既存の借入金の借り換えで毎月の返済額を軽減する

資金繰り改善の方法のひとつとして、「既存の借入金の借り換え」というものがあります。今回は「既存の借入金の借り換え」について解説します。

「既存の借入金の借り換え」とは

今ある借入を別の借入に借り換える、一本化することを意味します。

例えば

経常利益:毎月80万円

銀行A:1000万円の借入(毎月の返済額:50万円 × 残20カ月)
銀行B: 500万円の借入(毎月の返済額:50万円 × 残10カ月)

の2つの銀行からの借入がある場合に

毎月のキャッシュフロー = 経常利益80万円 - 返済額100万円 = -20万円

とキャッシュフローがマイナスになり、どんどん資金が減っている状態になってしまいます。

ここで銀行Aに「銀行Bの借入を一本化したい。また同時に返済期間を延ばしてほしい。」と依頼します。

借り換え後

経常利益:毎月80万円

銀行A:1500万円の借入(毎月の返済額:50万円 × 残30カ月)

毎月のキャッシュフロー = 経常利益80万円 - 返済額50万円 = +50万円

と「計上利益」も「借入額」も同じままですが、毎月のキャッシュフローはプラスになります。

完済までの期間が長くなったものの、毎月のキャッシュフローがプラスになったので、新たな借り入れなどをしなくても、資金繰りが回ることになります。

これが「既存の借入金の借り換え」です。

「既存の借入金の借り換え」のメリット

毎月の返済額が減る

借り換えと同時に返済期間を延長することで、毎月の返済額が軽減できます。キャッシュフローの改善が見込めるのです。

「既存の借入金の借り換え」のデメリット

返済期間が延びる

毎月の返済額は返済期間を伸ばすことで軽減しています。逆に言えば、完済までの期間は伸びることを意味しています。また、返済期間が伸びるということは、借入全体で考えた場合の利息総額は膨らんでしまうということになります。

「既存の借入金の借り換え」は銀行は承諾してくれるの?

単純に

銀行A:1000万円の借入(毎月の返済額:50万円 × 残20カ月)を
銀行A:1000万円の借入(毎月の返済額:25万円 × 残40カ月)にしてほしい

というのはリスケジュール(リスケ)といい、担当者が承諾してくれるのか?はプレゼンテーション次第になります。

しかし、前述した例の借り換えの場合

「銀行Bの借入を銀行Aに一本化する」 = 「銀行Aの融資額が増える」

ことになります。

銀行Aにとっては利息収入が増えるというメリットがあるのです。単純に返済期間を延ばすのではなく、他行の借入を持ってくることで銀行側も承諾しやすい環境ができるのです。

銀行はお金を貸すのが仕事ですから、融資額が増えることに対しては前向きに検討してくれるのです。

また、状況としてもキャッシュフローが改善されて安定的に返済できる経営状況になるのであれば、銀行も、経営者にとっても、WIN-WINの解決方法になるのです。

借り換えの提案をする時には

  • 借り換えによって経営状態がどう改善するのか?
  • 返済期間が延長されても確実に返済ができるという計画

が必要になります。銀行側にもメリットがあることをプレゼンテーションする必要があるのです。

銀行Aが承諾してくれない場合はどうすればよいの?

それでも、借り換えを断られた場合には

上記の例で言えば

銀行Bに持ち掛ければ良いのです。

銀行Bからも断られたら

全く取引のない銀行Cに銀行Aと銀行Bの借入の一本化を依頼すれば良いのです。

よほど、経営状態に問題がある企業でない限り、承諾してもらえる可能性は高いのです。

まとめ

資金繰りが苦しい場合に、単純に新規の借入に頼るのではなく、既存の借入の借り入れ条件を変えるという方法があります。

複数の借入を一本化すると同時に、返済期間を延ばすことで毎月の返済額を軽減することができるのです。新たな借り入れをせずに資金繰りを改善することが可能になります。

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資金調達のコンサルティング、資金調達のサポート事業を行っています。銀行融資から、担保融資、ビジネスローン、不動産担保ローン、ファクタリングまで、様々な資金調達方法を紹介し、資金繰りの改善をお手伝いしています。実際に私が経営している会社でも、様々な方法で資金調達を実現させました。