政府系ベンチャーキャピタルを利用して資金調達をする方法があります。今回は政府系VC「投資育成会社」を利用した資金調達方法について解説します。
政府系VCとは?
1963年に制定された「中小企業投資育成株式会社法」という法律があります。これは資金調達が難しいけれども有望な中小企業に対して、政府系機関が投資業務を行う投資育成会社に関する法律です。つまり、政府系のベンチャーキャピタルということになります。
- 東京中小企業投資育成株式会社
- 名古屋中小企業投資育成株式会社
- 大阪中小企業投資育成株式会社
と主要な都市に設置されていて、近県も含めた中小企業に対して投資を行っています。
投資育成会社もベンチャーキャピタルですので、株式を引き受けてその資金を「資本」として提供する形を取ります。
投資育成会社からの資金調達
対象となる中小企業
- 資本金3億円以下の中小企業
- 公序良俗に反しない企業
株式の引受け
引受株式
- 中小企業の設立に際して発行される株式の引受け
- 中小企業の増資に際して発行される株式の引受け
引受価額
- 1株当たりの予想利益をもとに、会社の将来性を総合的に判断して評価
議決権比率
- 引受け後の議決権比率が50%以内
新株予約権・新株引受権付社債の引受け
新株予約権の行使価額
- 1株当たりの予想利益をもとに、会社の将来性を総合的に判断して評価
利率
- 長期プライムレートを基準
引受け限度
- 新株予約権行使後の議決権比率が50%以内
投資の種類
- 設立7年以内 → 創業期融資
- 設立7年超 → 一般投資
投資育成会社の審査基準
- 経営者、経営管理者のマネジメント能慮億
- 設備、技術の優位性・独自性
- 事業の特徴
- 競合優位性
- 成長性
- 営業・販売力
- 財務健全性
- 収益性
- 事業計画の実現可能性
- その他
投資育成会社利用までの手順
- 相談:事業概況、増資計画の相談。3期分の決算書・株主名簿の提出
- 申込:投資決定に必要な資料の準備(事業計画書・事業経歴書・役員略歴・製品カタログなど
- 役員面談:設立後7年以内の企業
- 審査:上記に挙げた審査基準で審査される
- 投資決定:役員会によって投資家の可否が決定される
- 資金払込み:株式の発行手続きと資金の払込
- プラスリリース:資金払込後、新聞などで公表される
政府系ベンチャーキャピタル「投資育成会社」を利用するメリット
民間ベンチャーキャピタルよりも、公的な視点が重視される
当民間ベンチャーキャピタルの場合は「投資回収ありき」「親会社とのシナジーありき」になってしまいます。
一方で、政府系ベンチャーキャピタルは「中小企業を育成する」という公的なミッションがあるのです。
実際に「投資育成会社」は
- 経営相談
- ビジネスマッチング
- 株式公開支援
- セミナー
- 情報提供
など様々な支援も、出資とともに行う形になります。
民間ベンチャーキャピタルと比較すると政府系ベンチャーキャピタルには
- 審査が通りやすい
- 回収を求められるまでの猶予期間が長い
- 設立前からも利用できる可能性がある
- 経営に口を出されるケースが少ない
というメリットがあるのです。
利用する側としては、民間ベンチャーキャピタルよりも利用しやすい、利用条件が緩いというメリットがあります。
まとめ
「投資育成会社」は、中小企業の育成を目的にした政府系ベンチャーキャピタルです。
出資や回収の仕組みなどは民間ベンチャーキャピタルとそれほど変わりませんが
政府系であるため
- 審査が通りやすい
- 回収を求められるまでの猶予期間が長い
- 設立前からも利用できる可能性がある
- 経営に口を出されるケースが少ない
というメリットがあるのです。中小企業がベンチャーキャピタルから出資を受けて資金調達をする場合には、「投資育成会社」も選択肢の一つに入れて検討することをおすすめします。
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