東京都の株式型クラウドファンディング助成金|手数料の上限1,000万円、消費税とシステム利用料は対象外

東京都の株式型クラウドファンディング助成金の2つの補助区分の上限額と申請期限を3つ並べたアイキャッチ

株式投資型クラウドファンディングの手数料は、調達額の2割前後が目安です。3,000万円を集めれば660万円前後が出ていきます。この手数料に対して、東京都は助成金を用意しています。条件を満たせば助成限度額1,000万円まで。ただし、助成の対象になる費用とならない費用が明確に分かれているため、どの費用がどちらに入るかを先に確認しておく必要があります。

このページの結論

制度の名前は「クラウドファンディング(購入寄付型・株式型)を活用した資金調達支援事業」。株式型は、取扱ECF事業者に支払う利用手数料の一部を助成します。1/2補助区分は上限750万円、2/3補助区分は上限1,000万円です。

助成の対象になるのは、審査料、成約手数料・募集の取扱手数料、プロジェクトページの作成費用、広報活動の費用です。システム及びサポート機能利用料と、手数料に含まれる消費税は対象外と明記されています。

対象は創業10年未満で都内に本店または主たる事業所を置く株式会社。令和8年度は、令和8年4月1日以降に募集を開始して成功したプロジェクトが対象で、申請期限は令和9年3月16日です。

制度の位置づけと、どこが正本か

この助成金は東京都の補助事業です。東京都創業NETの融資・助成制度のページに「クラウドファンディング(購入寄付型・株式型)を活用した資金調達支援事業」として掲載されており、株式型と購入寄付型で助成限度額が分かれています。

東京都創業NETのページでクラウドファンディングを活用した資金調達支援事業の購入寄付型と株式型の取り扱い内容が並んでいる画面
東京都創業NET「クラウドファンディング(購入寄付型・株式型)を活用した資金調達支援事業」。株式型は1/2補助区分が上限750万円、2/3補助区分が上限1,000万円、対象は創業10年未満の都内中小企業と書かれている。

申請の受付や要件の詳細は、東京都が指定した事業WEBサイトに掲載されています。運営は銀座セカンドライフ株式会社で、相談窓口(株式型)の電話番号も公表されています。制度そのものに関する問い合わせ先は東京都産業労働局金融部金融課です。

表1 購入寄付型と株式型で違うところ(東京都創業NETの記載)
項目 購入寄付型 株式型
助成の対象 取扱CF事業者に支払う手数料の一部 取扱ECF事業者に支払う手数料の一部
1/2補助区分の上限 80万円 750万円
2/3補助区分の上限 100万円 1,000万円
対象の方 都内で事業を行う創業希望者又は中小企業者等 創業10年未満の都内中小企業

金額の桁が違うのは、調達額の規模が違うためです。事業サイトは、株式型の資金調達全体の平均額を約3,000万円と紹介しています。手数料が2割前後かかることを踏まえると、助成限度額750万円は現実的な水準に設定されているといえます。実際の料率は株式投資型クラウドファンディング5社比較で各社の約款から整理しています。

対象になるのは誰か

事業サイトは、支援対象企業として5つの条件を挙げ、そのすべてを満たす企業のみ申請が可能としています。

東京都の株式型クラウドファンディング助成金の支援対象企業として5つの条件が列挙されている画面
東京都 株式型クラウドファンディング助成金の支援対象企業。株式会社であること、令和8年4月1日以降に募集を開始して成功させたこと、利用手数料を支払って申請期限までに申請を終えたこと、創業10年未満であること、都内に本店または主たる事業所を置くことが並ぶ。

「プロジェクトを成功させた企業」という条件は、設定した目標調達額を達成しなければ対象にならないという意味です。不成立に終わった募集の手数料は、そもそも発生しないか、発生しても助成の対象外になります。

個人で創業して法人化した場合は、個人で創業した日から10年未満かどうかで判定されます。登記上の設立日ではないため、創業からの年数が10年前後の会社は、起算日を確認しておく必要があります。

助成の対象になる費用、ならない費用

ここが実務でもっとも効く部分です。事業サイトは、助成対象経費を4つ挙げ、あわせて対象とならない場合の例も示しています。

表2 助成対象経費と、対象にならない費用(事業サイトの記載)
区分 内容 どの会社の費用が当てはまるか
対象 審査料 FUNDINNOの審査料10万円(税別)、CF Angelsの第二次審査料11万円(税込)など
対象 募集業務における成約手数料、株式または新株予約権募集の取扱手数料 各社の成約手数料・募集取扱手数料。金額としてはここが最も大きい
対象 プロジェクトページを作成するための費用(株主募集ページの文章・画像作成費用など) 外部に依頼した制作費など
対象 株式等発行企業の広報活動にかかる費用(SNS等によるWeb広告費用など) 募集期間中の広告費など
対象外 システム及びサポート機能利用料 FUNDINNOのシステムおよびサポート機能利用料(毎月5万円・税別など)が該当すると読める
対象外 取扱ECF事業者以外の事業者等に支払った経費 取扱ECF事業者に支払っていない費用
対象外 手数料に含まれる消費税 税込で計算した金額のうち消費税相当分

