創業融資は、はじめて利用する方がほとんどだと思います。今回は、はじめて創業融資を受ける方のために創業融資の申込から資金調達までの流れを、日本政策金融公庫・制度融資に分けて、丁寧に解説します。
創業融資の申込から資金調達までの流れ/日本政策金融公庫の場合
全体の流れ
日本政策金融公庫で融資を受けるまでの流れは
- 相談
- 必要書類の準備
- 申込
(1週間~10日間) - 面談
- 現地調査
- 審査
(1週間~2週間) - 審査結果通知・融資決定
(1週間) - 融資実行
- 返済開始
という流れになります。
全体で融資実行まで、1カ月~1カ月半の時間がかかります。
手順その1.相談
日本政策金融公庫に申し込む前にまずは「事前に相談する」ことが必要になります。
- どの融資制度が良いのか?
- 融資が下りる事業なのか?
- どの書類を用意すれば良いのか?
- どうやって書類を提出すれば良いのか?
・・
様々な疑問を事前相談で解決することができます。
相談先としては
- 日本政策金融公庫に相談する
- 創業融資サポート会社・創業融資専門家に相談する
という2つの方法があります。
日本政策金融公庫に相談する
日本政策金融公庫は、全国に支店があり、支店窓口で相談することができます。
創業融資の場合は「国民生活事業」の支店になります。
創業融資サポート会社・創業融資専門家に相談する
- 創業融資をサポートする会社
- 創業融資をサポートする専門家(税理士・会計士)
などは、「創業融資を引き出すこと」を生業にしている会社・専門家です。
資金調達が成功したときには成功報酬が発生してしまいますが
- どうやって創業融資を引き出せば良いのか?
- 創業融資を引き出すための事業計画書の作り方
- 創業融資を引き出すための面談の仕方
などを丁寧に教えてくれます。
手順その2.必要書類の準備
日本政策金融公庫に申込むときの必要書類
- 借入申込書
- 創業計画書
- 納税証明書
- 源泉徴収票の写し
- 見積書(設備資金など)
- 通帳原本
- 企業概要書(はじめて政策金融公庫を利用する際に必要)
- 生活衛生関係の事業を営む方は、都道府県知事の「推せん書」または、生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」
生活衛生関係の事業とは
- 飲食店営業
- 喫茶店営業
- 食肉販売業
- 氷雪販売業
- 理容業
- 美容業
- 興行場営業
- 旅館業
- 公衆浴場業
- クリーニング業
- 理容師養成施設・美容師養成施設
状況次第で
- すでに事業を経営されている場合
- 法人の登記簿謄本
- 直近2期分の決算書
- 最近の試算表(決算から6カ月以上経過している場合)
- 担保を提供する場合
- 不動産の登記簿謄本
- 連帯保証人を用意する場合
- 申込者、連帯保証人の印鑑証明書
- 自己資金を用意する場合
- 自己資金の証明書
などが必要になります。
手順その3.申込
上記の用意した必要書類を日本政策金融公庫に提出します。
日本政策金融公庫に申込むときの必要書類の提出方法
上記の資料を
- 支店で直接提出する
- 郵送で提出する
- 創業融資サポート会社・創業融資専門家に提出してもらう
という方法で提出することになります。
手順その4.面談・審査・現地調査
申込関連書類に不備がなければ
- 書類審査
- 面談
- 現地調査
- 総合的な審査
というステップで審査が進められます。
審査フェーズでは、ケースバイケースで順番が前後したり、審査に必要と思われる書類の追加提出を求められることがあります。
