AngelNaviで資金調達する条件|上限金額は目標募集額の115%まで、申し込めるのは日本国籍の個人

AngelNaviの上限金額の比率と株式交付までの日数、応募できる主体を3つ並べたアイキャッチ

AngelNaviは、エクイティファンディング株式会社が運営する株式投資型クラウドファンディングのサービスです。日本証券業協会の取扱業者一覧にはこの社名で掲載されています。投資家向けのよくあるご質問が5社のなかでも詳しく、上限金額の決め方、申込金の流れ、株式の交付までの日数といった、発行者が募集を設計するときに必要な数字がそこに書かれています。

このページの要点

上限金額は目標募集額の115%まで。日本証券業協会の見解である上場株式の募集のオーバーアロットメント制度に準じた運用だと説明されています。

応募できるのは日本国籍を保有する個人で、法人名による応募申込は受け付けていません。満20歳以上満75歳未満という年齢条件もあります。

募集が成立した場合、株式の交付は成立後10営業日程度を目安に順次開始されます。申込金は信託銀行を経由して発行企業に払い込まれます。

運営会社はエクイティファンディング株式会社

サービスを運営しているのはエクイティファンディング株式会社です。会社のページには、設立が2017年10月、資本金が3,000万円、本社が東京都港区赤坂と記載されています。事業内容は「第一種少額電子募集取扱業(株式投資型クラウドファンディング)」です。

エクイティファンディング株式会社のサイトで社名、本社、事業内容、登録番号、投資者保護基金未加入などが記載されている画面
エクイティファンディング株式会社のABOUT US。登録は関東財務局長(金商)第3146号の第一種少額電子募集取扱業者、加盟協会は日本証券業協会、指定紛争解決機関は証券・金融商品あっせん相談センターと書かれている。

ひとつ注意しておきたいのが社名の表記です。サイトに掲載されている取扱要領のPDFは「エンジェルナビ株式会社」の名義で作成されています。一方、運営会社のページと日本証券業協会の一覧はいずれも「エクイティファンディング株式会社」です。契約の相手方がどの法人になるのかは、申込みの前に書面で確認してください。

登録の種類と、投資家保護の枠組み

会社のページには、登録と保護の枠組みについて、次の内容が明記されています。発行者にとって直接の損得ではありませんが、投資家から質問を受ける可能性がある項目です。

表1 エクイティファンディング株式会社が公表している登録と枠組み
項目 記載内容
登録 関東財務局長(金商)第3146号 第一種少額電子募集取扱業者
加盟協会 日本証券業協会
投資者保護基金 未加入。投資家が同社に対して有する債権は、金融商品取引法第79条の56第1項に規定する補償対象債権に該当しない
自己資本規制比率 金融商品取引法第29条の4第1項第6号イおよび同法第46条の6に規定する自己資本規制比率の適用はない
券面の預託 金融商品取引法第29条の4の2第9項および第10項の規定により、店頭有価証券の券面の預託を受けることができない
指定紛争解決機関 証券・金融商品あっせん相談センター

第一種少額電子募集取扱業者という登録の種類は、イークラウドと同じ区分です。登録の違いが何を意味するかはイークラウドで資金調達する条件でも触れています。

調達できるのは1年間に1億円未満

取扱要領は、募集に際して発行者が資金調達できる額は1年間に1億円未満であるとし、取り扱う店頭有価証券とその発行者の審査にあたって、発行者の過去の資金調達履歴および今後の資金調達計画等を確認するとしています。

AngelNaviの株式投資型クラウドファンディング業務に関する取扱要領の1ページ目で審査項目と1億円未満の少額要件が記載されている画面
AngelNavi「株式投資型クラウドファンディング業務に関する取扱要領」の1ページ目。審査項目A)からH)までと、1年間に1億円未満という少額要件が書かれている。

少額要件を満たすことの確認方法も具体的です。発行者へのヒヤリングをベースに、履歴事項全部証明書、株主名簿、新株予約権原簿を使用して確認するとされています。株主名簿と新株予約権原簿を見るということは、過去の資本異動が数字で突き合わされるということです。

審査項目は8つ、決めるのは案件審査会

取扱要領は、取り扱う店頭有価証券とその発行者について、A)からH)の事項と、その店頭有価証券に投資するにあたってのリスクについて厳正な審査を行い、社内の案件審査会において案件の募集可否を決定する、としています。

表2 AngelNaviの審査項目(取扱要領の記載)
記号 審査項目
A 発行者及びその行う事業の実在性
B 発行者の財務状況
C 発行者の事業計画の妥当性
D 発行者の法令遵守状況を含めた社会性
E 反社会的勢力への該当性、反社会的勢力との関係の有無及び反社会的勢力との関係排除への仕組みとその運用状況
F 当社と発行者との利害関係の状況
G 調達する資金の使途
H 目標募集額及び上限募集額が発行者の事業計画に照らして適当なものであること

