保証金(差入保証金)とは、オフィスや店舗など商業用の賃貸時に家賃の滞納や入居テナントの過失による損傷の修繕費を担保するために必要とされる費用です。契約時に支払われるものです。敷金と同様の意味で使われることもあります。この保証金(差入保証金)を活用して資金調達する方法について解説します。
保証金(差入保証金)は高い!
日本商業不動産保証の調査データによると東京都内の保証金の平均額は
月額賃料の8.12ヵ月分
補償金額:5,647,000円
となっています。
平均ですら500万円以上の保証金を企業は支払っていることになるのです。
保証金は年々下がっている!
バブル時代の貸し手有利の時代であればいざ知らず・・・
- 人口減少
- 不況
- 不動産価値の低下
などを背景に、オフィスの空室化というのが社会現象にもなっています。当然、借りる人が少なくなれば、借りて有利の市場となります。
保証金相場は年々減少していっている
のです。
だとすれば、「現在の支払い済みの保証金が適正価格よりも高かった場合に今の適性価格に減額してもらうことが当たり前じゃないか?」と考える方が増えてきたのです。
保証金は退去時に返還する性質のものですから、不動産オーナーにとっても、現在の適正価格の保証金で新規の入居者を探すよりも、今の保証金の一部を返還してあげて、入居しつづけてもらった方がメリットが大きいのです。
結果として、近年「保証金の減額請求」をするケースが増えてきているのです。
保証金を一部でも返還してもらえれば、キャッシュが手に入るので資金繰りが楽になる、資金調達ができるということになります。
保証金で資金調達する方法と優先順位
優先順位1.保証金減額請求
すでに支払い済の保証金と周辺の同スペックの賃貸物件の保証料相場を比較して、実勢価格が安い場合に、保証金の減額請求を不動産オーナーに対して行います。
優先順位2.保証金を家賃に上乗せする形に変えてもらう
保証金の実勢価格を調べたけれども、今支払っている保証金と大きな差がなかった場合には、不動産オーナーに保証金をなくす代わりに家賃に保証金分の金利相当額を上乗せしてもらうように交渉をします。
不動産オーナーにとっても、保証金は預かっても返還する性質のものです。資産運用をしたとしても、金利2.0%~3.0%で運用できれば良い方です。
つまり、「保証金額に対して金利2.0%~3.0%分の家賃への上乗せができるのであれば、保証金を預からないでも良い」と不動産オーナーが判断してくれる可能性があるのです。
現在、預けている保証金は全額返還してもらえることになるので、資金調達が可能になります。
優先順位3.ノンバンクにサブリースを依頼する
前述した保証金の家賃化は「保証金額に対して金利2.0%~3.0%分の家賃への上乗せができるのであれば、保証金を預からないでも良い」と不動産オーナーが判断してくれない可能性もあります。
この場合は、ノンバンクに間に入ってもらい、ノンバンクとの間で金利相当額の保証料を支払う、ノンバンクは保証金を肩代わりして不動産オーナーに支払うというスキームを組むことができます。
個人での賃貸のように保証会社が保証をつけるのと同じような仕組みです。
優先順位4.家賃を前払いするから保証金をなくしてもらう
保証金というのは家賃の滞納に対するリスクヘッジの意味合いが強いものです。
そのため「家賃を12か月分一括前払いします。その代わりに保証料はなくても良いのではないでしょうか?」という提案が成立するのです。
返還する保証金よりも、返還義務のない家賃の前払いの方が良いと考える不動産オーナーもいるのです。
優先順位5.保証金の流動化・ファンド化
これは中小企業ができる方法ではありませんが、チェーン展開している大企業であれば、チェーン店分の保証金をファンドにしてしまって、個人や投資家から保証金分の資金を用意するという方法がとれるのです。
不動産オーナーとの保証金交渉の注意点
最悪の場合の退去も検討したうえで交渉する!
交渉事はダメになる可能性も当然あります。「だったら出てってよ。」と言われる可能性すらあるのです。
仮にそうなった場合にも、転居先の事務所を見つけておく、ことが必要になります。
不動産オーナーも、「この人はゴネるだけで、強気に出たら退去はしなそうだな。」となめられてしまっては、交渉が不調に終わる可能性が高くなってしまうのです。
本気度を見せることで交渉の成功率を高める必要がありますし、最悪のケースでも対応するためには、事前に退去後の具体的なプランも用意しておく必要があるのです。
あくまでも、低姿勢で交渉する!
「嫌なら出ていくよ。」と強気で不動産オーナーと交渉する方もいますが、これは逆効果です。
人間対人間ですので、損得勘定よりも感情的な判断で交渉が破断になるケースは少なくありません。
下からすぎてもダメですが、あくまでも不動産オーナーにもメリットがあるように冷静に交渉をすすめる必要があります。
具体的な回答日を設定する!
前述した「本気度」にも関連してきますが
「○日までにご回答いただきたい」
「○日までに回答いただけない場合は○日をめどに移転を検討する」
と期日を切ることが重要になります。これは本気度をアピールすることにもつながるのです。
まとめ
オフィスや店舗の保証金は、やり方次第で返還してもらうことが可能です。
返還してもらえれば、数百万円~数千万円のキャッシュが借入なしに調達できることになるので、非常に効率的な資金調達になるのです。
不動産オーナーとの交渉を成立させるためには「本気度を見せること」を忘れてはいけません。
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