資金調達で最もポピュラーな選択肢は「融資」ですが、中小企業が融資を受けるときはどの金融機関から融資を受ければ良いのでしょうか?今回は中小企業が融資を申込む金融機関の選び方を解説します。
創業前、創業して1年未満の中小企業の場合
日本政策金融公庫「公庫」(旧:国民生活金融公庫)を選ぶ
日本政策金融公庫は、政策金融機関たる特殊法人であり、小口の事業資金や創業資金の資金調達を主な事業としています。
日本政策金融公庫は日本政府が全額を出資しているため、国が管理している金融機関と言えます。事業を営む方であれば、すべての方が対象になります。
2016年9月時点では
- 融資先企業数:90万社
- 従業員9人以下:約9割
- 平均融資残高:691万円
- 無担保融資割合:70%超
という実績があります。
創業サポート、セミナー、経営アドバイスなどもしてもらえるので、起業直後の会社であれば、検討すべき融資の申込み先となります。
ドラマや映画の影響で、融資を申込むというと銀行というイメージがありますが、実績がない創業間もない企業に融資してくれる銀行というのはほとんどないのが現状です。
1期目の決算が終わっている中小企業の場合
信用保証協会の保証をつけて銀行から融資を受ける
銀行は創業間もない企業の場合、実績がない為貸し倒れリスクが大きく、融資ができないと言いましたが、1年経過した企業でも、状況はそれほど変わりません。
1期目の決算が終わるぐらいの実績があれば、信用保証協会に保証をつけてもらうという選択肢があります。(創業資金でも利用できるケースがあります。)
簡単に言えば、信用保証協会」に銀行から融資を受ける際の保証人になってもらうということです。
銀行は「信用保証協会」の保証が付いている状態で融資をした場合、企業が倒産したとしても、代位弁済(保証会社が代わりに返済すること)によって、損失を回避できるのです。貸し倒れリスクを「信用保証協会」が取ってくれるので、銀行も安心して融資できるということになります。これは「保証付融資」と呼ばれています。
2016年9月時点では
- 保証協会利用企業数:146万社
という実績があり、日本政策金融公庫よりも多く、中小企業の3社に1社は「保証付融資」を利用しているのです。
2期目の決算が終わっている中小企業の場合
ビジネスローンが利用できる
銀行やノンバンクが提供している法人向け無担保ローンのことを「ビジネスローン」といいます。
ビジネスローンの申込条件は2期分の決算書というところが多いので、2期目の決算が終われば、無担保で資金調達できる選択肢が広がるのです。
- ビジネスローンは銀行が提供する銀行ビジネスローン
- ノンバンクが提供するビジネスローン
などがあります。
「無担保であるため金利が高い」というデメリットがあるので注意が必要です。
返済実績を積み重ねてから
銀行の信用が積み重なればプロパー融資も可能
中小企業で融資を受けて返済をする返済実績が積み重なて、かつ売上も一定レベルを超えてくれば、信用保証協会の保証がない銀行独自の融資「プロパー融資」も可能になってきます。
当然、プロパー融資は保証協会がつかないので、銀行の貸し倒れリスクも大きく、融資審査は厳しくなります。一方で、保証協会がつかないため低金利での資金調達が可能になります。
プロパー融資を受けるためには、信用と実績が必要になるのです。
まとめ
融資による資金調達は中小企業のステージによって変わってきます。
信用や実績が積み重なれば、低金利での資金調達が可能になりますが、それまでの間は限られた選択肢の中で資金調達をしなければならないのです。
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