審査の進め方も書かれています。発行者の企業情報や財務状況、事務所の実在性、事業内容と事業計画、資金調達目的に関して発行者より提供された資料を用い、経営者との面談、外部データベースの参照、実地調査等をもって行う、という内容です。「事務所の実在性」が独立して挙がっている点は、他社の文書にはあまり見られない書き方です。

上限金額が目標募集額の115%までである理由

よくあるご質問は、上限金額を「発行者が財務局へ届け出た募集金額であり、今回の募集において株式を発行できる最大金額」と定義しています。応募申込の合計金額が上限金額を上回っても、発行者は上限金額までしか株式を発行できません。

そのうえで、上限金額を目標募集額の115%までとしている理由を説明しています。発行者は事業計画を基に企業価値算定を行って発行価格を決めているため、上限金額が大きすぎると、計算された企業価値・発行価格と実際の企業価値にずれが生じ、発行価格に対して株価が希薄化する可能性がある、という説明です。そこで、日本証券業協会の見解である上場株式の募集のオーバーアロットメント制度に準じて115%までとしている、としています。

図1 目標募集額3,000万円のときに想定しておく金額(AngelNaviの公表内容による)

目標募集額

3,000万円

この金額を申込期間の最終日に下回ると、募集は不成立になる。

上限金額

3,450万円

115%の水準。これを超える申込みがあっても、発行できるのは上限金額まで。

必要な投資家の人数

60人以上

1人50万円の上限で割った最小値。申込コースには25万円コースなどもあるため、実際にはさらに増える。

上限の考え方は会社によって違います。CF Angelsは取扱要領で上限募集額を目標募集額の150%以内と定義しており、同じ目標額でも受けられる上積みの幅が変わります。詳しくはCF Angelsで資金調達する条件をご覧ください。

申し込めるのは日本国籍を保有する個人だけ

よくあるご質問は、株式を購入できる人について「一部の大口・機関投資家・ファンド等を除き、日本国籍を保有する個人の方であれば購入可能です」と答えています。そして、法人名による応募申込は受け付けておらず、個人のみが応募申込できるとしています。

取扱要領のユーザー登録の審査項目にも、居住地・納税地が日本である日本国籍の方であること、外国PEPsに該当しないこと、満20歳以上満75歳未満であることが並びます。発行者への払込み期日に満75歳に達する場合は申込みができなくなりますが、取引記録や決算情報等の情報は継続的に提供されるとされています。

表3 申し込める投資家の条件(取扱要領のユーザー登録審査項目)
項目 条件
本人性 ご本人の登録であること
反社会的勢力 該当しないこと(表明・確約を提出)
国籍・居住 居住地・納税地が日本である日本国籍の方
外国PEPs 該当しないこと
年齢 満20歳以上、満75歳未満であること
投資目的 長期保有目的であること
取引開始基準 投資経験、保有金融資産、年収、職業等を勘案した同社の取引開始基準を満たしていること

「投資目的が長期保有目的であること」が登録の条件に入っているのは、この会社の特徴です。短期の値上がりを狙う層が最初から対象外になっているため、募集ページでも長期で支える理由を説明する必要があります。

本人確認はオンライン認証か、転送不要郵便か

本人確認の方法は2つ用意されています。ひとつはオンライン本人認証システム「proost」を使う方法で、スマートフォンでのみ利用でき、運転免許証、在留カード、マイナンバーカードのいずれかと本人の撮影で完了します。

もうひとつは、本人確認書類をアップロードしたうえで、同社から本人確認書類に記載の住所宛てに転送不要郵便で通知が送られ、そこに書かれた認証コードをポータルサイトで入力する方法です。こちらは運転免許証、写真付き住基カード、パスポート、健康保険証、在留カード、運転経歴証明書、個人番号カードの表面、特別永住者証明書のうち2点が必要です。

後者は郵便の往復が入るため、募集を知ってから申し込めるようになるまでに日数がかかります。募集期間を短く設定すると、登録が間に合わない投資家が出る可能性があります。

AngelNaviのよくあるご質問の投資申込カテゴリで、質問が一覧で並んでいる画面
AngelNavi「よくあるご質問」の投資申込カテゴリ。法人名での応募申込、募集の上限金額、申込期間最終日に目標募集額を下回った場合、投資できる金額の上限などの質問が並ぶ。