- 面談
- 訪問
に関しては、申込後数日で、担当者から候補日の連絡があります。
面談は、30分から1時間半ぐらいで提出した書類に基づいて、様々な質問をされる形になります。
申込書類がそろって、面談、開業予定地の現地調査などが終わると、最終的な審査が行われます。
手順その5.審査結果通知・融資決定
審査が問題なければ、面談から10日ほどで審査結果通知が来ます。これが融資決定ということになります。
融資が決定した場合、日本政策金融公庫から融資の必要書類が届くので、返信用封筒にて書類を返送し、公庫に届いてから、3営業日後目安に入金があります。
手順その6.融資実行
銀行に入金されます。
手順その7.返済開始
返済を開始します。
創業融資の申込から資金調達までの流れ/制度融資の場合
全体の流れ
制度融資庫で融資を受けるまでの流れは
- 金融機関を決める
- 相談
- 必要書類の準備
- 申込
- 面談
- 現地調査
- 審査
(1週間~2週間) - 審査結果通知・融資決定
(1週間) - 融資実行
- 返済開始
という流れになります。
全体で融資実行まで、1カ月~1カ月半の時間がかかります。
手順その1.金融機関を決める
制度融資が日本政策金融公庫からの融資と異なるのは、制度融資は、あくまでも
- 金融機関が融資をする
- 信用保証協会がその債務について保証をする
という仕組みになっているため、信用保証協会に行くのではなく、金融機関を決めて融資の依頼をしなければなりません。
金融機関を選ぶ基準は
- 規模の小さい金融機関(信用金庫 > 地方銀行 > メガバンク)
- 取引のある金融機関
がおすすめです。
手順その2.相談
相談先は、使うことを決めた金融機関になります。
と融資担当に伝えておけば
- 必要書類
- 今後の手続きの流れ
について、丁寧に教えてくれるはずです。
手順その3.必要書類の準備
制度融資に申込むときの必要書類
- 借入申込書
- 信用保証委託申込書
- 信用保証委託契約書
- 個人情報の取り扱いに関する同意書
- 申込者、連帯保証人の印鑑証明書
- 法人の登記簿謄本
- 確定申告書(決算書)
- 納税証明書
- 創業計画書
- 見積書(設備資金など)
- 通帳原本
などが必要になります。
手順その4.申込
必要書類を準備したら、金融機関に提出します。
信用保証協会や地方自治体に提出するケースもありますが、ほとんどの場合は金融機関に提出します。
手順その5.面談・審査・現地調査
申込関連書類に不備がなければ
- 書類審査
- 面談
- 現地調査
- 総合的な審査
というステップで審査が進められます。
日本政策金融公庫の融資審査と異なるのは
- 信用保証協会が審査をする
- 信用保証協会が「信用保証書」を発行する
- 金融機関が審査をする
という手順で審査が行われるため
- 信用保証協会の審査
- 金融機関の審査
という2つの審査ステップが発生してしまうのです。
大抵は
となるのですが、これは100%ではありません。
金融機関も、20%は貸し倒れリスクを負うため、金融機関の審査で落ちることもあるのです。
手順その6.審査結果通知・融資決定
審査が問題なければ、金融機関の融資担当者から
- 審査結果
- 融資条件(金利、限度額)
について連絡が入ります。
条件に同意できたら、契約、融資という流れになります。
手順その7.融資実行
金融機関に作成した口座に入金されます。
手順その8.返済開始
返済を開始します。
創業融資の申込から資金調達までの流れのよくある質問
自分で手続きをするのか?創業融資サポート会社・創業融資専門家に相談すべきか?