消費税が対象外であることは、金額の見積もりに直接影響します。たとえば税込660万円の手数料は、税抜では600万円です。1/2補助区分なら助成額は300万円で、660万円の半分である330万円にはなりません。

調達後に毎月かかるシステム利用料も対象外です。手数料の総額を見るときは「助成の対象になる部分」と「ならない部分」を分けて表に置いたほうが、資金計画のずれが小さくなります。各社の費用の内訳はFUNDINNOで資金調達する条件などの各ページで条文ごとに整理しています。

1/2補助区分と2/3補助区分の違い

助成率は2つの区分に分かれます。1/2補助区分は助成対象経費の2分の1で、助成限度額は750万円。支援対象企業に該当することが要件です。

2/3補助区分は助成対象経費の3分の2で、助成限度額は1,000万円。こちらは支援対象企業に該当することに加えて、申請企業の主たる事業で実施しており、かつプロジェクトページの内容が、HTT・ゼロエミッションの推進を目的とするものか、デジタル技術を活用しDXの推進に繋がるもののいずれかに該当する場合に限られます。

図1 助成対象経費の額ごとに、受け取れる金額がどう変わるか(公表されている助成率と限度額による計算)

助成対象経費 600万円

1/2区分:300万円

2/3区分:400万円

いずれも限度額には届かない。

助成対象経費 1,600万円

1/2区分:750万円(800万円だが限度額で頭打ち)

2/3区分:約1,066万円だが限度額の1,000万円

事業サイトが挙げている例と同じ水準。

頭打ちになる分岐点

1/2区分は対象経費1,500万円で750万円に到達する。

2/3区分は対象経費1,500万円で1,000万円に到達する。

そこから先は増えない。

事業サイトは、利用手数料が1,600万円の場合に1/2では800万円ではなく上限の750万円が助成額になること、1,800万円の場合に2/3では1,200万円ではなく上限の1,000万円になることを例として挙げています。

申請できる期間と、年度内1回という制限

令和8年度の事業では、令和8年4月1日以降に取扱ECF事業者のサイトでプロジェクトの募集を開始し、成功させた者が対象です。令和8年4月1日より前に募集を開始したプロジェクトは対象になりません。

そして、令和9年3月16日までに株式等を発行し、事務局に助成金申請をした者という条件が付きます。助成対象となる利用手数料も、令和8年4月1日から令和9年3月16日までの間に取扱ECF事業者へ支払っている必要があります。

東京都の株式型クラウドファンディング助成金の申請要件が13項目にわたって列挙されている画面
東京都 株式型クラウドファンディング助成金の申請要件。中小企業基本法の中小企業者の範囲を業種別の表で示したうえで、募集開始日、年度内1回という制限、申請期限までが列挙されている。

同一申請者による利用は年度内1回に限られ、1回に複数のプロジェクトを申請することはできません。年に2回募集する計画があるなら、どちらの募集で助成を使うかを先に決めておくことになります。

取扱ECF事業者は東京都が選定している

助成の対象になるのは、東京都が選定した取扱ECF事業者のサイトに掲載したプロジェクトだけです。事業サイトは、取扱ECF事業者の紹介ページに最新の事業者を掲載しているとしており、確認した時点ではAngelNavi、CF Angels、イークラウド、FUNDINNOの4社が並んでいました。

日本証券業協会の一覧に載る取扱業者は5社ですが、この助成金の取扱ECF事業者として紹介されているのは4社でした。どの窓口を使うかを決める前に、事業サイトの最新の掲載を確認してください。取扱ECF事業者の対象サイト以外のサイトに掲載したプロジェクトは、助成金を申請できません。

申請に出す4つの書類

助成金の申請は、資金調達を完了した後に、事業の公式WebサイトからWeb申請で行います。添付書類として提出するのは次の4つです。

図2 申請時に添付する書類(事業サイトの記載)

  1. ①利用手数料に関する請求書 取扱ECF事業者からの請求書。確認した時点では、4社とも証明書類は「請求書」と記載されている。プロジェクトページの作成費用や広報活動費用で請求書に載らないものは、支払った金額と内容が分かる書類を別途提出する。
  2. ②納税証明書 直近の法人事業税・法人都民税の納税証明書(都税事務所発行)。申請時点で1期目の法人や、確定申告の提出が済んでいない2期目の法人は提出不要とされている。
  3. ③本店または事業所の証明 原則は東京都内に本店がある登記簿謄本(履歴事項全部証明書、発行後3か月以内)。本店が都内にない場合は、都内に主たる事業所を置き都内で事業活動をしている証明書類として、直近の法人事業税・法人都民税の納税証明書。
  4. ④銀行口座の通帳の写し 取扱ECF事業者に利用手数料を支払った記録が確認できるページと、銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・名義人が確認できる面。助成金の支払先口座として登録されるため、申請した法人名義の口座にする。

クレジットカードで利用手数料を支払った場合は、別途事務局に連絡が必要とされています。電子通帳などで紙の通帳がない場合は、電子通帳等の画像を提出します。

申請後は事務局が内容を審査し、交付決定・支給決定を行います。採択の可否はメールで通知され、採択された場合は確定した支給額も同時に伝えられます。なお、審査結果に関する問い合わせ(不採択の理由等)には一切応じないと明記されています。

