スター不動産担保ビジネスローンの条件|返済額は35年で計算、契約は1年以上10年以内

スター不動産担保ビジネスローンの条件と書かれたアイキャッチ画像

スター不動産担保ビジネスローンは、株式会社東京スター銀行が法人と個人事業主に向けて扱う不動産担保ローンです。商品ページの上部には、ご融資金額500万円〜3億円、金利年2.90%〜6.90%、ご融資までの期間はお申し込みから約3週間、ご返済期間は最長35年、という4つの数字が並んでいます。

このうち「ご返済期間 最長35年」だけは、読み方に注意が必要です。同じページの商品概要ではご融資期間が「1年以上10年以内」と書かれており、35年という数字は毎月の返済額を計算するための年数として使われています。契約が35年続くという意味ではありません。

この記事では、公表されている商品概要をもとに、この2つの年数がどう組み合わさっているのか、そして銀行の商品としてノンバンクと何が違うのかを見ていきます。掲載条件は2026年8月3日現在と付されており、表示の確認は2026年9月10日に行っています。

融資期間10年と返済額算出35年のずれを示したチャート図

結論:金利と遅延損害金は低い。代わりに契約が10年で区切られる

この商品の性格は、次の4点でつかめます。

  • 金利は年2.90%〜6.90%(保証料を含む) ノンバンクが実質年率15%前後を上限に置くのに対して、上限が6.90%で示されています
  • 遅延損害金は年14.0% ノンバンク各社の19.50%〜20.00%より6ポイント低い水準です
  • ご融資期間は1年以上10年以内 毎月の返済額は最長35年で計算されるため、契約期日には元金の大半が残ります
  • 担保にできる地域が決まっている 14都府県は全域、それ以外の道県は道県庁所在地と政令指定都市に限られます

言い換えると、条件そのものは有利でも、10年後に借り換えるか延長するかという判断が必ず1回は来る設計です。銀行は「原則契約期間延長可」としていますが、そのときの審査を通る前提で組むことになります。

公表されている商品概要

ご利用対象 法人および個人事業主の方(外国籍企業は対象外)。申込時の年齢が満20歳以上であること(法人の場合は代表者)。新たに事業を始める方も対象
ご融資金額 500万円以上3億円以下(50万円単位)
ご融資期間 1年以上10年以内(1年単位、原則契約期間延長可)
ご返済方法 分割返済(元利均等返済)。毎月のご返済額は、最長の場合、期間35年(ご融資期間とは異なります)にて算出
金利 年2.90%〜6.90%の変動金利(保証料を含む)。短期プライムレートを基準金利として当行所定の金利が適用され、借入後は月に一度見直される基準金利の変更と同じ幅で変更される
手数料 借入の際に、借入金額に対して1.10%〜2.20%(消費税込)。契約期間の延長時、繰上げ返済時の手数料はかからない
保証人 原則不要。自社・本人名義以外の不動産を担保とする場合は担保提供者、共有物件を担保とする場合は物件共有者が連帯保証人になる場合がある
保証会社 株式会社アサックス、株式会社日本保証およびJトラスト株式会社、新生インベストメント&ファイナンス株式会社、または株式会社セゾンファンデックス(対象エリア等によって異なる)
遅延損害金割合 年14.0%(1年を365日とする日割計算)
そのほかの費用 登記費用、印紙税等の費用(実費)

「返済期間 最長35年」と「ご融資期間 10年以内」の関係

ご返済方法の欄には、注記として次のように書かれています。「毎月のご返済額は、最長の場合、期間35年(ご融資期間とは異なります)にて算出いたします」。さらに「毎月の返済額、契約期日の残元金額についてはご相談ください」とも添えられています。

つまり、毎月の返済額は35年で返し切る前提の金額に抑えられ、しかし契約そのものは最長10年で期日が来ます。期日の時点では元金が大きく残るので、そこで延長するか、一括で返すか、他へ借り換えるかを決めることになります。

この構造自体は珍しいものではなく、事業用の不動産担保融資では一般的な組み方です。ただし、商品ページの上部で目に入るのが「ご返済期間 最長35年」という表示であることを考えると、35年間ずっと同じ条件で借りられると受け取ってしまう余地があります。実際に確認すべきなのは商品概要のほうの「1年以上10年以内」です。

契約期日に元金がどれだけ残るのか

銀行は残元金の額を公表していません(「ご相談ください」とされています)。ただし、公表されている条件を元利均等返済の式に当てはめれば、おおよその見当は付きます。

3,000万円を年2.90%・35年(420回)で計算すると、毎月の返済額は約113,800円になります。この額を10年(120回)払い続けたときの残元金は、金利が変わらないと仮定して約2,426万円です。

