資金調達方法の中に「会社の資産売却」というものがあります。今回は、会社の資産を売却して資金調達する方法について、メリットデメリット・手順をわかりやすく解説します。
会社の資産を売却して資金調達する方法とは?
資産とは?
を言います。
会社の資産を売却して資金調達する方法とは?
を指すので
のです。
会社の資産には何がある?
会社の資産には
- 流動資産:流動性の高い1年以内に現金化できる財産
- 固定資産:流動性の低い 長期間出入りのない固定された財産
- 繰延資産:一旦資産として計上され、数年で償却される費用
と、大きく分けて3つの資産があります。
流動資産の例
- 現金
- 普通預金
- 当座預金
- 有価証券
- 受取手形
- 売掛金
- 商品
- 製品
- 原材料
- 未収金
- 前払金
- 立替金
- 仮払金
- 棚卸資産
固定資産の例
有形固定資産:目に見える資産
- 土地
- 建物
- 機械
- 備品
- 車両
無形固定資産:目に見えない資産
- 営業権
- 商標権
- 借地権
- 特許権
投資その他の資産:有形固定資産、無形固定資産に該当しない資産
- 投資有価証券
- 出資金
- 敷金
- 保証金
繰延資産の例
- 創立費
- 開業費
- 開発費
- 株式交付費
- 社債発行費
資産の売却方法
流動資産
- 現金 → 売却の必要性なし
- 普通預金 → 売却の必要性なし
- 当座預金 → 売却の必要性なし
- 有価証券 → 上場している有価証券は株式市場で売却する、未上場の有価証券は買主を探して売却する
- 受取手形 → 手形割引業者に売却する
- 売掛金 → ファクタリング業者に売却する
- 商品 → ECサイト、フリマアプリ、オークションサイト、中古買取店などで売却する
- 製品 → 同業他社、ECサイト、フリマアプリ、オークションサイト、中古買取店などで売却する
- 原材料 → 同業他社に売却する
- 未収金 → 売却できない
- 前払金 → 売却できない
- 立替金 → 売却できない
- 仮払金 → 売却できない
固定資産の例
有形固定資産:目に見える資産
- 土地 → 不動産売却サイト、不動産売買業者に依頼して売却する
- 建物 → 不動産売却サイト、不動産売買業者に依頼して売却する
- 機械 → 中古機械設備サイト、中古機械設備売買業者に依頼して売却する
- 備品 → ECサイト、フリマアプリ、オークションサイト、中古買取店などで売却する
- 車両 → 自動車売却サイト、自動車売買業者に依頼して売却する
無形固定資産:目に見えない資産
- 営業権 → M&Aで売却する、同業他社に売却する
- 商標権 → M&Aで売却する、同業他社に売却する
- 借地権 → 地主に売却する、借地権の買取業者に売却する
- 特許権 → M&Aで売却する、同業他社に売却する
投資その他の資産:有形固定資産、無形固定資産に該当しない資産
- 投資有価証券 → 上場している有価証券は株式市場で売却する、未上場の有価証券は買主を探して売却する
- 出資金 → 売却はできないが、株式を売却することは可能
- 敷金 → 売却はできないが、敷金の返還交渉は可能
- 保証金 → 売却はできないが、保証金の返還交渉は可能
繰延資産の例
- 創立費 → 売却できない
- 開業費 → 売却できない
- 開発費 → 売却できない
- 株式交付費 → 売却できない
- 社債発行費 → 売却できない
上記を見ても、わかる通りで、一言で「資産」と言っても、「資産」の種類によって、売却方法や売却できるかどうかも、大きく変わってくるのです。
一般的な資金調達につながる売却できる資産は
- 不動産
- 自動車
- 機械設備
- 商品
- 株式
- 権利(営業権、商標権、特許権)
と考えて良いでしょう。
会社の資産を売却して資金調達するメリット
メリットその1.買い手がいれば、すぐに資金調達ができる
資産を売却する場合には、必ず「買い手」が必要になります。
メリットその2.融資に頼ることなく、資金調達ができる
