M&A成功事例6選。大企業・中小企業・業界別

M&Aとは事業の合併(Merger)、および買収(Aquisition)を意味しています。

M&A とは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称であるが、我が国では、広く、会社法の定める組織再編(合併や会社分割)に加え、株式譲渡や事業譲渡を含む、各種手法による事業の引継ぎ(譲り渡し・譲り受け)をいう。

出典:中小M&Aガイドライン中小企業庁

合併は、二つ(以上)の会社を合わせて一つの会社とすることです。

合併により、合併前にそれぞれの会社が行っていた事業が合併後の会社に引き継がれることになります。

買収は、対象となる事業の支配を売り手が買い手に引き渡すことです。

つまり対象となる事業を支配する人が交代することになります。

合併と買収をM&Aという言葉でくくる意味は、どちらも事業の支配が変わるためです。
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M&Aの成功とはどのようなものか、実際にM&Aが成功した事例にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

M&Aの目的と成功

M&Aの目的と成功
M&Aが成功したか失敗したかは、どのような目的でM&Aが行われたかによって変わります。

目的が達成されれば成功と言えますが、目的が達成されなければ失敗と言えます(目的とはM&Aを行う目的だけではなく、広い意味での会社の目的を含みます)。

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M&Aは最低でも二人の当事者により行われます。

一人は、M&Aによりその事業を引き渡す人、つまり事業の支配権を失う人、これを売り手と言います。

そしてもう一人は、M&Aにより事業を取得する人、つまり事業の支配権を手に入れる人、これを売り手と言います。

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売り手と買い手ではM&Aにおける目的が異なります。そのため、何が成功なのかも異なることになります。

買い手の成功

M&Aにおける買い手は

M&Aにより取得した事業から経済的な利益を得ること

を目的としています。

逆にM&Aにより取得した事業から経済的な損失が発生すると、そのM&Aは失敗です。

この経済的な利益が得られるのは次の二つの場合です。

  1. 事業の成長
  2. 利益の出る転売

事業の成長

M&Aにより取得した事業が、取得した時点から成長し、より高収益の事業となることで買い手は利益を得ます。

取得した事業自体が成長しなかったとしても、買い手がもともと持っている事業と合わさることで相乗効果を挙げることもあります。

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事業が成長すれば買い手にとってそのM&Aは成功と言えます。

利益の出る転売

取得した事業が成長した場合、買い手はその成長を自分の成果として取り込むことで利益を得ることができます。

しかし、取得した時点からあまり成長せず、反対に事業が縮小した場合であっても、買い手が経済的な利益を手にすることもあります

取得した価格(つまりM&Aの対価)がその事業の価値と比較して低いような場合です。

事業の価値は通常、その事業から将来もたらされる利益によって測られます。

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このような割安で取得した事業は、正しい事業価値で再度M&Aを行い売り手となる(つまり事業を転売する)ことで収益を確保することができます。

売り手の成功

M&Aにおける売り手は、買い手と同様

M&Aにより経済的な利益を得ること

を目的としていることもあります。

しかし、経済的な利益以外の目的でM&Aを行うケースもあります。

売り手の求める経済的な利益

M&Aの売り手は、M&Aにより事業を手放す代償に対価を取得することができます。

中小企業の場合には、経営者の保有する株式を現金化するほぼ唯一の方法がM&Aになります。

また、売却する事業の価値に比べて、M&Aの対価が高い場合にも、売り手にとってそのM&Aは成功です。

より長期的にはM&Aの対価を別のM&Aの買収に利用したり、残った事業に投資するなどして有効に活用できればM&Aは売り手にとって成功だったことになります。

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このように売り手がM&Aの目的とする経済的な利益にはさまざまなものがあります。

売り手の経済的な利益以外の目的

M&Aの売り手の中には事業の存続、あるいは成長のためにM&Aを選択するケースもあります。

事業の存続を目的にするのは、会社が事業をたたんでしまうと会社の従業員のほか、取引先等に多大な影響を与えます。これを避けるために事業を誰かに存続させてもらうため、M&Aを選択するケースです。

また、ベンチャー企業の場合には大企業の傘下に入ることにより、大企業のリソース(販売力や開発力など)を活用し、自社の成長を早めることを目指すケースもあります。

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この場合にはM&Aが成立することが、M&Aの成功になります。

双方の成功

このように買い手と売り手は同じM&Aに合意しても目的が異なるケースがあります。

特に買い手と売り手がともに経済的な利益を求める場合には、双方の目的が相反することもあります。買い手としてはなるべく安く買いたいですし、売り手としてはなるべく高く売りたいからです。