3,000万円を年2.90%・35年で計算した毎月の返済額 約113,800円
10年(120回)の支払総額 約1,365万円
うち元金に充てられる額 約574万円
うち利息 約791万円
契約期日に残る元金 約2,426万円(元金の約81%)

10年で1,365万円を払っても、元金は574万円しか減りません。これは商品の欠点ではなく、返済額を35年ベースに抑えていることの裏返しです。毎月の負担を軽くするほど、期日に残る額は大きくなります。

この数字は公表条件から機械的に計算した参考値であり、銀行が示したものではありません。金利は変動金利なので、10年間同じ利率が続く保証もありません。実際の返済額と残元金は問い合わせて確認する必要があります。

金利は短期プライムレートを基準にした変動金利

金利の欄には、基準の取り方まで書かれています。「お借り入れの金利は、短期プライムレートを基準金利として当行所定の金利が適用されます」「お借り入れ後の金利は、月に一度見直される基準金利の変更にともなってその変動幅と同じ幅で変更されます」です。

基準金利が動けば、その動いた幅がそのまま適用金利に反映されます。上乗せ幅は固定で、基準金利だけがスライドする形です。年2.90%という下限は、いま借りたときの数字であって、10年間の平均ではありません。

基準金利の見直しが月に一度と明示されている点は、実務上重要です。半年ごとや年に一度の見直しに比べると、金利上昇局面では反映が早くなります。金利の決まり方が会社ごとに違うことは不動産担保ローンの金利比較で扱っています。

金利には保証料が含まれている

金利の表記は「年2.90%〜6.90%の変動金利(保証料を含む)」です。この括弧書きは、他社と比べるときに効いてきます。保証料を別建てで取る商品では、表示金利に上乗せされる負担が別途あるからです。

保証会社として挙げられているのは4系統です。株式会社アサックス、株式会社日本保証およびJトラスト株式会社、新生インベストメント&ファイナンス株式会社、株式会社セゾンファンデックス。いずれも不動産担保ローンや保証を手がけるノンバンクで、対象エリア等によって保証会社が異なると注記されています。

銀行から借りているつもりでも、返済が滞れば保証会社が代位弁済し、以後は保証会社と向き合うことになります。契約前に、どの保証会社が付くのかを確認しておく価値があります。

対象地域と担保にできる不動産の名義、保証会社4系統を整理した図

担保にできる地域が限られている

担保物件の所在地は明確に区切られています。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県の14都府県は全域が対象です。

それ以外の道県については、道県庁所在地および政令指定都市に所在する不動産に限られます。注意事項にも「地域によっては、お取り扱いできない場合がございます」と書かれています。

全国の物件を対象とすると公表しているノンバンクと比べると、ここが最初の足切りになります。地方の郊外に担保物件がある場合、条件がどれだけ有利でも申し込みの土俵に乗りません。

担保は根抵当権ではなく抵当権

「不動産担保について」の欄には、「東京スター銀行を抵当権者とする抵当権を設定登記していただきます」と書かれています。根抵当権ではありません。

この違いは、返し終わったあとに効いてきます。抵当権は特定の債権に結び付くため、完済すれば抹消登記の手続きに進めます。根抵当権の場合は、残高が0になっても極度額の枠が残るので、元本を確定させる手続きが先に必要です。両者の違いは抵当権と根抵当権の違いに、根抵当権を畳む手順は根抵当権はいつ終わるのかにまとめています。

一方で、繰り返し借りる使い方には向きません。商品特長には「不動産に複数の抵当権がついていても構いません」「他の金融機関からの借り入れがあっても、まずはご相談ください」と書かれており、他社の抵当権が先に付いている物件でも検討の対象になるとしています。

3親等以内の親族名義の不動産も担保にできる

担保にできる不動産の名義は、法人と個人事業主で分けて公表されています。

  • 法人の場合 自社/法人代表者/役員/株主/法人代表者の3親等以内の親族/関連会社の所有物件 等
  • 個人事業主の場合 本人/3親等以内の親族

役員や株主の所有物件まで含まれている点は、範囲としては広いほうです。ただし保証人の欄に、自社・本人名義以外の不動産を担保にする場合は担保提供者が、共有物件の場合は共有者が連帯保証人になる場合がある、と書かれています。名義を借りるということは、その人に連帯保証を求めることとセットになります。審査で見られる層については不動産担保ローンの審査基準で整理しています。

手数料は借入時だけ。繰上返済と期間延長は無料

手数料の欄は「お借り入れの際に、お借入金額に対して1.10%〜2.20%(消費税込)の手数料がかかります」で、続けて「契約期間の延長時、繰上げ返済時の手数料はかかりません」と明示されています。