創業融資では
- 自分で手続きをする
- 創業融資サポート会社・創業融資専門家に相談する
という2つの方法を取ることができます。
どちらにもメリットデメリットがあります。
自分で手続きを進めるメリット
- 創業融資サポート会社・創業融資専門家に支払うコストがない
- 自分の思い通りに創業計画書を作成できる
自分で手続きを進めるデメリット
- 創業計画書は自分で作成するしかない
- どういう事業計画書を作れば、融資を引き出しやすいのか?わからない
- どういう面談をすれば、融資を引き出しやすいのか?わからない
- 融資を引き出す確率が下がる
- 融資条件が悪くなる(金利が高金利に、限度額が低くなる)可能性が高い
創業融資サポート会社・創業融資専門家に相談するメリット
- どういう事業計画書を作れば、融資を引き出しやすいのか?教えてもらえる
- どういう面談をすれば、融資を引き出しやすいのか?教えてもらえる
- 融資を引き出す確率が上がる
- 融資条件が良くなる(金利が低金利に、限度額が高くなる)可能性が高い
- 事業・経営のアドバイスをもらえる
創業融資サポート会社・創業融資専門家に相談するデメリット
- 創業融資サポート会社・創業融資専門家に支払うコスト(成功報酬)が発生する
- 専門家の指示で作りたい事業計画書が歪められる
創業融資に不安がある方は、創業融資サポート会社・創業融資専門家に相談する方がおすすめです。
- 創業融資による調達資金がなくても、自己資金で開業できる見込みが高い方
- 事業がよくある事業(飲食店、不動産会社)で融資担当者の知見がある事業
- 同業種の仕事についていた経験が10年以上と長い方
は、自分で手続きする方法を選んでも、創業融資を受けられる可能性は高いと考えられます。
- 創業融資による調達資金が必ず必要な方
- 事業が一般的ではない事業で融資担当者の知見がない事業
- 同業種の仕事についていた経験が10年未満と短い方
は、創業融資サポート会社・創業融資専門家に相談した方が資金調達が成功する可能性は高くなります。
申込から資金の入金までどのくらいかかるのか?
日本政策金融公庫も、制度融資も
というのが一般的な日数です。
なぜ、これだけ幅があるかというと
- 審査にかかる時間が事業や書類によって異なる
- 審査、面談、現地訪問調査で追加の資料が必要になるケースがある
ため、追加資料や融資担当者に知見のない事業などでは、大幅に時間がかかってしまうことがあるのです。
ある程度余裕を持ったスケジューリングが必要になります。
用意する必要書類は、言われたものだけ用意すれば良いのか?
融資審査を通過するコツは
- いかに事業の「確実性」を伝えるか?
- いかに経営者自身の「経営能力」を伝えるか?
がキモになってきます。
事業の「確実性」、経営者自身の「経営能力」を伝えるためには
ご自身で
- 事業計画の確実性、根拠
- 経営者の経歴、実績
をアピールできる事業計画書などを作成する必要性は高いのです。
日本政策金融公庫と制度融資は同時に申し込んでも良いの?
日本政策金融公庫と制度融資は同時に申し込んで構いません。
また、同時に申し込んでいることを申告する義務もありません。
両方から資金調達することも可能なのです。
現地調査って何をするのですか?
- 開業予定地
- フィス
などに実際に訪問して
- 創業計画書
- 事業計画書
- 面談内容
との相違点がないかのチェックを行います。
とくに店舗などがある事業の場合、立地や店舗の状況を確認しないと、判断できないことも多いため、現地調査をするのです。
まとめ
創業融資の申込から資金調達までの流れは
- 金融機関を決める(制度融資のみ)
- 相談(直接自分で手続きを進めるか?専門家に相談するか?を決める必要がある)
- 必要書類の準備
- 申込
- 面談
- 現地調査
- 審査
(1週間~2週間) - 審査結果通知・融資決定
(1週間) - 融資実行
- 返済開始
という流れで行われます。
全体で1カ月~1カ月半の時間がかかるので注意が必要です。
注意しなければならないのは
- 直接自分で進める場合の審査落ち
- 書類の不備での時間のロス
があります。
日本政策金融公庫も、制度融資も、自分で手続きを進めることもできますが
- 創業計画書は自分で作成するしかない
- どういう事業計画書を作れば、融資を引き出しやすいのか?わからない
- どういう面談をすれば、融資を引き出しやすいのか?わからない
- 融資を引き出す確率が下がる
- 融資条件が悪くなる(金利が高金利に、限度額が低くなる)可能性が高い
というデメリットがあるため
不安な方は、創業融資サポート会社・創業融資専門家に成功報酬を支払っても、相談することをおすすめします。
やはり、はじめて創業融資を検討する経営者と、何百社も担当して資金調達を成功させている業融資サポート会社・創業融資専門家では、創業融資を引き出すスキルに格段の差が出てしまうのです。
「日本政策金融公庫の融資が下りるまでの流れを丁寧に教えてください。」
「制度融資の融資が下りるまでの流れを丁寧に教えてください。」