ユニコーン(Unicorn)で資金調達する条件|審査は予備・本審査の二段階、投資家の金融資産は200万円以上

ユニコーンの投資家の金融資産基準と会員登録の範囲、情報公開期間を3つ並べたアイキャッチ

株式会社ユニコーンが運営する「Unicorn」は、株式投資型クラウドファンディングの取扱業者5社のひとつです。発行者向けの手数料は公開ページからは読み取れませんでしたが、取扱要領と取引約款には、投資家側の条件、審査の進め方、募集の運び方が具体的に書かれています。発行者の側から見ると、この投資家側の条件こそが「何人に届くか」を決める材料になります。

このページの要点

投資家の取引開始基準は保有する金融資産が200万円以上。他社が300万円以上としているのに対して、確認できた5社のなかでは最も低い水準です。

ただし会員登録は個人に限り、法人の会員登録はできません。法人投資家を受け入れている会社とは、届く相手の層が変わります。

審査は予備審査と本審査の二段階で、本審査では経営者面談と企業訪問が行われます。申込受付開始前に1週間以上の情報公開期間が設けられます。

ユニコーンを運営しているのはどこか

運営は株式会社ユニコーンです。日本証券業協会が公表する取扱業者の一覧では、加入日が2019年2月1日と記載されています。会社概要では、設立が2015年12月28日、所在地が東京都千代田区永田町、資本金が5億8,475万円(資本準備金を含む)とされています。

事業内容として挙げられているのは、株式投資型クラウドファンディング、クラウドファンディングサポート、アウトソーシングサービス、セミナーの企画・運営の4つです。代表取締役 最高経営責任者兼最高執行責任者は安田次郎氏で、会社概要には同氏が国際証券、クレディ・スイス、リーマン・ブラザーズ、野村證券で株式資本市場の業務に従事した経歴が記載されています。

ユニコーンのサービス概要ページで株式投資型クラウドファンディングUnicornの運営について説明されている画面
株式会社ユニコーン「サービス概要」。株式投資型クラウドファンディングの運営に加えて、定期的なIRや株主優待等により中長期的な企業のサポーターを作り出すと説明されている。

調達できるのは年間1億円未満

取扱要領は、発行会社の調達金額が法令で定められた少額要件(年間1億円未満)に適合していなければ、その株式を株式投資型クラウドファンディングの対象として取り扱わない、と定めています。少額要件を満たすことは、発行会社からの提出書類、発行会社の申告、募集取扱い契約上の表明保証の3つで確認されます。

ユニコーンの取扱要領で審査手続の二段階と少額要件の年間1億円未満が記載されている画面
株式会社ユニコーン「株式投資型クラウドファンディング業務に関する取扱要領」の2ページ目。審査手続が予備審査と本審査の二段階であること、少額要件が年間1億円未満であることが書かれている。

審査は予備審査と本審査の二段階

取扱要領は、審査手続を予備審査と本審査の二段階に分けています。段階ごとに提出する書類と、行われることが違います。

表1 ユニコーンの審査手続(取扱要領の記載)
段階 提出する書類 行われること
予備審査 会社概要書、事業計画書等 提出書類の書類審査
本審査 決算・税務関係書類、登記簿謄本等 書類審査に加えて、経営者面談および企業訪問
共通 — 必要に応じて外部専門家(税理士、弁護士等)と協力して行う

企業訪問が明記されている点は、他社の文書と比べたときの特徴です。書類とオンライン面談だけで完結する前提ではなく、現地を見る手続きが要領に書かれています。スケジュールを組むときは、訪問の日程調整が入ることを想定しておくほうが現実的です。

審査項目は10項目が別文書で公表されている

ユニコーンは、審査項目を「株式投資型クラウドファンディング業務にかかる審査項目」という独立した1枚の文書で公表しています。取扱要領にも同じ10項目が載っています。

ユニコーンが公表する株式投資型クラウドファンディング業務にかかる審査項目の文書で10項目と留意事項が記載されている画面
株式会社ユニコーン「株式投資型クラウドファンディング業務にかかる審査項目」。10項目の下に、スタートアップ企業等では事業計画の不確実性が極めて高いこと、審査が事業計画の将来にわたる合理性を保証するものではないことが注記されている。

この文書の末尾にある2つの留意事項は、発行者が募集ページを作るときにも効いてきます。審査を通ったことが事業の成功を意味しないと取扱業者自身が明記している以上、投資家に向けた説明も「審査に通った」ではなく、事業の中身で語る必要があります。

