銀行融資では融資対象の企業を格付けし、融資審査や債権の管理に利用しています。今回は銀行融資の企業格付け「返済能力評価」について解説します。
銀行融資の企業格付け「返済能力評価」とは?
企業の格付けの中には「返済能力」という評価があります。「返済能力」というのは、借入に対して今の経営状態でどのくらい返済する力があるのか?を測る指標です。「返済能力」が高ければ高いほど、安定している企業と判断されるため、融資審査に通りやすくなるのです。
「返済能力」を判断する決算数値
債務償還年数
計算式
債務償還年数 = 有利子負債 / (営業利益 + 減価償却費)
債務償還年数というのは、利息を支払う必要がある借入・社債「有利子負債」を営業利益をすべて返済に回したら何年で完済できるのか?を示す指標です。当然、完済までの年数が短くなる方が審査の評価が高くなります。
営業利益に減価償却費を足しているのは、減価償却費というのは土地や不動産などの資産を購入して、それを年数に応じて償却するための支出ですから、資産を購入した年は大きな支出がありますが、それ以降は実際に会社のお金は出ていかない会計上の支出です。実際に支払いのない支出ですから、営業利益に足して計算しても問題がないのです。
「債務償還年数」の目安としては
- 優良:3年以内
- 良好:5年以内
- 普通:10年以内
- 注意:10年超
- 危険:20年超
とされていますが、大きな分岐点は「10年」です。10年以内か?10年超えか?で融資審査の結果は大きく左右されます。10年以内であれば問題ないと考えましょう。
インタレスト・カバレッジ・レシオ
計算式
インタレスト・カバレッジ・レシオ = 営業利益(+受取利息配当金) / 支払利息(+手形売却損)
インタレスト・カバレッジ・レシオは、支払利息の何倍の利益が出せているか?という指標です。1倍以下となれば、営業利益で支払利息すら賄えない状況ということを意味します。
全業種の平均値は2倍~3倍程度です。
「インタレスト・カバレッジ・レシオ」は高ければ高いほど、銀行の評価は高くなります。
「インタレスト・カバレッジ・レシオ」の目安としては
- 優良:20倍~
- 良好:10倍~20倍
- 普通:2倍~10倍
- 注意:1倍~2倍
- 危険:~1倍
となっています。「インタレスト・カバレッジ・レシオ」は1倍以下の状態が続けば、銀行融資の審査が通らない状態になります。利息も支払えない利益状態なのですから、当然です。10倍程度を目指して経営をしたいところです。
まとめ
「返済能力」が高ければ、銀行は「まだ貸せる余地がある」と判断します。当然、銀行融資の審査も通りやすいのです。ただし、一朝一夕で返済能力の経営数値を改善することは難しいので、長期的に上記の指標が良くなるように経営をしなければなりません。
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