しかし、一方で、買い手と売り手の利益が一致するケースもあります。

売り手が敵対的買収を仕掛けられている際にホワイトナイトとして買い手が介入するケース等はその一例です。

合併の場合にも合併する双方が同じ事業拡大などの目的をもって行われるケースがあります。

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売り手と買い手は常に利益が相反するというわけでもないのです。

M&Aにおける成功事例(大企業編)

M&Aにおける成功事例(大企業編)
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まずは、大企業のM&Aの成功事例について見ていきましょう。

成功事例1 ソフトバンクによるVodefone買収(買い手)

やや古い事例ながら、今でもしばしば取り上げられるのがソフトバンクによるVerfoneの日本事業の買収です。

その理由は、M&Aが実行された当時のインパクトが大きかったことに加え、ソフトバンクの携帯事業が今なお成長し続けていることにあります。

M&Aの概要

現在、携帯電話事業を行っているソフトバンクは、この事業を2006年にM&Aにより取得しました。

買収の相手方は、当時世界の大手として日本でも携帯電話事業を行っていたイギリスのVodefoneです。

取引金額は1兆7千億円と当時としては非常に巨額の取引でした。

M&Aの成功ポイント

ソフトバンクの携帯事業は2022年3月現在6兆8千億円ほどの時価総額があります。

買収金額と比較して3倍超に増えたことになります。

携帯電話事業は事業が成長し、それ自体の価値を大きく増やしただけではありません。

ソフトバンクの知名度を広めることにも貢献しています。

携帯電話事業からの収益や現金収入が、ソフトバンクグループのその後のM&Aによる事拡大に多いに役立っています

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M&Aにより取得した携帯電話事業が成長したことがM&Aの成功のポイントです。

成功事例2 日立造船の造船事業(売り手)

日立造船の造船事業のM&Aによる売却は、売り手の成功事例として有名です。

その理由は、売却の対象になったのが、社名にもなっている同社の本業、造船事業だったからです。

M&Aの概要

日立造船はその社名の通り、もともとは造船事業を行っていました。

しかし、造船事業の将来性に期待が持てないことから造船事業をM&Aにより売却しました。

その売却資金を使って、新規事業への投資やM&Aによる別の事業を取得しました。それらの事業が成長したことにより、現在では環境関連の工場設備やプラントの製造を行っている企業に変貌しています。

M&Aの成功ポイント

日立造船は造船事業からの撤退、売却と同時に、売却資金を使って事業の多角化を目指した複数の新規事業の立ち上げを行っています

結果的にはこれらの新規事業もM&Aにより売却し、その売却の対価を、現在の本業である工場設備、プラント製造に集中して投資してきました

日立造船は現在でも時価総額が1兆円を超える日本を代表する企業です。また現在でも業務拡大を目指して海外企業のM&Aを進めています。

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国内では斜陽であった造船事業を早期に売却したこと、売却の対価を自社の成長に有効活用したことが日立造船のM&Aの成功のポイントです。

成功事例3 スシロー投資ファンドによる転売

回転すしのスシローはM&Aを経て、大きく成長した企業です。

事業の成長が売り手、買い手の双方を成功に導いた事例と言えます。

M&Aの概要

スシローはかつて上場していました。

2009年、スシローは投資ファンド(ユニゾンキャピタル)が買収し、非上場化します。

そしてユニゾンキャピタルはスシローの企業価値を高めたうえで2012年にイギリスの投資ファンド、ペルミラ・アドバイザーズにM&Aで売却されます。

その後、2017年にペルミラはスシローを上場させ、自らの株式は市場への売り出しと、資本提携した明神ホールディングスに売却しています。

スシローは2度にわたって投資ファンドに買収され、3度のM&Aを経た会社です。

M&Aの成功ポイント

スシローのM&Aにより、最初の買い手であるユニゾンキャピタルは約580億円の利益を上げたと言われています

その間、回転寿司の日本一はカッパ寿司からスシローに入れ替わっています。つまりユニゾンはスシローを成長させたわけです。

これを購入したペルミラはスシローをさらに成長させ、400億円以上の利益をあげ、約1200億円で売却しています。

スシローは買い手の投資ファンドが転売により巨額の利益を手にしています。その源泉は、スシロー自体の事業の成長にあります。

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スシロー自体の事業が成長したことがスシローのM&Aが成功したポイントです。

M&Aにおける成功事例(中小企業編)

M&Aにおける成功事例(中小企業編)
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次に中小企業のM&Aの成功事例を見ていきましょう。