申込金はどう流れ、株式はいつ交付されるか

よくあるご質問は、出資金の管理について、同社の資産と分別して管理され、社内の投資家用口座で受け付けて申込内容と送金内容に相違がないかを確認したうえで、信託銀行へ送金し、株式を発行する調達企業へ払い込まれると説明しています。

図2 申込みから株式の交付までの流れ(よくあるご質問の記載)

  1. ①申込み 申込受付開始後、契約締結前交付書面を読んだうえで申込コース(50万円コースや25万円コース等)を選択して申し込む。
  2. ②振込み 申込日を含めて8日間の申込撤回期間の最終日までに指定の銀行口座へ振り込む。最終日が土日祝の場合は翌営業日まで。
  3. ③撤回期間 申込日から起算して8日間はマイページから撤回でき、手数料はかからない。9日目以降は撤回できない。
  4. ④成立判定 申込期間の最終日に合計金額が目標募集額を下回った場合は不成立となり、全額が返金される。発行企業と協議のうえ申込期間を延長する場合がある。
  5. ⑤株式の交付 成立した場合、株式の交付は成立後10営業日程度を目安に順次開始される。

成立から株式の交付まで10営業日程度という目安が公表されているのは、発行者にとっても計画が立てやすい情報です。株主名簿に名前が並ぶまでの期間を、社内の手続きと合わせて見積もることができます。

投資家1人あたり50万円の数え方

よくあるご質問は、同一の発行者が発行する非上場株式について、一人の投資者が取得できる金額の上限を、過去1年以内の「個別払込額」が50万円以下であると説明しています。「過去1年以内」の起算日は、募集に係る払込日の前日です。

この「個別払込額」の数え方が具体的に書かれています。新株予約権証券を取得している場合は、取得するための払込金額と、行使に際して払い込むべき金額の合計額を全部合算して計算する必要があります。また、払込期日の到来していない応募額も含まれます。

さらに、他の金融商品取引業者等が行った過去1年以内の株式投資型クラウドファンディング業務により同一の発行者の株式を取得している場合は、それらも通算する必要があるとしています。ただし、この通算では不成立の応募等は含まず、実際に発行者に支払われる金額で判定するとされています。

発行者の立場では、同じ投資家が別の窓口で自社の株式を取得していると、その分だけ今回申し込める金額が減るということです。2回目以降の募集で窓口を変える場合は、この通算が効いてきます。

調達後に株主ができること、できないこと

よくあるご質問は、非上場株式の譲渡について、譲渡すること自体は可能だが、株式の発行企業の取締役会の承認が必要であり、譲渡先は自分で探さなければならないと説明しています。そのうえで、同社は法令等により譲渡の仲介はできないとしています。

発行者から見ると、株主が株式を手放したいと言ってきたときに、承認の手続きが自社に回ってくるということです。株主の数が増えるほど、この対応の頻度も上がります。

また同社のサービスでは、通常、議決権のある普通株式の募集が行われるとされています。投資した人は株主となり、株主総会に出席する権利があり、株主優待を提供している企業もある、という説明です。議決権のある株式を広く配るという前提は、調達後のガバナンス設計に直結します。

目標募集額を超えたぶんの資金使途は先に決めておく

取扱要領は、申込額の合計が目標募集額を上回る場合と下回る場合の扱いを定めています。目標募集額に到達した場合、個々の契約締結前交付書面で定める発行者の発行上限額を上限募集額とし、申込期間内は申込期間終了日を迎えるか上限募集額に到達するまで募集を行います。

そして、目標募集額と上限募集額の間で募集金額が確定した場合、目標募集額以上の部分の取扱いは、個々の契約締結前交付書面に定める資金使途の項目に対して割当を行うとしています。つまり、超過分を何に使うかを、募集を始める前の書面で決めておく必要があるということです。

同じ項には、目標募集額を超えて募集を行った場合、当初想定していた目標募集額と比べて一株または一個当たりの価値の下落(希薄化)が発生する可能性があること、上限募集額を超過して株式または新株予約権が発行されることはないことも書かれています。いずれの場合も、申し込んだ投資家に電子メールで結果が連絡され、募集ページにも結果が表示されます。

なぜ非上場株式をこの仕組みでしか公募できないのか

よくあるご質問には、制度の位置づけについての説明もあります。現在のところ、日本証券業協会の自主規制ルールによって証券会社は非上場株式の勧誘を制限されているため、不特定多数の一般投資家が公募で非上場株式に投資できる機会は、株式投資型クラウドファンディングが唯一の制度といえる、という内容です。

同じ回答は、株式投資型クラウドファンディングでは通常、議決権のある普通株式の募集を行うため、投資した人は株主となり、株主総会に出席する権利があると説明しています。また、募集する中小企業の成長は不確実性が高いため、値上がり益の追求よりも支援や応援という側面が特徴的である、とも書かれています。