交付決定が取り消される場合

事業サイトは、交付決定の取消しと助成金の返還についても条件を挙げています。偽り、隠匿その他不正の手段により交付の決定を受けたとき、助成金を他の用途に使用したとき、東京都暴力団排除条例に規定する暴力団関係者であると判明したとき、交付決定の内容や条件・命令・法令に違反したときなどです。

すでに助成金が支給されている場合は、期限を定めて返還することになります。過去に国・都道府県・区市町村等から助成を受けて不正等の事故を起こしていることが明らかになったときも、取消しの対象です。

支援メニューは助成金だけではない

事業サイトは、支援メニューを3つ挙げています。1つめが取扱ECF事業者に支払う手数料の一部を助成するECF助成金、2つめがオンラインで開催される無料セミナー、3つめが電話やメールで本事業の概要や一般的なECFに関する情報を提供する相談窓口です。

無料セミナーには取扱ECF事業者が講師として登壇し、個別相談も実施されると案内されています。確認した時点の新着情報では、登壇する講師としてイークラウドやFUNDINNOの名前が挙がっていました。どの窓口を使うか決めかねている段階なら、各社の担当者の話を同じ場で聞ける機会として使えます。

相談窓口の受付時間は、月曜から金曜(祝日を除く)の9時から17時までと公表されています。制度そのものに関する問い合わせは東京都産業労働局金融部金融課が窓口です。要件の該当可否は事務局に確認するのが確実です。

よくある質問

募集が不成立でも助成金は出ますか。
出ません。支援対象企業の条件に「プロジェクトを成功させた企業」とあり、申請要件にも「プロジェクトで設定した目標調達額を達成しなければ、助成金の対象になりません」と注記されています。
税込の手数料をそのまま申請できますか。
できません。助成対象とならない費用の例に「手数料に含まれる消費税」が挙げられています。税抜の金額で計算することになります。
調達後の月額利用料も対象ですか。
対象外です。助成対象とならない費用の例に「システム及びサポート機能利用料」が明記されています。
本店が都外でも申請できますか。
原則は都内に本店があることが必要ですが、例外として、都内に主たる事業所を置き都内で事業活動をしている場合は、直近の法人事業税・法人都民税の納税証明書(都税事務所発行)を提出する形が示されています。
同じ年度に2回募集したら、2回申請できますか。
できません。同一申請者による利用は年度内1回に限られ、1回に複数のプロジェクトを申請することもできないとされています。
どの会社を使っても助成の対象になりますか。
なりません。東京都が選定した取扱ECF事業者のサイトに掲載したプロジェクトに限られます。最新の事業者は事業サイトの「取扱ECF事業者の紹介」ページで確認してください。

まとめ

東京都に本店または主たる事業所を置く創業10年未満の株式会社であれば、株式投資型クラウドファンディングの手数料に対して助成を受けられる可能性があります。1/2補助区分で上限750万円、HTT・ゼロエミッションまたはDXに該当すれば2/3補助区分で上限1,000万円です。

ただし、助成の対象はあくまで「取扱ECF事業者に支払う利用手数料」で、消費税とシステム利用料は外れます。募集が不成立なら対象になりませんし、年度内に使えるのは1回だけです。窓口を決める段階で、この助成を使う前提かどうかを先に決めてしまったほうが、後の計算が楽になります。各社の費用の内訳はイークラウドで資金調達する条件やCF Angelsで資金調達する条件で条文ごとに整理しています。

このページの内容は、東京都創業NETの案内と、東京都が指定した事業WEBサイトの記載に基づいています。年度ごとに内容が改められる制度のため、申請の前に必ず事業サイトの最新の案内と相談窓口で確認してください。

要件の該当可否や会計上の扱いについては、税理士、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関などに相談しながら進めてください。

出典

  • 東京都創業NET「クラウドファンディング(購入寄付型・株式型)を活用した資金調達支援事業」(購入寄付型と株式型の助成限度額、対象者、事業WEBサイト、問い合わせ先)https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/crowd_fun_ding.html
  • 東京都補助事業「クラウドファンディング(株式型)を活用した資金調達支援」事業サイト(支援メニュー、取扱ECF事業者の紹介、相談窓口、制度に関する問い合わせ先)https://entre-salon.com/ecf/
  • 同「株式型クラウドファンディング助成金について」(助成金の目的、支援対象企業、助成対象経費と対象外の例、1/2補助区分と2/3補助区分、申請要件13項目、年度内1回の制限、申請期限)https://entre-salon.com/ecf/about/
  • 同「助成金申請の流れ」(添付する4つの書類、証明書類一覧、審査と通知、交付決定の取消しと返還)https://entre-salon.com/ecf/flow/
  • 東京都補助事業「クラウドファンディング(購入寄付型・株式型)を活用した資金調達支援」(株式型の資金調達全体の平均額、プロジェクトのイメージ)https://entre-salon.com/tokyo-cf/