銀行融資では融資対象の企業を格付けし、融資審査や債権の管理に利用しています。今回は銀行融資の企業格付け「収益性評価」について解説します。
銀行融資の企業格付け「収益性評価」とは?
企業の格付けの中には「収益性」という評価があります。「収益性」というのは、会社経営でどのくらい儲かっているのか?利益が出ているのか?という評価になります。利益がおおきければ、その利益がそのまま返済の原資になるので、銀行融資の企業格付けもプラスの評価になるのです。
「収益性」を判断する決算数値
売上高経常利益率
計算式
売上高経常利益率 = 経常利益 / 売上高
売上高経常利益率というのは、売上に対して経常利益がどのくらいの割合にあるのか?を示す指標です。経常利益というのは、営業活動から得られる利益「営業利益」と配当や雑収入、売却損などを含めて「経常利益」がありますが、銀行が重視するのは「経常利益」の方なのです。
「経常利益」は高ければ高いほど、銀行の評価は高くなります。
「経常利益」の目安としては
- 優良:4.0%~
- 良好:3.0%~4.0%
- 普通:0.0%~3.0%
- 注意:-0.3%~0.0%
- 危険:~-0.3%
とされていますが、業界や業種によってかなり適正値が異なるため、同業種の競合他社と比較して評価するケースも多いようです。
総資産経常利益率(ROA)
計算式
総資産経常利益率 = 経常利益 / 総資産
総資産経常利益率は、総資産に対してどれだけの経常利益を生み出しているのか?を示す指標です。資産をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているのか?を測る指標ですので、投資でもROAは非常に重要視される指標となっています。
全業種の平均値は3.0%程度です。
「総資産経常利益率(ROA)」は高ければ高いほど、銀行の評価は高くなります。
「総資産経常利益率(ROA)」の目安としては
- 優良:15.0%~
- 良好:9.0%~15.0%
- 普通:6.0%~9.0%
- 注意:2.0%~6.0%
- 危険:~2.0%
となっています。「経常利益」と同様で、業界や業種によってかなり適正値が異なるため、同業種の競合他社と比較して評価するケースも多いようです。
まとめ
「収益性」が高ければ、いつでも利益を返済に回すことができますし、利益が出ている以上よほど経営が下手で黒字倒産する企業をのぞければ、倒産の確立と言うのは非常に小さくなるのです。
だからこそ、銀行も「収益性」を重要な指標として、格付けし銀行融資審査の材料とするのです。これらの指標は決算数字から計算されるものですので、小手先でごまかすことはできません。日頃からの経営努力が重要なのです。
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