なお、取扱要領の末尾には作成日と改正日が記載されており、平成30年2月1日作成、令和元年7月3日改正、令和2年4月1日改正、令和2年6月23日改正となっています。条件を確認するときは、同社のページで最新版かどうかを見てから読んでください。

審査の記録は10年、募集情報は5年保存される

取扱要領は、審査を行ったすべての案件について、審査の内容、審査結果の判断に至る理由、審査過程において把握した問題点等の記録を作成し、原則として電磁的方法により、審査終了日から10年間保存するとしています。

一方、ポータルサイトに表示した発行会社および募集に関する情報は、作成日から5年間、電磁的な方法により保存されます。記録の保存期間が審査と募集情報で分かれている点は、他社の文書ではあまり明示されていません。

ポータルサイトには「審査結果」も表示される

取扱要領は、募集の取扱いを行うにあたってポータルサイトに表示する情報を7種類挙げています。発行会社の基本情報(プロジェクトの概要)、募集要項、会社情報、事業計画、リスク情報、審査結果、契約締結前交付書面です。

図1 ポータルサイトでの表示は払込日の前後で変わる

情報公開から払込日まで

7種類すべてを各案件ページに表示する。

そのうえで、申込受付開始前に1週間以上の情報公開期間を設けると定められている。

払込日のあと

基本情報、会社情報、リスク情報の3つだけを表示する。

募集要項、事業計画、審査結果、契約締結前交付書面は表示されなくなる。

申込みをした会員

契約締結前交付書面は、募集案件への申込み完了後、その会員のマイページにも表示される。

申込受付開始前に1週間以上の情報公開期間を置くという定めは、発行者にとっては準備のスケジュールに直結します。募集ページの内容を確定させる締切が、申込受付開始の1週間以上前に来るということです。

投資家の条件は5社のなかで最も低い

取扱要領は、投資者の適合性審査の取引開始基準を6つ挙げています。年齢が20歳以上75歳未満であること(会員登録後に時間の経過により75歳以上となった場合は取引できない)、保有する金融資産が200万円以上であること、リスク性の金融商品に対して1年以上の投資経験があること、損失リスクの知識があること、投資資金が余裕資金であること、日本国内に居住していることです。

表2 投資家に求められる金融資産の額(各社の取扱要領・取引約款の記載)
会社 金融資産の基準 法人の登録
ユニコーン 200万円以上 会員登録は個人に限り、法人の会員登録はできない
FUNDINNO 株式は300万円以上/新株予約権は500万円以上(金融資産500万円未満の場合は300万円以上かつ年収500万円以上) 国内法人投資家の基準あり
イークラウド 300万円以上 法人投資家の基準あり
CF Angels 300万円以上 公開ページでは法人の可否を確認できなかった

金融資産の基準が低いことは、申し込める人の裾野が広いことを意味します。一方で法人が会員になれないため、事業会社からの小口の資本参加をこの窓口で受けることはできません。どちらが有利かは、狙う株主像によって変わります。投資家側の基準を5社で並べた表は株式投資型クラウドファンディング5社比較にあります。

会員登録で投資家が入力する内容

取扱要領は、会員登録の画面で投資者が入力・確認する事項を細かく列挙しています。氏名、性別、住所、生年月日、メールアドレス、電話番号、職業に加えて、居住地国、外国PEPs該当者か否か、FATCA該当者か否かの入力と確認があります。

さらに、反社会的勢力でないことの確約、取引約款等の確認と同意、取引銀行口座情報の入力、適合性を確認するための取引情報(年収、資産の状況、取引の動機、投資目的、投資経験、投資知識、購入資金は余裕資金であること、日本語でのやり取りが可能であること)の入力、リスク・注意事項の確認が求められます。

本人確認書類は、現住所が記載されている書類を2種類アップロードする形で、運転免許証、パスポート、個人番号カード、写真付き住民基本台帳カード、在留カード、特別永住者証明書、住民票の写し、健康保険証、印鑑登録証明書が挙げられています。登録の手続きが軽いわけではない点は、募集開始から申込みまでの立ち上がりを見積もるときに意識しておきたいところです。