中小企業のM&Aの成功事例は、大企業が絡むものも多いのが特徴です。

成功事例4 日本電産による中小企業の買収

M&Aによる事業拡大で有名な日本の企業として真っ先に名前が挙がるのが日本電産です。

日本電産のM&Aはソフトバンクとは異なり、それぞれの案件がそれほど巨額の買収というわけではありません。しかし、それぞれのM&Aを成功させてきたところに日本電産の強みがあります。

案件の概要

日本電産のホームページでは、会社のこれまでのM&Aがまとめられています。

案件の概要

出典:日本電産

国内・海外の案件がありますが、いずれもそれほど大きくない会社を買収している点に特徴があります。

また1984年と日本企業としては比較的早い時期からM&Aを行っており、2022年時点ですでに66件の買収を行っています。

M&A成功のポイント

日本電産のM&Aはそのほとんどが成功しています

成功の要因については様々な分析がなされています。

日本電産自身の説明によれば、次の3点が成功の要因です。

・適切な価格での買収
・相乗効果が見込める買収先の発掘
・買収後の事業を成長させるための日本電産による事業支援

成功の中身は、買収した会社が成長して、過去最高益を更新していることと、買収した会社が日本電産グループの既存事業との間で相乗効果を発揮していることにあります。

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日本電産のM&Aの成功は、買収された中小企業が成長したことによる成功と言えるのです。

成功事例5 山田社長によるウノウの売却

メルカリと言えば、日本で知らない人が珍しいほど有名なフリマアプリを運営する会社です。

このメルカリを創業した社長が山田進太郎氏です。山田氏がメルカリを立ち上げる前に創業し、M&Aにより売却した会社がウノウです。

M&Aの概要

ウノウは2001年に山田社長が創業したインターネットサービスを提供する会社です。

当初、映画情報を集めたサイト(映画生活)や、写真を共有するサービス(フォト蔵)などを運営していました。2009年にはソーシャルゲームに参入しています。

この会社を当時、ソーシャルゲームの大手であったアメリカのZynga(ジンガ)社が2010年に買収しました。

買収金額は公表されていませんが、数十億円であったと言われています。また、同様にこの当時の山田社長の持ち株比率が公開されているわけではありませんが、少なくとも億円単位の売却益を手にしています

M&Aの成功ポイント

ウノウ社はジンガの日本法人となりますが、2013年に閉鎖されています。一定程度利益のでるゲームを開発運営していたものの、ジンガの世界戦略の中では規模が小さかったことが理由と言われています。

このM&Aで成功したのは、ウノウでもジンガでもなく、山田社長個人です。

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山田社長は後に、M&Aにより取得した資金を元手にメルカリを立ち上げ、さらなる成功を掴んでいるためです。

成功事例6 ソラコムのKDDIへの売却

ソラコムを中小企業と呼ぶのは違和感がありますが、会社設立後3年、サービス開始から2年のベンチャー企業のM&Aとして当時話題となった有名な事例です。

案件の概要

ソラコムはIoT向けのSIMとネットワークの基盤を提供している会社です。

IoTとは様々なものにセンサーを取り付け、そこから情報を得よう(そしてその情報を活用しよう)という取り組みです。

ソラコムは一言でいえば、センサーからデータを読み取るためのネットワークを提供している会社です。

この会社をKDDIが2017年に200億円を投じて買収しました。

M&A成功のポイント

M&Aがおこなわれた当時のソラコムの契約数は約8万回線、これに対して、2021年には200万回線の契約を獲得するに至っています。これはソラコムのプロダクトが優秀であることはもちろんのこと、KDDIの信用が契約を後押ししたことも間違いありません。

2022年時点ではソラコムの決算が開示されているわけではなく、KDDIの決算に重大な影響を与えるほどの収益を獲得するに至ってはいない模様ですが、将来的にはIPOを目指す選択肢もあり、その場合にはKDDIに多大な売却益が期待できるものと予想されます

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ソラコムは大企業(KDDI)との協業により事業を成長した点がM&A成功のポイントです。

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ビジネスローンは、以前は銀行ビジネスローンが主流でしたが、銀行は貸し倒れの増加に伴いビジネスローンの提供に対してかなり消極的になっています。現時点ではビジネスローンは、大手消費者金融が提供するローンサービスであり、銀行融資よりも、「審査が甘い」「即日融資が可能」という点で中小企業の経営者に重宝される資金調達方法となっています。金利が高いなどのデメリットもあるため、短期の資金繰りを乗り切るための選択肢として考えましょう。

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