会社が所有している資産を売却するのですから、新たな融資などを組みわけではありません。
メリットその3.資産の保有コストを削減できる
「資産」というのは、持っているだけで維持管理費用が発生するものです。
不動産の場合
- 固定資産税
- 都市計画税
- 修繕費
- 管理費
- 水道光熱費
- 火災保険料、地震保険料
- (収益を得ている場合)法人税
自動車の場合
- 自動車税
- 重量税
- 自賠責保険
- 任意保険
- 点検費用
- 車検費用
- 駐車場料金
- ガソリン代(経由代)
メリットその4.経営指標が改善する
固定資産を売却することで、バランスシートはスリム化します。
- ROA(当期純利益/総資産) アップ↑
- 自己資本比率(自己資本/総資産) アップ↑
- 総資産回転率(売上高/総資産) アップ↑
- D/Eレシオ(有利子負債/純資産) ダウン↓
資産を売却して得た資金を借入金の返済などに充てることで、総資産額を減らすことができます。
会社の資産を売却して資金調達するデメリット
デメリットその1.利用している資産の場合は、別のコストが発生する
利用していない資産の売却であれば問題ありませんが・・・
- オフィスとして利用している不動産の売却 → オフィスを賃貸する必要が出てくる
- 生産に利用している機械の売却 → 機械をリースで借りる必要が出てくる
- 営業に利用している自動車の売却 → レンタカーを借りる必要が出てくる
利用している資産を売却する場合には、「その事業活動自体を辞めるか?」「代わりになるものを借りるか?」する必要が出てきます。
デメリットその2.希望する金額で売却できない可能性がある
- 売り手:「少しでも高く売却したい。」
- 買い手:「少しでも安く買い取りたい。」
のが前提ですから、希望の金額で売却できない可能性も往々にしてあります。
1億円で購入した一棟ビルを、1億円以上で売却しようとしても、市況や経年劣化により、8,000万円で買うという買い手しかあらわれない可能性もあるのです。
そうなれば
- 売らずに別の資金調達方法を検討する
- 希望額に届かなくても、売却して資金調達する
かの2択を迫られることになるのです。
デメリットその3.売却までに時間がかかる可能性がある
資産の売却は、買い手が付かなければ完了しません。
- 株式市場で売買できる上場企業の株式
- 相場より安い価格での不動産売却
であれば、すぐに買い手は見つかるかもしれませんが
- 使い企業が限られる機械
- 相場よりも高い価格での不動産売却
- 業績の悪い企業の未公開株
であれば、なかなか買い手は現れないでしょう。
資産の売却は「買い手」ありきですので
- 買い手が現れなければ、資金調達はできない
- 買い手が現れるまでは、資金調達ができない
というデメリットがあるのです。
会社の資産を売却して資金調達する手順
手順その1.売却する資産を決定する
まずは「何を売却するのか?」を決める必要があります。
- 必要な資金調達額の確認
- 売却できる(事業継続に影響が少ない)資産をリストアップする
「いくら必要なのか?」と「売却しても、経営に大きなダメージの無い資産は何があるのか?」を洗い出します。
その上で
- 売却予定の資産はいくらで売れるのか?を推定する
必要があります。
推定の方法には
- 実際に売却サイトや売却業者に見積もりを取る
- 類似商品、類似物件がいくらで売られているのか?を調べる
というものがあります。
例えば、分譲マンションを売却する場合、同じエリアの同じような間取りの分譲マンションが3,000万円で売却されていたとしても、3,000万円で買い取ってもらえるわけではありません。不動産業者の収益があるのですから、売却価格の7割~8割が買取価格になるのです。
になるようにして
手順その2.売却する方法を調査する
売却方法には色々な方法があります。
- 売買サイト
- オークションサイト
- 売買業者
- 知り合い(取引先や競合他社、知人)
などです。
手順その3.複数の売却方法を同時に展開する
いくらで売れるのか?は
- どの売買方法を選ぶか?