3,000万円なら33万円から66万円です。幅の中でどこに決まるかは公表されていません。ただ、繰上返済と延長が無料であることは、10年で契約期日が来るこの商品では実質的な意味を持ちます。期日前にまとまった資金ができたときに費用なしで返せますし、延長を選んでも追加費用は発生しません。

これに加えて、注意事項に「登記費用、印紙税等の費用(実費)がかかります」と書かれています。抵当権の設定登記にかかる登録免許税と司法書士報酬は別に必要です。

遅延損害金は年14.0%

遅延損害金割合は「年14.0%(1年を365日とする日割計算)」で、2026年8月3日現在の表示です。ノンバンクの不動産担保ローンでは19.50%から20.00%が並ぶので、6ポイント前後低いことになります。

1,000万円の残高で30日延滞した場合を比べると、年14.0%なら10,000,000×14.0%×30÷365で約115,068円、年20.00%なら約164,383円です。差は約5万円になります。延滞しないことが前提ではありますが、条件の一部として確認しておく項目です。

銀行とノンバンク3社の不動産担保ローン条件を同じ項目で並べた比較表の図

ノンバンク3社と並べたときの位置

同じ法人・個人事業主向けで条件を公表している3社と並べます。各社の数値は、いずれも2026年9月10日にそれぞれの公式ページで表示されていた内容から取りました。

比べる項目 東京スター銀行 ビジネスパートナー
(目的ローン)
MRF
(オーダーメイド)
AGビジネスサポート
融資金額 500万円以上3億円以下 300万円〜10億円 50万円〜3億円 100万円〜5億円
金利 年2.90%〜6.90%の変動金利(保証料を含む) 実質年率2.50%〜9.50% 契約年率6.00%〜15.00% 15.00%以下(固定2.99%〜14.80%)
遅延損害金 年14.0% 20.0% 20.00% 20.0%
担保権 抵当権 根抵当権 根抵当権 (根)抵当権
契約の期間 1年以上10年以内 最長20年 35年以内 最長30年
事務手数料 1.10%〜2.20%(税込) 不要 0%〜3.30% 0.00%〜3.00%
繰上返済の費用 かからない 不要 残元金の3.00% 返済元金の2.00%
対応エリア 14都府県は全域、それ以外は道県庁所在地と政令指定都市 全国の物件に対応可能 公表なし 全国の物件を対象

この並びから読み取れることを3つに絞ります。

  • 上限金利の低さは明確な強み 6.90%という上限は、ノンバンク3社の上限(9.50%〜15.00%)より低い水準です。しかも保証料込みで示されています
  • 契約期間の短さは弱み 10年で期日が来るのは4社で最短です。20年〜35年で組める他社と比べると、期日の判断が早く訪れます
  • エリアの制限は最初の分かれ目 全国対応の会社と違い、担保物件の所在地で対象外になります

各社の詳しい条件はビジネスパートナーの不動産担保ローンMRFの不動産担保ローン6プランAGビジネスサポートの不動産担保ビジネスローンで扱っています。銀行とノンバンクをどう使い分けるかは不動産担保ローン会社の選び方にまとめました。

申込から融資までは約3週間

手続きは、お申し込み・審査・結果通知・契約・融資実行の5段階です。商品ページ上部には「ご融資までの期間 お申し込みから約3週間」と表示されています。

注意事項には「当行および保証会社の審査がございます」と書かれており、審査は銀行と保証会社の二段構えです。また「在住・在籍/営業確認、ご本人さま確認のため、ご自宅、お勤め先のお電話にご連絡を差し上げる場合がございます」ともあります。

急ぐ資金には向きません。3週間という日数は、ノンバンクが示す最短値より長くなります。速さを優先する場合の考え方は不動産担保ローンに即日融資はあるかで扱っています。

公式のよくある質問で答えられていること

商品ページのFAQには、実務上よく問題になる論点への回答が並んでいます。要点だけ拾います。

  • 赤字決算 「お客さまの業況や決算内容だけでは判断いたしません。今後の事業計画、毎月の返済計画や、不動産の価値も重視して、総合的に判断いたします」
  • 年齢 「法人代表者や個人事業主の方に対し、年齢の上限は設けておりません」
  • 納税資金 「納税資金としてもご利用いただけます。滞納している税金がある方でも、ご融資金での納付が可能です」
  • 住宅ローンが残っている場合 「住宅ローンのお借り入れがあっても、ご融資が可能か検討させていただきます」
  • 繰上返済の手数料 「繰上返済に対する手数料はいただきません。また、契約期間の延長時にも、手数料はいただいておりません」

いずれも「相談を受け付ける」「総合的に判断する」という書き方で、融資を受けられることを示したものではありません。注意事項にも「審査の結果によってはご希望に添えない場合もございます」と明記されています。

