セーフティネット保証の認定申請|要件は国が決め、様式と窓口は自治体で変わる。電子申請が使える号も違う

セーフティネット保証の手続きで判断する主体を3段で示したアイキャッチ。1は市区町村が要件に当てはまるかを認定して認定書を交付、2は信用保証協会が保証するかどうかを審査、3は金融機関が融資するかどうかを判断すると並べている

セーフティネット保証を使うには、保証協会より先に市区町村へ行く必要があります。この認定の手続きは、国が要件を決めているのに、申請方法も様式も窓口の運び方も自治体ごとに違います。電子申請が使える号が自治体で分かれていたり、窓口が事前予約制だったり、必要書類が増えていたり。ここでは複数の自治体の公表内容を並べて、どこが共通でどこが違うのかを整理します。

先に結論
  • 認定するのは本店(個人は主たる事業所)の所在地を管轄する市町村長または特別区長です。中小企業信用保険法2条5項に書かれています。
  • 要件は国が決めているのでどの自治体でも同じです。違うのは様式、必要書類の粒度、申請方法、窓口の運び方です。
  • 電子申請は広がっていますが、対応する号が自治体ごとに違います。神戸市は5号のみ、大阪市は5号の「イの1」のみ、横浜市は5号(イ)①②です。
  • 窓口は事前予約制のことが多いです。指定期間の終期が近づくと混みます。
  • 認定は要件に当てはまることの確認で、保証や融資が決まったわけではありません。

認定するのは市区町村長

中小企業信用保険法2条5項は「特定中小企業者」を、各号のいずれかに該当することについて「その住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けたもの」と定義しています。危機関連保証の「特例中小企業者」も、同条6項で同じ認定主体が置かれています。

神戸市は、この認定を次のように説明しています。

中小企業者が、以下1から3のセーフティネット保証等を利用する際には(中小企業者からの申請に基づき)、各保証において定められている認定要件により、経営の安定に支障を生じている「特定中小企業者」である旨の認定が必要です。
神戸市内の中小企業者等への認定は、神戸市長が行い認定書を交付します。

神戸市「市長認定(セーフティネット保証等)」(最終更新日 2026年10月1日。2026年10月6日に確認)

「市長認定」という呼び方をする自治体もあれば、「◯号認定」と号ごとにページを分けている自治体もあります。探すときは制度名ではなく「セーフティネット保証 認定 ◯◯市」で引くのが早いです。

共通するものと、自治体で違うもの

表1 認定申請で共通するもの・自治体で違うもの
項目 扱い
認定要件(売上高の減少率など) 共通。国が定める
認定の主体 共通。本店(個人は主たる事業所)の所在地を管轄する市町村長・特別区長
指定地域・指定業種 共通。国が指定する
申請書の様式 自治体ごとに異なる。変更されることがある
必要書類の粒度 自治体ごとに異なる
電子申請の可否と対象の号 自治体ごとに異なる
窓口の受付時間・予約の要否 自治体ごとに異なる
認定書の有効期間 自治体が定める

要件が共通なのに手続きが違うのは、認定事務を各自治体が担っているためです。他の市の案内を読んで準備すると、様式が合わずに出し直しになります。必ず自社の所在地の自治体のページを見てください。

電子申請はどこまで使えるか

電子申請は広がっていますが、対応の範囲は自治体ごとに違います。3つの市の公表内容を並べます。

表2 電子申請の対応範囲(2026年10月6日に各市のページで確認)
自治体 電子申請の対象 公表されている内容
神戸市 セーフティネット保証5号のみ パソコン等から24時間いつでも申請可能。申請、審査における対面手続きが不要となり、審査完了後に認定書をダウンロードできる
大阪市 5号のうち、営むすべての事業が指定業種に属する「イの1」 令和8年10月より、窓口とあわせて行政オンラインシステムでの認定申請の受付を開始
横浜市 5号(イ)①② 横浜市電子申請・届出システムからアクセス

共通しているのは、対応しているのが5号だけで、しかも兼業ではないケースに限られている点です。兼業の場合は事業ごとの売上を分けた計算が必要になるため、窓口での確認が残っていると読めます。4号はいずれの市でも電子申請の対象に挙げられていませんでした。

神戸市の市長認定(セーフティネット保証等)のページの画面キャプチャ。市長認定とは何かの説明と、セーフティネット保証5号に係る指定業種一覧の公表、市長認定は電子申請でも申請できること、相談窓口は事前予約が必要であることが並んでいる
出典:神戸市「市長認定(セーフティネット保証等)」(www.city.kobe.lg.jp)