投資家に情報が届く経路は2つだけ

取扱要領は、株式投資型クラウドファンディング業務を行うにあたって、同社が運営するポータルサイトを閲覧する方法と、その方法にあわせて電子メールを送信する方法によってのみ投資勧誘を行い、それ以外の方法(電話、訪問等)により投資勧誘を行うことはない、と明記しています。

電子メールを送る場面も3つに分けて定められています。申込受付開始前は、募集に関する情報の案内やお知らせなど。申込受付期間中は、申込後の入金が確認できない場合の入金依頼など。申込受付期間後は、案件成否の連絡や契約締結時交付書面等の交付に関する連絡です。

図3 発行者から見た「投資家に届く手段」の内訳

届く

  • ポータルサイトの案件ページ
  • 会員への電子メール(3つの場面に限定)

募集ページの出来がそのまま結果に効く構造になっている。

届かない

  • 電話による勧誘
  • 訪問による勧誘
  • 営業担当による個別の推奨

取扱業者側から投資家を個別に口説く動きは制度上ない。

だから準備すること

  • 事業計画とリスク情報を読み物として成立させる
  • 情報公開期間の1週間を告知に使う
  • 自社の既存の接点から募集ページへ誘導する

反社会的勢力の排除は募集後も続く

取扱要領は、反社会的勢力に関する情報を積極的に収集・分析し、一元的に管理したデータベースを構築して適切に更新するとしたうえで、発行会社との間で書面による契約を締結するとしています。契約には、発行会社が反社会的勢力でない旨の確約、その確約が虚偽であると認められた場合に募集の取扱業務に係る契約が解除されること、発行会社が反社会的勢力に該当すると認められた場合に契約が解除されることが盛り込まれます。

そのうえで、募集の取扱いを開始する前に該当が判明した場合は募集の取扱いを行わず、開始した後に判明した場合は直ちに中止するとしています。さらに、募集の終了後に判明した場合には「当局に相談のうえ、当該発行会社との関係解消に努めます」と書かれています。募集が終わったあとも、この確認が終わらない関係であることが要領に明示されています。

キャンセル待ちの仕組みがある

取扱要領には、他社の文書では見かけない「キャンセル待ちの取扱い」という項目があります。申込金額の総額が目標募集額を超えて上限募集額に到達した場合、その時点以降、申込期間の最終日までキャンセル待ちの申込みを受け付けるという仕組みです。

図2 キャンセル待ちの運び方(取扱要領の記載)

  1. ①受付の開始 申込金額の総額が上限募集額に到達した時点以降、申込期間の最終日までキャンセル待ちの申込みを受け付ける。
  2. ②希望株数の入力 各募集案件の申込みページから、希望申込株数の入力、確認書および契約締結前交付書面の確認、反社会的勢力に該当しないことの確認を行う。
  3. ③撤回の発生 先に申し込んだ会員から申込みの撤回等があった場合に、キャンセル待ちの会員へ割り当てが回る。
  4. ④先着順で確定 申込株数は先着順で確定する。希望申込株数の範囲内で確定するため、希望に満たないことがある。
  5. ⑤入金と撤回 3営業日以内に入金がなければ失効する。キャンセル待ちの申込みも、申込日から起算して8日以内であればマイページの申込撤回ボタンで撤回できる。

発行者から見ると、上限募集額に到達したあとに申込みが止まるのではなく、撤回に備えた待機列ができるということです。8日間の撤回期間で申込総額が目減りするリスクを、仕組みとして埋めにいっている設計といえます。

入金と撤回のルール

投資家の入金は、申込完了日から起算して3営業日以内です。3営業日以内に入金が確認されない場合、申込みは失効の扱いとなります。ただし失効となった場合でも、申込期間中であれば再度の申込みが可能です。

申込みの撤回または発行会社との間の契約の解除は、申込日から起算して8日以内に行えます。返金が生じる場合、取扱要領は振込手数料を同社が負担すると書いています。目標募集額に達しなかった場合などに申込金を返金するときも同様です。

募集を中止する事由も公表されている

取扱要領は、募集の取扱いを中止する事由を列挙しています。法令等に違反する等の事由により業務管理体制の改善等を求められた場合、業務執行不能な状態に陥った場合、発行会社の事由により株式の募集を取りやめることとした場合、その他投資者保護の観点から中止が適当と判断した場合などです。中止する場合は、ポータルサイトのトップページで公表されます。

