流動資産担保融資保証(ABL保証)とは資金調達でどのような役割を持つ制度なのでしょうか?
流動資産担保融資保証制度(ABL保証)とは
流動資産である「売掛債権」「棚卸資産(在庫商品、製品在庫、仕掛け品など)」を担保にした融資、つまり流動資産担保融資(ABL)に対して、信用保証協会が融資額の最大80%まで債務保証をする制度のこと
を意味します。
流動資産担保融資保証制度(ABL保証)の仕組み
流動資産担保融資保証制度(ABL保証)の特徴
信用保証協会の保証があるため、銀行融資の審査が通りやすい
信用保証協会の債務保証があるということは、銀行自体の貸し倒れリスクが低いことを意味します。万が一、貸し倒れが発生したとしても、融資額の80%は信用保証協会が銀行に返済してくれることを意味するからです。
当然、信用保証協会の保証がない銀行プロパー融資と比較すると審査は通りやすいのです。さらに担保である動産もあるため、銀行側にとってはリスクの少ない融資方法と言えます。
借り手の企業は報告が必要
流動資産担保融資(ABL)は流動資産である「売掛債権」「棚卸資産(在庫商品、製品在庫、仕掛け品など)」を担保にした融資です。
そのため、在庫や売掛債権の金額というのは常に変動します。そのため、売掛債権の残高や棚卸資産・在庫の数量などを融資元に報告する必要性があるのです。一般的に3か月に1回以上の報告が必要とされています。
不動産担保や保証人に頼らずに資金繰りが改善するメリットが大きい
通常は、商品は在庫として仕入れて、販売してから、売掛金が入金されるまで数か月の期間が必要になります。
流動資産担保融資(ABL)の場合は、仕入れた段階で在庫を担保に借入ができることになるので、資金繰りは数か月分改善することになるのです。
これを不動産担保や保証人に依存することなく実現できるため、有効な資金調達方法となっているのです。
流動資産担保融資保証制度(ABL保証)の借入形式・保証人
借入方式 | 根保証 個別保証 |
---|---|
保証期間 | 根保証:1年(延長も可能) 個別保証:1年以内 |
連帯保証人 | 個人:不要 法人:代表者のみ ※第三者の保証人は不要 |
売掛債権担保と棚卸資産担保の違い
担保 | 売掛債権 | 棚卸資産 |
---|---|---|
具体的担保 | 売掛金債権 工事請負代金 |
仕入れ商品・製品・原材料・仕掛品・貯蔵品 ※不動産は不可 |
対象 | 法人・個人 | 法人 |
対抗要件としての登記 | 債権譲渡登記(法人のみ) | 動産譲渡登記(法人のみ) |
融資可能額 | 70%~100% (販売先の信用力や対抗要件の有無による) |
30%~70% (第三者による客観的評価証明による) |
まとめ
流動資産担保融資(ABL)は
融資元にとって流動資産担保融資保証制度(ABL保証)という信用保証協会の債務保証がつけられるため、貸し倒れリスクの低い融資方法となります。
また、借り手である企業にとっても、不動産担保が不要で、第三者保証人も不要、かつ担保があるため金利もある程度低金利で資金調達することが可能というメリットがある資金調達方法です。
デメリットとしては、在庫や売掛債権の大きい企業でないと融資額が小さくなってしまうという点です。年商の多寡によって、ふるい落す銀行もあるので注意が必要です。
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