クラウドファンディングの手数料は、サイトのトップに出ている1つの数字で決まるものではありません。利用手数料、決済手数料、オプション費用という3つの層があり、その下にリターンの原価と送料が控えています。
この記事では、各社が公表している条件から手数料の構造を分解し、手元にいくら残るのかを金額で追います。数値はすべて2026年9月17日に各公式ページで確認したものです。
結論:料率は3つの層に分かれる
- 利用手数料 プラットフォームの取り分。5社では9%から20%の幅にあります
- 決済手数料 カード会社などへの支払い。料率に含む社と、分けて示す社があります
- オプション費用 ページ制作、広告配信、店頭展示など。料率の外に出ます
比較記事に並ぶのは1層目と2層目の合計だけです。3層目は企画ごとに決まるため、表には載りません。実際の負担を知りたければ、3層すべてを足してから考える必要があります。
各社の内訳を並べる
| サイト | 利用手数料 | 決済手数料 | 公表されている合計 |
|---|---|---|---|
| READYFOR(ベーシック) | 9% | 5% | 14%+税 |
| CAMPFIRE(標準) | 12% | 5% | 17%+税 |
| CAMPFIRE(machi-ya) | 20% | 5% | 25%+税 |
| GREEN FUNDING(スタンダード) | 決済手数料4%を含む | 20.0%(税込) | |
| GREEN FUNDING(パートナー) | 決済手数料4%を含む | 13.0%(税込)+初期費用1,430,000円 | |
| Makuake | 決済手数料込みと明記 | 20%(税抜) | |
| Kibidango | 決済手数料の扱いに記載なし | 15%(税別) | |
この表で分かるのは、内訳まで示している社と、合計だけを示している社があるということです。内訳が分かれていれば、決済手段を変えても率が動かないことが読み取れます。合計だけの表示では、そこまで踏み込めません。
Kibidangoの行が空欄なのは、公式の表示に決済手数料の扱いが書かれていないためです。改定前には「楽天Payでの決済のみ14%」という但し書きがあり、決済手段で率が変わる設計だったことは分かります。申し込む前に、15%が内数なのか外数なのかを確かめてください。
税込か税抜かで2ポイント変わる
手数料の表示には、税込のものと税抜のものが混ざっています。GREEN FUNDINGの料金カードは20.0%という税込の数字を大きく置き、その下に税抜換算18.2%を小さく添える形です。Makuakeの20%は税抜なので、税込に直すと22%になります。
どちらも見出しの数字は「20%」ですが、支援総額1,000万円に対する負担は200,000円違います。比較表を根拠に選ぶときは、まず全社の表示を同じ土俵に置き直してください。
手数料より重いのはリターンの原価
冒頭の図は、支援総額100万円がどう目減りするかを追ったものです。税込18.7%のプラットフォームで、原価率40%、1個あたり送料600円、200個という条件を置きました。原価率と送料は読者が自分の数字に置き換えるために当サイトが仮定した値で、公式の数値ではありません。
| 差し引く項目 | 金額 | 支援総額に占める割合 |
|---|---|---|
| プラットフォームの手数料 | 187,000円 | 18.7% |
| リターンの原価 | 400,000円 | 40.0% |
| 梱包・配送 | 120,000円 | 12.0% |
| 残る額 | 293,000円 | 29.3% |
ここで分かるのは、手数料を数ポイント下げるより、原価率を数ポイント下げるほうが効くということです。原価率が40%から35%に下がれば、手元に残る額は5万円増えます。料率差でこれだけ動かそうとすると、5ポイント下のプラットフォームを探す必要があります。
もちろん原価を削れば商品の価値も下がります。言いたいのは、料率だけを比べる前に、自分の企画の原価構造を数字にしておくべきだということです。
表に出ない費用がある
| 費用 | 公表されている内容 |
|---|---|
| GREEN FUNDINGの初期費用 | パートナープランは1,430,000円(税込)。初回起案時のみ |
