クラウドファンディングに成功すると会社に入金があります。つまり資金調達できます。
会社を存続させ、事業を伸長させるための資金調達は望ましいことです。
しかし同時に、金銭の移動があるため、会計処理や税務処理が必要となります。
ところで、クラウドファンディングには4つの類型があります。
会計処理はこの4つの類型ごとに異なるため、まずはそれぞれの類型を見ていきましょう。そして、それぞれの類型ごとの会計処理、税務処理についてみていきましょう。
クラウドファンディングの類型
クラウドファンディングには4つの類型があります。
- 寄付型
- 購入型
- 貸付型
- 出資型
寄付型
寄付型のクラウドファンディングは
資金調達する会社から見ると、資金を受け取る対価が経済的に価値のないもの、あるいは著しく経済的に価値の低いもの、という場合です。
購入型
購入型のクラウドファンディングは
資金調達する会社から見ると、資金を受け取る対価が会社の商品である、という場合です。つまり、会社の通常の販売と似ています。違いは一度に、多くの人に売れることです。
貸付型
貸付型のクラウドファンディングは
資金調達する会社から見ると借入を行ったことになります。銀行などからの借入と同様に、元本と利息を支払うことになります。
出資型
出資型のクラウドファンディングは
資金調達する会社から見ると、第三者割当増資を行ったことになります。エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)から増資を受けた場合と同様、払い込みを受けたお金に対して、返済の義務を負いません。一方で、利益配当を行う場合には、出資割合に応じて、既存の株主と平等に支払う必要があります。
4つの類型の会計・税務 早見表
同じ「クラウドファンディングでお金が入った」でも、どの科目で受けるかは類型ごとに違います。先に全体を並べておきます。
| 類型 | 集めた資金の会計科目 | 載る場所 | リターンの費用 |
|---|---|---|---|
| 寄付型 | 受贈益 | 損益計算書の特別利益 | 販売費及び一般管理費 |
| 購入型 | 売上金(決算期をまたぐときは前受金) | 損益計算書の売上高 | 売上原価 |
| 貸付型 | 借入金(短期借入金または長期借入金) | 貸借対照表の負債 | 支払利息(営業外費用)。元本の返済は損益計算書に出ない |
| 出資型 | 資本金・資本準備金 | 貸借対照表の純資産 | 株式交付費。費用計上または繰延資産として3年以内に償却 |
法人税のうえでは、法人税法第22条第2項が「資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のもの」の収益を益金に算入すると定めています。同条第5項は資本等取引を「法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引」などと定義しています。寄付型で受け取る資金が「無償による資産の譲受け」として益金になり、出資型の払い込みが益金にならないのは、この切り分けによるものです(出典:e-Gov法令検索「法人税法第22条」)。
| 類型 | 法人税(益金になるか) | 理由 |
|---|---|---|
| 寄付型 | 益金になる | 無償による資産の譲受けにあたる |
| 購入型 | 益金になる | 資産の販売にあたる |
| 貸付型 | 益金にならない | 借入は収益ではない。支払利息だけが損金になる |
| 出資型 | 益金にならない | 資本金等の額を増やす資本等取引にあたる |
クラウドファンディングの会計処理と税務処理
クラウドファンディングでは資金や在庫の移動があるため、金銭や在庫に変動が生じた時に「会計処理」が必要となります。
寄付型
寄付型のクラウドファンディングを行った場合、会計・税務処理が必要となるのは次の3つの出入金です。
- 支援者から払い込まれた寄付の金額
- サイト運営者へ差し引かれる手数料
- お礼として渡すリターンを用意する費用
クラウドファンディングで集めた金額
寄付型のクラウドファンディングで資金を調達した場合、寄付を受けた全額を「受贈益」として会計処理します。
その結果、損益計算書では特別利益の項目に記載されることになります。
実際にはクラウドファンディングサイトの運営会社から、手数料を除いた金額が入金されてきます。しかし、その実際の入金額ではなく、資金提供者が提供した資金の全額が受贈益となります。
手数料
手数料は、「実際に支払った金額」(つまり募集して集めた金額と実際に手元に受け取った金額との差額)を経費として会計処理します。損益計算書では販売費及び一般管理費に入ります。
リターンのための費用
寄付型では、クラウドファンディングで提供を受けた金額には見合わないものの、リターンを設定しているケースがあります。その「リターンを提供するのに使った費用」は会計上は手数料と同じく経費として会計処理します。置かれる場所も手数料と同じ販売費及び一般管理費です。
よく見られる「お礼の手紙」をリターンとして設定した場合を例に考えてみます。
お礼の手紙をリターンとして資金提供者に渡すためには、次の費用がかかります。
- 作成する費用(デザインや印刷を外注するのであればその費用、紙代)
- 郵送する費用(切手代)
これらの費用が経費として処理されるということです。
購入型
購入型のクラウドファンディングで会計・税務処理が必要となるのは次の3つです。
- 支援者から払い込まれた商品の代金
- サイト運営者へ差し引かれる手数料
- 商品を用意して届けるまでにかかる費用
クラウドファンディングで集めた金額
購入型のクラウドファンディングで資金を調達した場合、受領した金額は「売上金」として会計処理します。
その結果、損益計算書では売上高の項目に記載されることになります。
実際にはクラウドファンディングサイトの運営会社から、手数料を除いた金額が入金されてきます。しかし、その実際の入金額ではなく、資金提供者が提供した資金の全額が売上高となります。
