル)の場合は、ビジネスとしての投資ですから、回収を前提にしています。早い段階で結果を出して、上場することを求められるのです。役員を送り込んでくるケースも少なくありません。経営の自由度は小さくなってしまいます。
エンジェル投資家の場合は「早期の回収」ではなく、「夢のあるビジネスモデルの実現」が重要な目的となります。必要であれば、ゆっくり待ってくれますし、成果へのプレッシャーも少なく済むのです。
起業して成功された方が多く。アドバイスももらえる
エンジェル投資家には、起業して成功された方も少なくありません。VC(ベンチャーキャピタル)の社員よりも、経営者としての成功経験のある方のアドバイスの方が、何十倍も有益なのです。
当然、VC(ベンチャーキャピタル)のようにエンジェル投資家も、成功のために顧客を紹介してくれたり、経営へのアドバイスをしてくれるケースが多いです。
まとめ
エンジェル投資家による資金調達は、これからの日本では主流になるかもしれない資金調達方法です。
利用するためには、あくまでもエンジェル投資家を惹きつける独創性と将来性と実現可能性がある「ビジネスモデル」が必要になるのです。
「ビジネスモデル」に自信がある方は検討してみることをおすすめします。
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