| READYFORの上乗せ手数料 | サポート・コンサルティングの両プランで発生。率は問い合わせと案内 |
| Kibidangoの有料オプション | クリエイティブ制作、プロモーション、ページ作成の代行 |
| CAMPFIREの追加サポート | 申し込んだ場合はプロジェクト終了前に費用が発生する場合があると注記 |
| Makuakeの範囲外費用 | ページ制作と広告配信は手数料の範囲外 |
いずれも料率の表には現れません。とくに自分でページを作れない場合、制作の委託費が総コストを大きく動かします。料率が1ポイント低いサイトを選んでも、制作費が数十万円かかれば逆転します。
費用を抑えたいなら、どこまで自分でやれるかを先に決めるのが早道です。文章と写真を自前で用意できるなら、標準の料率だけで済ませられます。
料率は改定される

Kibidangoは2025年7月1日に、利用手数料を10%(税別)から15%(税別)へ改定しました。告知に書かれている理由は、サービス利用料などコストが高騰したことへの対応です。適用範囲はクラウドファンディングの支援金額とショッピングの販売金額の両方とされています。
この告知が示すのは、比較記事の数字には賞味期限があるということです。改定前の10%を載せたままの解説は今も残っています。1年前に調べた数字で資金計画を立てると、支援総額1,000万円の企画で55万円ずれます。
加えて、料率が動く要因は改定だけではありません。CAMPFIREの公式ヘルプには、別途合意がある場合は合意が優先すること、手数料を減額するキャンペーンが実施される場合があることが書かれています。GREEN FUNDINGの料金カードにも「プロジェクトによって変更有り」という注記があります。
誰が手数料を払うかを選べる場合がある
手数料は起案者が負担するものとは限りません。CAMPFIREには、支援者が負担する枠が用意されています。
- 非営利団体向け 起案者0%、支援者12%+税。対象は非営利団体・任意団体・NGO
- CAMPFIRE for Entertainment 利用0〜12%、決済0〜5%を1%単位で設定し、起案者と支援者の配分を決められる
- CAMPFIRE for Social Good 利用7%・決済5%を全額「ご協力費」として支援者が負担する仕組み
いずれの場合も、CAMPFIREが受け取る額そのものは動きません。動くのは負担する主体と、支援者の画面に出る支払額です。3,000円のリターンなら、支援者負担の枠では3,360円を払う計算になります。
支援の動機が返礼品ではなく活動への共感にある企画なら、この設計は成立します。逆に価格が購入の判断材料になる商品では、起案者が負担するほうが集まりやすくなります。
手数料を助成で賄える可能性
Kibidangoの公式ページには、クラウドファンディング活用助成金も取り扱うという記載があります。東京都や日本政策金融公庫などの連携支援策として、実施に伴う手数料や広告費用などを対象にした助成の制度がある、という説明です。
ただし公式自身が、対象となる条件や補助率・助成上限等の最新の制度内容は時期や年度により変更となる場合があるため担当者に相談するよう促しています。制度名も金額も書かれていません。
手数料そのものが助成の対象になり得るのであれば、実質の負担は表示の料率より下がります。料率を1ポイント削る交渉より、使える制度を調べるほうが効くこともあります。
安い料率と早い入金は両立しない
料率だけを追うと見落とすのが、資金が手元に届く時期です。今回確認した範囲では、税込の料率が最も低いREADYFORの入金が最も遅く、通常は支援募集終了日の翌々月10日でした。
| サイト | 税込の料率 | 入金の定義 |
|---|---|---|
| READYFOR(ベーシック) | 15.4% | 終了日の翌々月10日(早期振込オプションあり) |
| GREEN FUNDING(スタンダード) | 20.0% | 終了日が属する月の翌月末日 |
| Makuake | 22.0% | 終了した月の月末締め・翌月25日 |
製造や仕入れの支払いが先に来る企画では、この差が資金繰りを直撃します。1か月早く入るなら、その間のつなぎ資金を借りずに済むかもしれません。借入の利息と料率の差を比べれば、どちらが得かは計算できます。
