銀行融資の審査において「企業の格付け」というのは大きな要素になってきます。支店長や本部に回る稟議書にはこの格付け情報も当然のように記載されているからです。融資判断で格付けが材料のひとつになることは間違えありません。では、「格付け」を引き上げることは可能なのでしょうか?
付け焼き刃で「格付け」を引き上げることはできない!
格付けは
- 定量評価:70%~90%
- 定性評価:10%~30%
です。
定性評価に関しては、債権者区分を引き上げる方法と同じですので、それを実行しましょう。
定量評価に関しては、決算の結果から導かれる数字なので、今日明日で改善できるものではありません。日々の経営努力が求められるのです。
何を意識して経営努力を行えば定量評価が良くなるのか?
安全性評価を高めるポイント
自己資本比率を高める
- 借入を減らす
- 純資産を増やす
ことが重要になります。借入は無駄な追加の借入をせずに返済を続けていけば、自然と自己資本比率は高まっていきます。純資産を増やす手っ取り早い方法は、利益を積み重ねることです。
収益性評価を高めるポイント
利益率を高める
収益性評価は
- 売上高経常利益率
- 総資産経常利益率
ですから、売上や総資産が増えなくても、利益額が増えれば利益率は増加することになります。利益を上げることが重要なポイントとなります。
返済能力評価を高めるポイント
利益額を高める
返済能力評価は
- 債務償還年数 = 有利子負債 / (営業利益 + 減価償却費)
- インタレスト・カバレッジ・レシオ = 営業利益(+受取利息配当金) / 支払利息(+手形売却損)
で決まります。どちらも営業利益額が増加すれば指標が良くなるのです。
結論
「格付け」を上げるために重要なことは
「利益を上げること」
と言い切れます。
利益が上がれば、前述した「安全性評価」「収益性評価」「返済能力評価」のいずれの評価も上がるからです。
格付けを上げるための経営努力というのは「利益額を上げる、利益率を高める」ことなのです。
そのためには
- 無駄な支出の削減
- 過度な節税対策の回避
が必要になります。税金を払いたくないからと言って、過度に経費を作り、利益をぺらっぺらにしていたら、銀行の格付けは一向に上がるはずがありません。
また、「利益額を上げる、利益率を高める」を実現するためには
- PDCAサイクルの適用
- KPI指標管理の導入
- 経営の見える化
- 経営指標の日次管理
などが必要不可欠です。
中小企業、零細企業では、経営者が現場に出ずっぱりで経営数値の管理がずさんになってしまうことも往々にしてありますが、日々の経営数値の管理と、PDCAによる改善を繰り返さない限り、「利益額を上げる、利益率を高める」を実現していくことは難しいのです。
まとめ
企業格付けを引き上げる方法は
- 利益額を上げる
- 利益率を高める
ことです。
ここに集中して経営するだけで「安全性評価」「収益性評価」「返済能力評価」のいずれの評価も上がり、銀行融資の審査に通りやすくなるのです。
学校の成績と同じように一夜漬けでどうなるものでもありません。
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