「借り換え」による資金調達方法とは?借り換えの仕組み・手順・メリットデメリット・注意点

「借り換えって何ですか?」
「借り換えによる資金調達ってどういうことでしょうか?」
「借り換えによる資金調達のメリットデメリットを教えてください。」

資金調達方法の中には「借り換え」という手法もあります。今回は「借り換え」による資金調達の手順、メリットデメリット、注意点などを解説します。

「借り換え」による資金調達方法とは?

「借り換え」とは

すでに借りている借入(債務)を、他の金融機関の借入(債務)に移すこと

を言います。

具体的に言えば

例:ビジネスローンからビジネスローンへの借り換え
  • ビジネスローンA社 金利15.0% 200万円の借り入れ中
  • ビジネスローンB社 金利10.0% 200万円の審査通過
  • ビジネスローンB社から200万円を借りて、ビジネスローンA社の200万円分を完済

債務は

  • ビジネスローンA社 → ビジネスローンB社へ移行

借入先が変わっただけですが

  • ビジネスローンA社 金利15.0% → ビジネスローンB社 金利10.0%

と、金利も下がる形になります。

例:ビジネスローンから信用保証協会の保証付き融資への借り換え
  • ビジネスローンA社 金利15.0% 200万円の借り入れ中
  • 銀行B社 金利2.0% 500万円の審査通過
  • 銀行B社から500万円を借りて、ビジネスローンA社の200万円分を完済、手元に300万円のキャッシュ

債務は

  • ビジネスローンA社 → 銀行B社へ移行

借入先が変わっただけですが

  • ビジネスローンA社 金利15.0% 200万円 → 銀行B社 金利2.0% 500万円

と、金利もかなり下がり、かつ調達額も増えることになります。

このように「借り換え」というのは

現在借り入れ中の金融機関から、別の金融機関へ債務を移すことで「借入金利の低下」「借りれ条件の変更」「調達額の増加」などを狙った資金調達方法・資金繰り改善方法のこと

を言うのです。

「借り換え」による資金調達の仕組み

「借り換え」というのは

現在、借り入れ中の金融機関からの借入を
借り換え先の金融機関からの借入で完済することで
借り換え先を移す仕組み

となっています。

借り換え元の金融機関にとってみれば、貸してたお金を全額繰り上げ返済される

ことになるため、全額繰り上げ返済が可能な金融機関・借入であれば、拒否することはできないのです。

ほとんどの金融機関の借入では「全額繰り上げ返済」が可能になっています。

そのため、「借り換え」というのは、どのような借入でも対応可能です。

どのような借り入れから、どのような借り入れに移行しても構わないということになります。

しかし、「借り換え」をするためには「借り換えをするメリット」がなければならないため

「低金利による返済の軽減」という借り換えメリットを目的とする場合
  • 高金利の借入 → 低金利の借入
「毎月の返済負担の軽減」という借り換えメリットを目的とする場合
  • 高金利の借入 → 低金利の借入
  • 短い返済期間の借入 → 長い返済期間の借入
「借入額の増加」という借り換えメリットを目的とする場合
  • 少額の借入 → 高額の借入
「個人保証を外す」という借り換えメリットを目的とする場合
  • 経営者の個人保証がある借入 → 経営者の個人保証がない借入

という目的に応じた組み合わせで、借り換えが実行されることがほとんどです。

「借り換え」による資金調達の手順

手順その1.借り換えの目的を決める

借り換えをする目的には、主に

  • 低金利による返済の軽減
  • 毎月の返済負担の軽減
  • 借入額の増加
  • その他の理由(個人保証、付き合い、担保の関係)

が存在します。

「何のために借り換えをするのか?」を明確にしなければ借り換えは成功しません。

手順その2.借り換え先の資金調達方法を検討する

目的に応じて、借り換え先の資金調達方法を検討します。

  • 低金利による返済の軽減 → 低金利の借入ができる資金調達方法
  • 毎月の返済負担の軽減 → 低金利の借入、借入期間の長い借入ができる資金調達方法
  • 借入額の増加 → 高額な借入ができる資金調達方法