貸付型のクラウドファンディング(ソーシャルレンディング)との違いも整理されています。そちらは投資家が中小企業に貸付けを行う匿名組合型ファンドの組合員となり、リターンは貸付からの利息収入の分配になります。株主が増えるか、債権者が増えるかという根本的な違いです。

発行者が払う費用は公開ページで確認できなかった

発行者が負担する審査料や成約手数料について、取扱要領、サービス利用規約、よくあるご質問、運営会社のページを確認しましたが、金額や料率の記載は見つけられませんでした。よくあるご質問の「手数料・税金」の項目は投資家側の振込手数料についての回答で、発行者向けの手数料には触れていません。

条件を知るには、同社に直接問い合わせることになります。公表されている料率で比べたい場合は、FUNDINNO、イークラウド、CF Angelsの3社が取引約款に金額を書いています。株式投資型クラウドファンディング5社比較で、3社の料率を同じ調達額に当てはめて並べています。

よくある質問

AngelNaviの手数料はいくらですか。
発行者が払う手数料について、取扱要領、サービス利用規約、よくあるご質問、運営会社のページのいずれにも記載を確認できませんでした。金額を知るには同社に問い合わせる必要があります。
法人の投資家から出資を受けられますか。
この窓口では受けられません。よくあるご質問は「法人名による応募申込は受け付けていません。個人のお客様のみ応募申込が可能です」と答えています。
目標募集額より多く集まったらどうなりますか。
上限金額までが発行できる金額です。同社は上限金額を目標募集額の115%までとしており、応募申込の合計金額が上限金額を上回っても、上限金額を超える株式の発行はできません。
目標募集額に届かなかったらどうなりますか。
よくあるご質問は、募集が不成立となり、投資家が登録した銀行口座へ振込額の全額を返金すると答えています。なお、発行企業と協議のうえ申込期間を延長する場合があるとも書かれています。
株式はいつ投資家に渡りますか。
クラウドファンディングが終了して成立判定の後、成立した場合に株式が交付されます。交付は成立後10営業日程度を目安に順次開始されると説明されています。
投資家が株式を売りたいと言ってきたらどうなりますか。
非上場株式の譲渡には発行企業の取締役会の承認が必要で、譲渡先は投資家自身が探すことになります。同社は法令等により譲渡の仲介はできないとしています。承認の判断は発行者側に残ります。

まとめ

AngelNaviの公開情報で発行者にとって価値が高いのは、上限金額を目標募集額の115%までとする運用と、その理由が株価の希薄化で説明されていることです。上積みの幅が会社によって違うことを知らずに目標額を決めると、想定と違う結果になります。

申し込める投資家が日本国籍の個人に限られる点、長期保有目的が登録の条件に入っている点も、募集ページの書き方に影響します。一方で、発行者が払う費用は公開ページからは分かりませんでした。費用から絞り込みたい場合は、料率を公表している会社から当たるのが早道です。制度全体の枠組みはクラウドファンディングによる資金調達とはにまとめています。

このページの内容は、エクイティファンディング株式会社が公開している会社のページと、AngelNaviの取扱要領およびよくあるご質問の記載に基づいています。取扱要領のPDFと運営会社のページで社名の表記が異なるため、契約前にどの法人と契約するのかを書面で確認してください。

株式投資型クラウドファンディングで発行される株式は取引所に上場しておらず、売買の相手を自分で探す必要があります。募集の設計や調達後の株主対応については、弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関などに相談しながら進めてください。

出典

  • エクイティファンディング株式会社(社名、本社、事業内容、設立、資本金、登録番号、加盟協会、投資者保護基金未加入、自己資本規制比率、券面の預託、指定紛争解決機関)https://www.equity-funding.co.jp/
  • AngelNavi「株式投資型クラウドファンディング業務に関する取扱要領」(審査項目A〜H、案件審査会、審査の手法、1年間に1億円未満の少額要件と確認方法、ユーザー登録の審査項目、本人確認の方法)https://www.angel-navi.com/document/rules_of_ECF.pdf
  • AngelNavi「よくあるご質問」(日本国籍を保有する個人、法人名の応募不可、申込コース、株式の交付は成立後10営業日程度、出資金の分別管理と信託銀行経由の払込み、8日間の撤回、不成立時の返金と期間延長、上限金額と115%の説明、個別払込額50万円の数え方、非上場株式の譲渡)https://www.angel-navi.com/faq/faq.html
  • 日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング業務を行う金融商品取引業者」(エクイティファンディング株式会社、加入日2019年8月15日)https://market.jsda.or.jp/shijyo/kabucrowdfunding/toriatsukaigyousha/20200907114040.html