また、募集の取扱いを開始した後に発行会社の状況が審査時と異なること、または変化したことが判明し、審査の判断を変更しなければならないと判断した場合には、その変更内容をポータルサイトに開示するとしています。募集期間中に会社の状況が変わった場合、それが公開される前提になっているということです。

調達後に投資家へ届く情報

取引約款の第17条は、募集終了後における発行会社の情報の定期的な提供を定めています。発行会社についての半期ごとの決算状況、四半期ごとの増資資金の使途状況(同社が取り扱った株式投資型クラウドファンディングに係る増資資金に限る)、および事業の状況を、その発行会社の株式を取得した会員のマイページに掲載するという内容です。

同じ条文は、これらの情報が発行者からの情報提供に全面的に依拠しており、情報提供による責は発行会社が負い、同社は一切の責を負わないとも書いています。半期ごとの決算状況と四半期ごとの資金使途を出し続ける体制が、調達後の発行者に求められるということです。

取扱要領には、募集の取扱いを行った発行者に対して、発行者の同意により、事業計画の進捗等に関する必要な指導や支援を行うという項目もあります。

発行者が払う費用は公開ページで確認できなかった

発行者が負担する審査料や成約手数料について、同社の取扱要領、取引約款、審査項目の文書、コーポレートサイトを確認しましたが、金額や料率の記載は見つけられませんでした。このページでは、確認できなかったものを他社の水準から推測して書くことはしていません。

条件を知るには、同社に直接問い合わせる必要があります。問い合わせ窓口は、取扱要領にポータルサイト上の問い合わせ窓口またはメールと書かれています。

先に金額から絞り込みたいのであれば、取引約款に料率を書いている3社から当たってください。CF Angelsで資金調達する条件とイークラウドで資金調達する条件で、それぞれの条文を整理しています。

よくある質問

ユニコーンの手数料はいくらですか。
発行者が払う手数料について、公開されている取扱要領、取引約款、審査項目の文書、コーポレートサイトのいずれにも記載を確認できませんでした。金額を知るには同社に問い合わせる必要があります。
法人の投資家から出資を受けられますか。
この窓口では受けられません。取扱要領は「会員登録は個人に限り、法人の会員登録はできません」と明記しています。法人からの出資は別の手段を検討することになります。
審査では企業訪問がありますか。
あります。取扱要領は、本審査について、決算・税務関係書類や登記簿謄本等の書類審査を行うとともに、経営者面談および企業訪問を行うとしています。
募集ページはいつまでに完成させればよいですか。
取扱要領は、申込受付開始前に1週間以上の情報公開期間を設けると定めています。申込受付開始の1週間以上前には、ポータルサイトに表示する情報が確定している必要があります。
上限募集額に達したら募集は終わりますか。
申込みの受付は上限募集額で止まりますが、その時点以降、申込期間の最終日までキャンセル待ちの申込みが受け付けられます。先に申し込んだ会員から撤回があった場合、先着順でキャンセル待ちの会員に株数が確定します。
調達後に出す情報は何ですか。
取引約款第17条は、半期ごとの決算状況、四半期ごとの増資資金の使途状況、事業の状況を、株式を取得した会員のマイページに掲載するとしています。情報は発行者からの提供に依拠するとされており、提供の責任は発行会社が負います。

まとめ

ユニコーンの公開文書から読み取れる特徴は、投資家側の入り口が広いことと、審査と募集の手続きが細かく決められていることの2点です。金融資産200万円以上という基準は確認できた範囲で最も低く、キャンセル待ちや1週間以上の情報公開期間といった仕組みも要領に書かれています。

一方で、法人の会員登録ができないこと、そして発行者が払う費用が公開ページからは分からないことは、検討の初期に押さえておくべき点です。費用を先に比べたいのであれば、料率を公表している3社から当たるほうが早く進みます。クラウドファンディング4類型のなかでの位置づけはクラウドファンディングによる資金調達とはで説明しています。

このページの内容は、株式会社ユニコーンが公開している取扱要領、取引約款、審査項目の文書、コーポレートサイトの記載に基づいています。取扱要領には改正日が記載されているため、申し込む前に同社のページで最新版を確認してください。

株式投資型クラウドファンディングで発行される株式は取引所に上場しておらず、流通取引を前提としていません。キャンセル待ちを含む募集の組み立て方や、調達後に続く情報提供の体制については、顧問の専門家や認定経営革新等支援機関と相談しながら決めてください。

出典