手順その3.借り換え先の資金調達方法に申し込む

借り換え先の資金調達方法を決めたら、複数社に申込をします。

なぜ、1社ではなく、複数の金融機関に申し込むかというと・・・

有望な借り換え先を見つけても、審査に通らなければ利用できないからです。

借り換えをするためには、審査通過が絶対条件なのですから、1社に申し込むより、3社、4社と複数社に申し込んだ方が審査に通る可能性が高くなるため、借り換えが成功しやすいのです。

手順その4.借り換え先から借入

審査に通ったら、借り換え先と契約手続きを行い、資金調達をします。

複数社の審査に通ったら、一番条件の良い借り換え先を選定の上、その借り換え先と契約しましょう。

手順その5.現在借り入れ中の債務を完済する

借り換え先から借入を実行したら、現在借り入れ中の債務を完済する必要があります。

※基本的には、借り換え先の審査は「資金使途:借り換え」で審査に通過しているため、ここで別の目的に資金を使うことはできません。必ず、現在借り入れ中の借入の全額繰り上げ返済を行います。

これで「借り換え」は完了します。

手順その6.借り換え先に新しい条件での返済

借り換えが完了すれば、これからの返済先は、借り換え先になります。新しい契約条件に合わせて、返済をすることになります。

「借り換え」による資金調達のメリット

メリットその1.借り換えによって資金繰りが改善する可能性が高い

借り換えの種類にもよりますが

  • 高金利の借り換え元 → 低金利の借入先 への借り換え
  • 短期返済の借り換え元 → 長期返済の借入先 への借り換え

が実現できれば

毎月の返済額が軽減されるので、資金繰りは楽になります。

  • 借り換え元と借り換え先の金利の下げ幅が低ければ引くほど
  • 借り換え元と借り換え先の返済期間が長くなれば長くなるほど

毎月の返済が減り、資金繰りも良くなるのです。

借り換えの最大のメリットは、資金繰りの改善です。

メリットその2.じっくりと良い条件の借入先を探せる

どうしても、資金需要が発生してから、すぐに資金が必要な状態になると

  • 即日融資ができるビジネスローン

などに頼ることになります。

低金利の日本政策金融公庫や銀行の信用保証協会の保証付き融資は、融資までに数週間~2カ月程度の時間を要するからです。

金利で言えば

  • ビジネスローン 年率5.0%~15.0%
  • 日本政策金融公庫 年率1.0%~3.0%
  • 銀行の信用保証協会の保証付き融資 年率1.0%~3.0%

5倍の差がありますが、時間的に間に合わず、泣く泣くビジネスローンを選択する方も少なくありません。

借り換えを利用できれば、ビジネスローンで一時的な急場をしのいで、すぐに低金利の日本政策金融公庫や銀行の信用保証協会の保証付き融資に借り換えれば、利息負担は大きくならずに済むのです。

借り換えによって、条件の良い借入先を探せる、時間的猶予を確保することができるのです。

メリットその3.借り換えによって調達額を増やせる可能性がある

ビジネスローンなどは、初回の利用の場合、100万円~200万円程度の融資が限度額となります。

日本政策金融公庫や銀行の信用保証協会の保証付き融資であれば、2,000万円~3,000万円という借入も可能です。

借り換えを行うことで、調達できる金額も増える可能性があるのです。

「借り換え」による資金調達のデメリット

デメリットその1.審査は通りにくくなる

借り換え先の審査の段階では

すでに借り入れがある

という状況での審査になります。

そのため、審査のハードルは、何もない時よりは上がってしまうのです。

とくに銀行の融資担当者などは「ノンバンクの借入があること」に対して、ネガティブな反応をするため、借り換えが完了すればノンバンクの借入もなくなるのですが、この段階で審査が通らない可能性も出てくるのです。

