少人数私募債による資金調達には色々なメリットがあります。今回は少人数私募債による資金調達のメリットについて解説します。
発行が容易
取締役会での普通決議のみで発行
少人数私募債の発行は、取締役会での普通決議のみで発行が完了します。
社債の募集要項である
- 発行目的
- 募集額
- 1口の金額
- 償還期間
- 利率
・・・
などを普通決議で議決すれば、それだけで社債発行の法律的な裏付けはクリアしてしまうのです。
- 監督官庁の届け出も不要
- 社債管理会社をおく必要もない
ので、届け出や通知書などが一切必要がない手続きなのです。
直接金融での資金調達でこれほど簡単な方法はないと言っていいほど、すぐに実行できる資金調達方法になっています。
社債券の発行も不要(発行しても良い)
なので、社債管理コストや社債発行コストも非常に少なく済むのです。
保証人不要、担保も無担保で良い
一般的には少人数私募債は、保証人不要で無担保になります。保証人を探す手間や担保設定の必要性もありません。
資金繰り改善に効果が大きい
銀行融資やビジネスローンよりも低金利で調達可能
少人数私募債は直接金融ですので、銀行融資やビジネスローンよりも低金利で調達できる可能性が高いのです。
定期預金でも0.10%という超低金利の時代ですから、投資家は資金の投資先に困っているのが実情です。このような状況であれば、関係者からの代表や会社への信頼に依存する部分はあるものの、経営状態が良ければ2.0%~5.0%の金利で資金調達することが可能です。
調達コストが下がるため、資金繰りも改善するのです。
少人数私募債は満期に一括払い
少人数私募債や社債による資金調達のメリットは、償還するときに一括で投資家に返済する仕組みになっています。銀行融資やビジネスローンの場合は、借りたら翌月から元本の一部と利息を支払う必要があるので、毎月返済をしていく必要があります。
3年後、5年後、10年後・・・に一括で返済すれば良いというのは資金繰り上は非常に助かる資金調達方法です。
担保設定の必要もない
不動産担保ローンや売掛債権担保ローンなどの有担保ローンでの資金調達の場合には、司法書士の手数料や登記手数料、印紙代などの事務手数料が発生します。
少人数私募債にはこれらのコストも必要ありません。
保証会社などを入れる必要もないので、保証料も必要ないのです。
株式よりも社債が有利
社債の利息は損金算入
社債利息は損金算入が可能です。身内や関係者に利息で還元するということは、利益が出ている企業であれば広い意味での税金対策という考え方もできるのです。
株式の場合の配当金は損金不算入ですから、株主になってもらうよりも会社にとってはメリットが大きいのです。
議決権(経営権)を投資家に渡さないで済む
投資をしてもらって資金調達をした場合には、投資家が議決権を持つことになります。
経営参加の権利を与えてしまうのです。数%の保有率であれば問題ありませんが、50%を超えてしまえば、それはあなたの会社ではなくなってしまいます。
投資家側の少人数私募債メリット
社債は投資家の税金が優遇されている
投資家が融資をした貸付金による利息収入は「雑所得」ですので、他の所得と合算した累進課税による総合課税になります。
社債による利息収入は、預金と同じ利子所得なので20%の分離課税となります。
収入によってどちらが有利かは変わってきますが、投資家であれば、ほぼ確実に利子所得の20%の方が税金は安くなります。総合課税の最大税率は55%です。
定期預金などよりも利率が良い
定期預金が0.10%という時代ですから、社債で2.0%~5.0%ほどの利回りで資産運用ができるのであれば有望な投資先と言えるでしょう。
しかも、少人数私募債の場合は関係者ですので、知っている会社の知っている経営者に対しての投資になります。中小企業の経営が悪化するリスクも当然ありますが、経営者の能力や人柄、会社の状況を理解できていることは、投資家にとってはリスクを軽減できる要素になるのです。
まとめ
少人数私募債の発行会社側のメリット
- 取締役会での普通決議で発行可能
- 監督官庁の届け出義務なし
- 社債券の発行の必要性なし
- 無担保
- 保証人なし
- 登記や保証会社へのコスト不要
- 返済は償還日の一括返済
- 社債利息は損金参入可能
- 投資家に議決権・経営権を渡す必要がない
少人数私募債の投資家側のメリット
- 所得税などの税金が有利
- 利率が良い
- 投資先の会社や経営者の情報がわかっている状態の投資
少人数私募債には上記のようなメリットがあります。だからこそ、中小企業の有望な資金調達方法として利用する会社が増えてきているのです。
コメントを残す