READYFORには早期振込オプションがあり、選ぶと支援募集終了日の翌週第3営業日に振り込まれるとされています。ただしその費用は公式ページに書かれていないため、前提にするなら金額を確認してからにしてください。
「業界最低水準」という表現をどう読むか
手数料のページには、自社の料率を業界最低水準だとする表現がしばしば出てきます。Kibidangoは15%(税別)について、業界最低水準の手数料は多くの夢を実現し、継続してKibidangoでビジネスをしてもらいたいという想いだと説明しています。
この種の表現を評価するには、比較の範囲を確かめる必要があります。税込か税抜か、上位プランを含むのか、決済手数料を含むのか。条件を揃えずに並べれば、どの社も自社を安く見せられます。
- 税の扱いを揃える 税込に直してから並べる
- プランを揃える 最低料率のプランどうしで比べる
- 決済手数料を揃える 内数か外数かを確かめる
- 時点を揃える 改定されていないか、公式の現在の表示を見る
この4つを揃えて初めて、順位に意味が出ます。今回5社を揃えて並べたところ、税込ベースでは15.4%から22.0%の範囲に収まりました。
ショッピング機能にも料率がかかることがある
手数料の適用範囲にも差があります。Kibidangoの改定告知は、適用範囲としてクラウドファンディングの支援金額に加えて、ショッピングの販売金額を挙げています。募集が終わったあとの継続販売にも同じ料率がかかるという意味です。
終了後も同じ場で売り続ける前提なら、この点は無視できません。募集期間中の手数料だけを見て安いと判断すると、継続販売に移ってから負担が積み上がります。
逆に、単発の企画で終える予定なら、この機能に料率を払う場面は来ません。自社のECへ移すのか、そのまま置いておくのかを先に決めておくと、比較の軸がはっきりします。
目標金額に手数料を織り込む
手数料は支援総額から差し引かれます。必要な額をそのまま目標にすると、達成しても足りません。手元に残したい額から逆算した支援総額は次のとおりです。
| 手元に残したい額 | 税込15.4%のとき | 税込18.7%のとき | 税込22.0%のとき |
|---|---|---|---|
| 500,000円 | 591,000円 | 615,000円 | 641,000円 |
| 1,000,000円 | 1,182,000円 | 1,230,000円 | 1,282,000円 |
| 3,000,000円 | 3,546,000円 | 3,690,000円 | 3,846,000円 |
| 5,000,000円 | 5,910,000円 | 6,150,000円 | 6,410,000円 |
各料率で「1−料率」を割り戻し、千円未満を整理した当サイトの試算です。リターンの原価と配送費はここに含まれていません。実際の目標金額はさらに上になります。
目標を高く置けばオールオアナッシングでは不成立のリスクが上がります。最低限の額で立てて、達成後に第2の目標を掲げる進め方のほうが、手数料を織り込みながらリスクも抑えられます。
支援者の側にかかる費用
購入型では、支援者が払うのはリターンの価格だけというのが基本です。ただし例外があり、CAMPFIREのSocial Goodや非営利団体向けの枠では、支援者が「ご協力費」として手数料を負担します。
起案する側から見れば、この設計は集まりやすさに影響します。表示価格が同じでも、支援者の支払額が1割以上増えるからです。支援のハードルが上がる方向に働くことは織り込んでおいてください。
決済手段によっても支援者側の体験は変わります。GREEN FUNDINGはVポイントでの支援に対応し、Kibidangoは楽天ペイを挙げています。CAMPFIREは10種類以上の決済手段を用意していると案内しています。手数料の議論とは別ですが、取りこぼしを減らす要素として比較の材料になります。
プランを上げる判断はどうするか
READYFORのサポート・コンサルティング、Kibidangoの有料オプション、GREEN FUNDINGのレビュー動画制作。いずれも料率や費用が上がるかわりに、支援を集めるための作業を代わりにやってもらう仕組みです。