向いている事業者と、向いていない事業者

向いている 向いていない
担保物件が14都府県または道県庁所在地・政令指定都市にある 担保物件が地方の郊外にある
上限金利を抑えたい(6.90%が上限) 3週間を待てない資金需要がある
毎月の返済額を小さく抑えたい 10年後の一括返済・延長の判断を避けたい
期日前に繰上返済する可能性がある 500万円未満を借りたい
役員や3親等以内の親族の不動産を担保にできる 繰り返し借りる枠として使いたい

最も重い判断は3行目です。返済額を35年で計算するということは、10年後の残元金を将来の自分に渡すということでもあります。延長できる前提で組むのか、10年以内に売却や借り換えで決着させるのかを、契約の前に決めておく必要があります。

公式ページで確認できること

東京スター銀行 スター不動産担保ビジネスローンの公式ページの画面

上部の4つのカードで融資金額・金利・融資までの期間・返済期間を示し、その下に商品特長6つ、不動産担保について、利用例、手続きの流れ、商品概要、FAQという順に並びます。数字を確認するときは、上部のカードではなく下部の「商品概要」を見るのが確実です。両者で年数の意味が違うためです。

会社の基礎情報

商号 株式会社東京スター銀行(The Tokyo Star Bank, Limited)
株主 台湾CTBC Bank(公式サイトに「株主(台湾CTBC Bank)について」の案内あり)
登録金融機関 関東財務局長(登金)第579号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会
金融機関コード 0526
商品に関する問い合わせ 0120-505-311(平日9:00〜17:00)

銀行なので、貸金業者ではなく登録金融機関として登録されています。ノンバンクの貸金業登録番号とは制度が異なり、総量規制(貸金業法)の適用対象そのものが違います。もっとも、この商品は事業性資金なので、貸金業者から借りる場合でも総量規制の対象外です。

よくある質問

ご融資期間は本当に10年までですか

商品概要には「1年以上10年以内(1年単位、原則契約期間延長可)」と書かれています。延長は可能とされていますが、条件や回数の上限は公表されていません。

毎月いくら返すことになりますか

公表されているのは「最長の場合、期間35年にて算出」という計算方法だけで、具体的な金額は「ご相談ください」とされています。実額は借入額・適用金利・期間によって変わります。

金利は途中で変わりますか

変動金利です。短期プライムレートを基準金利とし、月に一度見直される基準金利の変更にともなって、同じ変動幅で変更されると公表されています。

どの保証会社が付くかは選べますか

「対象エリア等によって保証会社が異なります。詳しくはお問い合わせください」とされています。選べるかどうかについての記載は見当たりませんでした。

担保物件が対象地域の外にある場合はどうなりますか

対象地域として挙げられているのは14都府県の全域と、それ以外の道県の道県庁所在地・政令指定都市です。注意事項にも「地域によっては、お取り扱いできない場合がございます」と書かれています。

返済が難しくなったらどこに相談できますか

まず取引先である銀行の窓口に連絡することになります。事業再生については、各都道府県の中小企業活性化協議会や認定経営革新等支援機関も相談先になります。個別の条件変更の可否は専門家に相談してください。

この記事の調査方法

この記事は、株式会社東京スター銀行が公開している「スター不動産担保ビジネスローン」のページから、商品概要、不動産担保について、商品特長、お申し込みからご融資までの流れ、よくあるご質問、注意事項、およびサイト共通のフッター情報を読み取って作成しました。商品概要には「2026年8月3日現在」と付されており、表示の確認は2026年9月10日に行っています。

契約期日に残る元金の試算は、公表されている「元利均等返済」「期間35年」「年2.90%」「ご融資期間10年」という条件を、元利均等返済の一般的な計算式に当てはめて求めたものです。金利が10年間変わらないという仮定を置いています。銀行はこの数値を公表していません。変動金利であるため実際の推移とは異なります。参考値として読んでください。

比較に用いた他社の条件は、ビジネスパートナー「法人・個人事業主様向けビジネス不動産担保ローン」、エム・アール・エフ「オーダーメイドプラン」、AGビジネスサポート「不動産担保ビジネスローン」の各公式ページに同じ日に掲載されていた内容から取りました。

手数料が1.10%と2.20%のどちらになるかの基準、契約期間の延長の条件と回数、保証会社の割り当ての基準については、公式ページから読み取れませんでした。これらは「公表されていない」ということであり、条件が存在しないという意味ではありません。融資の可否と適用条件は、銀行および保証会社の審査によって決まります。この記事は特定の借入を勧めるものではなく、税務・法務の判断を示すものでもありません。

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