国の側でも電子申請の仕組みがあります。中小企業庁は「中小企業者認定・融資電子申請システム(SNポータル)」について、「利用にあたっては、認定主体である市区町村が本電子申請システムの利用を認める場合にのみ、利用可能でございます」としたうえで、利用可能自治体を公表しています。2026年10月6日に確認した時点では令和8年9月30日時点の一覧が掲げられており、北海道士幌町、宮城県仙台市、秋田県秋田市、福島県郡山市、茨城県水戸市、埼玉県上尾市、東京都豊島区、神奈川県逗子市、愛知県名古屋市、大阪府東大阪市、広島県海田町、福岡県久留米市、沖縄県豊見城市などが挙げられていました。

窓口は事前予約が前提になっている

窓口で申請する場合、予約が要る自治体が増えています。横浜市は経済局金融課の受付時間を9:00〜11:00、13:00〜16:00(土日祝日・年末年始を除く)とし、事前予約制としています。神戸市も「市長認定・相談窓口」は事前予約が必要と案内しています。

大阪市は混雑について具体的に書いています。「指定期間の終期までに大阪市へ認定申請を行う必要があります」としたうえで、「指定期間の終期が近づくと、窓口が大変混雑しますので、余裕をもってご予約をお願いします」。

5号の指定業種一覧は四半期ごとに切り替わります。期の終わりに駆け込むと、予約が取れずに期を跨いでしまうことがあります。指定期間が始まった直後に動くほうが、同じ手間でも通りやすくなります。

必要書類は「実態」「計算」「裏づけ」の3種類

自治体によって呼び方は違いますが、求められる書類の性格は3つに整理できます。

認定申請で求められる書類の3つの性格

① 事業の実態を示すもの

法人は履歴事項全部証明書、個人事業主は青色申告決算書や所得税確定申告書第一表など。その市内で事業をしていることを示します。

② 要件の計算を示すもの

売上高計算書。認定基準に対応する期間で売上を並べ、減少率を計算したものです。5号では業種確認表を求める自治体もあります。

③ 計算の裏づけになるもの

月別試算表、法人事業概況説明書、売上台帳など。②の数字がどこから来たのかを示します。

横浜市の4号の案内では、認定申請書(2枚)、事業実態確認資料(履歴事項全部証明書または青色申告決算書)、売上高計算書、挙証資料(月別試算表、売上台帳など)が挙げられています。5号では、法人は発行から3か月以内の履歴事項全部証明書、個人事業主は税務署収受の直近青色申告決算書1ページ目または所得税確定申告書第一表のほか、業種確認・計算書と挙証資料が必須とされています。

「発行から3か月以内」のような期限がついている書類があります。先に取っておいて寝かせると、申請の時点で期限切れになります。

運用は近年で2回変わっている

必要書類と様式は、ここ数年で見直されています。公表されている変更を2つ挙げます。

表3 申請運用の変更(各市のお知らせ欄に掲載されている内容)
時期 自治体 変更の内容
令和6年12月 横浜市(4号) 申請様式および申請方法を変更。売上高計算書および挙証資料(月別試算表、法人事業概況説明書、売上台帳等)の提出が必須に
令和8年10月認定申請分から 大阪市(5号) 申請書の様式を変更。新たに業種確認表の提出が必要に

方向としては、自己申告で済んでいた部分を書面で残す形に寄っています。売上の数字は裏づけ資料とセットで、業種は分類の判定を書面で、という流れです。過去に申請したことがある会社でも、前回と同じ書類では足りないことがあります。

5号の業種は分類検索システムで確かめる

5号で特につまずくのが業種の判定です。神戸市は「指定期間ごとに指定業種が異なりますので、申請前に、現在営んでいる事業内容に指定業種が当てはまるか、分類検索システム(政府統計の総合窓口)で、必ずご確認ください」と案内しています。

大阪市も「ご自身の営む事業が属する業種を、日本標準産業分類(令和5年7月改定)の細分類で確認し、その細分類が、経済産業大臣の指定する業種となっているか確認してください」としています。自社の呼び名ではなく、分類表の定義で当てはめるのが共通した案内です。

申請でつまずく5つの場面

提出前に確かめておくこと

指定の確認が古い

4号の地域指定も5号の業種指定も見直されます。いま掲載されている一覧で確かめ直してください。

様式が前回のまま

横浜市は令和6年12月に、大阪市は令和8年10月認定申請分から様式を変更しています。自治体のページから最新のものを取得してください。

証明書の有効期限が切れている

横浜市の5号では、法人の履歴事項全部証明書は発行から3か月以内とされています。

計算書と裏づけが合わない

売上高計算書の数字と、月別試算表や売上台帳の数字が一致していないと確認が入ります。

予約を取っていない

窓口は事前予約制の自治体が多く、指定期間の終期が近づくと混雑します。

もうひとつ、申請の順序を間違える例があります。認定は市区町村、保証は信用保証協会、融資は金融機関と、判断する主体が3つに分かれています。市区町村の窓口で保証の可否を聞いても答えは返ってきません。逆に、保証協会で認定要件を相談しても、認定するのは市区町村です。同じ説明を3回することにならないよう、どの窓口で何を聞くかを分けておいてください。