借り換えを前提にしても、審査に通りにくいデメリットがあります。

デメリットその2.手数料などの初期コストが二重で発生する

ローンや融資のサービスにもよりますが、契約時に

  • 事務手数料
  • 印紙代
  • 司法書士報酬

などが発生するローンや融資も少なくありません。

借り換えを前提とする場合

  • 借り換え元で借りるときに初期費用が発生
  • 借り換え先で借りるときに初期費用が発生

するため、二重で「初期費用」が発生してしまうデメリットがあるのです。

借り換えによる金利低下によって、得られる返済軽減の金額が少額な場合、初期コストが二重で発生することで、コスト負担が増えてしまう可能性もあるのです。

デメリットその3.借り換えができない、借り換えさせたくないローンや融資もある

「借り換え」というのは、現在融資をしている金融機関にとってみれば、想定していた売上(貸付残高)が一気になくなってしまうことになります。

そのため、「借り換えをさせたくない」と考えるのが一般的です。

ローンや融資によっては「全額繰り上げ返済不可」「全額繰り上げ返済時に高額な手数料発生」という形で、借り換えをしにくくしているものがあるのです。

ノンバンクの不動産担保ローンなどは、全額繰り上げ返済時に残債額の3.0%~5.0%の繰り上げ手数料を取る設定が一般的です。

デメリットその4.既存の借入先の妨害

前述した通りで、「借り換え」というのは、現在融資をしている金融機関にとってみれば、想定していた売上(貸付残高)が一気になくなってしまうことになります。

そのため、「借り換えをさせたくない」と考えるのが一般的です。

「借り換えを検討している」ということを借入先の担当者に話してしまうと、条件交渉や引き留めなどに会ってしまい、無駄な労力がかかってしまう可能性があります。

「借り換え」による資金調達を成功させるポイント

1.複数の低金利の借り換え先を検討する

借り換えをするのであれば

  • 高額な借入
  • 低金利の借入
  • 長期の借入

を行うのがベターです。

  • 日本政策金融公庫や制度融資などの公的融資
  • 信用保証協会の保証付き融資
  • 不動産担保ローンや売掛債権担保ローン、ABLなどの有担保ローン

などが候補になります。

無担保のビジネスローンなどで借り入れ中の方であれば、上記のどのローンに借り換えをしても、借り換えメリットが出てくるはずです。

  • 審査に時間がかかる
  • 審査に厳しい

というデメリットがありますが、公的融資や銀行融資への借り換えの可能性は、粘り強く検討する必要があります。

  • 公的融資でダメなら、メガバンク
  • メガバンクでだめなら、地方銀行
  • 地方銀行でだめなら、信用金庫

というように多くの候補を検討して、徐々に審査のハードルの低いところに申し込んでいきましょう。

信用金庫での借り入れだったとしても、ビジネスローンよりは何倍も低金利になる可能性があります。

長期戦の姿勢で、複数の金融機関を粘り強く検討することが、好条件の借り換え先を見つけるポイントとなります。

2.借り換え先の審査時に「借り換え目的」であることを伝える

資金使途が「借り換えなのか?そうでないのか?」は大きな違いです。

例えば

500万円のビジネスローンの借り入れがある状態で、銀行融資の500万円を希望した場合

資金使途が「借り換え」でない場合

金融機関としては

  • 既存の500万円の借り入れ + うちからの500万円の借り入れ = 合計:1,000万円の調達

を検討しているとして、審査を行うのです。

資金使途が「借り換え」である場合

金融機関としては

  • 既存の500万円の借り入れ → うちからの500万円の借り入れ = 合計:500万円の調達

を検討しているとして、審査を行うのです。

「借り換え」目的での借入であることを明確に融資担当者に伝えておかないと、間違った条件で審査されてしまうのです。「借り換え」目的であることをしっかり伝えて審査に臨む必要があります。

3.既存の借入の返済は遅延なく行う

借り換え先の金融機関が審査で気にするポイントは

借り換え前の金融機関への返済が確実に行われているかどうか?

です。

借り換え前の金融機関への返済が確実に実行されていれば、借り換え後、うちに返済が変わったとしても、確実に返済してくれることを示すからです。

借り換えをしたいのであれば、既存の借入の返済は確実に、遅延なく行う必要があります。

既存の借入の返済歴が長くなれば長くなるほど、信頼は増えるため、借り換え先の金融機関の審査にも通る可能性が高くなってきます。

逆に借入直後に借り換え先へ審査を申込むと、借り換え先の金融機関は「うちで借り換えても、またすぐに他の金融機関に借り換えるのではないか?」と危惧してしまい、審査に通らない可能性が高くなるのです。金融機関にとっては、審査・融資にも、それなりに手間がかかるので、すぐに借り換えられてしまうと、困ってしまうのです。