前受金として処理した場合には、会計方針として売上を計上すべきときに前受金を売上に振り替えます。
手数料
手数料の会計処理、税務処理は寄付型の場合と同様です。
手数料は、実際に支払った金額(つまり募集して集めた金額と実際に手元に受け取った金額との差額)を経費として会計処理し、販売費及び一般管理費に入ります。
リターンの費用
購入型では、リターンがモノ(商品)となります。会計処理の考え方としては通販を行った場合と同じになります。
そのためリターンは「売上原価」として会計処理されます。既に在庫として商品を持っている(会計上は貯蔵品として処理されている)はずなので、その貯蔵品を売上原価に振り替える処理を行います。
その結果、損益計算書では売上原価の項目に記載されることになります。
付随する費用、商品の梱包にかかる費用、発送にかかる費用などは商品を販売した際と同じ処理を行い原価と一般販売管理に振り分けられます。
貸付型
貸付型のクラウドファンディングで会計・税務処理が必要となるのは次の3つの出入金です。
- 借り入れた元本
- サイト運営者へ差し引かれる手数料
- 投資家へ返す元本と利息
クラウドファンディングを通じて貸付を受けた金額
貸付型のクラウドファンディングで資金を調達した場合、受領した金額は「借入」です。そのため「借入金」として会計処理します。
銀行等から借入を行った場合と会計処理は全く同じです。
その結果、損益計算書への記載はなく、貸借対照表の借入の項目に記載されることになります(通常の借入と同様、1年以内に返済期限が到来するか否かによって、短期借入金、または長期借入金のいずれかに計上されます)。
手数料
貸付型のクラウドファンディングで手数料が発生する場合には、支払った手数料は販売費及び一般管理費になります。借入そのものは貸借対照表の動きですが、手数料だけは損益計算書に出ます。
リターンのための費用
貸付型のリターンは「元利金の支払い」です。
元本は支払った金額だけ現預金が減少し、同時に借入金も減少します。つまり貸借対照表の科目の増減になります。損益計算書では計上されません。
一方で利息は費用計上されます。その結果、損益計算書では営業外損失に「支払利息」として記載されることになります。
付随する費用、銀行への支払い手数料などは一般販売管理費になります。
出資型
出資型のクラウドファンディングで会計・税務処理が必要となるのは次の3つの出入金です。
- 払い込まれた出資金
- サイト運営者へ差し引かれる手数料
- 出資者へ交付する株式または新株予約権
クラウドファンディングを通じて出資を受けた金額
出資型のクラウドファンディングで資金を調達した場合「増資」になります。そのため「資本金」「資本準備金」として会計処理します。
エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)等に対して増資を行った場合と会計処理は全く同じです。
その結果、損益計算書への記載はなく、貸借対照表の資本の項目に記載されることになります。
なお、出資により資本金が増額された場合、登記手数料がかかることや以降の事業税の金額が変わることがあります。
手数料
出資型のクラウドファンディングで手数料が発生する場合には、支払った手数料は販売費及び一般管理費になります。払い込まれた資金は資本の部に入りますが、手数料は損益計算書に出ます。
リターンのための費用
出資型のリターンは「株式」や「新株予約権」です。これらは資本の部に記載されるため、損益計算書には影響ありません。
ほとんど生じないものの株券を発行するなどして費用が発生する場合には株式交付費として費用計上します。
また、通常は事業拡大のための資金調達となるため、繰延資産として計上することもできます。繰延資産として計上した場合には、3年以内に償却します。
費用計上した場合、繰延資産の償却をした場合には、営業外費用として損益計算書に記載されることになります。
出資型クラウドファンディングは、資金提供した人がエンジェル税制を適用できる場合があります。
この税制が適用されることで、お金を出した人の税金が安くなる可能性があります。
通常は運営会社が必要な手続きを進めてくれますが、出資者にはそのようなメリットがあるかもしれないことは覚えておきましょう。
消費税はどう扱われるか
法人税とは別に、消費税の扱いも類型ごとに分かれます。判断のもとになるのは「国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等かどうか」です。
| 類型 | 消費税の扱い | 国税庁の説明 |
|---|---|---|
| 購入型 | 課税の対象 | 商品を渡す対価として資金を受け取るため、通常の販売と同じ資産の譲渡にあたる |
| 寄付型 | 不課税 | 国税庁は「寄附金、祝金、見舞金」を、一般的に対価を得て行う取引ではないとして不課税の具体例に挙げている |
| 出資型 | 不課税・非課税 | 「株式の配当金やその他の出資分配金」は資産の譲渡等にあたらないとして不課税。株式そのものの譲渡は有価証券等の譲渡として非課税 |
| 貸付型 | 不課税・非課税 | 借入金の受け取りと返済は資産の譲渡等ではない。支払う利息は「預貯金や貸付金の利子」として非課税取引にあたる |
出典:国税庁 タックスアンサー No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」、国税庁 タックスアンサー No.6201「非課税となる取引」
購入型だけが課税売上になる点は見落としやすいところです。免税事業者の基準期間の判定にも影響するため、まとまった金額を集めたときは課税事業者になるかどうかを先に確認してください。
まとめ
- 会計処理は、クラウドファンディングの4つの類型によって異なります。
- 損益計算書に反映される処理を行った場合、税務上の処理も変わってきます(税金が増えたり、減ったり変動します)。
会計処理、税務処理ともに、制度変更がしばしば行われます。