認定書を受け取ったあと

認定後にやること

  1. ① 有効期間を確認する認定書の有効期間は認定した自治体が定めています。期間内に次の手続きへ進みます。
  2. ② 金融機関または信用保証協会へ持参する認定書を添えて保証付融資を申し込みます。どちらを先にするかは、取引の状況で決めます。
  3. ③ 保証協会の審査を受ける認定は要件の確認で、保証するかどうかは保証協会が別に判断します。
  4. ④ 保証決定・融資実行保証が決まると信用保証書が金融機関へ交付され、融資が実行されます。

所在地の信用保証協会は、全国信用保証協会連合会の「お近くの信用保証協会一覧」から探せます。同連合会は「信用保証協会名をクリックすると、各信用保証協会のホームページが表示されます。地域ごとにショートカットをご用意しております」としています。

全国信用保証協会連合会のお近くの信用保証協会のページの画面キャプチャ。地域ごとのショートカットボタンと日本地図が表示され、信用保証協会名をクリックすると各協会のホームページが表示される旨が書かれている
出典:全国信用保証協会連合会「お近くの信用保証協会」(www.zenshinhoren.or.jp)

よくある質問

どこに申請しますか。
中小企業信用保険法2条5項は、住所地を管轄する市町村長または特別区長の認定としています。本店(個人は主たる事業所)の所在地の自治体です。
電子申請はできますか。
自治体によります。神戸市はセーフティネット保証5号のみ、大阪市は5号の「イの1」、横浜市は5号(イ)①②を対象としています。中小企業庁のSNポータルは、認定主体である市区町村が利用を認める場合にのみ利用できます。
窓口は予約が必要ですか。
横浜市と神戸市はいずれも事前予約制としています。大阪市は指定期間の終期が近づくと窓口が混雑するとして、余裕をもった予約を案内しています。
どんな書類が要りますか。
横浜市の4号の例では、認定申請書(2枚)、事業実態確認資料、売上高計算書、挙証資料です。自治体ごとに様式と粒度が異なります。
認定書の有効期間はどのくらいですか。
認定した自治体が定めています。期間を過ぎると取り直しになるため、金融機関との話を並行して進めておくほうが確実です。
認定を受ければ融資は決まりますか。
決まりません。認定は要件に当てはまることの確認で、保証の可否は信用保証協会が、融資の可否は金融機関が判断します。
他の市の様式を使ってもよいですか。
使えません。様式は自治体ごとに異なり、変更されることもあります。自社の所在地の自治体のページから最新の様式を取得してください。
4号も電子申請できますか。
今回確認した神戸市・大阪市・横浜市の案内では、電子申請の対象として挙げられていたのは5号のみでした。中小企業庁のSNポータルは号を限定していませんが、利用できるのは認定主体である市区町村が利用を認める場合に限られます。
認定申請書は何枚必要ですか。
横浜市の4号の案内では、認定申請書は2枚必要とされています。枚数と様式は自治体ごとに異なります。
創業したばかりで前年の数字がありません。
4号も5号も、創業者等を対象とした類型が用意されています。比べる相手が前年同期ではなく直前3か月の月平均などになります。横浜市は4号のページに「創業者の方等を対象とした申請について」という項目を設けています。
業種が指定されているかはどこで分かりますか。
神戸市は分類検索システム(政府統計の総合窓口)での確認を案内しています。大阪市は日本標準産業分類(令和5年7月改定)の細分類で確認するよう案内しています。一覧は中小企業庁が公表しています。

この記事の調査方法

認定の主体と定義は、e-Gov法令検索のAPIから取得した中小企業信用保険法(2025年6月13日施行の版)2条の条文で確認しました。手続きの運用は、神戸市「市長認定(セーフティネット保証等)」(最終更新日2026年10月1日)、大阪市「セーフティネット保証5号の認定申請について」(2026年10月1日時点)、横浜市の4号認定・5号認定の各ページを2026年10月6日に表示して確認しました。電子申請システムの利用可能自治体は中小企業庁「セーフティネット保証制度」のページによります。ここに挙げたのは3市の例で、全国の自治体の運用を網羅したものではありません。広告の有無で記載内容や順序を決めていません。

この記事が参照した一次情報

様式、必要書類、受付方法、認定書の有効期間は自治体ごとに異なり、変更されることがあります。ここに挙げたのは3市の例です。認定の可否、保証の可否、融資の可否についての判断は行っていません。実際の申請にあたっては、本店(個人は主たる事業所)の所在地を管轄する市区町村の窓口でご確認ください。個別の事案については、税理士、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関などの専門家にご相談ください。