- どの売買業者を選ぶか?
- 買い手が利用しているサイトや買取業者はどこか?
によって変わってきます。
複数の売却方法を同時平行で走らせることで、早期の売却(早期の資金調達)が可能になるからです。
また、同じ売却方法でも、複数の業者を利用する方が売却価格が高くなる可能性が上がります。
手順その4.買い手が見つかれば、売買契約を締結して、売却する
買い手が見つかれば、後は契約を交わして、売却するだけです。
買い手との契約条件では
- いくらで買い取ってくれるのか?
- いつ入金されるのか?
- 手付金はあるのか?
など、具体的な数字を念入りに確認しましょう。
また、買い手の資金力や信頼性も、重要なポイントです。契約後にお金が支払われなかったでは、裁判など余計な手間と時間がかかってしまいます。
高く資産を売却するコツ
コツその1.きれいな状態にする
- マンション → 徹底的に掃除をする
- 自動車 → 徹底的に掃除をする
- 機械設備 → 徹底的に掃除をする
ことが重要です。
資産によっても異なりますが、売買サイトなど、オンライン上で売却するケースは少なくありません。掲載する写真で買い手の購買意欲は、大きく変わってしまいます。
また、不動産を売却するときには、現地調査で実際に物件を見ることも少なくありません。その時に、きれいな手入れが行き届いた状態か?メンテナンスされていない汚い状態か?で買い手のモチベーションは大きく変わってしまうのです。
コツその2.セールストークが重要
自動車、機械設備などの「モノ」であれば、型が決まっているため、それほどセールストークで高値売却ができるわけではありませんが・・・
- 不動産 → 立地、環境の良さ、住みやすさなど、数値に表れない部分をアピール
- 営業権・特許権 → どれだけ売上に貢献するのか?実績はどうなるのか?をアピール
コツその3.販売ルートが多い方が有利
前述した通りで
- 一つの売買業者
- 一つの売却方法
で、資産の売却を進めてしまうと
- 相場が見えてこない
- 買い手へリーチできる数が少ない
- 交渉の駆け引き材料が少なくなる
デメリットがあるのです。
多くの売買業者、売買サイトを併用すれば、その分手間はかかりますが
多くの買い手から買取依頼が来る
→ 売却できる金額の相場がわかる
→ 高値売却ができる
→ 有利な交渉ができる
のです。
コツその4.足元を見せない強気の交渉が有利
どうしても、資金調達までの期限が迫ってしまうと
と思ってしまいます。
しかし、百戦錬磨の買い手に「弱み」を見せてしまえば、どんどん値引き交渉が入ってきます。
高値売却を重視するのであれば
「強い値引き交渉には『その価格に値引きはできない』ときっぱり断る」
「他の買い手も多くいることを演出する」
「資金調達の期日が迫っていることを悟られない」
ことが重要になります。
まとめ
会社の資産を売却して資金調達する方法とは
- 文字通り、会社の資産を売却することで、売却金を受け取る資金調達方法のこと
を言います。
会社の資産を売却して資金調達する方法のメリットには
- メリットその1.買い手がいれば、すぐに資金調達ができる
- メリットその2.融資に頼ることなく、資金調達ができる
- メリットその3.資産の保有コストを削減できる
- メリットその4.経営指標が改善する
会社の資産を売却して資金調達する方法のデメリットには
- デメリットその1.利用している資産の場合は、別のコストが発生する
- デメリットその2.希望する金額で売却できない可能性がある
- デメリットその3.売却までに時間がかかる可能性がある
というものがあります。
できるだけ高く資産を売却するためには
- コツその1.きれいな状態にする
- コツその2.セールストークが重要
- コツその3.販売ルートが多い方が有利
- コツその4.足元を見せない強気の交渉が有利
に気を付けると良いでしょう。
「会社の資産を売却して資金調達するメリットデメリットを教えてください。」
「会社の資産を売却する資金調達は、どのような手順で行えば良いでしょうか?」