判断の立て方は単純です。上乗せされる費用を金額に直し、それによって増えると見込む支援額と比べます。支援総額100万円の企画で手数料が3ポイント上がれば3万円。その3万円で支援が10万円増えるなら合理的です。
- 自分でできない部分を買う 写真も文章も用意できないなら、制作の委託は投資になります
- 効果が読めない部分は後回し 広告の運用は、支援が伸び始めてから足すこともできます
- 費用の総額を先に聞く 率で示される場合、集まるほど費用も増えます
クラウドファンディングの費用は、集まった額に連動する部分が大きいのが特徴です。固定費として払う初期費用と、率で払う手数料のどちらが自分の見込みに合うかを、金額に直して比べてください。
手数料の議論に入る前に決めておくこと
- 手元にいくら必要か この額が決まらないと、目標金額も料率の重みも決まりません
- リターンの原価率 手数料より重い費目になることが多く、設計の余地も大きい部分です
- いつ資金が必要か 入金の時期が合わなければ、料率が低くても選べません
- 自分でどこまでやるか 委託する範囲が決まれば、オプション費用の見積もりが取れます
この4つが決まっていれば、各社へ問い合わせたときに具体的な見積もりが返ってきます。逆に決まっていない状態で料率だけを聞いて回っても、比較の土台が揃いません。
原価率の置き方はクラウドファンディングのリターン設計、費用以外の落とし穴はクラウドファンディングのデメリットとリスクにまとめています。
この記事で確認できなかったこと
- Kibidangoの15%に決済手数料が含まれるかどうか。公式の表示には記載がありません
- READYFORのサポート手数料・コンサルティング手数料の率。問い合わせと案内されています
- 各社のページ制作代行やプロモーション代行の料金
- クラウドファンディング活用助成金の制度名、補助率、上限額
- 減額キャンペーンの実施頻度と適用条件
いずれも総コストに直結します。金額を伴う判断の前に、各社の窓口で直接確かめてください。
よくある質問
いちばん手数料が安いのはどこですか。
今回確認した範囲では、READYFORのベーシックプランが税込15.4%で最も低くなります。ただしプランの利用には審査があります。
決済手数料は別にかかりますか。
READYFORとCAMPFIREは内訳として明示し、GREEN FUNDINGとMakuakeは料率に含むと記載しています。Kibidangoは記載が見当たりませんでした。
掲載しただけで費用はかかりますか。
今回確認した5社はいずれも掲載自体を無料としています。手数料は成立した場合にのみ発生します。
手数料を安くする方法はありますか。
CAMPFIREは別途合意や減額キャンペーンがあると明記しています。GREEN FUNDINGは初期費用を払って料率を下げるプランを用意しています。
サイト選びはどう進めればよいですか。
料率だけでなく入金時期と方式も含めて比べてください。クラウドファンディングサイト比較5社|手数料を税込で並べ直し、入金時期と方式で選ぶに整理しています。
参照した一次情報
- きびだんご株式会社「【重要なお知らせ】利用手数料改定のお知らせ」https://kawaraban.kibidango.com/?p=25068(2025年6月9日付、2026年9月17日表示)
- READYFOR株式会社「クラウドファンディング掲載希望の方へ」https://cf.readyfor.jp/proposals(2026年9月17日表示)
- 株式会社CAMPFIRE「CAMPFIRE掲載時の手数料」https://help.camp-fire.jp/hc/ja/articles/115013873328(2026年9月17日表示)
- 株式会社ワンモア「About GREEN FUNDING」https://greenfunding.jp/about(2026年9月17日表示)
- 株式会社マクアケ「手数料」https://lp-mk-2.makuake.com/system-commission(2026年9月17日表示)
料率は改定されます。申し込む前に、上のリンク先で現在の記載を確かめてください。クラウドファンディングの仕組み全体はクラウドファンディングによる資金調達とはにまとめています。



